今度は必ず助けるために……
希望はすでにこの手にある
さあ、反逆を始めよう――――
「ん? ここは……? 俺は確か、デュランダルを……」
眼が、覚めた。
状況を確認するとどうやら、また病院らしい。
日付けを見てみると……
……
把握した、響が入院してから、2週間。デュランダル移送作戦から3日がたったようだ。デュランダルを放ち意識を失ってから、三日三晩ずっと寝ていたらしい。
電話で、二課に問い合わせ、報告ともろもろの確認をすると、響も完全にではないが回復し退院、今では日常生活を送れるようになっている事を知った。もちろん、激しい運動をすると傷が開くということは言われているようだが……
それにしても、回復力スゲェな……流石、原作主人公。結局、お見舞いに行けなかったな……
と、まあ、くよくよしてはいられない。
俺は俺のやるべきことをしよう。
病院から体が動かせないので、ここでとりあえずフィーネの目的を整理しようと思う。
一つ、多分だが、融合症例である俺の捕獲。
二つ、クリスを使って何かをさせたい……これは多分ソロモンの杖の起動だろうと思う。
根拠は、フィーネが実験だといったこと。出し入れしたり起動の確認をしていたことから察すると、まだ、起動していなかったということじゃないのかと結論づける。この1・2週間何も音沙汰が無かったのは、多分、これの起動のためクリスを使っていたからだろう。
そして、三つ……月を破壊する砲台、カ・ディンギルの起動。これは、二課に続く、エレベーターで確認できたことだが、完成していると言ってもいい。原作通り、カ・ディンギルは二課の施設の一部として建築されている。
……もしかして、あれ? 揃ってる?
融合症例の俺のデータは確か戦いを見たり、検査するだけで十分揃うものだったはずだ。つまり、必ずしも俺を捕縛する必要はない。ソロモンの杖の起動とカ・ディンギル……これは見た通り出来ている。
データの蓄積具合次第で、もうフィーネは行動できるんじゃないか、と思った瞬間、電話が鳴り響く。
まさか……
「もしもし……」
『おー、元気かー?』
「FG崎さん!?」
電話の主は兄弟子からだった。
『今日、お前が言っていた子の親が捕らわれていると思われる場所の見当がついた。今、探っている途中だ、っと……いたぞ、ビンゴだ』
「って、あんたもう潜入してんですか!?」
『ん、今回は確認のみだ。なにも危険なことはねーよ。閉じ込められてるところも、倉庫だ。周りに米国の兵隊がいるがな』
確認のみか、ならばよかった。それにしても倉庫か……
「ありがとうございます!! これで……」
俺の言う言葉を遮り、FG崎さんは話を続ける。
『ああ、だがまだ助けられねーな。6時間ごとに交代が行われるみたいでな。一番手薄になるのは……明日の午後4時だな』
「それでも、ここまで来てくれれば……信じてますよ、兄弟子」
『おう、まかせとけ。それじゃ、切るぞ?』
「はい!!」
電話切った俺は、思わずガッツポーズをしてしまう。
しかし、いつまでも浮かれていられない。
「さて、じゃあ、俺に出来る事をやりますか!!」
パンッと、俺は自身の頬を叩くと、俺は頭の中でフィーネを追い詰める計画を立て始めた。
……これはバクチになるだろうけど、もうこれしかない。
俺はとあるところに電話をかけ始めた。
検査のため一日たった後、俺は病院を退院した。
見送りに来てくれた俺の担当医が、ため息を吐く。
「いやいや、それにしても君、よく病院に来るね……」
「あははは……すいません。ですが、今回もお世話になりました!」
俺はお世話になった病院の医者である、カエル顔の医者に頭を下げる。
「また戻ってこないことを祈っているよ」と、医者は最後に言い、俺はお礼を言いつつ、その場を後にしようとした。
その時、俺のポケットのスマホが音を立てて震える。
