ポケットモンスターミューズ   作:sunlight

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この小説はオリジナル設定です。
2部作の予定でしたが予定を変更して3部作になりました。
今回は中編です。
公安委員会のポケモンはリクエストを参考にしました。



公安委員会とのポケモンバトル 穂乃果VS小宮 中編

小宮と穂乃果のフルバトルが空き地で行われているころ、海未たちはムクホークに導かれ空き地に向かっていた。

 

『ホーク‼︎』

 

ムクホークが空き地の入り口で地面に降り翼でここだと海未たちに伝えた。

 

「ここですね、ありがとうございます、ムクホーク」

 

海未はここまで案内をしてくれたムクホークにお礼を言うとモンスターボールに戻し、空き地を見た。

ことりたちも海未の後に続く。

そこでは、穂乃果と希が言っていた黒い制服を来ていた公安委員会であろう人たちが向かい合いながら立っていて、その中の1人が穂乃果とポケモンバトルをしていた。

 

「穂乃果!」

 

「っ⁉︎ う、海未ちゃん⁉︎ みんなも…」

 

海未が思わず声をかけると穂乃果が驚きこ声を上げながら空き地の入り口を見た。

小宮も近衛たちも声のした空き地の入り口を見る。

小宮は海未たちが穂乃果の仲間だと言うことに気付いたらしく、また侮辱するような不敵な笑みを浮かべながら不快な言葉を放った。

 

「おいおい… お仲間のお出ましかぁ? 弱者は常に群れているんだよなぁ… 学園の平和を守っている正義の味方である公安委員会に楯突く常識のない奴が多いな… まあいい、こいつを叩きのめしたら、お前らもまとめてお仕置きしてやるよ…」

 

小宮は海未たちを見下した目で見て下品な笑みを浮かべながら不快な言葉を並べた。

海未たちは小宮の言葉を聞いて希が話していた悪名高い公安委員会だと気付いた。

 

「何が学園の平和を守っているですか⁉︎ 公安委員会という名をかざして、人からお金やポケモンを奪ったりする人たちのことを正義とは言いません!」

 

「フン、なんとでも言えよ… お前らのような弱者に何を言われても俺は痛くもかゆくもない…」

 

小宮の言葉に、正義感の人一倍強い海未が小宮に臆する事なく小宮に言い返したが、小宮は見下した姿勢を崩すことなく海未たちを見てさらに侮辱するような不快な言葉を放った。

 

「ちょっと、貴方ね…!「小宮さん」…⁉︎」

 

真姫が海未の前に出て小宮に避難の眼差しを向けながら言い返そうとするが途中で誰かがその言葉を遮った。

真姫もみんなも驚いてその声のした方を見ると、

 

 

「貴方の相手は私のはずです。 みんなは私を心配して来てくれただけです。 みんなは関係ありません。 それにバトルに支障はないはずです、早く続けましょう?」

 

その声の主は穂乃果だった。

穂乃果が『みんなに手を出すな』と言いたげな眼差しで小宮を睨みつけながら言うと、小宮が嘲笑いながら言い返した。

 

「フン… まあいい… 見るのなら許可してやるよ… お前らもそこで、こいつが俺に無様に負けるのを見ていろよ…」

 

小宮が穂乃果を指差しながら、更に侮辱するような言葉を言うと海未たちは小宮をさらに怒りのこもった眼差しで睨みつけたが小宮はそれを見て、フンと鼻で笑いプテラに指示を出した。

 

「いけ! プテラ! 原始の力だ!」

 

『テーラー‼︎』

 

「オニドリル! 高速移動でかわして、ドリルくちばし!」

 

『クワァーーー‼︎』

 

 

小宮はプテラにオニドリルにとって効果抜群の原始の力を指示を出す。

プテラの周りに5つの岩の塊が浮かび上がり、オニドリルに向かって飛ばした。

しかし、穂乃果はオニドリルに高速移動を指示してかわした。 二回の高速移動で上がった素早さで岩の塊をかわしてドリルくちばしをプテラに決める。

 

「負けるな! プテラ! 至近距離から原始の力!」

 

『テーラーー‼︎』

 

 

ドガガガガガガガガガガガ………!

