Side一誠
翌日、フレイズ大襲来について緊急会談が行われた。
上級種フレイズの出現に奴の一撃でユーロンの首都シェンハイが跡形も無く消え去った。
まあ、これはもうユーロン人に対する天罰だと思うしかないだろう。
だって…
「先日のあの件はブリュンヒルド双王の自作自演によって引き起こされたとの噂が…」
「…」
などなど生き残りが散々公国の悪口をあちこちで言いふらしていたからだ。
「随分と勝手な事を言ってくれますな阿奴等は…我々の介入が間に合わなければ下手したらユーロン全土が消炭になっていたかもしれないというのに…」
「彼等は霊的に生まれ変わる必要があるんじゃないですかね…まあ、これでしばらくユーロンはロクに動けないでしょうし…新しい天帝が出てきてはいるが…」
そう、シェンハイと共にユーロン天帝は運命を共にする羽目になった。
新しい天帝というのはどうやら正当な後継者などでなくユーロンのあちこちで天帝の子を名乗る者が現れ始めたらしい。
天帝の本当の家族も何らかで既に亡くなっており正当な後継者など最早いないだろう。
あんなほぼ壊滅状態の国を他国が支配しようとは思うまい。
まあ次なにかしらやってきた時は徹底的に潰しますが。
そしてそれから三日後、この世界の冬の季節が訪れていた。
少し肌寒い中、俺と冬夜はある物を製作していた。
「よし完成だ!」
「王様達、それ何?」
「あ…」
完成を迎えると絵を描き終えて一段落したローナと桜が丁度散歩から帰ってきて不思議そうに俺達の作った物を眺めていた。
「ん?コレらはなそれぞれピアノ、ギターという楽器なんだ」
そう、俺がエレキギターを作り、冬夜がグランドピアノを作った。
「楽器?」
「そうだ」
「あ、ピアノにギターすか!
王よお願いがあるんだが」
「む?」
「太鼓かドラムを作ってはくれないだろうか?」
信がそう言ってくる。
そうか彼は元々そういう家系の者だったから演れても可笑しくないか。
で、結局両方製作したよ。
信に作ったドラムを渡す。
「ねえ王様達、何か弾いてみせて」
「OK!」
桜にお願いされた俺達はそれぞれ準備する。
ええっと選曲はそうだな…この曲だ!
「「Eternal Melodia」!♪~」
ううーむ、なんという素晴らしき曲だろうか!
「ふう…」
「凄いぜ王よ!」
「何言ってんだ冬夜のピアノも信のドラムも凄い良かったぞ!」
「ん、王様達凄い!
私も歌ってみたい!」
「わ、私も!…」
「え?」
歌い終えると聴いていた桜とローナがそんな事を言い出したので俺達は少し驚いた。
「本気か?」
「うん!…それに歌詞ももう覚えたから」
「私は何故だか知っている様な気がしたから凄く歌ってみたい!」
「そうか!」
桜の驚異の記憶力にも驚いたが普段はほとんど絵を描く事にしかあまり興味を示し…というより夢中になり過ぎて他の事に目がいってなかったローナがまた一歩踏み出してくれた事に俺は酷く感激した。
「そんじゃもう一度だ!」
「OK!」
再度演奏に入る。
「「♬~」」
「「…う、上手えー!」」
桜達の歌声を聴いて思わず叫ぶ。
当の彼女達は凄く満足している。
ローナはもうほぼ本家じゃないか!
パチパチ!
「ン?…」
「凄かったですよー!
イッセーさん達の演奏も桜さんやローナさんの歌声も!」
バッチリ他の皆にも見られていたようで大絶賛を貰ったのだった。