Side一誠
「ふう!これで一応フレームギアの量産体制は整えられた訳か」
「そうだね」
エーテルリキッドやその他諸々の資材もなんとか確保の目途が立ちフレームギア(以降FG)は量産体制に入った。
それから二週間ちょっとたったある日
「だああー!また負けたー!」
「WRYYYー!」
冬夜が工房でレジーナ博士の協力で完成させたFGのシュミレーターであるフレームユニットで俺達は思いっ切りハッスルしていた。
ちなみに模擬戦は冬夜以外とはほぼ全勝である。
ちなみに開発された初期型量産機であるFG-09はそのまんま「騎士<シュヴァリエ>」と名付けられた。
そしてシュミレーターから出てすぐ
「イッセー!わらわもはようお嫁にしてほしいのだ!結婚しよう!」
「おおう!?」
スゥがそう言いながら勢い良く俺にダイブしてきた。
その目にはどこか焦りが見えていた。
ああ、そういえばスゥとの婚約はまだ正式に発表していなかったな。
一旦彼女を落ち着かせて話を聞く。
後スゥに変な事吹き込んだ馬鹿はお仕置きだな。
「実はのう…」
「スゥシィ様に縁談が持ち掛けられているのです」7
ライムさんがそう彼女の代わりに説明する。
「わらわはイッセー以外と結婚する気などないぞ!お断りじゃ!」
「…どうしてそんな急に?…それで相手は何処のどいつですか?!」
無論俺も愛する人を何処の誰だか分からない馬の骨野郎に渡す気はない。
「リーニエ王国の第一王子でありますザブン・リフ・リーニエ殿下です」
リーニエ王国?確かブリュンヒルドからは海を渡って北西にある国か。
ブリュンヒルドは未だ交易を結んではいないが他の西方諸国とは交易が盛んな国ではある。
「イッセー様とのご関係もまだ伝えられていない上、侯爵様も国益の事がありますからすぐに突き返す事が出来ずに悩んでいます。
只…」
「只?」
「このザブン殿下に関してですがほとんどが悪い噂しかありません。
エスピオン部隊の情報網によればリーニエの貴族子女やメイドが何人も彼に手籠めにされたとか。
咎めた護衛を地方に飛ばしたりととにかく我儘放題らしいです。
その為彼が三十を過ぎた今でも王位を継げていないとの事」
「はあ!?」
いくらなんでも限度というものを知れよその馬鹿王子は!
「なんでもリーニエとベルファストで行われた親善パーティーでスゥ様を見初められたとか」
「こんな事ならパーティーなんぞ行かなきゃよかった…」
スゥは暗い表情になってしまう。
「分かった。
一度そのリーニエの馬鹿王子と対話する必要がありそうだ」
「そう言ってくれると思っておったぞ!」
そう思い立った俺は即座に行動を起こす。
まずは侯爵様にも話をつけに行った。
「そうか、遂にスゥとの結婚も決心してくれたかイッセー殿!」
「はい、そんな明らかに王に相応しくない馬鹿に俺が愛した人をとられたくありませんから!」
俺の決意を聞いて侯爵様もようやく縁談を断る事が出来ると喜んでいた。
そして、リーニエからの使者がベルファストにやってくる日
「此度の縁談、誠に申し訳無いのだが丁重にお断りさせて頂きたいのだ」
侯爵様から話がいっていた国王様が断りの申し出を入れる。
「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?…」
「実は前々から姪の婚約相手は決まっておってな」
「失礼ですが一体何方なんです?」
「そこにおられるブリュンヒルド公国双王の一人である一誠・ブリュンヒルド殿下とだ!」
「どうも」
「あ、貴方様がブリュンヒルド双王陛下のお一人!?…まさか此処でお会い出来るとは!神に感謝致します!」
む?…なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ?…