ハイスクールD×D ~優しいドラゴンと最高の赤龍帝~   作:マッハでゴーだ!

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第3話 白との対話と授業参観です!

 俺の前にはダーク色の強い銀髪の、俺くらいの身長の容姿が整った男がいる。

 ヴァ―リ……俺と対をなす今代の白龍皇だ。

 そして俺は学校に続く道の間にある橋で、ヴァ―リと向かい合っており、ヴァ―リは俺が始めに用意していた缶ジュースを渡していて、それを飲んでいた。

 

「……こんなものを用意していたってことは、君は俺がここにいることが分かっていたのかい?」

「まあな。俺は残念な事に白龍皇の匂いに敏感なんだ。それでだ……」

 

 俺は苦笑いをしているヴァ―リのすぐ隣の橋の手摺を背もたれのようにして、手で掴んでいるジュースのプルタブを開けた。

 

「どうしてここに来た?」

「……今一度、今代の赤龍帝。つまり俺のライバルである君の姿を確かめに来たんだ。あの時はよくわからなかったからね―――でも今の君はどうやらあの時とは状態が違うみたいだね」

「……仲間に支えられてるからな」

 

 俺は昨日のことを思い出して切にそう思った。

 …・・・皆の優しさに触れて俺は今、こいつと普通に話せているからな。

 

「仲間、か。……それはともかく、俺がここに来たのはもう一つ、理由がある」

「理由?」

 

 俺はヴァ―リの言葉をオウム返しすると、ヴァ―リは間髪いれず話し続けた。

 

「いや、正確には俺じゃないさ……アルビオン、君が兵藤一誠に用があるんだろう?」

『……そうだな。礼を言う、ヴァーリ』

 

 ……するとヴァーリの手の甲から、普段の俺と同じように宝玉が現れて途端にアルビオンの声が聞こえた。

 アルビオンが俺に用―――そういうことか。

 

『ヴァーリ…・・・出来れば今からの話は君には聞いてほしくない』

「……まあいい。気になるが、君がそう言うなら尊重しよう」

 

 するとヴァ―リの耳元に黒い魔力の塊が出現した……多分、自分の聴覚を遮断するためのものか。

 そしてアルビオンがわざわざヴァ―リに席を外させたということで、俺の予想が的中した。

 

『さて……ここは久しぶりと言った方がいいか? ―――前赤龍帝』

「……やっぱり気付いていたんだな、アルビオン」

 

 俺は予感が的中したことに特に驚くことなく、そう答えた。

 なんとなくアルビオンが俺のことに気付いているのは分かっていたけど、まさかこいつの方から俺に話しかけてくるのには驚いたな。

 

「俺が前赤龍帝の魂のまま転生したってことは理解はしてんだろ? だったら俺に何の用があるんだ?」

『……いや、私も以前の終わり方は遺憾だったからな。まさかミリーシェが殺されるとは思ってもいなかった』

「…………お前、覚えているのか?」

 

 俺はアルビオンがミリーシェの名を言ったことに素直に驚いた。

 

『覚えているさ……だがここからが問題だ。お前が前赤龍帝と言うことは分かる。だがどういうことだろうな―――お前の名前、それだけが思い出せない』

『……なんだと?』

 

 すると俺の手の甲からドライグが宝玉をして現れてそう言った。

 ……俺の前の名を、思い出せない?

 

『ドライグか……言葉通りだ。貴様の戦闘スタイル、性格、あらゆることは覚えているにも関わらず名前だけは思い出せない』

「……一つだけ教えてくれ。お前の今の宿主―――ヴァ―リはミリーシェではないよな?」

『……当然だ。それは貴様が良く分かっているだろう。ヴァ―リは彼女とは全て反対だ―――そう、力以外は。それに分かっているはずだ……どう取り繕うが、ミリーシェ・アルウェルトはあの時死んだ』

 

 ズキッと、その言葉が俺の胸に突き刺さる。

 分かっていたことだ。

 だから今更、そのことで一々調子を崩して要られない。

 それに……俺の中のもやもやが一つ消えたんだ。

 

『アルビオン、まだ質問は終わってはいないぞ。貴様は覚えているのか? 貴様の主を殺した相手を』

 

 ドライグはアルビオンにそう問いかける……あの時の正体不明の黒い影のことか。

 奴を思い出すだけで俺の頭は沸騰しそうになるけど、今はそうしても無駄だからな。

 

『……分からないな。あの時、私は奴の存在すらも認識できなかった。知らぬ間に漆黒の幾数もの槍らしきものがミリーシェを突き刺し、一瞬の間に彼女の命を奪った―――いや、終わらした(・ ・ ・ ・ ・)

「『終わらした?』」

 

 俺はドライグと声を合わせてそう尋ねると、アルビオンは続ける。

 

『その通りだ、正に命が消えたと言うより、寿命が尽きたような感覚だった。話す間もなく、ただ一瞬でミリーシェは散った……。正直言えば、惜しかった。あの時、神器の中の怨念はほとんど姿を消していたのでな。あのまま行けば、全ては上手く行っていたのだが』