 

 

『クワァーーー!』

 

 

プテラはドリルくちばしにより近づいたオニドリルに至近距離から原始の力を決める。 オニドリルは至近距離だったので上手くかわせず効果抜群の岩の塊をもろに受けてしまう。

 

「効果抜群か…! 大丈夫⁉︎ オニドリル!」

 

『ク、クワァー……!』

 

辛そうなオニドリルを穂乃果が心配するとオニドリルは『大丈夫』と言うように鳴いた。

 

「プテラ! 畳み掛けろ! 雷の牙!」

 

『テーーーラーーーー‼︎』

 

効果抜群の技を至近距離で受けて辛そうにフラフラしているオニドリルに小宮が容赦なく追撃の同じく効果抜群の雷の牙をプテラに指示する。

プテラは口の牙にでんきを纏わせながら一直線に突っ込んでオニドリルに噛み付く。

 

ガブッ!

 

ギリリリリリリリリリリリ……!

 

 

『クワァーーー!』

 

 

「負けるな! オニドリル! ギガインパクト!」

 

 

プテラの雷の牙をまともに受けたオニドリルは苦しそうな表情を浮かべたが穂乃果の声を聞き、力を振り絞って至近距離でギガインパクトを放った。

 

ドガーーーーーーーーン!!!!

 

 

『テーラーーーー‼︎』

 

 

「何してんだ‼︎ 原始の力!」

 

『テ…テラーー‼︎』

 

 

ヒュヒュヒュヒュヒュヒュ……!

 

ドガーーーーーーーーン!!!!

 

 

『クワァーーー‼︎』

 

 

ドガーーーーーーーーーーーン!!!!

 

 

至近距離から受けたギガインパクトによりプテラは避けることができず真っ逆さまに落ちていく、しかし、プテラも負けじとオニドリルに原始の力を最後の力を振り絞って放った。

お互いの技を受けたオニドリルとプテラは地面に同時に落ち煙が巻き上がった。

 

 

「オニドリル!」

 

「プテラ!」

 

煙が晴れると地面に落ちて目を回しているオニドリルとプテラの姿があった。

ダブルノックダウンだ。

 

 

「オニドリル、プテラ、共に戦闘不能!」

 

戦闘不能になったプテラとオニドリルを見て、近衛が両者戦闘不能だと言う声をあげた。

 

 

「オニドリル、よく頑張ったね。 ゆっくり休んでね」

 

「チッ… 使えねぇ奴だ… あんなギガインパクトくらい耐えろよな…」

 

戦闘不能になった後でも、ポケモンを優しく労う穂乃果とは対照的に小宮はプテラを労うことなく舌打ちをしながらモンスターボールに戻し、また暴言を吐いた。

プテラは申し訳なさそうな顔をしていたが小宮は見向きもしなかった。

小宮はプテラのボールをポケットに入れるとまた別のボールをとりだした。

穂乃果も次のポケモンを繰り出すために次のボールを繰り出した。

 

 

「もう一度いけ! パルシェン!」

 

 

「ファイトだよ! サーナイト!」

 

 

穂乃果はエスパー、フェアリータイプで女性のような姿をしていてドレスを着ているようなポケモン、サーナイトを繰り出し、小宮は紫色の2枚重ねの貝から顔を覗かしているポケモン、パルシェンを繰り出した。

 

 

『サ、サーナ…』

 

 

穂乃果のポケモンのサーナイトはバトルフィールドに出るなり、先ほどのパルシェンの撒菱の効果で足元で小さな爆発が起きてダメージを受けた。

 

 

両者がポケモンを繰り出したことによりポケモンバトルが再開された。

 

 

「まずは、サーナイト、ゆうわく」

 

『サーナー』

 

 

穂乃果の指示を聞き、サーナイトは胸のあたりから出たハート型の粒子をパルシェンに向けて飛ばした。

 

「パルシェン! 高速スピンで弾け!」

 

『ルーシェーーン‼︎』

 

 

シュパパパパパパパパパパパパ………!!

