ポケットモンスターミューズ   作:sunlight

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姉だけでなく兄からも早くかけと叱責を受けました。


帰り道での出来事

1日の授業が終わり音ノ木坂学園の校門を1人で出る穂乃果、ことりはポケモンリーグのことを理事長に話に行っており、海未は部活で今日は1人で帰るのだ。

 

「ポケモンリーグか…」

 

穂乃果は小さく呟いた。今まで穂乃果がオトノキ地方のポケモンリーグに出なかったのは自分の実力を見られたくなかった相手がこの音ノ木地方にいたからだ。だから、ポケモンリーグは他地方の大会しか出ず、優勝しても名前を公表したり写真に写らなかったりしていたのだ。今回もそのつもりだったが親友2人にあそこまで言われたら断れない。

 

「はぁ… 廃校を救いたいのは山々だけど…」

 

穂乃果は小さくため息をついた時

 

 

 

 

 

 

ピリリリリリリリリリリ……‼︎

 

突然、穂乃果の携帯電話が鳴った。穂乃果はいきなりなった携帯電話に驚きながら電話に出た。画面を見ると相手はお母さんだった。

 

「もしもし? 穂乃果だけど…」

『あ! 穂乃果? 悪いんだけど帰りにスーパーで醤油と味醂買って来てくれない? 家の切らしちゃって…」

「あ、はーい」

 

ピッ

 

お母さんからの頼みを受けた穂乃果はいつもの帰り道をUターンしスーパーの方に歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ……!

 

穂乃果がスーパーの近くに着くと、スーパーの近くの街頭ビジョンにポケモンリーグのバトルの生放送が放送されていた。

 

『ドダイトス! とどめのハードプラント!』

ズガーン!!!!

『ダイケンキ!』

 

穂乃果がビジョンを見ると茶髪のショートヘアーの少女が自分のドダイトスで相手のダイケンキを倒したところだった。

 

『ダイケンキ戦闘不能! ドダイトスの勝ち! よって勝者、綺羅ツバサ選手です!』

 

ワァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

 

審判が綺羅ツバサの勝利を言うとビジョンから歓声が溢れた。ビジョン越しからでもここまで大きな歓声なのだからバトルが行われた会場はどんな感じなのだろう。

穂乃果はこの綺羅ツバサという人物を知らなかった。

 

(このオトノキ地方では強いトレーナーなのかな?)

 

他地方のリーグにしか参加しない穂乃果はオトノキリーグのことをよく知らない。綺羅ツバサという少女について詳しく知るため近くにいたツインテールの少女に聞いた。

 

「あの? この綺羅ツバサってどんな人何ですか?」

 

「はあ⁉︎ あんた綺羅ツバサを知らないの⁉︎ このオトノキ地方最強のポケモントレーナーよ! ちなみにNo.2とNo.3は同じグループの藤堂英玲奈と優木あんじゅよ!」

 

かなり興奮しながら穂乃果に怒ったように言うツインテールの少女に若干引き気味になりながら穂乃果は再度聞いた。

 

「じ…じゃあ…同じグループってどういう意味なんですか…?」

 

穂乃果が聞くとツインテールの女の子は『信じられない!』というような表情をした。

 

「あんた、A.RISEを知らないの⁉︎ オトノキ地方最強の3人のグループよ!」

 

鼻息荒くビジョンを指差しながら穂乃果に言うツインテールの少女に穂乃果が思わず愛想笑いを浮かべるとツインテールの少女は穂乃果からビジョンに視線を移し。

 

「悪いけどこれ以上聞くことがないならもう行ってくれる? 今からA.RISEの勝利のインタビューがあるんだから!」

 

ツインテールの少女は穂乃果にそう言った。穂乃果もおつかいがあったのでこれ以上ここにいる必要はない。「ありがとう」とツインテールの少女に言うと穂乃果はスーパーに向かって再び歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

ビジョンを見ていたせいで結構遅くなった。穂乃果が醤油と味醂を買ってスーパーを出た頃はもう真っ暗だった。早く家に帰るために近道をするために細い路地に入る。

 

「ここを左に曲がれば…」

「ちょっと…… やめ… さい……!」

穂乃果が路地を左に曲がろうとすると女性の助けを求める声が聞こえた。

 

「はあ… 本当に世の中仕方ないなあ…」

 

ため息をつきながら穂乃果はその声の方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にやめなさい! 何するのよ!」

