ポケットモンスターミューズ   作:sunlight

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この小説はオリジナル設定です。


副生徒会長と穂乃果

岩川とのポケモンバトルが終わり穂乃果は自分を待っていてくれた海未たちと帰ろうとすると

 

「そこの君、ちょっと良いかな?」と誰かに呼び止められた。

 

声のした方に穂乃果が振り向くとそこには副生徒会長が笑顔で立っていた。

 

「何の用でしょうか?」

 

穂乃果は少し顔をしかめて副生徒会長に言うと

 

「そんな怖い顔せえへんで欲しいな〜」

 

 

穂乃果に対して副生徒会長は陽気な笑顔で返し、「ちょっと2人きりでお話せえへん?」と穂乃果に言った。

穂乃果は怪訝そうな顔をしたが先輩なので断れず海未たちに「先に帰って」と

言い副生徒会長の所へ行った。

穂乃果が副生徒会長の所に行くと、

 

 

「ここじゃ、ちょっとアレだから別の場所でお話しようよ」

 

「……」

 

副生徒会長が穂乃果に笑顔でそう言うと副生徒会長はいきなり穂乃果の手を引っ張り、まるで逃がさないと表現するように穂乃果を連れて行った。穂乃果はさらに顔をしかめたが疑う要素はないので黙ってついて行った。

 

 

 

「………」

 

そんな副生徒会長と穂乃果を物影からじーっと見ている人物がいた。

しかし、2人は全く気づかずに歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー校舎裏ー

 

「さて、ここなら邪魔は入らんやろ」

 

「……」

 

副生徒会長が笑顔のまま穂乃果に言った。

穂乃果が副生徒会長に連れてこられたのは校舎裏だ。どこの学校も同じのように校舎裏は普段から人通りが少なく放課後の時間になると人通りなんてほとんどない。おまけに校舎側の反対側はブロック塀で囲まれており副生徒会長の言う通り誰にも話の邪魔をされる心配はない。

 

「……」

 

しかし、だからこそ穂乃果は不安だった。

漫画やドラマなどではこう言う人通りの少ないところで先輩に呼び出されるとカツアゲや暴力を振られるからだ。

おまけに『副生徒会長は生徒会長と仲がいいらしいからあの時のポケモンバトルのことを根に持って自分に復讐しに来たのかもしれない』と言うとんでもない妄想が浮かびあがってきた。

穂乃果は一瞬そんな映像が頭をよぎり身震いした。

穂乃果は自分を少しでも落ち着かせようと小さく深呼吸をした。

そんな穂乃果を見て副生徒会長がふふっと笑い。

 

「そんな硬くならんでもええよ〜? 別にウチは君に何かをするために連れてきたんやないよ〜?」

 

「それなら何で私をこんな所に連れてきたんですか?」

 

副生徒会長が穂乃果に優しい声で言ったが穂乃果は緊張を崩さない姿勢で副生徒会長に聞く。

穂乃果の問いに副生徒会長はニッコリと笑い

 

「そんなの決まってるやん、君がどうしてあんなにポケモンバトルが強いかを聞くために来たんや!」

 

副生徒会長が笑顔で穂乃果に言うと穂乃果は驚いた顔をした。

 

「何ですか? もしかしてヒーローインタビューみたいなヤツですか?」

 

「そうや! 理解が早くて助かるわ〜」

 

穂乃果の問いに副生徒会長は笑顔で返す。

 

(なんだ… 考えすぎか…)

 

穂乃果は安心して緊張がほぐれたのか笑顔になる。

それを見て副生徒会長は穂乃果の隣にやって来た。

 

「さあ〜 高坂穂乃果さん? 貴方の強さの秘訣とは何ですか?」

 

副生徒会長が変わらない調子で自分の右手をマイクの形にして穂乃果に聞くと穂乃果は微笑みながら質問に答えた。

 

「ふふっ、そうですね、私の強さの秘訣はどんな時でも自分のポケモンをを信じていることですかね」

 

穂乃果が返答すると今度は副生徒会長は穂乃果にこう聞く。

 

 

 

 

「それだけではないと思うな〜」

「えっ?」

 

 

 

 

穂乃果が副生徒会長の言葉に驚いて再び副生徒会長の方を見た。

そして、副生徒会長の顔を見てギョッとした。

副生徒会長は今までと同じおちゃらけた感じの声で穂乃果に言ったが目は少しも笑っていなかった。相手を笑顔で威圧するとはこう言うことなのだろうと穂乃果は思った。

再び穂乃果の体が緊張で硬くなる。

「どう言う意味ですか?副生徒会長」

 

「希でええよ」

 

笑顔を消し穂乃果が副生徒会長に聞き返すと副生徒会長は笑顔で応えた。

穂乃果は面食らったが名前を名乗ってくれたのに名前で呼ばないは悪いと思い、

 

「……希先輩どう言う意味ですか?」

 

穂乃果が副生徒会長の名前を呼ぶと副生徒会長こと希は笑顔で応えた。

 

「簡単なことや、確かにポケモンバトルに勝利するためにはポケモンとの信頼関係大事や。 せやけど穂乃果ちゃんのあのバトルスタイルはそういう信頼関係だけでは出来へん。もっとたくさんの経験やポケモンについての知識がなきゃ出来る訳ない。 それに穂乃果ちゃんのクラスの人は穂乃果ちゃんは自分たちと同レベルのポケモントレーナーだと思ってるみたいやけどウチはとてもそうだとは思えへんのや」

 

「………」

 

希に自分の全てを見抜かれているようで穂乃果は気持ちの悪い汗が出始めた。

そして、嫌な予感が頭をよぎった。

 

