オリキャラが多いです。
大我と飛彩と知り合った日から3日過ぎ、1日の授業が終わった放課後、生徒たちがそれぞれの友人たちと帰ろうとしている中、それは起こった。
ピーン、ポーン、パーン、ポーン
校内放送がかかった、みんなが何事かと騒ぎ始める。
「全校生徒の諸君、今から面白いイベントを開催する。 校庭のバトルフィールドに来たまえ」
教師の声ではない生徒の声で言った。
生徒たちは不審がりながらもバトルフィールドに行こうとするが、面倒だという理由で『行かない』という生徒たちもいた。
しかし、次の言葉で生徒たちは全員動くことになる。
「来ない生徒は学園警察の公安委員会に逆らった罰として、公安委員会が裁きを下す」
「「「「っ‼︎」」」」
教室にいた生徒たちの肩がビクリと跳ね上がり、弁当を急いで片付けバトルフィールドに向かう。
それは、穂乃果たちも同じだった。
一緒にいる海未やことりもバトルフィールドに苦々しい顔をして向かった。
ーバトルフィールドー
バトルフィールドに着くと穂乃果たちが着くと、既に3学年の生徒がたくさん集まっていた。
バトルフィールドの真ん中には台とマイクが置いてあり、バトルフィールドの反対側には黒い制服の公安委員会の面子がニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべていた。
「「穂乃果、海未、ことり(ちゃん、先輩)!」」
その時、先に来ていたのであろう希と真姫とも合流した。
海未が副生徒会長であるため理由を知っていそうな希に問いかける。
「さっきの校内放送はやっぱり公安委員会の仕業ですよね?」
希は苦々しい顔のまま「そうや…」と頷いた。
「でも、なんで公安委員会のことがこんなに広まっているんですか⁉︎」
海未がさらに希に問いかけた。
希は公安委員会のことが広まっている理由を説明した。
公安委員会がなぜこんなに広まっているかと言うと、空き地の事件の後、小宮が起こしたことが広まったからだ。
公安委員会と一般生徒がバトルをして公安委員会が敗北し、以前から公安委員会の壊滅を目論んでいた生徒会がその勝利した生徒を探そうとしたからだ。
公安委員会の悪名はそれ以前からもそれなりに噂として広まっていたらしく、公安委員会を知っていた一般生徒たちもが公安委員会に勝利したその生徒を探そうとした。
そのため、生徒会がその生徒に公安委員会の壊滅の協力の要請の接触するために生徒たちに聞いて回ることにした。
もちろん、副生徒会長である希のところにもその案は来て、希も彼女なら本当に公安委員会の壊滅のキーパーソンになるはずと思っていた。
彼女の得意の占いより確信の持てるものだった。
これにより狭い学院の中では話題になり公安委員会のことと、公安委員会に勝利した生徒のことが同時に広まった。
ところが、ここで問題が起こった。
公安委員会に勝利した生徒を探そうとした次の日、生徒会長がそれを聞きつけ、希を含めた他の生徒会メンバーにすさまじい剣幕で怒鳴り込みにきたのだ。
『何でもその生徒に協力は絶対に認めない』だそうだ。
生徒会のメンバーがどれだけその案のメリットを説明しても生徒会長は聞く耳を持たなかった。
最も生徒会長は日頃から自分たちの案は殆ど聞かないので今回のことは相談しておらず、怒鳴り込みにきた理由も生徒会メンバーは分からなかった。
結局、生徒会長の強引な捩じ伏せにより、生徒会メンバーの協力要請の案はすぐに取りやめとなり、生徒会メンバーや生徒会長の信頼する人だけで公安委員会の壊滅という結果になってしまった。
希も絵里に協力要請の案を持ちかけたが聞く耳は持ってくれず、苛立った絵里から公安委員会の壊滅作戦から外されてしまった。
希が説明し終わると同時に公安委員会のメンバーであろう女子生徒がバトルフィールドの真ん中に設置させれている台に登った。
公安委員会のシンボルである黒い制服と共に不敵な笑顔を浮かべながら、マイクの音声調節をすると体育祭の開会宣言をするかのように語りだした。
「さあ、皆さん、お集まりいただきありがとうございます、私は公安委員会のNo.4である別府と言います。 素晴らしき私たち学園警察の公安委員会の姿を拝められて光栄でしょう?」
