彼は絆の繋がりで異世界で成り上がる   作:カオスサイン

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EPⅣⅩⅢ「再逢(愛)、そして巨獣」

Sideローナ

…あ、なんだかとても凄く温かい…魔王様を近くに感じる気がする…。

「はっ!?…!」

「うー~ん…」

「zzz…」

私は目覚めてすぐに気が付き涙をこぼしそうになった。

私の傍には自身の召喚した精霊のプリマと再び会いたいと今迄願っていた魔王様の姿があったのだから。

「魔王様…」

私を又あの地獄から救ってくれた介抱してくれ眠る彼を私は優しく抱きしめた。

「ニャ?ようやく目が覚めたかニャ!

イッセーも朝だニャー!」

「ぶふっ!?…おま何すんだ黒歌!…あ…」

喋る黒猫さんが私に気が付き魔王様の鼻に尻尾を近付けてフリフリ擦り付けていた。

思わず魔王様は飛び起きる。

すると私に気付いたのかどこか暗い表情をしていた。

 

Side一誠

「ローナ…」

ようやく目覚めたローナの姿を目にし俺はほんの少し一歩を踏み出せないでいた。

別の世界という壁も立ちはだかり俺と再会を果たす迄あんな地獄を何度も味あわせられてきた彼女を思えば胸が締め付けられそうになる。

「魔王様?…」

「!」

そうだ…彼女も自分のせいで俺がこんな暗い表情をしていると思っているんだ。

でもこれは誰のせいでもない…強いて言えば彼女を身勝手な理由で地獄に突き落とした輩だ。

「ローナ!…本当に生きてくれていて良かった!…」

「魔王様!…」

俺は一歩を踏み出し彼女を思いきり抱きしめながら涙を流した。

彼女も。

「ふふ、しばらく二人にしてあげるのニャー」

「え?え?え!?…」

黒歌が気を利かせてくれてローナから俺との関係性を聞いていないのか訳が分からないといったプリムを引きずって部屋を後にする。

「「じー…」」

他の俺の嫁さん達が此方を羨ましそうに見ていた。

後で埋め合わせが大変だなこりゃ。

しばらく互いに泣き明かした後、ローナと再びあの五千年前に交わした約束をもう一度交わしたのだった。

彼女は満面の笑みを浮かべ頷いた。

 

Side一誠LOVERS

「ううー~!…」

「べ、別にイッセーとあの子の様子が気になるから見てみるだけよ!」

「う~、気になるのじゃ~!」

「(あちゃー、これはもう私じゃ止められそうにないニャな…)でも邪魔だけはしないようにニャー」

「「わ、分かっています(のじゃ)!」」

「本当かニャ―?(^-^;」

一誠を慕うシルエスカ姉妹、ユフィナ、スゥはどうしても気になって覗き込んでいた。

そこには

「「…」」

一誠とローナの様子を見てとてもではないがあの空間に自分達も入る事には躊躇いがあった。

「ここはおとなしくしましょう…」

「そ、そうね…」

 

Side一誠

「巨獣?」

「はい」

ローナとの再会後の一週間後、フレームギアの数がある程度揃いシュヴァリエとその指揮官仕様であるナイトバロンを公開した。

そこにギルド長であるレリシャさんから支部設置の願いと直々の依頼が舞い込んできた。

依頼内容は東にあるライル王国、テムの街へ向かいそうだという突然変異種の巨大な魔獣「スコルピナス」の討伐。

FGの事を耳にして俺達の下へ来たみたいだ。

冬夜がライルの魔石採掘権を追加報酬として追加してくれるようにお願いし無事にその要望も通った。

俺達はすぐに格納庫へと向かい目的地に向かう準備をした。

~ライル王国東の森~

「見つけた!」

冬夜がバビロンを飛ばし件の森へと辿り着くと早速スコルピナスを発見。

すぐにそれぞれ機体の出撃準備に入る。

「ナイトバロン、出撃るぞ!」

俺と冬夜はナイトバロンを起動、他の皆はシュヴァリエを出撃させ(ローナは彼女の特殊性故留守番)臨戦態勢を取る。

さあ、初のFG実践といきますか!

「グオオー!」

「来るぞ!」

「全体防御!」

皆装備したシールドを構えて、雄叫びを上げながらスコルピナスが吐き出してくる毒液を防ぐ。

が…

「うえ!?…」

「これは毒というより強酸だな…」

毒液を受け止めたシールドが煙を上げながら溶解してしまっていた。

そう何回も防がせてはくれないか。

幸い蠍型の魔獣にしてはそこまで動きは速くないが…

「!また來るぞ!」

スコルピナスはその巨大な鋏を振り上げ、俺達に振り下ろしてこようとする。

「散開!」

「おっと!こいつでどうだ!?」

回避した直後、冬夜がメイスで奴の目潰しを狙う。

だが…

「固てえ!?…」

流石は変異種といった所か…そう易々とはいかない。

「ならば!」

俺はブースターを吹かしスコルピナスの頭部を狙ってメイスを思いっきり叩きつけた。

奴はバランスを崩すがそれでもしぶとく溶解液を放ちながら鋏を振るってくる。

「まずっ!?…」

「冬夜!」

反応しきれなかった冬夜が溶解液をなんとか防御、俺が鋏を受け止めた。

だが二人共シールドを破壊されてしまう。

「メイスだけじゃ駄目だ!」

「分かってる!モニカ、バトルハンマー投下!」

「『よっしゃー!』」

このままでは奴に決定打を与えられないと冬夜がモニカに別の武装の転送を頼む。

俺達はハンマーを手に取り、素早く操作する。

「第一スロット解放!魔力同調良好!よし!

グラビティーハンマー!」

「同じくよし!

『雷帝の閃槍よ』ライトニングピアスハンマー!」

魔力を機体に流し込み、冬夜がグラビティーで、俺はライトニングピアスでバトルハンマーを強化しスコルピナスへ振り下ろす。

「ギギャー!?」

加重され、雷を纏った一撃を受けて奴の装甲が割れ弱点部位が露わになる。

「皆トドメだ!」

「「はい!」」

冬夜はコクピット外に出てブリュンヒルドを撃ち込み、俺は再びライトニングピアスを、他の皆はそこに一斉にブレードで斬り裂き目標にトドメを刺した。

早速ギルドへ達成を報告。

遂に最高ランクの金へと昇格を果たしたのだった。

非常にレリシャさんにFGの事について聞かれ、フレイズの予言について話すとやはり遭遇例がいくつもあるらしく情報共有が結ばれた。

 

 


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