 

 ……少なからずアルビオンもあの時の事を悔いているようだった。

 アルビオンだって長い間、ミリーシェの中で生きていたからな……少しぐらいは情はあったんだろうか。

 

『一つだけ言っておく。今の神器の怨念は戻っているが、それでもマシな方だ。少なからず貴様とミリーシェの行為は無駄ではなかったということだ』

「……へぇ、お前が俺に気遣うなんてどういう神経だ?」

『……うるさい。こうでもしなければミリーシェが浮かばれないであろうッ!』

 

 ……そっか。俺はアルビオンの悔しそうな声音を聞いて、それ以降は何も言わない。

 アルビオンにとっても、ミリーシェは大切な相棒だったんだな。

 少しだけ、涙が出そうになるけどそれを耐える。

 

『……随分とお前は情に厚くなったようだな、アルビオン』

『貴様には言われたくない。それにどちらにしても赤と白は敵同士だ……慣れ合う気はない』

『同意見だな。ただ俺は悪くないと思ったぞ? ―――あの時初めて実現した、赤と白の共同戦線』

 

 ……突然襲ってきた邪龍のことだな。

 あの時は俺とミリーシェは一世一代を懸けた戦いを邪魔されてぶち切れて、ミリーシェが殺したっけ……でもそのあと―――ッ!!

 

『主様、今はそのことは考えるべきではないです』

 

 ……今まで俺達の会話に入ってこなかったフェルが俺へとそう声をかけてくる。

 分かっている……大丈夫だ。

 

『……ずっと気になっていたが、ドライグ。そこの男。兵藤一誠の中にはまだ違う存在がいるな』

『ああ、相棒のもう一つの神器に封じられているドラゴンだ』

『……そうか。興味はないわけではないが、今は質問を抑えよう。……そろそろ我が主を解放しなければ暇すぎてどうにかなってしまうな』

 

 アルビオンはそう言うと、そのまま宝玉は手の甲から消えた。

 声は聞こえなくなり、それと同時に俺の手の甲の宝玉も消えて無くなり、そしてヴァ―リの今まで耳を覆っていた魔力も消えた。

 

「終わったか? 随分と話しこんでたけど、少し興味が湧くな」

「……聞きたきゃいつかアルビオンから直接聞けよ。それと気を遣わして悪かったな」

「……はは、まさか君から謝罪の言葉を聞けるなんてね。俺の君への第一印象は随分と異なるよ」

 

 するとヴァーリは飲み終えたジュースの缶を一瞬の間に魔力で消失させた。

 

「君は俺と似ていると思っていたけど、どうやら俺とは正真正銘、逆の性質を持っているね。俺の行動原理は戦うこと。これに尽きる」

 

 するとヴァ―リは魔力の塊を掌に集中させる……まさかここで始めるつもりかよ!?

 そろそろ生徒が一気に学校に来る時間だってのに……

 

「なに、何もこんなところで君と戦う気はないよ。そんな身構えなくてもいい」

「……お前は戦うことが全てだとでも言いたいのか?」

「そうだよ。俺の人生は強者と戦うことに意味がある。そう言う意味では君は俺が一番戦いたい相手なのかもしれないね」

 

 ……やばいな。

 こいつ、前の白龍皇であるミリーシェ以上の魔力を感じる。

 コカビエルをこいつが回収しに来ていた理由が分かった―――単に、コカビエルを簡単に圧倒出来る奴だからだ。

 

「じゃあ俺とはまるで違うな。俺は誰かを守るために力を使い、そして戦う。俺が戦いを楽しいと思ったのは、残念だけど今までで一度だけだ」

 

 ……それはミリーシェとの怨念も何も関係ない、最初で最後だった大喧嘩のことだ。

 

「…・・・君とは相容れないな。仲良くなれそうだけどね。人としての性質では君は好意的な人物に当たるからね」

「そうか? まあ俺もお前に対して特に嫌悪感はないけど」

 

 これは素直な意見だ……だけど、それでも俺はこいつとは相容れないだろうな。

 俺の戦う理由とこいつの戦う理由はまるで違う。

 こいつが戦うのは個人のためで、俺が戦うのは他人のため。

 俺はそこで初めて、ヴァーリに向かって殺気を含んだ目で睨んだ。

 

「―――ッ!! ……すごいね、君のその殺気。つい俺の鳥肌が立つレベルだ。……なるほど、君のあの時の実力は本物ということだね」

「それで? お前はどうするつもりだ?」

「……今すぐにでも俺は君と戦いたいよ」

 

 ヴァーリが好戦的な目つきで俺にそう言ってきた瞬間だった。

 俺の耳に風が動くような音が聞こえたと思うと、ヴァ―リの首元に二つの剣がクロスして向けられていた。

 

「……今すぐイッセー君から離れてもらえるかな―――白龍皇」

「冗談にしては性質が悪いな。イッセーは私たちの仲間だ……手を出すことは許さない」

 

 ……そこにいたのは聖剣デュランダルを向けているゼノヴィア、そして聖魔剣を向けている祐斗だった。

 周りには生徒の姿はない……人払いの結界でも張ったのか?