 

 

対する小宮はパルシェンに高速スピンを指示し、ゆうわくのハートを全て弾き防御した。

 

「今度はこっちからだ! パルシェン! 地面に冷凍ビーム!」

 

『シェーーーン‼︎』

 

 

小宮はパルシェンに地面に向けて冷凍ビームをするように指示した。

パルシェンの口から放たれた氷のビームが地面にあたり、たちまちバトルフィールドが氷のフィールドになっていく。

サーナイトは氷のフィールドになったことにより地面が滑りやすくなりヨロヨロしていた。

 

「今だ! パルシェン、サーナイトに近づいてつららばり!」

 

『シェーーーン‼︎』

 

ドガッ ドガッ ドガッ……!

 

『サーナー‼︎』

 

「サーナイト!」

 

パルシェンは氷のフィールドを上手く殻にこもりながら滑り、サーナイトの近くに素早く接近し、つららばりを放った。 パルシェンの口から勢いよく放たれた鋭い氷の槍が滑りやすい氷のフィールドで上手く立たずヨロヨロしているサーナイトに直撃し、サーナイトは後ろに吹き飛んだ。

 

 

(なるほど… つららばりが5発全弾放たれたということはあのパルシェンの特性はスキルリンクか… それと、地面を凍らせて相手の動きにくくする作戦か… ちょっと厄介だけど… でも、それなら)

 

「サーナイト! 自分にサイコキネシス!」

 

『サーナ』

 

 

フワ…

 

「⁉︎」

 

穂乃果はサーナイトに自分に向けてサイコキネシスを放つように指示した。

サイコキネシスをサーナイトが自分に向けて使うと、サーナイトの体が地面から浮き上がった。

小宮の氷のフィールドにする作戦は地面に足がついてないと意味がない、なら、こうやって自分のサイコキネシスで浮いていればいいだけのこと。

自分の作戦に上手く対処された小宮は驚き、舌打ちをし、顔をしかめた。

 

 

「チッ… でも空中なら逃げ場はない! パルシェン! もう一度つららばりだ!」

 

『シェーーーン!』

 

 

「サーナイト! テレポートで避けて! マジカルリーフ!」

 

『サーナー』

 

 

シュパパパパパパパパパパパパ……!

 

 

ドガーーーーーーーーーン!!!!

 

 

ひこうタイプのポケモンとは違い、サイコキネシスで浮いているだけのサーナイトは空中では上手く動けないと思った小宮はパルシェンにもう一度つららばりを指示した。

しかし、穂乃果はサーナイトにテレポートを指示し、いとも簡単に避けられる、そして、パルシェンの後ろに周り、サイコパワーでつくった数十枚の葉をサーナイトの周りに素早く浮かび上がらせてパルシェンに放った。

効果抜群のマジカルリーフを受けたパルシェンはフィールドの後ろに吹き飛ばされる。

さらに、特性がスキルリンクなため、攻撃が急所にあたらないなんてことはなくたくさん放ったマジカルリーフの数枚がパルシェンの急所に当たったらしくパルシェンはかなりのダメージを受けていた。

小宮は驚いて思わず穂乃果に言った。

 

「なっ⁉︎ お前のサーナイトはテレポートが使えるのか⁉︎」

 

「はい、私のサーナイトは技のバリエーションの多さが長所ですから」

 

驚く小宮に対して穂乃果は少しだけ微笑みながら返した。

それが、余裕をみせているようで癇に障ったのか、小宮は苛立った声で次の技を指示する。

 