メールだ。宛名を確認し、俺は覚悟を決めた。
――――そう、メールはクリスからのデートのお誘いだった。
「クリス……」
「あたしは、出来ればもう会いたくなかったんだけどな……」
俺はクリスと廃ビルの一室で対峙する。
「そんなこと言うなよ……俺は会いたくて仕方なかったぞ?」
「は、はぁ!? な、何言ってんだよ!!」
「だって、俺……クリスのこと好きだし」
そう、大切な仲間として。
俺は、パーティーを計画してくれてたときいてすごくうれしかったのだ。俺はそうやって、無条件に誰かに歓迎されたようなことはあまりなかったし、仲間なんて持ったことは無かった。いつも、一人か兄弟子と一緒だったかだ。だからこそ、そうやって、これから仲間だとパーティーを開いてもらって、俺は決めた。
仲間は必ず守ると。
そう俺は決意と共に言ったのだが、クリスは何故か赤くなり、言葉を詰まらせながら言う。
「はぁぁぁぁぁ!??!!? ばっ、ばっ、ばばばバカやろぉ……あたしらはまだあったばっかりだろうが!! 大体、お前には響の奴がっ!!」
「今、あいつは関係ないっ!! あったばっかりでも関係ないだろう!! 好きだっていう気持ちに、会ってすぐとか関係無いだろう!! お前を好きで守りたいって思って、何が悪いんだよ!!」
仲間として当然の事だ。
誓ったのだ。この魂に。
仲間が泣いていたら、すぐに手を差し伸べれる奴になると。
「だから、困っているクリスを見逃せないし、見逃さない!!」
「っつ!! う、う、うるさい!! もう喋るな!! あたしは言ったはずだぞ、次は殺してでもお前を連れていくって!!」
「黙って連れていかれるわけにはいかないんだよ!! 粘らせて貰うぞ!! あとちょっとなんだ!!」
そう互いに言い合って、ギアを纏う。両者は、どちらともなく同時に地面を蹴って、激突した。
「始まったわね……」
闇の中に一人、女が居た。闇の中にモニターの光だけが光っている。
女性が見るモニターの中では少女と青年、二人の男女が戦闘を行っている。
少女の方は、ガン=カタ……
青年の方は、槍と訳の分からないBUZYUTU、もとい武術を交えて戦っている。
最初は青年の方が押していたのだが、今では少女に分がある。
理由は簡単だ。青年は少女を傷つけない様に戦っているのに対し、少女は殺す気で戦っている。しかも、槍が大振りできないようなビルの部屋の中だ。
小刻みに振るってくる槍を捌き、胴に蹴りの一撃を加える少女。
青年は防戦一方だ。槍を盾に使ったりしているが限界は近そうだ。
そして、限界は来た
パンッと、少女が放った銃弾が青年を穿つ。腹部に徐々に血のシミが広がっていく。
そして、倒れ伏した……
「まあ、こんなものか……ん?」
女はあっさりとした幕切れに、少しがっかりしような表情だったが、モニターを見て気づく。
少女が、こちらに向かって何か言っている。
女は、モニターを切り替えると音声を拾う。
「なに?」
『約束だ、あんたの望み通りこいつを倒した。あんたがこっちに取りに来てくれ。それで、あたしのパパとママを返してくれッ!!』
女は少し考えた後、ため息をつきその言葉に応じる。
「わかったわ……最後くらい、貴女に姿を見せてあげましょうか」
そう言うと、女はすべて脱いでいた服を着直し、部屋の扉を開けるのだった。
あたしは遊策を撃ち、ギアを解除した後、遊策の傷口をタオルで抑え、手と足を縛った。
あたしの予測通り、数分であたしを操っていた者……フィーネが現れる。
「あんたの事だ。すぐ近くで見てると思ってた」
「あら、中々鋭いじゃない?」
そう言って軽口を叩いて来るフィーネを殴り倒してしまいたくなるが、ぐっとこらえる。
「約束だ。こいつは縛ってある。さっさと連れてけ」
「そうね……」
あたしの後ろにいる遊策に向かって歩いていくフィーネ。
……今だ!!
