音ノ木坂学園には半年に一度、月末にポケモンバトル大会という行事がある。そのため音ノ木坂学園の校庭にはポケモンバトルに使うためのバトルフィールドがあるのだ。ちなみにバトルフィールドがあるのはこの学園だけではなくオトノキ地方の学校ならほぼどの学校にもあるのだ。穂乃果たちがバトルするのはそのバトルフィールドだ。
生徒会室からの約束から20分後、穂乃果がバトルフィールドにやってくるとそこにはすでに生徒会長、副生徒会長、海未、ことりと穂乃果以外の全員が待っていた。
「あら? 随分と遅かったわね。 私に負けるのが怖くなって逃げ出したのかと思ったわよ?」
モンスターボールをかまえながら生徒会長が挑戦的な笑みを浮かべながら穂乃果に言うと「そんなわけないですよ」と穂乃果が笑顔で返す。
「それでは審判はウチが務めるで! これより綾瀬絵里と高坂穂乃果の勝負をはじめる。ルールは使用ポケモンは1体どちらかのポケモンが戦闘不能になったらバトル終了です! それではバトル開始‼︎」
副生徒会長の声を合図に生徒会長と穂乃果のバトルが始まった!
「その笑顔がいつまでもつかしらね、行きなさい! オニゴーリ!」
「フフッ… ファイトだよ! オニドリル!」
生徒会長はこおりタイプのオニゴーリ、穂乃果はノーマル、ひこうタイプのオニドリルを繰り出した。
「へぇ… タイプ相性も理解してない人なのね… そんな人がポケモンリーグに通用するわけないわ、一撃で終わらせてあげるわ! オニゴーリ! 冷凍ビーム!」
『ニィゴォォォ!』
生徒会長の指示を受けてオニゴーリがオニドリルに冷凍ビームを放った。
「オニドリル! 上昇してかわして高速移動!」
『クワァァァァ!』
オニドリルの方が素早さが高いのでオニゴーリの冷凍ビームを上昇することでかわし高速移動をする。
「かわしても無駄よ! オニゴーリ、もう一度冷凍ビーム!」
『ニィゴッ!』
「かわして鋼の翼!」
『クワァァァ!』
オニドリルはオニゴーリの冷凍ビームをオニドリルは高速移動で上がった素早さで素早くかわし鋼の翼を叩き込む。効果抜群の鋼の翼がきまりオニゴーリが怯む。
『ニィゴ⁉︎』
「ああっ! オニゴーリ!」
「オニドリル! オニゴーリが怯んだすきに上昇して上空から熱風!」
オニドリルの鋼の翼がきまりオニゴーリが怯んだ隙を見逃さず追撃がこないように上昇するオニドリル、生徒会長がオニゴーリに指示を出そうにも上空にいるため、下からの有効な攻撃の指示が間に合わない。さらに上空からの熱風により避けるタイミングがないためオニゴーリは再び効果抜群の攻撃を受けた。
『オニ! オニ…』
オニゴーリは効果抜群の技を2回連続で受けたためダメージが大きくオニゴーリはもうフラフラになっていた。
「ちょっと⁉︎ オニゴーリ! しっかりしてよ!」
生徒会長はもう余裕をかましていることなんてできなかった。完全に穂乃果のことを舐めていたからだ。
ところがいざバトルをしてみると追い詰められているのは自分の方なのだ。
生徒会長は戸惑いながらこの状況を打破する一発逆転の作戦を考える。
(なんなの⁉︎ この娘⁉︎ でも、私は負けるわけにはいかない! だけどオニゴーリの体力は残りわずか、対して相手のオニドリルの体力は満タン、こうなったら一か八か…)
「オニゴーリ! 絶対零度よ!」
『オ… オニゴォォォリィィィ!!!!』
このままでは負けてしまうと判断したのであろう、生徒会長は一発逆転を狙って、生徒会長の指示を受けオニゴーリは一撃必殺の技である絶対零度をオニドリルに向けて放つ。
オニゴーリも一発逆転を狙って高火力での攻撃をオニドリルに向けて放った。
「なるほど… 一か八かの勝負に出たか… だけど、絶対零度は一撃必殺だけど当たらないと意味がない! オニドリル急上昇してかわして!」
穂乃果の指示を受けオニドリルが上空に急上昇し絶対零度をかわす。
「なっ⁉︎」
「そのまま急降下してギガインパクトでとどめ!」
生徒会長が驚いていると、穂乃果が間髪入れずに次の指示を出す。
『クワァァァァ!』
穂乃果の指示でオオスバメが自身の力を全て溜めて勢いよく急降下してギガインパクトをオニゴーリに向けて放つ。
『オニ!! オニ〜…』
ドガーン!!!!
