月のバーサーカー ローラン   作:チーバ君

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ローランVS殺生院キアラ、開幕です。


CCC編最終話『答えは得た』

某カルデアにて

 

「どうした牛女、やけに静かではないか。いつもの淫蕩ぶりはどうした?まさか今更キャラ変えを狙っているのか?」

「だが無駄だ。無駄無駄無駄無駄無駄!」

「貴様のような女など例えどんなキャラを演じたとしても、滲み出るその淫蕩さと醜悪さ隠しきれんだろうよ!」

 

「アンデルセン、そんな滅多なことを言うものではありません。私でも傷つくことがあるのですよ?」

「ただ、少し理由があって、落ち着きを持とうと思っただけです」

 

「フン、貴様がいくら傷つこうとも知ったことか。むしろ傷付け、傷だらけになってしまえ」

「で、まさか本当にキャラ替えを狙っているというわけではあるまい?さあ、どんな奇天烈な理由なのだ?言ってみるがいい、全て聞き流してやる」

 

「暫く、エッチな言動は自粛しようかと」

 

「フハハハハハハ!エイプリルフールは今日ではないぞ?久しぶりに笑った、笑った!」

「で?本当のところは何なのだ?」

 

「いえ、ですから本当に。エッチな言動は暫く自粛しようかと」

 

「ーーーな、なんだと!?」

 

「ゼパルが見せてくれた数多の平行宇宙の私の可能性、その一つ」

「その世界で私が『彼』から受け取った言葉」

「それが、私の中に深く、深く突き刺さっているのですーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムーンセル中枢 殺生院天上楽土

 

「強いて言えば、愛のためです」

「私は人類全てを使って気持ち良くなりたいのです」

「そのために私は、神になる」

 

殺生院キアラ。

彼女が桜の人としての感情を解放し、BBを暴走させてムーセルを乗っ取らせた。

それは全て彼女自身の欲望、ただ自分が気持ち良くなるためだけの理由によるものだった。

彼女が全ての黒幕だった。

 

 

 

私は世界の広さを知らなかった。

ローランの露出なんて、本当にかわいいものだったんだ。

ごめん、ローラン、いつも変態だとか罵って。

 

「いや、こっちこそごめん……」

「俺は、脱ぐ度に周りにこんな思いをさせていたのか……」

「俺、もう脱ぐの止めようかな……」

 

……いや、ちょっとくらい、たまにだったら脱いでもイイんじゃないか?

 

「いや、でも……」

 

ローランの露出で救われる人も居るはずだ!

脱ぐという行為が犯罪でも、脱ぎたいという思いは、間違いなんかじゃないんだから!

 

「ーーーーーーああ、ああ!その通りだ!」

 

「俺は何を考えていたんだ。もう大丈夫だ、マスター!」

 

「遠からん者は音にも聞け、近からん者はよって見よ!シャルルマーニャ十二勇士ローラン、ここに見参!」

 

 

 

「まあ、随分と威勢が良いですわね、滾ってしまいます。」

「ーーーですが、私は随喜自在第三外法快楽天キアラ」

「あなた方に勝ち目はありません」

 

「違うな、キアラーーーお前は俺に勝てない」

「なぜなら、お前には足りないものがある」

 

言ってやれ!ローラン!

 

 

 

「お前に足りないのはオナ禁だ!」

「我慢すればするだけ気持ち良さは増すのだ!」

 

そ、そうだそうだ!

 

「際限なく快楽を求めたお前は、ひとつの性癖だけでは満足出来なくなったのだろうよ」

「もっと快楽を!もっと興奮するプレイを!」

「そしてありとあらゆる性癖に挑んだ」

「それこそがお前の過ちだ」

 

「お前はひとつの性癖に早々に見切りをつけた、諦めてしまった」

 

「だが俺は諦めなかったぞ、ただの露出をどうすればもっと愉しむことが出来るのか、それだけを追求し続けた」

「部屋に帰って来たら全裸の男がいる?ーーー違う」

「ピポグリフに乗っていたら、後ろに全裸の男が相乗りしている?ーーー違う」

「朝起きたら全裸の男がいる?ーーー違う」

「俺は生前、あらゆる知り合いを使って、あらゆるシチュエーションを試し続けたーーーーーーだが結局、極地に至ることは出来なかった」

 

「ま……周りに迷惑をかけすぎでは……?」

 

お前が言うな、指名手配犯!

ローランも大概だけどな!

 

 

「殺生院キアラ!」

「だが、俺は今になって漸く辿り着いた」

「見せてやる、俺が辿り着いた極地を!」

「刮目せよ!これこそが我が神話礼装、露出の極地、その姿を!」

「いざーーーーーー!!!」

 

 

 

▶︎いっけええええええええええ!!

 

 

 

(簡単な話だったんだ。勘違いしていた。露出ってのは極まるところなんて無いんだ。ならば、露出を磨き続けた我が生涯に意味は要らず。その生涯こそが、常に限界に挑み続ける人生が、その在り方そのものがーーーーーー!)