 

「ほぉ……中々の速度だったよ。だけど俺の目でも目視出来た時点でどうってことはないな」

 

 二つの剣を首元に向けられているにも関わらずヴァーリは依然として平然としていた。

 こいつにとったら、こんなのは大したことはないだろうからな。

 

「二人とも止めとけ……分かってるだろ」

 

 俺は二人の肩に手を置いて、祐斗とゼノヴィアの状態を見た。

 ……祐斗もゼノヴィアも手が震え、ヴァーリを見ながら冷や汗をかいていた。

 正直にヴァーリは、二人と比べたらあまりにも実力がかけ離れている……むしろ俺はこの二人を称賛する。

 

「相手の実力を知るのは強いものの証拠だ。相手の恐ろしさを感じ、それでも立ち上がるのは勇気だ。だけどそれに真っ向から向かって行くのは……無謀だ。だから今は剣を収めろ」

 

 俺が祐斗とゼノヴィアにそう言うと、二人は警戒を解かないままヴァ―リに向ける剣を下ろした。

 そして俺は二人を俺の後ろにして、俺は前に立ってヴァ―リを見た。

 

「それは俺が言おうとしていたんだが―――まあいい。戦いたくはあるが、流石に俺もこの場では自重しよう。……そう言えば俺がここにいるのにはもう一つ、理由があったよ」

 

 ヴァーリが思い出したようにそう言うと、俺の後ろに視線を向けた。

 

「俺がここに来たのはアザゼルの護衛だよ。そう言うことでリアス・グレモリー。そこの男、兵藤一誠は貴重な存在だ。大切にするがいいさ」

 

 俺はヴァーリが送った先に視線を送ると、そこにはすごい不機嫌な表情の部長、更にその周りにはアーシア、小猫ちゃん、朱乃さんがいた。

 

「どういうことかしら、白龍皇。堕天使と関わりのあるものが私達に接触するなんて……」

「悪いね、でも俺の中のドラゴンがどうしても兵藤一誠に用があるとうるさくてね。……内容は知らないけど、無粋な事はしない方が良い」

 

 ヴァーリがそう言うが、部長は未だに不機嫌なままだ。

 

「……二天龍に関わった者は、ろくな人生を送らない。そうある人物に聞いたんだけど、君たちはどうなんだろうね?」

「言っとくけど、俺が傍にいる限り皆は守る。お前がいう二天龍の運命も全て俺がぶっ潰す」

「はは……楽しみにしておこう、兵藤一誠」

 

 俺がヴァーリにそう言うと、奴は苦笑いをしながら俺達に背を向ける。

 

「次に会うのは三すくみの会議の時だ―――俺も色々と多忙でね? 君との戦いよりも前に色々とやらなくちゃいけないことがあるってことを覚えておいてもらおう」

 

 そう言うとヴァーリはその場から去っていく。

 俺は去っていくヴァーリを特に気にせず、後ろを振り向くとそこには未だに緊張感を切れずにいる皆の姿があった。

 そしてアーシアと小猫ちゃんはその中で俺の元に近づいてきて、そして何も言わずに手を握ってくる……この二人は特に怖がりな側面があるからな。

 まずはこの緊張感を解かないとな……今日は授業参観なんだから。

 俺はそう思って、とりあえずは皆のケアに回った。

 ―・・・

 ヴァーリとの遭遇から大体30分ほど経った今、俺達は今はオカルト研究部の部室にいた。

 俺が家を出たのは割と早い時間だったからまだ朝礼の時間には余裕があり、とりあえず強張った皆の緊張を解きほぐすことにした。

 そのおかげか皆、幾分はマシな表情になった。

 …・・・緊張を解きほぐすために俺がしたことはあまり聞いてほしくない。

 何故なら―――

 

「……イッセー先輩の膝枕からの頭なでなで。2分だけなのが悔しいところです」

 

 ……色々と辛い時間だったからだ。

 簡単にいえば俺はしてほしいことを何でもできる範囲で2分だけするって言ったら、部員の皆の食い付きがおかしくなった。

 まずは小猫ちゃん、これは普通に膝枕をしてからの頭を撫でる……これは割と良心的だ。

 次にアーシア、手を握るだけ―――アーシアはやはり天使だった。

 ……だけど問題はここからだった!!

 朱乃さんは自分の番になった瞬間に俺に跨ってキスしようとして、それを部長に見つかって一悶着。

 そして部長は朱乃さんに見せつけようとしてか、強引にキスを迫る!