「そんなに邪険にすんなよ、まあ、こんなところじゃあ助けなんて来ねーよ」

「諦めるんだな‼︎」

「ヒッヒッヒ…! なかなかべっぴんの娘だぜ!」

 

穂乃果が声のした場所に着くと3人のチンピラが赤髪の女の子に下品な笑みを浮かべながら近づいているところだった。

 

「だ… 誰か助けて…」

 

女の子が涙目になった。

 

「おい、じゃあさっそく…「はいはい、それまで」あぁ?」

 

穂乃果の声が男たちの声を遮った。声の聞こえた方を女の子が見た。

男たちは穂乃果を見るなり下品な笑みを浮かべた。

 

「こりゃなかなかの美少女だなぁ…」

「姉ちゃん、お前も混ぜてやろうか?」

 

「馬鹿なことを言ってないでさっさとどこか行きなよ」

 

男たちが穂乃果に言うと穂乃果がそう返したので男たちはカンカンに怒った。

「んだと! このアマ! 目にもの見せてやる! いけ! コイル!」

『ジジジ…』

「お前もだ! レアコイル!」

『ジジジジジ……!』

 

 

手前にいた、2人のチンピラがコイルとレアコイルを繰り出した。

 

「相手になってあげる… ファイトだよ! ギャラドス!」

『ギャーオ‼︎』

 

穂乃果はギャラドスを繰り出した。

穂乃果とチンピラたちとのポケモンバトルが始まった。

 

「ハハハ!でんきタイプにギャラドスを出すとはな! コイル! 電気ショック!」

「レアコイル! お前は十万ボルト!」

 

「ギャラドス、しゃがんで避けて!」

 

「何⁉︎ エレキボール!」

「レアコイル! お前もだ!」

 

 

チンピラたちのコイルとレアコイルの電気ショックと10まんボルトを地面に這いつくばり避けたギャラドス。

チンピラたちは一瞬驚いたが次の指示を飛ばし、コイルとレアコイルが2体でエレキボールを放つ。

 

「ギャラドス、ドラゴンテールでそのエレキボールを弾き返して!」

『ギャーフ‼︎』

 

「くっ…! コイル! 体当たりだ!」

 

ドガーーーーーン!!!!

 

ギャラドスがドラゴンテールでコイルたちのエレキボールを弾き返し、コイルたちにドラゴンテールで勢いを増したエレキボールがコイルに向かう。しかし、チンピラはコイルに体当たりを命じた。当然エレキボールがコイルに命中し爆発が起こり、コイルはダメージを受けた。

 

しかし、チンピラのコイルはエレキボールのダメージを受けてもギャラドスに突っ込んできた!

 

「えっ⁉︎ ギャラドス、噛み砕くで迎え撃って!」

 

チンピラの指示に穂乃果は一瞬だけ戸惑ったがすぐに冷静さを取り戻しギャラドスに噛み砕くを指示する。

 

『ギャー‼︎』

 

カブっ ガリガリガリ…

 

「くそっ! コイル! そこで電気ショック!」

「まずい! ギャラドス! 振り払って!」

 

チンピラがギャラドスに取って効果抜群であるでんきタイプの技、電気ショックを指示すると、穂乃果は慌ててギャラドスに振り払うように命じた。さすがに電気ショックのダメージは受けたが振り払ったことによりダメージは少なくてすんだ。

 

『ジュルルルルル〜……!』

『ジ⁉︎ ジジジ……!』

 

一方、ギャラドスに振り払われたコイルは後ろにいたレアコイルを巻き込んで地面に叩きつけられた。

叩きつけられた2体のうちコイルは戦闘不能になってしまった。

 

「ああっ! コイル!」

 

「おい! 何してんだ! さっさと起き上がれ! レアコイル!」

 

コイルの持ち主のチンピラは戦闘不能になったコイルを見て悲痛の声をあげる。

 

もう1人のチンピラは一方的に攻撃を受けているレアコイルに苛立った声で怒鳴った。

レアコイルはチンピラの声を聞いてフラフラしながら起き上がる。

 

「いけ! レアコイル! ラスターカノンだ!」

「避けて、破壊光線でとどめ!」

 

レアコイルが放ったラスターカノンを高く飛んで避けて破壊光線をレアコイルに向けて放った。ギャラドスの破壊光線がレアコイルに命中し煙が巻き上がる。煙が晴れると目を回したレアコイルの姿があった。

 

「レ、レアコイル!」

「2体とも戦闘不能だね…」

 

