緋弾のアリア~スキャッグスの名をもつ原作ブレイカー~ 作:シャラシャラン
第三十九話
「ほらほら今どんな気持ちだぁ?」
「お、おやめをおおおおおおおお!!」
「カゲヨシ様……落ち着いて……」
椛が憐れむような眼で俺を見る。
やめろ俺は悪くない、こうさせるこの刀が悪いのだ。
お札をもう一枚ホルダーからだし構える。
俺は目の前に置いてある刀を見る。もうすでに何枚かお札を貼ってあるが、まだまだコイツは元気そうなのでもう一枚追加しておく。
「ぐぁっ!」
刀が苦しそうにうめく。
確かに痛いだろうな、下手したら消えるだろうしな。
「それじゃあ訊き忘れていたが、お前は誰だ?」
「い、痛すぎる!お願いじゃ!これをはがしてくれ!」
「はやく答えろ。でないと、もう一枚行くぞ?」
ゆっくりとお札をちらつかせる。
すると刀は飛び上がりガタガタと震え始めた。まるで人間と一緒だな。
「カゲヨシさま……それ以上やると本当に消えちゃいますよ」
椛が不安そうに後ろで見ている。
それぐらい俺も言われなくてもわかっている。
「それじゃあもう一度訊こう。お前は誰だ」
「わしは魂魄妖忌。妖夢のおじじゃ」
「へぇー……」
まさか霊になってこの刀に残っているとは、驚きだ。
「まぁ。この世に未練があるのはいいんだがな、自分の娘に迷惑かけるんじゃねぇよ」
「なんと!!わしが知らぬうちに迷惑をかけておったのか!?」
「そうだよ。 ってか気付いていなかったのか?」
まさかの無自覚。
自分で気付かずに事をおこしていたのか?
「椛、神霊の類って意識せずにでも、何か効果って出るのか?」
「恐らく居ると思います。無自覚で何か能力を常時使っている者もいると思います」
「なるほどねぇ」
俺はもう一度この刀を見る。
妖夢のおじいさんの形見の刀、まさかのこの中にご本人がいるという事である。さてどうするか。このじいさんの霊が妖夢がバーサーク状態に陥る原因なのはわかる。初めて見たときから何か異変の様な物を感じていたが、こんな事だったとは。
この霊を消せば妖夢の凶暴化も止まるのだが、勝手にじいさんの霊を消してしまっていいのか?それがふと思った事である。
「なぁじいさん。あんたはどうしていたい、このまま娘と一緒にいるか?それとも成仏するか?」
「……ふむ」
刀は唸り、何も喋らなくなる。
そりゃあ迷うだろう。
「わしとしてはこのまま娘を見守っていたのだが……このまま成仏するのも良いかもしれぬな……」
「はっきりしろよ」
答えは一つだけだぞ。
まったく、迷うのもわかるがさっさと決めろよ。
「私は出来るのなら残りたい、妖夢のそばにいてやりたい……」
「ならいてやれよ」
「だがわしがいては迷惑をかけるのだろう?」
「別に俺の力にかかればそれを止めれるけど?」
「なん……だと……?」
俺は指を鳴らしこぁを呼ぶ。
彼女は一礼した後ひと振りの刀を召喚する。
俺はそれを受け取り見せつける。
「あんたをこっちに移し、その力を止める。そうすれば一件落着だぞ」
「な、なんと!そなたは神か!」
刀が嬉しそうにはねている、シュールな光景だが嬉しいのが伝わってくる。
たった一人の娘。それを見守りたいと思うのは当然だろう。
「それじゃ、しばらく暗転な」
「なぬ?」
俺はお札を持ちあげ返答を待たずに刀に貼り付ける。そのまま力を込める。ゆっくりと霊を引きはがす。どこも欠けずに引きぬけたのを確認して、もうひと振りの刀に貼り付ける。次は抜くのではなくて、その霊を札から刀に移す。
刀は青白く光り、おっさんの霊が移ったのを確認する。
「元気か?」
「なんとか……」
どうやら成功らしい。
「それじゃああの刀は妖夢に返そう。そして今あんたが入っている刀も一緒に妖夢にあげるよ。それでいいな?」
「かたじけない。恩に着るぞ」
俺は二振りの刀を壁に掛ける。
どうせなら何か強化でもしてやろうか、と思ったが形見の刀を無許可でいじくるのはやめたほうがいいだろう。これで妖夢の刀が二本揃う訳だ。爺さんの常時発生している能力を止めるのはできたが、はたして効果はあるのか。明日妖夢に見せて見るか。
次で妖夢の話は終了です。
そしてちゃくちゃくとブラックブレットの話が……
できてるけど、投稿していいのか?と思う。
理由:時間がなくなる
まぁなんとかしますね。