 

 

 

「キャストォォォォォォォォ!!!オォォォォォォォォフ!!!」

 

 

 

知らず、私は涙を流していた。

その男の生き様を目にして、涙を禁じ得なかった。

誰に何を言われようとも、どれだけ馬鹿だと罵られても、変わらず自らの在り方を貫き続ける。

それは誰にも否定することは出来ない、何よりも尊いものだった。

 

 

 

「確かに、あらゆる快楽を知り尽くしたお前は、変態のなかでも頂点に位置する者だろうよ。『快楽』を司る獣を名乗るに相応しい」

「だがな、お前は獣であって紳士ではない」

「一つの性癖を極限まで極める道を選ばなかった、半端者だ!」

 

ローランーーー彼の者は、その生き様は紛れもなくーーーーーー紳士であった!

 

 

 

「私の負け、ですわね」

 

アンデルセンが書き上げた、最強の姿であるはずのキアラは、傷一つ負っていないにも関わらず倒れ伏していた。

彼女自身が己の敗北を認めている以上、もう戦うことは出来ない。

 

 

 

ーーーーーー決着は着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て、待て待て待て待て待て待て待て!」

「なんだこの茶番は!?」

「おい牛女!なぜお前が倒れている、まだ戦ってすらいないだろう!?」

 

「アンデルセン?空気を読んでくださいませんか?」

「というか、あなたは今の私たちの戦いが理解出来なかったのですか?」

「正々堂々真っ向から戦った上で、私は負けたのです」

「これ以上私達の戦いにケチをつけないでください」

 

そうだそうだ、空気読め。

 

「なぜだ!?なぜ俺が悪いみたいな空気になっている!」

「全裸になって決着が着くだと!?おかしいにも程があるだろう!貴様らいい加減目を覚ませ!」

 

「露出の何がおかしいのです?」

「アンデルセン、あなただって私の原稿をあげた時、全裸で走り出していたではありませんか」

 

「それとこれとは話が違う!」

「いいか、とにかくーーーーーー!」

 

 

 

うるさい。

やっちゃえ、バーサーカー。

 

 

 

「聖剣、抜刀!」

「奇蹟を起こせ、デュランダル!」

 

 

 

「締め切り3秒前とみたーーー!」

「……肉体労働……断固反対」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーつまり、お前は」

 

「はい、オナ禁をしています♡」

「私にはひとつの性癖を貫き続けることなど、とてもできません」

「ですが、オナ禁ならなんとかなりそうです!」

「我慢することでより高みに達する」

「私にとっては目から鱗でございました」

「『彼』には感謝しています。『彼』のおかげで、私はさらなる快楽の境地に達することが出来るーーーーーー!」

 

 

 

「……まあ、どうせそんなことだろうとは思っていたさ」

「全く、マスターもマスターだ。契約するサーヴァントは選べとあれほどーーーーーー」

「ーーーーーーむ?何だ、廊下が騒がしいな」

 

「またお祭りでもしているのでしょうか?乱交パーティなどだったら、嬉しいのですけどーーーーーー」

 

 

 

「ーーーーーーああ、『彼』も来ていたのですね、カルデアに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあああああ!史上最悪の事態よハロウィンの私!」

「ついに出会ってはいけない二人が揃ってしまったわ、勇者の私!」

「えーん、助けてよー!子リスー!子ブター!」

「こらーーー!ローラン、服を着ろーーー!」

「シャルルマーニュ十二勇士には変態しかいないのか!?」

「あはははは、ギルも相変わらずだね」

「僕も大人になったらああなるのかなあ……ああ、嫌だ嫌だ」

「むむむ……私も芸術家として負けられないね!」

「やめてください、ダヴィンチちゃん!先輩も見てないであの二人を止めるのを手伝ってくださーーーーーー」

 

▶︎いいぞー、やれやれーーー!

「先輩!?」

 

 

 

 

 

「お前には俺と同じ匂いを感じた。だから岸波白野(マスター)を任せたがーーー。やはり、俺の目に狂いは無かった!」

 

「ふん、仮にも我の前任、なかなか分かっているではないか。良いぞ、我に挑むことを許す」

 

 

 

 

 

「いくぞーーーーーーーーー!」

「来いーーーーーーーーー!」

 

 

 

 

 

 

「「キャストオフ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は今日も挑み続ける。(脱ぎ続きける。)

 

肉体はとうに滅び、その存在が英霊として祀りあげられて尚、止まることは無い。

 

引き返す道など最早存在しない。

 

それでもーーーーーー答えは得た。

 

 

fin




取り敢えずメインとなるCCC編はこれで完結です。
今後は更新速度は落ちますが、幕間とかCCCの欠けている部分とかをちょくちょくやっていく予定です。
今後ともよろしくお願いします。

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