 それからはこの二人は口論となり、そして部室を出て行ってまた魔力を介した喧嘩をし始めた。

 次はゼノヴィア……予想はしていたけどいきなり

 

「子作りをしよう。それで私の緊張はほぐれる」

 

 緊張以前に子供がつくってどうするんだよ! っていうか2分で何考えてんだよ!

 ……そして最後に祐斗、祐斗は思ったよりマシで剣の打ち合いをして欲しいと言ってきて打ち合いをした。

 っと言う具合で皆の緊張は解せたってわけだ。

 昨日は皆に気を遣ってもらったからな……これぐらいはしないと。

 そして今は俺達は部室で少しのんびりしているってわけだ。

 

「全く、朱乃は油断も隙もないわ」

「あらあら……部長の方こそ、()のイッセー君の唇を奪おうとして、舌までいれようとしていたじゃないですか」

 

 ……部室に戻ってきてもこの二人は口論を続けていた。

 でもそのお陰で緊張はかなり解すことができて良かったよ。

 

「……そろそろ朝礼の時間だから行くか。ゼノヴィア、アーシア」

「はい!」

「つまりこれより先はイッセーをアーシアと共に占領できるということか……。これは同学年の特権といえるだろうな」

 

 ゼノヴィア、お願いだからそれ以上は言わないでくれ……聞こえていないから幸いだけど、それを言うと色々と面倒だからさ。

 とりあえず、俺達は教室に向かったのだった。

 ―・・・

 俺とアーシア、ゼノヴィアは教室に到着して扉を開けると、そこには既にほとんどのクラスメイトがいた。

 

「意外と早いな……っと、おはよ、松田、元浜」

 

 俺は教室の扉付近の席に座っている松田と元浜に挨拶すると、この二人は俺に恨めしいような視線を向けてきた。

 

「ちっ……。このリア充野郎が! 馬に蹴られて死んでしまえ!!」

「そうだ! 朝から美少女を二人も侍らせて登校するなど愚の骨頂! 伴死に値する!」

「とりあえず、黙ろうか?」

 

 俺は挨拶が出来ない馬鹿な友人の頭を掴んで、そのまま机にごつんと額をぶつけてやった!

 

「ほう……。イッセーが私とアーシアを侍らすか。素敵な事じゃないか」

「?」

 

 アーシアはゼノヴィアの言っていることが理解できずに可愛く首を傾げている。

 純粋な子に育って、お兄さんは嬉しいよ……うんうん。

 するとアーシアとゼノヴィアに近づく影が一つあった。

 

「やっほー、アーシア、ゼノヴィア~」

「桐生さん! おはようございます!」

「おはよう」

 

 それは眼鏡をかけた黙っていれば美少女の桐生藍華だった。

 しかも顔つきはかなりにやついていて、何故か不気味。……そうだ、アーシアの普段の暴走の原因の9割方はこいつにある!

 

「それにしても朝から可愛い女の子を二人両手に抱えて登校とは、兵藤もやるねぇ~~~」

「美少女は否定しないけど、両手には抱えてねえよ」

「またまた~……それでゼノヴィア、あの手は兵藤には通じた?」

「いや……どれだけ誘っても乗ってこないんだ」

 

 ―――そんな不穏な会話が俺の耳にしっかりと届いていた。

 ……こいつ、まさかゼノヴィアまでにいらない知恵を与えてんのか!?

 っていうか全部こいつのせいじゃねえか!!

 

「ふむふむ……ならゼノヴィア、もう既成事実を作る他はないわね。アーシアにも言えることよ」

「既成事実、ですか?」

「そうよ。とりあえず今日の夜に―――」

「おら、桐生!! 俺のアーシアに変な事を吹き込んでんじゃねえ!!」

 

 俺は鞄の中から取り出した教科書を丸めて桐生の後頭部を叩くと、桐生は変な悲鳴をあげて後頭部を押さえた。

 

「うぅ……相変わらず兵藤のツッコミは過激だね。あ、突っ込みじゃないよ?」

「分かってるから拾ってんじゃねえ!」

 

 俺は相変わらずのエロネタにツッコむと、すると周りはざわざわとしていた。

 

「おいおい……今の聞いたか?()のアーシアって」

「きゃぁぁぁあああ!!! 私も兵藤君に言われたいわ!!」

「くそ、死んでしまえ、イッセー!! お前なんか人類の敵だ!!」

 

 ……俺の発言はどうやら周りに聞こえているらしい。

 そしてそれを聞いたアーシアは顔を真っ赤に染めながら、頭を左右に振って恥ずかしがっていた。

 

「イッセーさん! 私はイッセーさんのものですから!」

「イッセー、出来れば私もイッセーの女にして欲しい」

「―――世界は、理不尽だよ…………」

 

 俺はもう何も考えることが出来ず、そのまま自分の席に戻っていく。

 ……眷属皆を何とか癒そうとしたのに、直後、俺の神経は真っ向から削られたのであった。

 これから授業参観なのにな。

 ……ところで授業参観って言っても、実は親御さんだけじゃなく駒王学園の中等部も見学できるのが駒王学園の特徴だ。

 まあ中等部の場合は親御さんが一緒に来るのが条件だけどな。

 

「イッセー、先ほどはすまなかったな。少し無神経だった」

 

 すると俺の元に再びゼノヴィアが現れる……この子は素直だからなぁ。

 

「いや、いいよ。そんなに気にしてないから」

「そうか! ならばイッセー……私は少し焦り過ぎていたのだと思う。会って間もないのに突然子作りなど、確かにイッセーが断るのも当たり前だ」

 

 ―――ようやく分かってくれたか、ゼノヴィア!

