面白半分で凛ちゃんラーメン3つ買ってシール2つ当てた父を持つ、なちょすです。
いい加減パートごとに分けて分割投稿をすることを覚えた方がいいと思っている今日この頃。
てか、稀にシリアスタグ付けといてシリアル気味なのばっかじゃん…。なちょすうっかり☆
イチャコラコメディ、coming soon!!
それではちょ田舎第8話、どうぞ!
『お盆ってのは不思議な日なんだ。』
『何が不思議なの?じいちゃん。』
『盆はな、御先祖様が帰ってくるんだよ。それで、終わりと一緒に大事な物を持っていっちまうのさ。』
『大事なもの?』
『記憶さね。嬉しかった事、悲しかった事、楽しかった事に怖かった事…一番印象深い記憶だよ。』
『じいちゃんもなの?』
『まぁな。けど、それを思い出そうとする時がどっかで来る。それは、人が成長する時なんだよ。』
『ふ〜ん…なんだか難しいね。』
『ははは!ナツにはまだ早いか!』
『僕は思い出せるかな?』
『大丈夫だ。なんてったって、じいちゃんの孫だからな!!』
夢だ。
じいちゃんが聞かせてくれたお盆の話。
夏祭りの夢が忘れていたこと…なのかな。駄目だ、まだ思い出せない。
朝が来たことを認めたくないかのように、僕の瞼は一向に開く気配がない。
だって眠いし…。夏休みだし…。社会人だけど。
ふと懐かしい香りを感じる。
まるでじいちゃんが漂わせてたミカンのような香り。
ゆっくり目を開けると…
「あ…。」
「……///」
そこには涙目でトマトの様に真っ赤なみかんっ娘が。
みかんなのにトマトとはこれいかに。
「あ、あはは…いやぁ随分近いね〜…千歌ちゃんだけに…?」
「……!///」
やばい、プルプルしだした。
眠気が覚めてないけど、とりあえず冷静に状況を把握しよう。
『僕』が千歌ちゃんを抱きしめてるね。
……ふぅ。
ダウトーーーーっ!!!
「…なんで、こんな事になってるんでしょうか。」
「…わ…」
わ?
「私が知りたいよぉおおおおおおっ!!!!!///」
怪獣の雄叫びは、眠気を覚ますのには十分すぎた。
「ほんっとうに申し訳ございませんでしたぁ!!」
「もうナツ君なんて知りません!!///ふん!!///」
カンカンミカンだ。ほっぺた膨らましておこりんぼ大会。
何があったかは分かんないけど、あの状態ってことは何かやらかしたのだろう…。
そりゃああんなにほっぺたも膨れて…膨れて…。
「つん。」
「ぷすぅ〜…。」
「あははは!!」
「うがーーーーーー!!!!///」
「…朝から何やってんのよ。」
善子ちゃんが呆れた顔をして立っていた。
「あ、よしネちゃんおはよう〜。」
「だからヨハ子よ!いやよしネとヨハ子って誰よ!?」
「ヨハネちゃん、おはヨハネ。」
「だから善子…ってナツキまで変なボケかましてんじゃないわよ!!///」
さすが善子ちゃん。キレッキレのツッコミとブレッブレのキャラ。
「早くしないと皆待ってるわよ?」
「皆?」
「うん、私が呼んだのー。ナツ君ウチに泊まってるし丁度いいかなぁって。」
あぁ、そういえば昨日は十千万に泊まって昔なじみの人達と飲み明かしたんだった。
千歌ちゃんのもう一人の姉、みとねぇも。
あの人は、鬼だ…。
「先戻ってるから、早く来てよね?」
「はーい!」
「じゃあ着替えて行くから千歌ちゃんも先に行ってて。」
「うん。…ナツ君。」
「ん?」
ビシッ!!
「あ痛っ!」
で、デコピン…?
