彼は絆の繋がりで異世界で成り上がる   作:カオスサイン

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EPⅤⅩⅨ「魔王国ゼノアスと記憶と陰謀とアルーザスPARTⅣ」

Side一誠

「よもやかの大魔王様の生まれ変わりであらせられる御方が私の娘をお救い下さっていたとは!…」

「はは、私らは間接的にであって彼女を保護したのは我が国の専属騎士ですからね」

「…」

「ほう…」

現魔王ゼルガディさんが娘と再会を果たし此方に感謝の意を述べてくる。

一方、桜に好意を持つ信はゼルガディさんの親バカオーラを感じ取ったのか委縮していたが…

「お父さん…あまり信や王様達を困らせないで…後ウザイ…」

「ちょ!?…ファルネーゼェ~…」

「今は桜…」

「そうですよ陛下」

「フィアナ!?お前まで…」

桜とフィアナさんに叱責されるとは予想外だったのかゼルガディさんはしょんぼりしてしまう。

メンタル大丈夫か?

「ふむ、それは良い案だと思いますね」

「シリウスまで!?…」

その後、信との仲や今後の事を考慮してフィアナさんも娘と共にブリュンヒルドへと移り住むとの話をすると更にしょげた。

フレンネル家の現当主でスピカさんの父親でもあるシリウスさんも賛同する。

もう魔王候補は別に立てるしかないんじゃないかな。

「それで…桜達を襲撃してきたのはユーロンの手の者であるとお聞きしていますが?」

「残念ながら黒幕の尻尾までは未だ掴めてはおらんのだ…既に亡くなった第一王妃のリーブック家か第二王妃のアルノス家か…二家に付随している者の手か…」

聞く所によると第一皇子は卑怯な手段を嫌う為彼が主導していることはありえなく、第二皇子は極度の臆病者でとても魔王の座に相応しいとは思えない。

又実力の方もほぼ同率であるということから均衡が崩せないといった状況みたいだ。

「ならば一つ良い方法がありますよ」

「む?…」

兎に角、リーニエの二の舞にさせてたまるものか。

俺はゼルガディさんにある提案をし、その仕込みの準備に入った。

 

~それから約三日後~

メフィスト族の男が一人、ぜノアスの王都ゼノスカルのすっかり寂れた裏路地の一角にある倉庫の中でまるで誰かを慌てて探すかの様にあたふたしていた。

ようやく件の相手を見つけても男は何処か挙動不審であった。

「来たか…」

「い、一体何の用だ?」

「もう一人邪魔者がいるのではないかとわざわざ来てやったのだが…」

「!お前達が第一皇子をも消してくれるのなら此方としても非常に有難い!

して…見返りはまた武器の横流しか?」

「…」

「おい?…なんとか言わんか!

私もあまり暇ではないんだぞ!」

「フッ…」

「何が可笑しい?!」

男は仮面を被ったフードの男が無言のままなのに対し痺れを切らし叫ぶ。

だがフードの男は静かに笑ったのを見て男は更に怒号を上げた。

「…だそうですよ?」

「何ッ!?貴様もしや…」

フードの男の独り言に不審に思う男だったが其処に第三者の声が聞こえてくる。

「成程、話はしっかりと聞かせてもらったぞ!

武器の横流しをしていたとはな」

「ぜ、ゼルガディ魔王陛下!?何故此処に!?…」

「こういう事さ!」

「何!?…」

そこに現れる筈の無い魔王の姿に驚き、男はフードの男を見た。

そうフードの男の正体はミラージュで化けた俺だ。

ユーロンの暗殺者を騙り、片っ端に怪しい人物に手紙を送りつけたのだ。

それに見事に引っ掛かったのがこの男だったという訳だ。

男は驚き明らかに動揺していた。

「ま、魔王陛下これは何かの間違いで御座います!

決して私は姫君の暗殺など…あっ!?…」

「ほう、私が何時我が娘、ファルネーゼの事を貴殿に話したかな?

セブルス・アルノスよ、父親に申し訳無いと思わんのか!」

「ぐぐっ!?…」

「語るに堕ちたな」

言い訳に走ろうとしたら勝手に自爆したこの男、セブルスは第二皇子の叔父であり又アルノス商会の次期会長であったが彼を魔王の座に就かせることに躍起になっていたようだ。

そもそも桜の事は極一部の魔族しか知らない筈なのでそれは悪手だった。

どうせ魔王の叔父という地位を狙っていたんだろうが。

第二皇子本人があの様な様だったのでセブルスは計画を変更せざるを得なかったのだろう…それも叶えられることは無い。

セブルスは最早言い逃れは出来ないと悟り大人しくシリウスさん率いる部隊に捕縛された。

「本来ならば即刻処刑と行きたい所だが…」

「分かりました、信と桜を呼んできます」

後日、今後の為に桜とフィアナさんを魔王王家から切り離し、又セブルスと共に癒着していた連中を一網打尽にする為に彼女の生存を公表し、そして信との正式な婚約発表をしたのだった。

「お、王よ…///~」

信、そんなに恥ずかしがらなくても良いんだぞ。

ちなみにセルブス一味は処刑、第二皇子が完全に王位継承権を放棄した事で取り潰しとまではいかないみたいだ。

それから二日後…

「さあ、参ろう…我が始まりの地へ!」

「うん!…」

俺はローナの手をとってアルーザスの居城を目指すのだった。

だがまた一つ問題が起きるとはこの時は思いもよらなかった。

 


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