 

「パルシェン! ハイドロポンプだ!」

 

「サーナイト! テレポート!」

 

パルシェンのハイドロポンプをサーナイトはさっきと同じように避けて、姿を消した。

 

「パルシェン、高速スピンだ! フィールドを動き回れ!」

 

「っ⁉︎ サーナイト、下がって!」

小宮の指示にパルシェンは高速スピンを使った。

それを聞いて、穂乃果はサーナイトに下がるように指示し、サーナイトはさっきと同じ位置に姿を現したが、氷のフィールドをベーゴマのように回りながら、つまり高速スピンをしたまま動き回るパルシェンが突っ込んできたのだ!

サーナイトは避けようにも避けきれず、高速スピンのしたままのパルシェンに体当たりされ吹き飛ばされる。

 

「サーナイト!」

 

「ククク… 驚いてる暇はないぜ! パルシェン! そのまま高速スピンでフィールドを動き回れ!」

 

 

『シェーーーン!』

 

 

「サーナイト! マジカルリーフ!」

 

 

パルシェンは高速スピンをしたまま氷のフィールドを動き回る。

穂乃果はパルシェンの動きを止めようと効果抜群のマジカルリーフを放つように指示したが、

 

「パルシェン! 高速スピンでマジカルリーフを弾け!」

 

『シェーーーン!』

 

 

シュピピピピピピピピピピピピピピピピピ……!

 

 

ドゴッ

 

 

『サーナー‼︎』

 

 

パルシェンはマジカルリーフを高速スピンで弾き、そのままサーナイトに突っ込んでいく、サーナイトは避けきれず高速スピンをまともに受けてしまう。

いくら高速スピンの威力が低いといっても何回も受けてしまえばダメージは蓄積されていき最終的には追いつめられてしまう。

 

 

(あの高速スピンをなんとかしてとめないと…)

 

 

穂乃果は懸命に頭を働かせ、この状況を打破する方法を考えた。

パルシェンのあの防御力と高速スピンによりマジカルリーフは弾かれてしまった。 他の攻撃も弾かれる可能性が極めて高い。

さらに、氷のフィールドになった以上、本来パルシェンにはないはずの素早さが加わり、高速スピンの体当たりを避けることも難しくなっている。

このままでは、サーナイトの体力が尽きるのも時間の問題だ。

状況は穂乃果にとってすこぶる悪かった。

その時…

 

 

 

(………ん? 待てよ… そうか! あれを使えば!)

 

 

 

 

穂乃果の頭の中にピカッと閃光のようにこの状況を打破できるアイデアが閃いた。

 

(これなら、もしかしたらいけるかもしれない!)

 

 

「パルシェン! サーナイトを角に追い込め!」

 

『ルーシェーーン!』

 

「サーナイト! 一旦戻って!」

 

 

小宮がサーナイトを追い込めて攻撃しようとしていたが穂乃果がそれよりも早くサーナイトをボールに戻した。

小宮はサーナイトをボールに戻したことに、一瞬驚いた顔をしたがすぐにニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべて見下した態度をとりながら、さらに侮辱するような不快な言葉を放った。

 

 

「なんだ? サーナイトなら勝てないと思っての交代か? 弱者にしてはいい判断だと思うが、氷のフィールドになった以上、お前じゃ俺に勝つのは不可能だなぁ… ここで無様に負けるより素直に俺に土下座してさっきの非礼を詫びてポケモンを渡した方がまだ良いと思うけどなぁ…」

 

『お前の大切な仲間も見てるしな』と小宮は海未たちの方を指差しながら穂乃果に言った。

フィールドを味方につけた小宮は自分の勝利を確信しているようだ。

 

 

 

「どこまで最低な人なんですか……!」

 

「あんなのが学園警察だなんて信じられない……!」

 

「どれだけ人に不快な思いをさせれば気がすむのよ……!」

 

