彼は絆の繋がりで異世界で成り上がる   作:カオスサイン

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EPⅣⅩ「リーニエ王国、そして前世と現在に愛を!PARTⅣ」

Side一誠

一度公国へと戻りワルダック宰相達の企みの内の一つに関して話す。

「恐らくクラウド王子、貴方をパルーフへの宣戦布告の使者にするつもりなのだろう」

「!?そ、そうか!だからワルダックはあの時!…」

「表面上は和平の親書という事にしておいて、実際の中身は宣戦布告文書。

そこで内容に激昂したパルーフ側が王子を即斬しかねないね…」

「それ自体が本命じゃないだろうが、きっとあの宰相は「第二王子を手にかけた憎きパルーフを許すな!」なんて民衆を煽って更に軍備拡大を図るつもりだったんだろうな。

絶対に俺達が阻止するけどな!」

「…」

「宰相の拘束は左程問題は無いのですが、何よりザブン王子の王位継承権剥奪が困難です。

彼の悪事の全てがワルダックの手で握り潰されてしまっていますからな…

国王様ご自身が廃摘をご命じなされば一番良いのですが…それも本妻であるダキア王妃の存在で難しいですし…」

クラウド王子の協力者である前宰相クープ侯爵がそう告げてくる。

「今その事については使い魔が情報収集していますので直になんとか出来るでしょう。

それよりも今は!」

「ええ、一刻も早く母上をお助けに行かなくては!」

「エリア王妃様はワルダックの領地にあるガリア砦に軟禁されています。

私の手の者が潜入しておりますがあそこの環境がよろしくない。

本当に王妃様がご病気になってしまう前にお助け願います!」

「分かりました!全力を尽くしましょう!」

クープさんの言う通り救出を急がないとな!

早速冬夜がクープさんにリコールし、俺達はすぐにガリア砦へと飛ぶ。

「ターゲット・砦の兵!パラライズ!」

「「ぎゃは!?…」」

冬夜がスマホでロックし砦の番兵達を気絶させる。

なんか伝染病だとか叫んでいる連中がいた。

チィッ!護符を持っているな。

「綴る!『踊れ踊れ雷神の竜【稲妻の魔竜<サンダーボルトドラゴン】!』」

「「うぎゃあああー!?…」」

雷竜を光技で召喚し突撃させる。

対応出来なかった兵達は悲鳴を上げて気絶した。

「急ぐぞ!」

「ええ!」

「何者です!?

って貴方はクラウド王子!」

「そうですアンジェ殿!母上をお迎えに上がりました!」

先を急ごうとすると一人のメイドさんと鉢合わせした。

どうやら彼女がクープさんの言っていた潜入者みたいだ。

「そうでしたか!

ならば此方です!」

アンジェさんについていき王妃様が監禁されている地下牢へと辿り着く。

見張り兵から鍵を奪い牢を開ける。

「母上!」

「クラウド!?クラウドなの!?…」

「ええ!正真正銘の貴方の息子さんですよエリア王妃様」

「貴方方は一体?」

感動の再会を果たし涙を流すクラウド王子とエリア王妃様。

一息俺達に気が付いた王妃様。

「これは申し遅れましたね。

私はブリュンヒルド公国双王の一人、一誠・ブリュンヒルドでございます」

「同じく双王の冬夜・望月・ブリュンヒルドです!

よかったですね!」

「ブリュンヒルドの双王陛下殿で御座いますか!?」

俺達の肩書に当然の様に驚く王妃様。

「さ、新たな追手を放たれる前に!」

すぐにゲートを開きクープさんの屋敷に転移した。

コレでクラウド王子を縛る枷はもう無い。

後は使い魔が戻ってくるのを待つだけだな。

 

その頃、リーニエの王宮では

「何!?クラウドが行方不明だと!?…それにエリア王妃も幽閉していた筈の砦から姿を消した!?

まさか!?…ええい!兵達は一体何をしていたのだ!?」

「は!伝書によりますと全員身動きを封じられたとかで…」

伝令の言葉に明らかにワルダックは苛立ちを見せていた。

「だから言ったでしょうザブン!あんな子さっさと消してしまえばよかったのにと!…」

「クラウドの奴!兄に逆らってタダで済むと思うなよ!」

焦った様子で声を荒げるダキア王妃とザブン。

そんな様子を一誠達の使い魔が見ていた事に気が付かないまま話を続けていた。

「エリア王妃を奪われたのは非常に不味い!…クラウドがクープ侯爵達と手を組まれれば厄介極まり無い…それにこの事が国王陛下の耳に知れたら私達は…」

「ならば即刻逃げたクラウド達を捕らえてその後ザブンに王位を継承させましょう!」

「そうだな…もし逆らえばエリア王妃の命は無いと脅せばいい!」

 

「どういう事だこれは?…」

「うーん?…これはもしかしたらひょっとするかもしれないね…」

戻って来た使い魔を回収し映像を映すとそんな会話が流れる。

何故本妻ではない筈のエリア王妃の命の方がリーニエ国王には大事なんだ?

まさか!?…俺は一つの結論に行き着く。

冬夜も同じ様な考えに至っていたようで唸っていた。

「一体これはどういう!?…母上を人質にしたのは私とクープ侯爵達の動きを封じる為だけじゃなかったのですか!?」

当然クラウド王子は理解出来ず混乱する。

「とにかく続きを観てみれば分かる筈だ!」

「あ、はい!」

「『ザブンに王位継承させたら彼はどうするの?』」

「『勿論永遠に消えてもらうさ。

旧リーニエ王家の血筋など一人たりとも残さん!』」

「!?」

やはりか!…

「今の会話って…」

「ああ、これは決定的な証拠となるな。

もしかしたらあの馬鹿王子は…国王の息子なんかじゃない!」

「なんだと!?…ザブンはもしやワルダックとダキアの息子だとでもいうのか!?」

「ええ、恐らくこれが奴等が隠していた真実!…」

「ならばこれは立派なリーニエ王家への反逆ではないか!…」

「こんな事が!?…」

確かにあの馬鹿王子今となっては只の偽王子とクラウド王子とは兄弟にしては違和感を感じてはいたが…。

クープさんもそれに気が付き驚愕するしかない。

「兄…いえザブンと私は最初から何の繋がりすらもなかったという訳ですか…。

ならばもう躊躇する理由もありません!

私は父上、母上の為、そして国民の為、国の反逆者と戦いましょう!」

「よくぞ申されたクラウド王子!貴方様こそが真の後継者なのです!

あの様な不敬な輩共にリーニエを奪われる訳にはいきません!」

クラウド王子は真実を知った事で彼は奮い立つ。

そしてクープさんの言う通り最早大義名分は此方にしかない。

後はリーニエ国王にこの真実を伝えて奴等に未だ囚われている奴隷達を開放せねば!

 

 

 

 

 


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