Side一誠
レグルス帝国の反乱鎮圧後、ベルファストは帝国との友好条約を改めて締結し両国の関係は改善されていった。
ある日の四国会談にて俺達は呼び出された
「先日は本当に世話になった。
余達を助け、クーデターを鎮圧し戦争を未然に防いでくれたイッセー殿達には感謝する!
そこで主達に何か礼をしたいのだが望みはあるかな?」
「特に…」
「本当に偶然の事でしたしね」
レグルス皇帝陛下がそう言ってきたが特に考えていなかった俺達はそう答える。
「はっはは!相変わらずだなイッセー殿達は。
そう言うと思って我々が話し合った結果二人には両国から領地を分割譲渡することとなった」
「へ?…」
トリス国王も笑ってそう言ってきた。ってはい今なんて?
「ちょ、どうしてそんな話になったんです!?」
冬夜が驚く。
「だから礼だと申しておるだろう。
二人には両国の境目にある土地をやると言っておるのだ。
そこで新しい国家を樹立し治めても良いという事だ」
それを聞いて俺は国王様達の狙いを察する。
抜け目ないなこの人達は。
「ああ成程そういう魂胆ですか…」
「どういう事だイッセー?」
「つまりは危険地帯である境目を交易路として確保したいから他の国としてはなんとか安全にしてほしい。
その変わりに今回のお礼も兼ねてその土地を俺達の領土として扱っても良いとの事だ」
話についていけてない冬夜にも分かるように説明した。
「後ぶっちゃけた話をすると冬夜さん達の力のせいでもあると思いますね」
「え、なんで!?」
「あんまりベルファストやレグルスに肩入れしているように思われるから他国の不満を失くし対等にする為だろうな」
「な、成程…」
そこにユミナが補足してくれるがそれでもあまり理解していない冬夜だったが俺は追加説明するとようやく納得する。
「察しが良いなイッセー殿は。
とにかくそういう事だ。
勿論後ろ盾として両国がなる事を約束しよう。
他の同盟国も賛成してくれる筈だ」
「わ、分かりましたよ!…なればいいんでしょうなれば!」
「そう言ってくれると思っていたよ」
先回りされて退路を断たれた冬夜も渋々了承するのだった。
「でも国を作るといっても僕達は…」
「ふむそれもそうだな…ここから更に土地を分割するって訳にもいかないしな…それならばいっその事二人一緒に国の王に即位するというのはどうだ?
前代未聞ではあるが」
「双王政の国家という訳ですか」
「良い考えですね!」
国王様達の考えに皆が賛成する。
確かに二人の王というのも国としても大分動きやすさが違ってくるしな。
「随分乗り気で御座いますねイッセー様」
「前世で魔王やっていたから自然と分かるのさ」
「ま、魔王ですとイッセー殿が!?
一体どういう事ですかな?」
「「あ…」」
俺の呟きに事情を知らない王様達は驚く。
うっかり暴露してしまったな。
だがいずれ話すつもりだったので構わないか。
王様達にも転生以外の事を包み隠さずに話した。
「前世の恋人か…普通ならばとても信じられない事ではあるがイッセー殿の力の事もあるし信頼性もあるな」
「はい、もしも彼女が他の国の奴隷として捕まっているなら少しでも情報が欲しい。
ですから俺も新国家樹立の話を喜んでお受けします!」
「してその国家の名は?」
「ブリュンヒルド公国かな」
「それって冬夜さんの武器のですよね?」
「うん、元は戦女神からとった名前なんだけどね」
「ならば俺も今を以て一誠・ブリュンヒルドと改名する!」
「イッセー!?」
それを聞いて思わず魔王キャラが出た俺に皆驚いていた。
なんだよう…。
会談後、その日の内にユフィナ達との婚約発表と同時にブリュンヒルド公国の樹立も発表され俺達は博士に解析され作られた簡易版スマホを配って回った。
皆のおかげもあり数週間の内に国として機能するようにもなったのだった。