「最低どころか良心の欠片もあらへん奴やなあ……!」

 

 

 

小宮の口から次々と放たれる不快な言動に海未たちは怒りの表情を浮かべながら小宮に非難の言葉を浴びせた。

 

「フン… なんとでも言えよ… お前らのような弱者に何を言われても痛くも痒くもないぜ… 弱い奴ほどよく吠えるとよく言うからなぁ… 俺は学園警察の公安委員会のNO.3だ… 学園警察は学園の正義だ…! 学園警察の公安委員会のやる事が常に正しいんだよ……! お前らのような弱者は俺たちに黙って従っていればいいのさ‼︎」

 

海未たちの言葉を聞いた小宮は全然悪びれもせず、海未たちの方を見て不敵な笑みを浮かべながら不快な言葉を投げかけていった。

最後に小宮は自分を睨みつける海未たちを鼻で笑うとバトルフィールドに向き直った。

バトルフィールドでは、穂乃果がサーナイトのボールをポケットにしまい新たなボールを構えていた。

小宮を射殺すような冷たい視線を向けていたが…

小宮はその視線に一瞬たじろいだがすぐに気を取り直して、不快な言葉を投げかける。

 

 

「次のポケモンを早くだせよ… お別れは済んだようだからなぁ…」

 

「わかりました。 私の4体目はこのポケモンです。 ファイトだよ! ヨノワール!」

 

『ヨルー…』

 

 

穂乃果が次にだしたポケモンは大きな浮遊霊のようなポケモンで、ゴーストタイプのヨノワールだった。

ヨノワールを見るなり小宮は不敵な笑みを浮かべた。

 

 

「お前はバカか? 俺のパルシェンのスピードを見ただろうが、おれのパルシェンを止めるにはそれ以上のスピードのポケモンじゃないと止められないんだよ…こんな簡単なことも分からないなんて、やっぱりお前のポケモンたちは俺がもらってやった方が良いよなぁ…」

 

 

 

小宮の侮辱的な言葉に黙って聞いていた海未たちだったが、小宮の主張は正しかった。

ヨノワールはかなり動きが遅いポケモンだ。

パルシェンも動きは遅いが、あの氷のフィールドと高速スピンを組み合わせた攻撃でかなりの素早さになっている。

これなら、まだサーナイトの方が良かったかもしれない。

海未たちもどうして穂乃果がこのタイミングでヨノワールをだしたのかが分からなかった。

さすがに心配になり穂乃果の方を海未たちが見ると、

 

 

「大丈夫だよ、みんな」

 

 

海未たちは驚いた。

視線の先には穂乃果がいつもの優しさ溢れる笑顔を浮かべながら自分たちに微笑みかけていたからだ。

それは、この状況でも、なんの焦りも感じさせない強い笑みのようにも感じられた。

 

 

「私はあんな人には絶対に負けない、みんなをあんなに侮辱したことは許せないからね。 小宮さん、私はこの後は今、バトルフィールドに出ているヨノワールで貴方の残りのポケモン全て倒します! 貴方のその腐りきった性根と捻じ曲がった根性を叩き直して、無駄に高いプライドを粉々に打ち砕いてみせますよ…!」

 

穂乃果は海未たちに微笑みかけながら言った後に、小宮に向きなおり指を突きつけて挑戦的な言葉を放った。

 

 

「フン、一丁前にカッコつけやがって… やれるものならならやってみろよ! パルシェン! 高速スピンでヨノワールに体当たりだ!」

 

『ルーシェーーン‼︎』

 

 

パルシェンは高速スピンをしながらサーナイトにしたようにヨノワールに向かっていった。

 

 

「………」

 

 

しかし、穂乃果はヨノワールに指示を出さないでいた。

氷のバトルフィールドをアイススケートのようなスピードで向かってくるパルシェンはヨノワールに5秒も経たずに目前にまで接近した。

小宮が攻撃が当たるのを確信して口元を緩めたその瞬間、

 