 

 

 

 

 

『自分の秘密が暴かれてしまうかも』という予感だ。

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果はそう考えると急に怖くなった。

穂乃果は何か上手い言い逃れを必死で考える。

しかし、焦る頭で考えても上手い言い訳は考えつかなかった。

何も言わない穂乃果を見て希は畳み掛けるように聞く。

 

「貴女は何かとても大きな事をみんなに隠してるよね?」

 

「っ‼︎」

 

急に今までの関西弁から標準語に口調を変え穂乃果を真っ直ぐ見つめながら希が穂乃果に聞いたので穂乃果は思わず目を逸らした。

おそらくこの状況から逃げたいという条件反射的なものだったのだろう。

しかし、希はそれを許さなかった。

 

「どうなの?」

 

目を逸らした穂乃果の顔を掴み逃がさないように自分に強引に自分に向かせる、希の真っ直ぐな瞳は自分を溶かしてしまいそうだった。

このままだとマズいと思い、穂乃果が希の手を強引に振り払って逃げようとした時、

 

 

 

 

 

シュシュシュシュシュシュ!!!!

 

 

 

ドガーン!!!! ドゴーン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ!!!!」

「な、なに⁉︎」

 

突然、穂乃果と希に向かって何かが放たれ爆発が起きたのだ。幸い2人には当たらなかったため怪我はせずにすんだ。

 

「な、なんや⁉︎ これは!」

「ミサイルばりとタネ爆弾だ‼︎」

 

穂乃果がそう言った途端

 

『ピアー…』

『ナッキー‼︎』

『ズパス‼︎』

 

「‼︎」

 

まるで穂乃果の言葉に答えるように3体のポケモンの声が聞こえた。

ミサイルばりとタネ爆弾の煙が晴れるとそこにいたのは、

 

「スピアー! それにヤナッキーとノズパスまで……!」

むし、どくタイプのスピアーと、くさタイプのヤナッキー、それにいわタイプのノズパスだった。

 

『スピッ!』

『ナッキー!』

『ズパス‼︎』

 

穂乃果が自分たちの名前を呼ぶと3体は再びさっきと同じ技を放つ、慌てて穂乃果がポケモンを繰り出して自分たちを守ろうとすると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーナンス! カウンターや!」

 

『ソォーナァーンス‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガーン!!!!

 

 

 

 

 

 

シュー… ドドドドドドドドドドドドドド ドガーン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピアー!!!!』

『ナッキー!』

『ズパス⁉︎』

 

 

「ふう… 危なかった…」

「の、希先輩…」

 

穂乃果がポケモンを繰り出す前に希がエスパータイプのソーナンスを繰り出し、カウンターで攻撃を跳ね返してくれたのだ。

ソーナンスの攻撃を受けてスピアーとヤナッキーとノズパスは吹っ飛ぶ、カウンターは相手から受けたダメージを2倍にして返す技だ。2体分の技を一気に返したためかなりの威力だ。

 

 

『ピアー…』

『ナッキー…』

 

しかし、スピアーとヤナッキーはカウンターの攻撃を受けてもフラフラしながら立ち上がる。

ノズパスも特性【がんじょう】で戦闘不能を免れたらしく立ち上がる。

 

 

 

「まだ立てるんやな…」

 

希が呟いた。

 

「にしてもあのスピアーたちは誰のポケモンで何で私達に攻撃してくるんだろう…」

 

穂乃果も希に続いて呟いた。

 

その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ! 外したか!」

 

「っ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

突然、物陰から舌打ちと聞き覚えのある声が聞こえた。

穂乃果と希がその方向を見ると校舎の物陰に隠れている人影が見えた。

物陰に隠れていて姿が見えないが穂乃果と希は声を聞いただけでその人物が誰なのかハッキリ分かった。

 

「あ、貴方は…」

 

思わず希は驚いた顔をした。

しかし、驚いた顔をしている希とは対照的に穂乃果はその人物を目を細めて睨みつけた。

 

「そんなところでコソコソ隠れてないで出てきたら? それとも出てこれないのかな? 臆病者」

 

 

 

 

ガサッ ザッ ザッ…

 

 

 

穂乃果の挑発に応えるように物陰から隠れていた人物が姿を現した。

その人物は穂乃果と希を見るなりニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべた。

 

「今更何の用?」

 

希がその人物の笑みにビクリと肩を震わせる。しかし、穂乃果は全く怯えもせずに鋭い視線をその人物に向けながら問いかけた。

 

「………」

 

その人物はその問いかけに答えずにニヤニヤ笑っている。

穂乃果はいつまでも問いかけに答えないその人物に痺れを切らしたのか少々怒気を含めた声でその人物に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今更私たちに何しに来たの? 岩川君…」

 

 

 

 

 

穂乃果が言うと物陰に隠れて穂乃果たちに攻撃をしてきた人物、岩川は不敵に笑った。

そして、こう言った。

 

 

 

 

 

「何しに? そんなの決まってんだろ… あんな全校生徒の前でこの俺に大恥をかかせたお前に復讐しに来たんだよ!」

岩川はそう言うとスピアーとヤナッキーとノズパスに回復の薬を与え体力を回復させた。

回復の薬で体力が回復したスピアーとヤナッキーはすぐに起き上がり岩川の前に立つ。

 

 

 

 

「そう… イジメと言う復讐をな… いけ! スピアー! ヤナッキー! ノズパス!」

 

 

岩川の声を合図にスピアーとヤナッキーとノズパスが穂乃果たちに再び襲いかかる!

 




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