 

「突然、一児の父になれと言うのは流石にまだ学生の身であるイッセーに頼むのはいささか厳しいであろう」

 

 ―――あれ?何か話の方向が……

 

「だからこそ、いざ子作りをする時のために予行演習というものが必要になる……。故にこれを使って練習しよう」

 

 するとゼノヴィアは俺の机の上にある物体を置いた………………

 

「ぜ、ぜ、ゼノヴィアさん? これはどういう―――」

「なんだ、知らないのか? それは性行為をする際に子供が出来なくするための道具だ。日本はこういうのをお国柄で使用するのだろう? だからまずはこれを陰茎につけて、そこから……」

「だから!! 学校でなんてもん出してんだよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!?」

 

 俺は机にある物体……コンドーム(避妊道具)を指差してそう叫んだ!

 ここは学び舎だ! なんてもんを男子高校生の机の上に出してんだよ!

 見ろ! 周りが蒼白としているぞ!

 

「アーシア、君もこれを使ってイッセーと練習するかい?」

「……うぅ」

 

 あれぇ!?

 アーシアは何故そんなに顔を真っ赤にして……確かそう言うことには疎いはずじゃ。

 ……そう思った瞬間、俺はアーシアの隣でニヤニヤしている桐生の姿をみた。

 

「またお前かぁ!? 桐生!!」

「いつかは知ることだから良いじゃない、いひひ」

 

 今すぐにあいつをツイン・ブースターシステムでぶっ潰したい!

 紅蓮と白銀の恐ろしさを分からせてやろうか!?

 

「くそぉぉぉぉぉぉ!! 何故だ!! 何故イッセーばかりがモテる!?」

「どこが俺たちとイッセーとの差を生んでいるんだぁぁぁ!!?」

『顔と性格、それと紳士さでしょ?』

 

 ……松田、元浜はクラスの女子のさも当たり前のような言葉に声も出せずに泣くのであった。

 とりあえず今、俺が言えることは―――誰か助けてください。

 そう切に願うのだった。

 ―・・・

 俺の今の状態を詳しく客観的かつ冷静的に説明しようか。

 まず今は一時間目が始まったばっかりだ……そして教室の後ろには既に沢山の親御さんがいる。

 うん、ここまではまあ普通だな。

 だけど問題はここからだ。

 

「にいちゃん、がんばれー!!」

「にいたん! ふぁいとー!!」

「にぃに、だいすき~~~!!!」

 

 ―――なんでフィーにメル、ヒカリがいるんでしょうか?

 そしてどうして人の姿であるティアがそこにいるんでしょうか?

 ……つまり簡単に言えば、授業が始まった瞬間にティアとチビドラゴンズ(幼女)が教室に入ってきたのだ。

 ちなみに母さんは普段とは違う大人っぽい服装で大人を装っているけれども、手にはごつい一眼レフの立派なカメラが鎮座していた。

 そして先ほどから三人のせいで俺への視線が痛い……そりゃああんな小さくて可愛い子にお兄ちゃんって呼ばれていたらおかしいもんな!

 

「お? 兵藤……あの可憐な少女たちはお前の妹か?」

「えっと……そんな感じです、はい」

 

 俺はとにかく担当の教師にそう言うしかなかった。

 そしてヤバい……ゼノヴィアとアーシアの視線がすごい。

 

「なら兵藤! あの子たちをお前の傍にいさせることを許可しよう!!」

「なんでだよ!! そこは静かにさせろとかでしょう!?」

 

 俺はつい先生にツッコんでしまう!

 って俺の近くに既にフィー達が来ている!? 動くの早いな、おい!

 そしてティアはニコニコ笑ってる!?

 っていうか母さんに近づいて何か言っている?

 

「貴方が一誠の母親か? 私はティアというものだ……兄貴肌の一誠、そんな一誠を見てみたくないですか? その立派な一眼レフのカメラに収めたくはないですか?」

「―――ッ! あなたは……ティアさん、あなたは天才ですか?」

 

 なんか交渉してる!?

 っていうかお前ら初対面だろうが!

 そしてこの学校の教師は緩いな、ホントにもう!