「な、クリス、貴女何を――――」
「へっ!!」
あたしは捕縛用の手錠をフィーネに対してかける。
「やっと、捕まえた!!」
「貴方、裏切ったの!?」
「っは、誰もあんたの手先になった覚えはねぇ!!」
「っく、なぜ今になって……」
「それは、俺から説明しよう」
そう声が聞こえた――――
俺は、体を起こすと言う。
「それは、俺から説明しよう」
フィーネは俺を見ると、驚愕に目を見開く。
「な!? 貴方、なぜ!? ……そう言うことね」
驚きは一瞬だった。すぐに理解し、納得いったように言う。
「全部、芝居だったのね」
「そう、一芝居うたせてもらったのさ! ま、少し痛かったが、な?」
そう言って、種明かしとして鉄板を腹から出す。鉄板は銃弾によって貫通し、腹に傷があったが見た目に反し軽傷だ。
それを見たフィーネは、俺とクリスに問う。
「全く危険な芝居ね……一体いつ打ち合わせたの? 見たて聞いた限り、そんなことをする暇はなかったはずだし、人質もいるのよ?」
「俺のギアに、スマホを取り付けたのさ」
槍を見せ、スマホが取り付けてあることを見せる。
ギアと言うものはかなり使用者の自由が利くみたいだな。スマホを取り付けれるようにイメージして武装を出したら、本当にできたのだから驚きだ。
「こうやって、袖口にあるマイクで言葉を……」
袖口を口元にやり、ぼそっと、何かを呟く。すると――――
『喋れば、こうやってスマホに表示されるって訳だ』
スマホの画面に俺の言葉の続きが表示された。
「なるほどね、そこで自身を撃つようにいって、私を誘導するための芝居をうってもらった、と……」
そう、あの時……
『俺を撃ってくれ。フィーネを呼び出して、捕まえる。一芝居うつぞ』
と、書かれた画面と同時にあるものと一緒に見せた。
その後はアドリブで、クリスが全部やってくれたっていう訳だ。
「そーいうことぉ!!」
俺はフィーネに向かってベロを出して、両手の中指を立てて突き上げる。俗に言う、ファ○クサインでフィーネを煽る。
「そう、なら人質の命は……いらないわね!!」
イラッと来たフィーネは電話をかけようとしたが……
「もちろん、助けたさ」
俺に止められる。俺はスマホを槍から取り外し、画面を操作しある動画を、ミュートを解除し見せる。
そこには……
FG崎さんと仲間二人が、クリスの両親と一緒に映っているところだった。
『救出完了ぉぉぉぉぉぉ!!!! あーい、あーいあいあーい!!』
三人は手を叩き合い、学生のようなノリではしゃぎ合う。
『イッテイーヨ! イッテイーヨ!』
『カラフル弾幕流すのやめぇ!!』
メガネをかけたFG崎さんの仲間の男性は、PCをいじって弾幕を動画につけているようだった。それに大阪弁の女性がツッコミを入れる。
FG崎さんは、口をとがらせると、隣の男性と肩を組みつついう。
『音声ねーんだからしょーがねーだろ? なー、スイッチ』
『全く、実に君は馬鹿だな(わさび声)』
『おーう!? ケンカか? ケンカうってるんか? よし来た、買ったるぞボケぇ!! どこや? どこをそぎ落として欲しいんやぁ!?』
スイッチと呼ばれたメガネのPCの男性を、大阪弁の女性が締め上げる。
ひとしきり、コントのようなやり取りが終わり、最後として三人が集まり言葉をそれぞれ言う。
『まあ、音声が後から聞けるようにはした。最後に一言いうなら今だぞ?』
『流石、スイッチィ!! 頑張れよ、遊策!! こっちは助けた!!』
『遊策!! ガツンとかましたれや!!』
そこで動画が切れた。
全く、俺へのエールまで入れて来るなんてさ……ありがとうございます、お三方。
エールを貰ったんだ。これは、負けられないな!!
俺はスマホをポケットにしまい込み、話を切り出す。
「さて、人質はこれでいなくなった……ついでに、ここで犯人当てと行きましょうか!!」
「犯人?」
クリスがそう呟く。
俺は「そう」と言って、続ける。
「この事件には二課のある人物が深くかかわっているのさ。ねぇ――――」
一旦ため、俺は告げる。この一連の事件の犯人の名を。
「櫻井了子さん? フィーネ、それはあんたの今の名だろう?」
……(その日の内の連続投稿を)捨ててしまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!(スマ○ルワールドを破りながら)
申し訳ありません!!
色々遅れてしまい、投稿できませんでした!!
その代わり、今日もう1話更新したいと思ってますので、もうしばらくお待ちください……
本当に申し訳ありませんでした……
それでは、また本日まで!!
ぅぅ、首が痛い……