穂乃果は倒れて戦闘不能になったコイルとレアコイルを見た。

 

「くそ〜っ! もどれ! コイル!」

「くっ… おまえも戻れ! レアコイル!」

 

チンピラがレアコイルをモンスターボールに戻すともう1人のチンピラが穂乃果に負けたチンピラの肩を掴んだ。

 

「おいおい… 随分酷い負け方だなぁ…」

「で、でも兄貴! あいつ凄く強いですぜ⁉︎」

「ですよ! 俺たちのポケモンを2体とも返り討ちにしちまいやした!」

「大丈夫だよ。俺ならあいつなんてコテンパンに倒せる…」

 

『兄貴』と呼ばれた後ろで黙って見ていた大柄の体格のチンピラが穂乃果にのっそりと近づいた。

「よくもまぁ、ウチの奴らに随分してくれたなぁ…」

「自業自得でしょ?」

 

穂乃果の返しに兄貴分のチンピラはカチンときたらしく穂乃果をギロリと睨む。

 

「んだと! その減らず口黙らせてやるぜ! いけ! ジバコイル!」

『キュルル……』

 

「ギャラドスいける?」

『ギャーオ‼︎』

 

チンピラはジバコイルを繰り出した。穂乃果は引き続きギャラドスで挑む。

相性的には穂乃果が最悪だが、ギャラドスが『任せろ!』というように鳴き声をあげる。

そして、再びポケモンバトルが始まった。

 

「いけ! ジバコイル、電磁砲だ!」

「ギャラドス、高く飛んで避けてハイドロポンプ!」

ジバコイルの電磁砲を高く飛び上がることで上手く避け、水タイプの大技ハイドロポンプを決める。効果はいまひとつだとはいえ威力の高いハイドロポンプを防御もなく受けたジバコイルはハイドロポンプに押し切られ地面に叩きつけられた。

 

「何やってんだ! さっさと起きろ! エレキボール!」

「破壊光線で跳ね返して!」

 

チンピラに言われ起き上がったジバコイルはエレキボールをギャラドスに向けて放つレアコイルとは違う3つの電気の玉がギャラドスに迫る。しかし、ギャラドスも破壊光線を撃ち、ジバコイルこ放ったエレキボールと衝突した、パワーではギャラドスの破壊光線の方が上だったらしく、ギャラドスの破壊光線に押し切られてエレキボールが跳ね返される。

 

「体当たりで攻撃しろ! モタモタすんじゃねぇ‼︎」

「下に避けて下からハイドロポンプでフィニッシュ!!」

 

ギャラドスの破壊光線で跳ね返されたエレキボールが体当たりをしようとするジバコイルに衝突する。さらに破壊光線の攻撃も加わりジバコイルは大ダメージを受けた。フラフラになりながらギャラドスに向かうが自分の下から攻撃が来るとは思わなかったらしくハイドロポンプをもろに受けてしまった。ハイドロポンプの威力で勢いよく上空に舞い上がり地面に落ちて煙が巻き上がる。

煙が晴れるとそこには目を回して動けなくなっているジバコイルの姿があった。

 

「勝負あったね… それともまだやる?」

『ギャーオ‼︎』

 

穂乃果が静かにチンピラたちに言うとギャラドスがチンピラたちを大きな声で吠えて威嚇する。

それにチンピラたちは震え上がり、ジバコイルを慌ててモンスターボールに戻して、脱兎のごとく逃げ出して行った。

 

チンピラたちが完全に消えて見えなくなると穂乃果は逃げて行ったチンピラを見て呆然としている女の子に今度は駆け寄った。

 

「大丈夫だった? 怪我してない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー?side ー

 

逃げて行ったチンピラを呆然と見ている私に優しく声をかけて手を差し伸べてくれる女性、さっきまではチンピラとのバトルのせいでよく顔を見ることができなかったがようやくちゃんと見ることが出来た。

空のような大きな青い瞳に白い肌、すんなりとした鼻筋にチンピラたちが美少女と言っていたことが分かる。自分自身もそれを見て思わず「綺麗…」と呟いてしまった。

 

「えっ… あっ…」

 

その言葉に驚いたのか素っ頓狂な声をあげる女性、私はそんなあなたに思わず抱きついてしまった。

いきなり抱きついた私にオロオロし始めたが気にせずに思いっきり抱きつく。

 

(暖かくて気持ち良い… 太陽のような温もりがして凄く落ち着く… ずっとこのままでいたい…)

 