 

 

「ヨノワール、トリックルーム!」

 

 

 

『ヨルーー……!』

 

 

 

フシャアアアアアアアアアアアアアアアン………

 

 

 

穂乃果がそう言うと同時にヨノワールは目から桃色の光線を発射してバトルフィールドの時空が歪み、桃色の四角い空間になった。

 

 

「ヨノワール! 避けて、シャドーパンチ!」

 

 

『ヨルー…!』

 

 

ドゴッ バキッ

 

 

『シェーーーン!!』

 

 

「な、何だと⁉︎」

 

 

小宮の驚きの声が響き渡った。

ヨノワールの技、トリックルームが発動した瞬間、あれだけ素早かったパルシェンの動きが急に鈍くなりヨノワールに軽々と避けられ、シャドーパンチを受けてパルシェンはフィールドの端まで吹っ飛ばされたからだ。

 

 

「続けて、かみなりパンチ!」

 

「パ、パルシェン! フィールドを滑って避けるんだ!」

 

『ヨルー……!』

 

 

ドガッ

 

 

『シェーーーン!!!』

 

 

パルシェンは氷のフィールドを使って避けようとしたがトリックルームの素早さが遅いものから行動できるという効果で回り込まれ、効果抜群のでんきタイプの技であるかみなりパンチを受けてしまった。

 

 

『シェーー…』

 

 

「何してんだ! しっかりしろ!」

 

 

さらに今のヨノワールのかみなりパンチがパルシェンの急所に当たったらしくパルシェンは通常以上のダメージを受けて辛そうだった。

しかし、小宮はパルシェンの状態など気にせずに早くヨノワールに攻撃をしろと怒鳴りつける。

 

 

「ヨノワール! トドメのかみなりパンチ!」

 

 

ドガーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

『シェーーーン!』

 

 

動きの鈍くなったパルシェンに穂乃果がヨノワールにトドメのかみなりパンチを指示し、トリックルームで上がったヨノワールの素早さでパルシェンに電光石火の勢いで近づき、至近距離でかみなりパンチを放った。

パルシェンは悲鳴が響き渡り、煙が晴れると地面に埋もれて目を回しているパルシェンの姿があった。

 

 

「ば、馬鹿な… こんなのあり得ない……」

 

 

それを見て小宮は放心状態になっていた。

恐らく、あれほど優位に自分が立っていた戦況をあっさりと覆されたことに理解が追いついていないのだろう。

それは海未たちも、他の公安委員会のメンバーも同じで、その場にいた穂乃果以外の全員が驚きに目を見開いていた。

 

 

「小宮さん、御託を言ってないで早く続けましょう? 弱者に負けて悔しくないんですか?」

 

そんな中で穂乃果が冷静に小宮にさっきと同じように挑戦的な言葉を投げかけるとプライドのの人一倍高い小宮は分かりやすく反応した。

 

 

「くっ… この役立たずめ! いけ! オノノクス!」

 

『ノォォォォォォォォォォクゥゥゥゥスゥゥゥ!!』

 

小宮は自分がさっきまで見下していた相手に挑戦的な言葉を投げかけられ、簡単に戦況を覆されたことにかなり苛立っているらしく、パルシェンを押し込むような風にしながら乱暴にモンスターボールに戻し、半ばヤケクソでポケモンを繰り出した。

 

穂乃果はそんな小宮の様子をを見てニヤリと笑い、ヨノワールを見上げて大きな声で言った。

 

 

 

「さあ! ここからだよ! ヨノワール!」

 

 

『ヨルーー……!』

 

 

穂乃果の言葉にヨノワールは小さくとも威勢良く鳴いて穂乃果の言葉に応えた。

 

 

そして、再びポケモンバトルが再開された。




ここまでです。 変な終わり方ですいません。
2部作を予定してましたが3部作になってしまいました。
ご指摘、感想を良かったらお願いします。

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