彼は絆の繋がりで異世界で成り上がる   作:カオスサイン

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EPⅤⅩⅧ「魔王国ゼノアスと記憶と陰謀とアルーザスPARTⅢ」

Side一誠

「生存者確保は任せたぞ信!」

「は、はい!」

突如出現したフレイズの襲撃を受けファルネーゼの万魔殿が炎上していた。

桜の実父である現魔王が既に向かったらしいがそれも長くは持たない。

俺達も急行し、信に生存者の救護を任せ、俺と冬夜は二手に別れて魔王とフレイズを探す。

「むうっ!?なんなのだ此奴等は!」

「!」

少し進んだ先にあった諸見の間らしき場所で魔王が中級フレイズの軍勢に手を焼かされていた。

「目覚めてくれサクラ!」

俺は羽柴領で取り返した「穢れなき桜光の聖剣」を抜き魔力を流し込んで内に眠る精霊を呼び起こす。

「『う?う~ん…あ、新マスターおはよう~』」

「気分はどうだ?」

「『まだちょっと眠いけど大丈夫!』」

「そうか…じゃあいくぞ!」

サクラのぽけぽけな声を聴き安心する。

レーヴァテインを構え魔王に群がろうとしていたフレイズを斬る。

「!?」

「魔王ゼルガディ・フォン・ゼノアスとお見受けしました。

これより貴殿を助太刀する!」

「ああ、ああ…き、君は一体?…」

俺の登場に驚きを隠せない魔王ゼルガディさん。

「貴殿の娘さんや奥さんがお帰りをお待ちしています」

「!?ファルネーゼが生きていると!?…」

「その話はコイツ等を屠ってからです!」

「あ、ああ…」

俺はゼルガディさんに桜の生存を告げてからレーヴァテインとスウァフルラーメを構える。

「『やっちゃってマスター!』」

「【黄金桜の制約<デル・フィン・レーヴァゲイン>】!!」

桜色と黄金の二対のマホウが収束し二振りの剣に集約する。

それを思い切り振るうと中級フレイズの軍勢は光に飲み込まれていき後にはコアの晶材だけが残った。

 

Sideゼルガディ

「…」

万魔殿を突如として襲撃し魔王と呼ばれているこの私でさえも劣勢に追い込んだ正体不明の生命体らしきものを振りの魔剣と聖剣でいとも簡単に屠った黒衣の青年のその力強さにまだ幼い頃の私が憧れを抱いたかつてゼノアスだけでなく世界全土をその優しき支配で掌握したという魔王の姿と重なった。

現魔王の私を遥かに凌ぐ強大な魔力、そして聖と魔を同時に扱うその器量。

あの御方は差別を最も嫌い、様々な良き文化を取り入れたというが…これは幻想なのであろうか?…いや、もしかしたらあの青年はかの偉大なる大魔王の生まれ変わりなのではなかろうかとの思いが込み上げてきた。

「す、助太刀感謝致します!

失礼ですが貴殿のお名前は一体?」

「…俺の名は一誠・ブリュンヒルド・アルーザス!

再び世を正す為、約五千年の時を経て魔王アルーザスの記憶持ちしブリュンヒルド公国双王の一人である!」

「!…」

私がたまらず感謝しながら問うと彼は高らかにそう名乗ったのだった。

 


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