 

「にいたん、メル達のこと……いやなの?」

「……ははは! 嫌なわけないじゃないか! さ、俺の膝においで」

 

 ……はい、負けました。

 俺は三人の潤んだ目に負けて、そのまま三人を膝に乗して授業を受けます。

 ちなみに授業は美術……最近は確か造形を中心にしていたはずだ。

 あとこの授業は二時間続きだから俺はこの状態で美術をするのか……まあ平気だけど。

 

「兵藤の可愛い妹も混じってはいるが、授業を始めよう! そして今日の課題は造形と絵のどちらかだ!! どっちもやってもよし!! お題はそうだな……自分の大切な存在! どちらかを決めて前の用具を持って行ってはじめろよ?」

 

 ……大切な存在か。

 大切といえば俺の手元の三人も大切だな。それ以外にも大切なんかいくらでもある。

 母さんに父さん、眷属の皆やイリナ……ドライグ、フェル、ティア、オーフィス……皆大切な人だ。

 それに何より大切だったのは……もういないのに、何考えてんだか。

 

「……にいちゃん?」

「……何でもないよ。お前らはとりあえず、粘土でも貰ってきて遊んでおくか?」

「「「うん!!」」」

 

 ああ、愛くるしく三人は前の教卓の上に詰まれている粘土の袋の一つを先生から受け取ると、すごい笑顔で俺の所に戻ってきて再び俺の膝の上に座る。

 

「良い……ティアさん、イッセーちゃんのお兄ちゃんも凄いわ!!」

「そうだろう、そうだろう!! しかしあいつの弟っぽいところも捨てがたい……そう思わないか?」

「―――ッ! イッセー君を語りましょうか」

「ふ……望むところだ」

 

 ……親馬鹿の母さんと、姉馬鹿なティアが輝いていた。

 だけど母さんの先ほどからのシャッター音は中々治まらず、俺はもうそれを気にするのをシャットダウンして作業に集中した。

 とりあえず絵にしよう…・・・そして俺は、思ったまま絵を描くために鉛筆を画用紙に走らせた。

 ちなみに俺は絵は得意な方である。

 昔は今みたいにゲームとか漫画とかなかったから、自然と絵を描いて遊んでいたもんな。

 …………そして数十分後。

 

「……兵藤、俺は君に感動しているッ!! なんて素晴らしい絵だ!!」

 

 体育教師みたいに熱い美術教師は俺の絵を見てそう絶賛する。

 俺が描いた絵は……まあ俺の大切な存在と思った皆の笑顔を描いた大集合みたいな絵だ。

 まだまだ鉛筆でのラフがだけど、それなりに様にはなってる。

 まずは母さんと父さん、そのあとに眷属の皆、ドラゴンファミリーにイリナ、オーフィスやそれ以外の沢山の人……そして無意識に俺はある女の子を描いていた。

 

「兵藤。君のテーマを教えてくれ」

「……えっと、俺が出会ってきた大切な人を皆描いてみたんですけど……。それに笑顔の方が幸せそうですし」

 

 俺がそう言うと、何故か教室中の人がポロリと涙を流す!?

 いや、俺はそんな泣かせることなんかしてないだろ!

 

「うぅ……なんて良い子なのかしら!」

「私、それを買います!!」

 

 はいぃ!?

 何やら中等部の制服を着た女の子がそう言った瞬間、それから何故かは知らないけどクラス中のクラスメイトが立ちあがった!

 良く見るとアーシアとゼノヴィアまでいる!

 

「1000円だ!」

「甘いぞ! 15000円!!」

 

 ゼノヴィアが一気に値段をあげた!?

 って俺は誰も売るなんか言っていないんですけど!

 

「うぅ……ならお財布のお金、全部出します!!」

 

 アーシアぁぁぁ!!?

 こんな絵ならいくらでも描いてあげるから早まらないで!

 ……するとその瞬間、ある背の高い黒髪の美しい美女、すなわちティアと母さんが挙手した。

 

「「10万円出そう」」

 

 ……その数字を聞いてクラス中が戦慄しましたとさ。

 

「……ねえにいたん」

 

 すると俺の制服の裾をくいくいと引っ張るメルが、俺の描いた絵の一部分に指差した。

 

「……このヒト、だれ?」

「……そうだな―――お兄ちゃんの大切だった人、かな」

 

 ……そこに指差されているのは、ミリーシェだった。

 無意識だ、俺は知らずの間に画用紙の最後にミリーシェを描いてしまった。

 でも俺はそれを消さない……消したらいけない気がするから。

 そうして時間は過ぎて行った。

 ―――ちなみにこの絵は最高価格が20万円まで跳ね上がったけど、結局売りませんでした。

 ―・・・

「……それにしても良く描けているな、イッセー。あんな短時間でこんな絵を描けるなんて、意外な才能だ」

「昔から絵は好きだったからな」

 

 ちなみにここでいう昔とは転生前のことである。

 そして今はお昼休みで俺とゼノヴィア、アーシア、そしてどうしてここに来れたのかティアやチビドラゴンズ、そして母さんは食堂に向かっていた。

 ゼノヴィアは俺の描いた絵を見て感心深そうにしていて、その隣でアーシアも俺の絵を見ていた。

 フィー、メル、ヒカリはそれぞれ俺の体にセミみたいに引っ付いていて、ティアと母さんは先ほど撮った写真を見ながら何やら話しこんでいた。

 