しばらく固まっていたけど私の頭をあやすように撫でてくれた。

 

「んっ♡」

 

思わず声がもれる。

顔がドンドン熱くなっていき胸がうるさいほどドキドキしている。

私、貴女のことが好きになっちゃった♡

 

ー?side endー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にありがとうございました! 名前、教えてください♡」

「ち… ちょっと…」

思いっきり穂乃果に抱きつきながらスリスリ甘えてくる目の前の赤髪の女の子、穂乃果が引き離そうとしても両腕を首に回して離さないようにしている。困ったように穂乃果がギャラドスに『助けて』と目でSOSを送るがギャラドスもさすがに人間相手に攻撃することはできずに困った表情を穂乃果に向けるだけだ。

黙ったままの穂乃果を抱きついたまま上目遣いで見ながら赤髪の女の子は聞く。

 

「ねぇ、貴女の名前はなんなの? 私は西木野真姫っていうの、真姫って呼んで、ねぇ、貴女は?」

 

穂乃果の名前を再度聞くために催促する。

 

(すごいグイグイくるな… この女の子… ん? 西木野真姫… どこかで…)

 

穂乃果が考えていると真姫は一層強く穂乃果に抱きついた。バランスを崩した穂乃果はそのままバタリと地面に倒れる。醤油と味醂は咄嗟に抱えていたおかげで無事だったが、

 

(え⁉︎ この子に押し倒されてる‼︎)

 

自分の現状を理解した穂乃果は慌てて逃げようとすると真姫は逃がさないとばかりに穂乃果の頭の両側に自分の両手をついて逃がさないようにした。

 

「ふふふ………」

 

押し倒した穂乃果を見ながら真姫が不気味な笑みを浮かべた。

さすがにこんな相手に名前を教えるのはまずいと思い咄嗟にサーナイトをボールからだし真姫をサーナイトのサイコキネシスで浮かび上がらせた。

「あっ! ちょっと‼︎」

怒った声で真姫が穂乃果に言うと、

「こ、今度会ったら名前を教えるから! じゃあね!!」

と言い、素早くギャラドスをボールに戻しその場を離脱した。

 

「あっ! 待って! 必ず貴女とまた再開するからね! そうしたらもう二度と離さないわよ…」

 

真姫はサイコキネシスで浮かび上がらされたまま穂乃果の後ろ姿を見て言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの女の子、恐ろしいことを言った気がするけど気のせいだよね…」

穂乃果はそう自分に言い聞かせながらその場を走って逃げた。

サーナイトは穂乃果が逃げるのを見るとすぐにサイコキネシスを解き穂乃果の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー怖かった…」

 

穂乃果はサーナイトをボールに戻しながらさっきの真姫のことを思い出して思わず身震いした。

(それにしてもさっきのあの赤髪の女の子、あの後、私をどうする気だったんだろう…)

 

そんなことを考えながら家の近くの交差点までくると、横断歩道を携帯をいじりながら渡っている女子高生がいた。

そこにかなりのスピードでトラックが走ってきた。

トラックの運転手は女子高生にも信号にも気づいていない。

女子高生はトラックに気づいたようだが驚いて動けないらしくその場に立ち尽くしている。

「危ない! ゲッコウガ! あの人を助けて!」

 

『コウガ‼︎』

 

ゲッコウガは穂乃果の指示を受けると凄いスピードで女子高生の元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー?sideー

今日は私にとって最悪な日だった…

 

朝、目覚まし時計のアラームが壊れてて寝坊し遅刻、慌てて家を出たせいで財布もお弁当も忘れた。

おまけにさっきのポケモンリーグでのバトルでは足を挫いたせいで歩くだけでもとても痛いのに最悪だ。

友達にLINEで愚痴をこぼしながら横断歩道を渡っているとLINEに夢中ですごいスピードで走ってきたトラックにすぐに気づかなかった。

あぁ、私は死ぬのか…

逃げようにも挫いた足と恐怖が足枷となって動けない。

諦めたように私は目を閉じた。

その時、私の体は強い衝撃で吹き飛ばされて…

 

 

 

 

ビュワッ

 

 

 

 

そう考えていると突然、思った衝撃とは違う衝撃がきた。

その衝撃はトラックにぶつかったような衝撃ではなく、抱きしめられたような衝撃だった。

 

 

 

 

 

ストッ

 

 

 

 