オニドリルの持てる力を解き放った強烈なギガインパクトが見事オニゴーリに命中しオニゴーリはその強烈なギガインパクトで地面に叩きつけられる。
煙が晴れるとフィールドには目を回して戦闘不能になったオニゴーリの姿かあった。
「そ、そんな… オニゴーリ!」
生徒会長がいくら呼びかけてもオニゴーリは動くことはなかった。
「そんな… 一撃も与えられないなんて…」
生徒会長は目を大きく見開いていた。まるで信じられないというような顔だ。
それは、海未もことりも副生徒会長も呆然としていた。
「副生徒会長、判定を…」
「ハッ! オ、オニゴーリ戦闘不能! オニドリルの勝ち! よって勝者、高坂穂乃果です!」
穂乃果の声にようやく我にかえって副生徒会長が判定をする。
判定を聞くと穂乃果はオニドリルに労いの言葉をかけてモンスターボールに戻した。
しかし、この結果に納得がいかないのか生徒会長が声を張り上げて抗議し始めた。
「そ、そんなありえない! こんなの何かの間違いよ!」
生徒会長が穂乃果に言うと穂乃果はため息をついた。
「生徒会長、結果を受け入れないのは格好悪いですよ。 それに貴女の作戦は穴だらけでしたよ?」
「ど、どういうことよ!」
穂乃果の問いに生徒会長が怒鳴り返す。
「生徒会長、最後はなんで絶対零度をオニゴーリに指示したんですか?」
「そんなの決まっているでしょ! あの状況では一撃必殺が一番有効な手段だったからよ!」
穂乃果は目を細めた。
「そうでしょうか? 私ならあの状況ではあられを指示するんですが」
「何言ってるの⁉︎ あられなんて指示したところで何も変わらないわよ!」
「生徒会長はオニゴーリの特性を知らないんですか?」
「私を馬鹿にしているの⁉︎ アイスボディよ!」
「それならアイスボディの発動条件はなんですか?」
「あられのときに決まって…… あ……!」
生徒会長が言葉に詰まった。何かに気づいたようだ。
穂乃果はそれを見てフッと軽く笑った。
「そうです。あの時絶対零度ではなくあられを指示しておいてわずかながら体力を回復させておけばギガインパクトを耐えられたはずですよ?」
「で、でも、アイスボディが発動しても体力が回復するのは全体の16分の1よ! それなら一か八かで絶対零度を指示した方が…「まだ気づかないんですか?」何によ!」
「生徒会長のオニゴーリは、ふぶきを使えないんですか?」
「‼︎」
生徒会長が目を見開いた。
「そうです。あの時ふぶきを指示しておけば至近距離でしたからわたしのオニドリルはかわしようがありませんでした。倒せはしなくても大ダメージを与えることはできたはずです。さらに単体では命中率が低いふぶきでも天候があられならば100パーセント決まります。こっちの方が作戦としては良いと思いますが」
「……」
穂乃果の説明に生徒会長は言い返せずに悔しそうに肩を震わせて俯いて黙ったままだった。
「やったーー! 穂乃果ちゃんが勝ったーー!」
「流石です! 穂乃果!」
穂乃果の説明が終わると海未とことりが穂乃果が生徒会長に見事き勝利した片手大喜びをしている。
「……」
「絵里ち…」
反対側では生徒会長が副生徒会長の肩を優しく叩いた。今も生徒会長は肩を震わせて黙ったまま俯いたままだ。
「さあ! 生徒会長、ポケモンリーグの出場を許可してくれますよね!」
海未が生徒会長に言う。
「認めないわよ…」
「え?」
「そんなの絶対に認めないわよ!」
「ええっ⁉︎」
バトルに勝利したのに生徒会長はポケモンリーグの許可をしようとしない。これに海未とことりと穂乃果は驚く。
「ちょっと‼︎ 約束が違いますよ! バトルに勝利したら許可してくれるんじゃないんですか⁉︎」
「そんなこと約束してないわよ…! それにこれは私が油断したから負けたのよ!」
「そんな!」
海未が聞くと生徒会長が滅茶苦茶な暴論を返すので海未とことりはショックを受ける。
生徒会長は今度は穂乃果を睨みつける。
「貴女が勝ったのは単なるまぐれよ! まぐれでないというのなら月末にあるポケモンバトル大会て勝負よ! そこで貴女が私に勝てたのならその時はポケモンリーグの出場を許可してあげるわ!」
生徒会長はそう言うと鼻を膨らましてオニゴーリをボールに戻し、バトルフィールドを出て行った。
副生徒会長も生徒会長の後について行った。
2人がバトルフィールドから出て行った後、生徒会長の言ったことに海未とことりは怒り心頭になっていた。
「あー! もう! なにあの生徒会長!」
「一方的に攻撃されていたのに何がまぐれですか! どうみても実力だったじゃないですか!」
「まあまあ、2人とも落ち着いて…」
怒りがおさまらない海未とことりを宥めるように穂乃果が言った。
「だって悔しいじゃないですか‼︎」
「そうだよ‼︎ 穂乃果ちゃんは悔しくないの⁉︎」
海未とことりが穂乃果に言うと穂乃果は笑顔で返した。
「そんなに怒らなくても大丈夫だよ、月末のポケモンバトル大会で生徒会長を叩きのめせばいいだけの話だよ」
「そう… 徹底的にね…」
穂乃果は誰にも聞こえない小さな声で呟いた。
バトル描写やストーリーが上手く書けたかご指摘をお願いします。