「先輩が私を許してくれたから、それでも良いと言ってくれたから」
「私、ズルをして先輩を地球に連れて来ちゃいました」
自らと一体となったムーンセルの力を使い、桜は奇跡を起こした。
あのまま消え去るはずだった私を、地球に連れて来てくれた。
だが、私のためにここまでしてくれるとは。
正直、桜の執念を甘くみていた。
そうだ、彼女はBBと同一人物なのだ。
私一人を守るために、全人類を滅ぼしかねない!
「これからはずっと一緒ですよ、セ・ン・パ・イ♪」
ーーーああ、もうどうでもいいや。
私はこの娘の笑顔を守りたかった。
それに桜と一緒に居られるのは私も嬉しい。
もう、それで良いのだ。
「はい。私もとっても嬉しいです」
「だって私は、あなたのことがーーー」
「ほう、マスターのことが?」
「はい、先輩のことがーーーーーーって、え?」
…………。
ーーーーーーーーー!?!?!?
「よう、また会ったな!」
ローラン!?
「ええええええええ!?」
「な、なんであなたがここにいるんですか!?」
そうだ、あの時消滅したはずじゃ!?
「ん?まあ、確かに消滅するところだったし、そのまま消えようとも思ってたんだ」
「でも女の二人旅なんて危険だろ?世界には善人ばかりじゃない、何してくるかわからない悪人だっているんだ」
「そう考えるうちに心配になってきてな」
「だから、来ちゃった♪」
「可愛く言ってもダメです!」
「それに、あなた以上の危険人物なんてそうそう居ませんよ!」
「いやいやいや、キアラとかいるだろ」
「そのキアラにあんな形で負けを認めさせたのは何処の誰ですか!?」
「でもキアラの根源に居たのは桜とBBだろ?」
「つまり、俺の露出に感銘を受けたのはキアラの根源に居る二人だということにーーーーーー」
「なりません!!」
「私達は先輩を守るために必死にキアラに抗っていただけです!」
「ええー、本当か〜?」
「さっきだってマスターが目覚めるまで、顔を赤くしながらマスターの裸をずっとガン見してたじゃないか」
「きゃあああああああああああ!!!」
「その時から居たんですか!?」
「ていうか、何で言っちゃうんですか!?」
さ、桜、そんなことしてたのか……。
「ご、ごめんなさいごめんなさい!」
いや、別に構わないが……。
そういえば、今も裸だったな……。
「ああ、そうでした!バーサーカーさんは見ちゃダメです!」
「先輩、早くこれを着てください!」
いや、良いんだ桜。
裸とは原初の姿、人は誰しもが裸で生まれてくる。
裸とは一切の無駄を排した、人の本来あるべき姿なんだ。
ラニも言っていた。
ベスト・ナチュラル・コンディションと。
今までは露出を見ているだけだったが、自分で露出をしてみるのもなかなか良いかもしれない。
「マスター、露出に理解を示してくれるのは嬉しいが、それは駄目だ!」
「女の子を露出に目覚めさせるとか、俺の罪悪感が半端無いからやめてくれ!」
「そ、そうです!先輩も女の子なんですから慎みを持ってください!」
「露出ならバーサーカーさんがいくらでもやりますから!なんなら、私も頑張りますからー!!」
冗談冗談。ちょっと二人を揶揄っただけだ。
「いや、目がマジだったぞ……」
「バーサーカーさんの精神体に浸入した時から大分怪しかったですからね……」
ああ、こんなやり取りをしているだけで、何だか幸せが込み上げてくる。
あるべき場所に帰ってきた、そんな感覚すら覚える。
桜と保健室で過ごした何でもない当たり前の、穏やかな日々。
ローランと聖杯戦争で過ごした壮絶で鮮烈な、刺激に溢れていた日々。
これらの日常が、私にとって何より大切だった。
聖杯は手に入らなかった。
自分の記憶を取り戻すことも出来なかった。
だが、私が何よりも望んでいたものはここにある。
この二人と共に居られるのなら私は何だってやってやる。
どんな困難だって乗り越えていける。
「で、これからどうする?マスター」
「先輩のことだから、どうせじっとしていられないんでしょう?」
ああ、桜の言う通りだ。
このまま三人で平和に暮らすことも出来るが、私はじっとしていられない。
まだ見ぬ明日へ、未来に進みたい。
私の体はそうできているらしい。
「ああ、行こうぜマスター!」
「今度は私も一緒にーーー!」
ああ、行こう。
遠くへ、ずっと遠くへ行こう!
三人一緒なら何処までも行ける気がした。
そう、あの月に届くぐらいにだってーーーーーー
「……でもひとつ言わせてください」
「やっぱり納得いきませーん!!」
「先輩と二人きりの筈だったのに……」
「悲しいです……なんで私、幸せになれないんでしょうね……」
fin
桜大勝利ENDを潰してしまった……!
でも映画でheaven's feelもやるし、
桜大勝利ENDはそっちで補完できるね!
やりましたね、桜!