私を抱きしめていた人が着地すると私は恐る恐る目を開けた。

『コウガ』

そこには人間ではなくポケモンのゲッコウガがいた。ゲッコウガは私が目を覚ましたのを見るとゆっくり地面に降ろした。

地面に降ろされたとき、私は生きていることを確信した。五感もしっかりしている。

「ありがとう、ゲッコウガ」

『コウガ!』

私の後ろから明るい声が聞こえた。

どうやらその人が私を助けてくれたゲッコウガのトレーナーらしい。

「大丈夫ですか?」

私に声を掛けて私が振り向くことでようやく顔を見ることが出来た。

「綺麗な瞳…」

空のような青い瞳を見て思わず口に出してしまった。

「えっ? あ…」

女の子は驚いたように目をパチパチ瞬かせた。

な、なんてギャップなのかしら!

王子様のようにカッコよく私を助けてくれたとは違い今は、年相応の少女のように可愛い!

「あ、あの、大丈夫ですか? 顔が真っ赤ですよ!」

大丈夫な訳ないでしょ⁉︎ 私がこうなったのは貴女のせいなのよ! 責任とってよ!

って… こんな想像が思い浮かぶなんてこれじゃあ…

完全に惚れているじゃないの!

 

ー?side endー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にありがとうございました!」

「いえいえ、怪我がなくて本当に良かったです。それにお礼は私じゃなくてゲッコウガに言ってください」

「ありがとう、ゲッコウガ」

『ゲコ!』

頭を下げて穂乃果たちにお礼を顔を赤くしながら言う女性、ゲッコウガは誇らしげだったが、穂乃果は照れながらも内心は安心していた。

(間に合って良かった〜… 私のゲッコウガは本当に頼りになるよ…)

そんなことを考えていると穂乃果の手を握りながら女性は言った。

「あ、あの! 名前を教えてください! 私の名前は優木あんじゅです! あんじゅって呼んでください! 彼女はいません! 高校3年生です! 彼女はいません! A.RISEのメンバーです! 彼女いません!」

「えぇと… 高坂穂乃果です。 高校2年生です…」

矢継ぎ早に穂乃果に言うあんじゅさんに穂乃果が若干引き気味になりながら名前を言う。

(音ノ木坂の生徒じゃないし名前を言っても大丈夫だよね… にしてもこの人夕方ビジョンで見たA.RISEのメンバーだったんだ… ていうかなんで彼女を3回も言ったのかな? 普通は彼氏なんじゃあ…)

穂乃果の名前を聞いたあんじゅは目を輝かせながら穂乃果に顔を近づけて言った。

「穂乃果ちゃんっていうのね! いい名前ね! お礼したいから私の家に来てもらえる? いや! 来て!」

「ええっ⁉︎ ちょっと…」

穂乃果の腕を掴み強引に連れて行こうとするあんじゅに穂乃果がさっきのことを思い出し離れようとする。

ガシッ!!

「えっ⁉︎」

離れようとする穂乃果に抱きついて離さないあんじゅに穂乃果が驚くとあんじゅが穂乃果に抱きついたまま言った。

「ねぇ 来てよぉ〜 お礼したいのぉ〜」

「ひっ!」

顔を近づけ耳に息を吹きかけるように言うあんじゅにさっきの出来事がフラッシュバックし慌ててあんじゅから離れる。

「お、お礼は結構です! それじゃあ!」

穂乃果はゲッコウガをボールに戻し一目散にその場を去った。

「あっ! 待ってよ!」

あんじゅは追いかけようとしたが挫いた足の痛みで走れない。

穂乃果が去った後あんじゅは1人考えていた。

(今度会ったらあの子をA.RISEに勧誘しようかしら…?)

去った後、あんじゅがそう考えていたのを穂乃果は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果が家に帰るとお母さんと雪穂から「遅い!」と大目玉を食らった。

なぜこうも遅くなったのか理由を説明しその後の2人の態度を話すとお母さんはニヤニヤして、雪穂はすごく怖い顔で穂乃果を睨んだ。

その後、部屋で雪穂に散々問い詰められ穂乃果はすっかりヘトヘトになってしまった。

 

 

「わ、私… 何か悪いことをしたのかなぁ…」

雪穂に散々絞られた後、真意に気づかない穂乃果は1人そう呟いた。

 

 

 

1人意味の分かっていない鈍感はこの後たくさんの受難に巻き込まれていく、

高坂穂乃果の受難は始まったばかりだった。

 

 

 

 




ハーレムものは書いたことがないのでご指摘、感想よろしくお願いします。

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