作Aが思いつきで書いたものです。続編を書く予定は一切ありませんが悪しからず。
この日、1年1組ではクラス代表を決める会議が開かれていた。
「手前らは黙って座っているだけなのか!」
教壇に立つ織斑千冬は、痺れを切らし怒鳴る。けれど、それに萎縮しているのか一向に立候補する者は現れない。
「出せッてんだよこの野郎!自薦・他薦は問わんぞ!」
痺れを切らした千冬は、生徒に向けて更に檄を飛ばす。
「はい!織斑君を推薦します!」
「私もそれが良いと思います!」
「んじゃ、私も織斑君で!」
すると、次々と織斑一夏がよいという意見が出た。確かに他人になすりつけるのは楽だ。
「おい、待てや!」
しかし、当の本人はその限りではない。
「手前、一体誰の許しを得て推薦してんだこの野郎!」
怒号がクラス中に響き渡る。
「そうですわ!納得がいきません!」
そして、それに賛同する者もいた。もっとも、彼女の場合はもっと違う理由がある。
「あなた方は何をやっているのかお分かりでして!ここ、誰の学園だと思ってらっしゃるのか・・・。」
セシリア・オルコットは、まるでIS学園を自分が仕切っているかのような口調で語り始める。
「何だこいつ。」
急に割り込まれて、一夏は少し目を丸くする。
「腕っぷしで言えば、この私以外には適任はないでしょう!珍しいと言うだけでクラス代表を選ぶ?私が、こんな極東の島にまで出てきているのです。もっと私を敬うべきではないですか?」
急に侮辱されたことが、推薦されたこととのストレスと合わさり一夏の怒りが頂点に達した。
「ガタガタウルセえんだよ、馬鹿野郎!ぶち殺すぞ、ゴラァ!」
「あなた、一体誰に向かって喋ってるのですか!」
「ふざけんなこの野郎!」
しかし、一夏の怒号にセシリアは一歩も引かず応戦する。
「調子に乗ってますと容赦しなくてよ!」
「だからやってみろつってんだよ、この野郎!」
その瞬間、セシリアはスッと一歩引いてニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「そうでして。では、決闘が手っ取り早いですわ!」
「決闘?(教室では狭すぎて)決闘できないよ。」
相手に少しばかり流れを持っていかれた。一夏は、トボけた振りをしてその流れを取り戻そうと試みる。
「もっと血が見たいのでして?」
「うるせえ!こっちが決めんるんじゃボケェ!」
「な!ただじゃおきませんわ!ぶち殺して差し上げましてよ!」
セシリアは、プライドの化身といって差し支えない。煽られれば、本能で反応してしまうのだ。
「殺れよこの野郎!おもちゃかそれ!」
セシリアが耳にぶら下げる、待機状態のブルーティアーズを一夏は指差して更なる挑発を行う。
「殺って差し上げますから道具持って来なさい、東洋の猿!」
「だから(まずはISで)殺ってみろってんだ!」
「やめてください!」
「ああ?!・・・。」
しかし、罵り合いは山田先生の一声により妨げられ、急速に終焉を迎えたのだった。
それから一週間後。なんとか抗争に発展するような事態だけは避け続け、決闘当日になった。
「なあ、山田先生よ。」
しかし、まだ問題だらけのままであった
「どうしました?」
「俺のISは?」
そう、ISが届いていないのだ。いつもの筋肉の方は必要としない・・・いや、寧ろ邪魔なぐらいなのだが、この一夏はヤクザである。流石に素手でISをぶちのめすほど強くはない。
「え、えっと・・・。」
「出せッてんだこの野郎!これじゃ(決闘が)できねえじゃねえか!」
常に強気でいるが、むざむざ命を捨てるようなことはしない。
