Side一誠
「えへへー、マスター~♫」
「…」
俺と正式契約した影響か急成長したアコの魅力に俺の理性は崩れかけていた。
『こら!アコよ主が困っておられるではないか!』
「主従関係の気持ちしかもってない蒼帝様は黙っててよ~」
『あのですね…』
瑠璃は俺にべったりなアコを引き剥がそうと言うも彼女の言葉に少しショックを受けたのかへそを曲げてしまう。
そして無言で冷ややかな目を向けてくるエルゼやハイライトを無くしたリンゼから目を逸らしながら。
仕方無いじゃんか!
「俺、ダンジョンに行ってくるわ!
冬夜後は任せた!」
「え、ちょ!?…」
「あ!?待ちなさい!もう!…イッセーてば!」
「あ、アコもいくー!」
『やれやれ…』
俺は逃げる様に後を冬夜に押し付けてレリシャさんから聞いた話を思い出しダンジョンへと向かった。
で、今は中級冒険者向けの層である「アマテラス」に入っている。
「あら?イッセーも来ていたのね」
「リーンか、何かのついでか?」
「ええ、買物がてらね。
そういう貴方は何をしに?」
「ギルドから此処のダンジョンで短期間でかなりの人数の新人冒険者が命を落としてしまっているという話を聞いてね。
ポータルとかの整備がてら調査しに来たんだ」
リーンと偶然会い一緒にダンジョン探索をする事になった。
そして一階層を突破し二階層に達した所でとある事態に遭遇した。
「『主/マスター!』」
「ああ!…」
「どうしたの?」
瑠璃やアコも同時に感じたようで立ち止まる。
たった今しがたすれ違った七人の冒険者グループに対して何処か違和感を感じたのだ。
「今すれ違った冒険者グループ数人から血の匂いがした。
他の冒険者が危険かもしれない!」
「なんですって!?急ぎましょう!」
急いでそのグループの後を尾行すると三人の男性冒険者から他の四人の新人冒険者であろう者達が襲われていたのだ。
いきなりの事だったのかその内二人は対応しきれず既に気絶させられてしまっている。
「綴る、精神の鎖!」
「「なっ!?」」
急いで襲っていた奴等を精神の鎖で捕縛した。
「大丈夫か?君達!」
「へっ?…」
「た、助かった!
でも他の二人が…」
「それも分かっている!」
助け出した新人冒険者達を即座に回復させ俺は捕縛した奴等を尋問する。
「お、俺達は青ランクだぞ!貴様なんか…」
「青ラン冒険者がこんな雑魚な訳がないだろ!
アンタ等、新人冒険者やあまり腕の立たない中級冒険者を狙って追い剥ぎしていた連中なんだろうが!
それにその装備を見る限り奴隷商人被れだな?」
「グッ!?…」
「あ、確かに…」
俺の言葉に追い剥ぎ奴隷商人達は押し黙り、新人達は事態の重さに気付いたようだ。
このダンジョンで死んだとされていた冒険者達は皆此奴等に誘拐されていたようだ。
ならばまだ生存している可能性はあるか。
「さてと、君達出来ればで良いのだがお手伝いを頼めないか?
あ、俺はブリュンヒルド双王だ以後よろしく!」
「「え?…えー!?」」
ようやく自己紹介すると四人は驚きの声を上げるのだった。