別府と名乗った女子生徒がそう言うと全員が『あんたたちが呼び出したんだろうが!』と心の中で思ったが今は何かを言おうものならどんな仕打ちを受けるか分からないので口をつぐむ。
公安委員会のNo.4と言うことは実力も相当なものなのだろう。
そして、壇上の別府は声を高めて続ける。
「しかし、嘆かわしいことに学園の平和を守り公正を遵守する優れた私たち学園警察の公安委員会の公務を妨害した生徒がいましてね、その愚かな生徒を断罪するために皆さんを呼んだのです」
『断罪』その言葉が全員の心に黒い重りのようにのしかかった。
公安委員会の『断罪』とは何か、そういう考えが全員の脳内を渦巻く。
「それは、こいつらです」
別府が言うと同時に公安委員会の男子生徒が2人の女子生徒をバトルフィールドに連れて来た。
1人はオレンジに近い褐色のショートヘアーの髪型であり、大きな金色の瞳と猫のように柔らかな唇をした元気な印象を与える女子生徒。
もう1人はカーキ色の髪色にカチューシャを付けてピンク色の大きな瞳と柔和な顔立ちから優しげな印象を与える女子生徒だ。
「っ⁉︎」
その2人を見て穂乃果は目を見開いた。
それは、空き地で公安委員会にポケモンを奪われそうになり自分が助けた凛と花陽だったからだ。
穂乃果の態度に真っ先に気づいた海未が穂乃果に知り合いかと聞くが真姫が説明する。
「あの断罪される2人、私のクラスメイトよ…」
「ええっ⁉︎」
真姫の言葉にことりが驚きの声を上げる。
別府がざわめくギャラリーを見てニヤリと不気味に笑い、凛と花陽を前に出して声を張り上げた。
「さあ〜皆さん! この愚かな2人は1年生の星空凛と小泉花陽というのですが、私たち公安委員会にポケモンバトルを身の程知らずにもほどがあるに等しいと言うのに挑んできましてね、当然、弱いトレーナーなので結果は敗北でした。 なので、学園警察らしく弱いトレーナーの元からポケモンたちを解放させてあげようとしたのですが拒否しましてね、注意すれば抵抗するばかり、なのでポケモンたちのためにもお仕置きをしようと思いましてね〜…」
凛と花陽はその言葉を聞いて肩を震わせていた。
誰もが暴論だと考えたが今日は放課後だが部活がなくて教師陣も帰っており、頼るものは何もおらず助けたら自分たちが被害を被るだけだと思ったからだ。
見て見ぬ振りをする生徒たちを見て別府は勝ち誇った笑みを浮かべた。
そして、急に優しい声色で凛と花陽の肩を掴んで語る。
「でも、私たちもただお仕置きをするばかりではありません。 みなさんも納得しないでしょう、なので、私たちともう一度この2人がバトルして勝利すればこの【断罪】はなかったことにしましょう、しかし負けたら弱くて使えないトレーナーなのでポケモンたちを解放するためにこの2人を【断罪】し、2人のポケモンは私たちが保護します」
「⁉︎」
別府は公安委員会のメンバーとポケモンバトルをして負けたらポケモンを保護という名の奪う行為をしようとするのだ。
一般生徒と公安委員会との勝負の結果は見えている。
凛も花陽も涙を堪えて自身のモンスターボールを握りしめた。
バトルフィールドでは公安委員会のメンバーが既にバトルスタンバイをしている。
そして、手前にいた凛が別府に押されるように反対側のバトルフィールドに強引に立たされた。
そして、ポケモンバトルが始まった。
ルールは1vs1のバトルだ。
凛の相手は空き地の時の相手だった荒川だ。
荒川は凛を見据えると「あの時と同様に無様な負け姿を晒すんだな!」と吐き捨てた。
バトル開始の宣言と同時に両者がポケモンを繰り出す。
凛はでんきタイプのサンダース、荒川はどく、じめんタイプのニドクインを繰り出した。
相性から見ても凛の方が不利だった。
結局、ニドクインの繰り出したサンダースに効果抜群のじめんタイプの技、ニドクインの大地の力でサンダースは戦闘不能となった。
次の花陽の相手はこれもまた空き地の時の相手である岩尾がつとめる。
岩尾も「あんたみたいな雑魚が私みたいな強者に勝てるわけがない」と毒を吐いてバトルフィールドに向かった。
バトルが開始され花陽はくさ、フェアリータイプのモンメン、岩尾はあく、ほのおタイプのヘルガーを繰り出した。
これも相性が花陽が不利だった。