「これはまた大所帯だね、イッセー君」

「……サーゼクス様?」

 

 すると俺達の目の前からサーゼクス様と、グレイフィアさん、そして部長と部長とサーゼクス様に面影のある男性が姿を現した。……ってこの人は確か―――

 

「やあ、久しぶりだね、兵藤一誠君。私はリアスの父だ」

 

 ……ライザーの時に婚約会場にいた部長のお父さんだったか。

 通りでどこかで会ったような気がするわけだ。

 

「ええ、久しぶりです。あの時は失礼なことをしてしまい、すみませんでした」

「いいや、あれは私の過失でもある。むしろ君には感謝したい。……君のお陰で私は目が覚めたよ」

 

 俺が頭を下げると部長のお父様は厳格ながらもにこやかな表情でそう言った。

 

「……それにしても随分とすごいメンツだね、イッセー君」

「…………そうですよね」

 

 俺はサーゼクス様の言葉に苦笑いをして応える他なかった。

 そりゃあ母さんと話しているのは魔王に匹敵する力を持つ五大龍王最強のティアだからな。

 

「……立ち話もなんだ、ご飯でも食べてゆっくりとしようじゃ」

 

 サーゼクス様がそう言おうとした瞬間、突然俺は誰かに肩を掴まれた。

 っていうかすごい速度で走ってきた人に真正面から肩を掴まれたってところだ。

 

「……兵藤君、お願いだから私を隠してください」

「えっと―――ソーナ会長、どうしたんですか?」

 

 ……そこにはすごい焦っている表情をしたソーナ会長がいた。

 若干眼鏡がずれていて、それが彼女が焦っていることを象徴しているようだ。

 

「そ、ソーナ!? 貴方までイッセーに!!」

 

 すると部長は怒ったような声音で会長の元に来るのだけど、すぐに何を察したようだった。

 ……その時、食堂にいる俺の耳に何やらすごい足音が聞こえた。

 

「ソーナちゃぁぁぁぁぁんんんん!!!! お姉ちゃんから逃げないでぇぇぇ!!!」

 

 ―――えぇぇぇぇぇぇ!!!?

 なんかすごい速度で魔女っ子のコスプレをしてるすごい美人の人がステッキを振り回して走ってきた!!

 

「……兵藤君、あれは敵よ。今すぐに駆逐してください」

「いや、流石にそれは無理ですよ会長。それにお知り合いなんでしょう?」

 

 俺は俺の影に隠れる会長にそう言うが、そうしている間に例の魔女っ子は走ってきて、急ブレーキを踏むかの如く俺の前で立ち止まった。

 

「ソーナちゃん! どうして私から逃げるの……ってあれ? サーゼクスちゃんも来てたんだ~」

「セラフォルー、ここは食堂だ……妹が好きなのは分かるが、もう少し自重しなさい」

 

 …………うん、つまり要約するとだ。

 この奇抜なファッションの魔女っ子は会長のお姉さんで、会長は魔王の妹……つまりこの人が―――魔王セラフォルー・レヴィアタン様ってことか!!

 

「兵藤君!! 今すぐにこの魔王を駆逐してください!! あなたなら出来るでしょう!」

「いや、魔王様にそんなんしたら俺が殺されますからね!?」

 

 俺はどうやら混乱している会長にそう言うと、食堂の入口から俺と同じく下僕悪魔で『兵士』の匙が走ってきた。

 

「ソーナたん、酷いわ! 私はこんなにもソーナたんを愛しているのに!」

「私の名前にたんを付けないでください!」

 

 ……俺は二人の口論の隙をついて、走ってきた匙の元まで行った。

 

「匙。一応、聞いとくけど……あれが本当に魔王様なのか?」

「イッセー……残念ながらそうなんだ。俺もどれほど厳格ですごい方と内心、すごいお姉さま系の魔王様を期待していたんだけど、まさかここまでのシスコンとは思わなかったよ」

 

 匙は呆然とセラフォルー様を見続ける。

 そして今気付いたけど、既に母さんとティアは食堂の一角ですごい会話に花を咲かせていた。

 あれはそう……もう何人も入ることは出来ないやつだ。

 そう思っていたら部長のお父様がその間に入っていった!

 なんて命知らずなお方だ! あの状態の母さんとティアの邪魔をしたらどうなるか……俺はそっと視線をセラフォルー様に向けた。

 まだソーナ会長と口論しているけど、会長は再びこっちに逃げてきた!

 

「……サーゼクスちゃん、まさかこの子が上で噂になってるドライグくん?」

「ああ、そうだよ。彼は赤龍帝の兵藤一誠くんだ」

 

 ……ちゃん付けをツッコまないんですね、サーゼクス様。

 

「はじめまして☆ 私、ソーナたんのお姉ちゃんのセラフォルー・レヴィアタン☆ 気軽に『レヴィアたん』って呼んでね☆」

「………………………………………」

 

 俺は絶句した。

 ……どいつもこいつも魔王は、どうしてこうも軽いんですか!?