「織斑!そこまでだ。ISが来たぞ。」
そこへ織斑先生がやって来て、そう一夏に伝えた。
「あぁ。わかった。」
ゴンッという鈍い音がした後、扉が開いてISが現れる。それは白一色の、飾り気のないというよりは無地といった方が正しいような白いISがそこにいた。
一夏は特に迷うこともなくそれに乗り込む。
すぐにISが一夏の体を包み込んだ。
「乗ったか?」
「あぁ。」
「乗ったらさっさと行け!」
「行ってやるよこの野郎。」
「だから行けっつてんだ!」
千冬は回し蹴りを噛まし、カタパルトの代わり一夏をグラウンドへ蹴り出す。
「あら、ようやくお出ましでして?」
それが丁度、待ちくたびれたセシリアがピットに戻ろうとしたタイミングと重なってしまう。
「手前から吹っ掛けておいて、今更逃げるのかよ。」
「あなたがトロイからですわ!どういう教育なさっているのか・・・。」
「ウルセぇんだよ馬鹿野郎!」
「タダじゃおきませんわ、ぶち殺して差し上げます!」
その瞬間、開始の合図が鳴った。
「汚えお嬢様だな?」
セシリアが奇襲気味に放った1発目を避けつつ、一夏は武器の確認に入る。
「調子に乗ってると、容赦しなくてよ!」
機動力を生かし距離を取った一夏だったが、武器が刀一本であることに気付く。
〈鉄砲玉になれってのか?〉
「さっさと(武器を)出しては如何でして?」
「お前こそ出せッてんだこの野郎!」
しかし、どうやらこのレンジはセシリアの得意とするレンジだったようで、一夏はレーザーの雨に晒される。
それでも、被弾は最小限に留めて反撃の機会を窺う。
「(威勢が悪いことに)文句あるんかい。」
「ありますわ、チンピラ風情が!」
「誰がチンピラじゃ。」
セシリアは、一夏の地雷を踏み抜いてしまった。一夏は、隠し持っていた拳銃でブルーティアーズのビットの一つを撃ち落とす。
「やったろうやないかい。」
破裂音が連続して三度響いた。そして、ものの見事にビットを三機破壊した」
「な!チンピラ一人やれないなんて・・・とんだ欠陥武器を寄越したものですわ。」
セシリアは、操縦の未熟さを棚に上げて人に責任をなすりつけようとする。
けれど、それが致命的な思考であった。
彼女が気付いたときには、一夏は彼女の真後ろで銃を突きつけていた
「っく、降参ですわ。」
「悪いと思ってるのか?」
「えぇ、あなたがね!」
バッと、セシリアの腰部から棒が二本せり上がり、ミサイルを発射した。堪らず退散する一夏。
「あなた、誰に向かって口を利いていらっしゃるのかしら?」
「何だお前、調子に乗りやがって。」
「あなたはいつもトロイのですわ!」
「調子乗ってると容赦しねえぞ!」
一夏は逃げるのを辞め、刀でマイクロミサイル2発を切り落とした。
そして、瞬時加速で以てセシリア肉薄。体当たりするようにぶつかると、そのまま壁まで押し込む。
「い、言うとおりにしますので。」
喧嘩を売ってすいませんでしたと、セシリア。
「悪いと思ってるなら、指詰めろ。」
一夏の気迫に気圧されてセシリアは機体のカラーよりも青くなる。
「ゆ、許してくださいませんか?」
「かっこつけてんじゃねえ!」
一夏が、刃物を振り下ろす。
「ア゛ァァァァ・・・あれ?」
しかし、痛みが来ない。セシリアが恐る恐る目を開けると・・・。
「な、これは何でして!?」
無数の折れた刃物が、グラウンド内に散乱していた。
〈絶対防御のお陰ですわ!〉
以降、セシリアは指の恩としてブルーティアーズを大切に扱ったのであった。
偶には違うネタを使うのもいいもんだよなあ。だが、コマンドーの語録ほど扱いやすいものはねえ。今回、それが良く分かった。