Side一誠
桜とローナの隠された才能に驚愕してからも色々あった。
「図書館」のバビロンを魔王国ゼノアスで発見しリーンが狂喜乱舞。
後は「蔵」だけか…早く見つけたいな。
そのついでに依頼を受けてギルドが発見したという小島にある地下遺跡の三つの不思議なダンジョンを公国からゲートで繋げたり、その翌日から冬夜達がしばらく留守にしてたりと色々とあった。
何故留守にしていたのかは俺にも教えてくれなかった。
彼曰くあまり思い出したくないらしい。
俺は今久方振りにザナックさんの店を訪れていた。
「やあ双王陛下」
「今は公務ではないんで固くしないでも良いですよ。
何かお困りはないですか?」
「ならイッセー殿、実は今ロードメアの貴族様からドレスの御注文を受けたのですが他に類を見ない珍しいデザインをお求めなんです。
イッセー殿ならそういった物をお知りではないかね?」
「ドレスですか…分かりました!何枚か白紙を下さい」
「いいとも!」
俺はザナックさんにネットで検索した多種多様なデザインのドレス画像をドローイングし渡した。
「ほほうこれはどれもこれも素晴らしい!…これならば御客様にも気に入って頂けるでしょう!」
「それはどうも」
「大変だ!ザナックの旦那!そ、それに双王陛下!…」
「騒々しいが何かあったのかね?」
その時、慌ただしい様子で武器屋のバラルさんが飛び込んできた。
「すぐ近くで竜が現れて暴れているんだ!」
「なんだって!?」
それを聞いて俺は外を見る。
すると少し先の上空で白い竜が雄叫びを上げながらリフレットの街を飛んでいた。
一体何故竜が此処に!?…そういえばレリシャさんから最近ユーロンとサンドラに竜が出没して暴れ回ったとの話を聞いたが…
「瑠璃!あの竜は?!」
「『!何故あの者が!?…』」
「知り合いか?」
瑠璃を呼び出すと彼女は驚愕した表情で暴れようとしている白い竜を見て叫んだ。
「『あの者はもう一つの竜の聖域であるドラゴネス島に住んでいるまだ若竜の者です。
いずれは私に匹敵する力を持つかもしれない期待の者なんですが心優しい彼女が何故こんな事を!?…』」
「それなら尚更止めないと!…」
瑠璃の話を聞いて俺は白い竜をよく観察してみる。
すると
「『い、イタイ…クルシイヨ…』」
白竜からそんな悲痛な声が聞こえてきたのだ。
「!今の聞こえたか?瑠璃」
「『え、ええ…どうやら何かが彼女を暴走させているのやもしれません!』」
「それなら!サーチング!」
白竜にサーチングをかけて暴走している原因を探る。
「見つけた!そこだな!」
竜の首筋に何かが突き刺さっているのを見つける。
それは針の様な物だった。
「『主それから魔力を感じます!』」
「アーティファクトか!
ディスペルフォース!そしてアポーツ+ダ・カーポ+スリープ!」
俺はそれがアーティファクトだと断定し解呪しアポーツで引き寄せ竜の首から外した。
そして回復させて眠らせた。
だが此処で想定外の自体が起きる。
「人間の姿になった!?」
「『なんと!…ここまで強く…』」
瑠璃にも予想外の出来事で眠らせた白竜は全裸の少女へと姿が変わったのだ。
瑠璃曰く若竜でも人間の姿になれるらしいが…瑠璃自身は必要性が無いとの事…ちょっと見てみたい気もするんだがな。
とにかく何者かがこのアーティファクトを使ってこの子や他の所に現れた竜を暴走させたに違いないな。
レジーナ博士に聞いてみなくてはな。
すぐにザナックさんの店で白竜の子の着替えを購入し急いで城に戻った。
冬夜も緑竜に襲われたらしくこっちは手の施しようがなく倒すしかなかったようだ。
「『これは私の作品じゃないな。
恐らく彼奴の作った「支配の響針」だね』」
「アイツ?」
「『ああそっか君も彼女には会った事なかったね。
私をやたらと目の敵にしてたデボラの奴が作ったアーティファクトさ。
大分不良品だけどね』」
「何かデメリットが?」
「『ああ、これは刺した魔獣の力を最大限に引き出し使役出来るんだがその魔獣の寿命を削ってしまう上に魔獣と使用者の精神を強引に繋ぐから精神障害を引き起こす可能性があるのさ。
彼奴こんなはた迷惑な代物を残していたか…とにかくそれも破棄した方が良いな』」
「ああ」
という事はダ・カーポをかけていて正解だった訳だ。
あんなまだ幼い子が理不尽に暴走させられた上に寿命を削られてしまうなんてあって良い訳が無い。
後は彼女が目覚めるのを待ってみるしかないか。