EPⅨⅩⅧ「京都の大決戦!PARTⅠ」
Side信
「ふう…」
「信、食べないと体に悪い」
「いただくよ」
学園の京都への修学旅行の日がやってきた。
だが王達はおらず俺と桜の二人だけで他のクラスの皆と一緒に修学旅行へと行く事になっていた。
王達はFGの最終調整や何やらで多忙らしく最低でも京都に来るのは最終日に食い込むかもしれないらしい。
何事も起きなければ良いのだが…そんな些細な願いは儚くもなくなる。
途中でどうやら王の元弟が何やら問題を起こしたみたいだが俺達には全く以て関係無いので割愛する。
それよりも…
「頼む!唐突な事だとは承知しておるのじゃがどうか攫われてしまった童の母上を救ってくれはしないだろうか?」
「良いよ…」
桜が困っている様子だと狐耳の少女を拾ってきた。
桜が俺の力について話した事を聞いて来たようだ。
王達が不在の中で正直どこまでやれるのかは不安だったが俺は少女、八坂 九重ちゃんのお願いを聞き届ける事にした。
少し時は進み…
「く、糞っ!…」
「誰がかかったのかと思えば歴代最弱の赤龍帝か…噂の魔王勇者や上級悪魔共は現れないか…」
「何やってんだアイツ?…」
何故か九重ちゃんの母親が攫われたであろう地点に王の元弟がボロボロで倒れていた。
彼の事は放っておいて俺は桜達を離れさせてから誘拐犯であろう者達の前に出た。
「この不届き者!童の母を返せ!」
「ああ、これはこれは八坂嬢の娘さんか…我々の実験に付き合ってもらわねばならないのでね…それが済み次第お返ししよう」
「実験て何をする気だお前達?」
「なんだお前は?」
青黒髪の男は悪びれることもなく良からぬ事を仕出かそうとしている事を告げる。
「俺は良き王の片腕…さ!」
「!」
伝装しながら男に突っ込む。
だがもう一人の大柄な男に阻まれて吹き飛ばされてしまう。
「おー、人間にしては素早いな…だけど我々英雄派の敵ではないね」
「くっ!?…」
「お、お客人!?…」
やはり弱体化している今の俺の力では及ばないのか?…ごめん…我が王…母さん、父さん、咲奈…桜…。
「とっとと終わらせてやるぜえ!」
「信!?…」
大男の鉄拳が迫る。
俺は目を閉じそうになっていた。
その時だった。
誰も予想し得なかった想定外の出来事が起きたのは
「うおらあああー!」
ガギン!
「「!?」」
「やれやれ、音六が助けを呼ぶ声が聴こえてきたっていうから久し振りにゲートを起動してもらってみたのだが…こりゃあ一体どういう状況なんだ?」
「明らかに物騒な得物持ってそこの幼い少女達を追い詰めてる彼方さんが敵だろう」
「だろうな」
「あんな大人数でよってたかってだなんて…全く恥ずかしいとは思わないのかしら…」
突如、俺と襲撃者の間に出現したワームホールから青年達が現れた事によってこの戦いの行方は神のみぞ知るものとなっていた。