結果的に花陽のモンメンは一撃もヘルガーに与えられず、ヘルガーの火炎放射で消し炭のようになり戦闘不能になってしまった。
力の差は圧倒的だった。
別府は荒川たちに敗北した2人を見下した目で見るとギャラリーを見て高らかに声をあげた。
「さあ〜皆さん! たった今、この2人が使えないトレーナーだということが証明されましたね! 私たちはこの2人のポケモンを今から保護します! あんな弱くて使えないトレーナーの元にいるより強者の私たちの元にいる方がポケモンたちも幸せになるはずです! さあ、早くポケモンを出しなさい!」
別府がそう言って寄越せと手を出した。
「い、嫌です…!」
凛たちは後ずさった。
ポケモンたちはトレーナーにとって大切な仲間だ。
凛と花陽はそれを手放すことができるはずがなかった。
拒絶な言葉を聞いた荒川と岩尾は花陽たちに詰め寄った。
「ああ? あんたらさあ、あたしたちがせっかくあんたたちのような使えないトレーナーからポケモンたちを解放してやるっていってんのよ? さっさとありがたく寄越しなさいよ」
「そうそう、あんたらなんかがいくら頑張っても使えない奴は使えない奴のままなんだよ」
余りの酷い言葉にギャラリーからも不平の声がザワザワと聞こえてきた。
「相変わらず最低な人たちですね…!」
「何であんな暴動が許されているのよ……!」
「生徒会は今日は地域のボランティア活動の報告として先生と市役所に行ってるからなぁ……! その隙を突いたという訳やな……!」
海未と真姫と希が公安委員会に怒りを燃やしている。
ことりは声には出さなかったが怒っているのは確かだ。
「………」
1人何も声を出さず俯いているのは穂乃果だ。
何かを考えるように黙っている。
バトルフィールドではいつまでもポケモンを差し出そうとしない凛たちに荒川たちが殴りかかろうとした。
しかし、別府がそれに『待った』をかけた。
そして、再び全員を悪どい顔で見渡しとんでもない事を言ったのだ。
「なら〜 今からあなたたちギャラリーの人たちから1人代表で私たちとポケモンバトルしてもらいまーす、それで、私たちに勝利できたらこの2人の罪は見逃しましょう。 しかし、負けたらその人もトレーナーとして使えない奴なのでポケモンを保護します〜」
この言葉にギャラリーの空気が凍った。
つまり、自分たちのポケモンまでも奪うというのだ。
別府は凍りついたギャラリーを無視するかのように明るい元気な声でマイクを片手に持った。
「このマイクを受け取った人がみんなの代表でーす、ではいきますよぉ〜」
別府は結婚式で花嫁がブーケを投げるかのようにマイクを放り投げた。
これが、結婚式のブーケなら取り合いをするところだが、今のこのブーケは悪夢のブーケだ。
全員がマイクから離れようと走り始める。
パシッ
「⁉︎」
その時、誰かがマイクを掴んだ音がした。
別府は顔を輝かせて、ギャラリーはその人物を哀れそうに見た。
悪夢のブーケならぬマイクを取ったのは…
「そのバトル… 私が相手になります」
その人物は取ったマイクを放り投げるとオレンジ色のサイドテールの髪を風になびかせながらバトルフィールドに立った。
荒川と岩尾はその人物を見て凛たちを恫喝する事を忘れて目を見開いた。
その人物は自分たちが空き地でポケモンを奪おうとした時に颯爽と現れて自分たちを返り討ちにした人物だ。
その人物は凛と花陽に微笑みながら話しかけた。
「大丈夫だよ… 私があなたたちを助けて見せるから」
それを見て凛と花陽のほおがこんな状況だと言うのに自然と緩んだ。
((また、助けにきてくれた!))
2人は顔を見合わせて同じ言葉を思い、微笑みあった、そして。
((きっと、もう大丈夫!))
2人は何故かそう思えてならなかった。
「へー、貴女は誰なのかしら?」
初対面の別府は自分が投げたマイクを受け取り、バトルフィールドに来たサイドテールの人物に薄気味悪い笑みのまま問いかけた。
「私の名前は、高坂穂乃果です」
穂乃果が無表情で別府に返すと、別府はニヤリと笑い、荒川たちに目で合図をおくった。
そして、公安委員会と穂乃果のバトルが始まるまで時間はかからなかった。
ご指摘、感想を良かったらお願いします。
受験生になるので執筆はかなり遅くなり、次回がいつになるか分かり兼ねますが次回も読んでくださると嬉しいです。