 サーゼクス様といい、セラフォルー様といい!!

 

「ん~……確かにすごい才能だね! 上が悪魔側に残しておきたい気持ちも分かるわ!」

 

 セラフォルー様は俺の顔をじっと見てそう言った。

 

「さ、流石はイッセー……まさか魔王様にまで認められるなんて―――痺れるぜ!!」

「……魔法少女ならぬ魔王少女かよ」

 

 俺はつい思い付いた単語を呟くのだった。

 ……ちなみにその後はカオスな状態が続き、赤面した部長と会長、そして母さんとティアの間に入っていった部長のお父様がしょぼんとすることが起き、俺とアーシアとゼノヴィアとチビドラゴンズは逃げるかの如く、部長と会長を放置して違うテーブルで食事をとったのだった。

 ―・・・

 ……その日の放課後。

 俺達、グレモリー眷属、特に俺と部長はそれぞれ疲れた表情でいた。

 部長は親御さんやサーゼクス様とかのせいでお疲れ、俺は色々ツッコミ過ぎて疲れました。

 

「……ねぇイッセー、どうしてお兄様はああまで大馬鹿なのでしょうね?」

「部長……お気持ちは痛いほど分かりますが今は抑えてください」

 

 俺は部長の頭を撫でて慰める。

 そして俺達は今、部室に眷属全員でいる。

 授業参観が終わって皆、部室でのんびりしているって具合だな。

 

「うぅ……イッセー、ありがとう―――それと話があるわ」

「話?」

 

 俺は部長の言った言葉を復唱すると、部長は部室の扉を開ける。

 

「今日のお昼に実はお兄様に言われたの。……そろそろもう一人の『僧侶』を皆に紹介してもいいって」

『―――――――ッ!!!?』

 

 その部長の台詞に俺達は全員が息をのんで驚いた。

 部長のもう一人の『僧侶』と言えば、確かずっと表に出していないって言ったいたはずだ。

 しかも俺と同じで『変異の駒』である駒を使って悪魔になれたっていうのは

 祐斗から聞いた。

 そんな『僧侶』が、このタイミングで?

 

「イッセーとアーシアは知らないと思うけど、その子はこの旧校舎の中に一日中いるの。能力が余りにも強すぎて、私にはまだ扱いきれないということで上から封印が命じられていたんだけれどね」

 

 ……部長の言い分はこうだ。

 それはこの街で最初に起こった堕天使騒動、そしてそのあとのライザーとのレーティング・ゲーム。

 そしてつい最近に起こったコカビエルの件。

 これら全てが評価されて、部長はその『僧侶』を扱えるだろうと決断されたらしい。

 それを昼休みにサーゼクス様から話されたそうで、今は俺達は部長に連れられて開かずの扉と言われている、旧校舎の一角。

 その扉の前に『KEEP OUT!!!』と書かれているテープがあって、更に扉には魔術刻印で絶対に開かないようになっている。

 

「……正直に言えば、レイナーレの件もライザ―の件も、コカビエルの件もイッセーがいてくれたから解決できたものだけどね」

「いいえ、俺だけじゃないです。みんな頑張ったからそうなったんです」

 

 俺はそう返すと、部長は笑顔で俺の頭を撫でた。

 

「そう言ってもらえると助かるわ…・・・そうね、イッセーならあの子だって」

 

 部長がそう呟くと、その扉に描かれている魔術刻印を解除していく。

 そして完全に解除し終えた時だった。

 

『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!』

 

 なっ!?

 叫び声……まさか堕天使か何かが潜んでいたのか!?

 

「待ってろ! 今助ける!!」

「ちょ、イッセー!?」

 

 俺は部長の制止も聞かずに扉を突き破り、そして室内に入って行った!

 

「おい、大丈夫か!?どこに敵がいる!大丈夫だ!俺がいるならどんな奴だってぶっ倒して………………………」

 

 俺は神器を展開し、その室内に入っていく。

 部屋は女の子らしい可愛い部屋で、壁にはデコレーション、ベッドの上にはぬいぐるみなんかもあった。

 ザ・女の子と呼ぶべき部屋だな。

 そして俺の視線の先には一人、可憐な少女の姿があった。

 何かに怯えるように、シーツを頭から被っていて顔だけ俺の方を向けて目を見開いていた。

 

「えっと……俺は兵藤一誠だ! リアス部長の『兵士』で、ついでに赤龍帝。……ってことで、よろしく?」

「よ、よ、よ、よろしくですぅ!!!」

 

 ―――そこには金髪のボブくらいの髪の長さの、小さい美少女の姿があった。

 なるほど。

 この子が部長のもう一人の『僧侶』……俺はそう確信したのだった。

 


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