「にしし、朝の事はこれでおあいこなのだ♪じゃあ先行くね〜!!」
イタズラな笑みで満足気に皆の待つ場所へと走っていく。
「…えと…許された…?」
「もぅ、遅いわよナツキ〜!!」
「まぁまぁ、男の子にも色々準備があるだろうしさ。」
「ごめんごめん、昨日の飲み疲れが…。」
「で、今日はなんの集いですの?」
全員が発案人の千歌ちゃんへ顔を向ける。
「ふっふっふ…皆、今日は何の日?」
「今日って…何かあったっけ?」
「ん〜…食べ物の日ずら?」
「あんたは毎日じゃない…。」
「今日って夏祭りの日だよね?」
「そう!お祭りだよ!皆で行くんだよ!!」
『な、なんだってーーー!!??』
「…千歌ちゃん。それってメールじゃ駄目だったのかな?」
「…っ!その手があった…っ!」
「嘘でしょ!?メールで招集かけたのに!?」
「うゅ…千歌さん…。」
「良いじゃないこっちのが楽しくって♪それに、せっかく全員いるんだから…お話、聞かせてもらえないかしら?ナツキ??」
「ん?なんの事?」
「他のメンバーからも聞いてますわよ。最近ボーッとしてる事が多かったようなので、皆さんに学校での事を話しました。」
「教えて下さい夏喜さん。何が起きてるのか。」
「幼馴染みに隠し事は無しだよ?」
「…そうだね。もうそろそろ分かる頃かもしれないし、ちゃんと説明するよ。」
「そんな事が…。」
「最近は特に無かったんだけどね。でももう大丈夫。きっと今日、全部が分かるから。」
「どうして分かるんですか??」
「根拠は無いけど、そんな気がするんだ。」
夏祭り。忘れてしまった記憶。迷子の子供…。
後1つ…きっと後1つなんだ。全部が繋がるまで。
「それじゃあやっぱり皆でお祭りに行こうよ!それで、全部おしまいにしよう!」
「そうね…とりあえずナツキ。」
善子ちゃんが仁王立ちで目の前に立った。
「1発殴らせなさい。」
「え。」
刹那、凄まじいまでの堕天チョップが脳天を直撃する。
どこにこんな力があったのか、あまりの痛さに声が出ない…。
「それでAqoursの分。バレっバレなのに変な気を使ってんじゃないわよ!」
「善子ちゃん…。」
目尻に涙を貯めた善子ちゃんに怒られる。
「皆心配したんだよ?」
「梨子ちゃん…皆…。」
ははは…これじゃ、幼馴染み失格だ。
「…ごめんね、心配かけちゃって。善子ちゃんもありがとう。」
「別に、分かればいいのよ。…思いっきり叩いてごめん。」
なんて善い子なんだろうか…。しゅんとしてる彼女の頭を撫でる。
「あ!ナツキ狡いわよ善子ばっかり!マリーにもやってよぉ!!」
「ナツ、私もハグ〜!♪」
「ルビィもお願いします!」
「皆で突撃ぃ〜!!♪」
「え、ちょちょちょ、待っうぼぉあっ!?」
めっちゃ来た。
「さ、湿っぽいのも終わりにして祭りの準備しますわよ!」
「夏喜君、浴衣って着るの?」
「一応持ってるよ。高校の時に使ってたヤツだけど。」
「じゃあじゃあ、全員浴衣で集合!」
子供の時以来の内浦の夏祭り…どうなってるのかなぁ。
内心ワクワクしながら、浴衣を引っ張り出してくるのだった。
「全然変わってないなぁ…。」
どうやら一足先に集合場所についてしまったらしい。
久々の浴衣で着るのに手間取ったけどなんとか着れたし、駄目になってなくて良かった。
「ナツくーん!!」
「曜ちゃん。それに善子ちゃんも。」
「わー、ナツ君似合ってる!ね、善子ちゃん?」
「ま、まぁ、リトルデーモンにしてはなかなかいいんじゃない??」
「善子ちゃんは美人さんだね。絶対似合うと思った。」
「…むぅ///」
「あれれ?顔が赤いぞーヨーシコー?」
「ううううるっさい!///」
「曜ちゃんも水色が似合ってるしイメージがガラッと変わって似合ってるよ。可愛いね。」
「かわ!?…いいかな…///」
「あ、みんな居るー!おーい!!」
「お、お待たせしました…///」
残りの皆も、それぞれのイメージカラーのような浴衣を着ている。やっぱり似合ってるなぁ。流石アイドル!!
「…ナツ君浴衣似合ってるね///」
「なんかいつもとギャップが///」
「そうかい?あんまり自信なかったけど…ちゃんと着れてて良かったよ。皆も凄く似合ってる。可愛らしいね。」
素直な感想を述べると皆そわそわ集まりだして何やら集会が開かれた。
「なにあれなにあれ!///」
「これがJapaneseギャップ萌え…///」
「普段私服ばっかり見てたけどこれは…///」
「くっ、まさかリトルデーモンにこんな力が!///」
「あの無邪気な顔が刺さりますわね…///」
「あはは…もしかしてこれが…」
『(惚れた女の弱み!!///)』
「もしもーし、皆〜?」
「うやぁっ!?///」
「どうかしたかい?」
「ぷ、プレイボーイには分からないずら!///」
「ニブチンには関係ありません!///」
ま、まさか褒めたと思ったら罵倒されるとは…久しく感じていなかったな。
これが(心の)痛みか…(泣)
「あれ?ナツじゃん。何してらったこんな所で。」
「…マリー、FBIを頼む。」
「ちょぉ!?前回よりパワーアップしてんじゃん!」
「Hello,Police man?」
「Wait!!マジで呼ぼうとしてるじゃん!?」
「ヒロ、何でここに?」
「屋台の手伝いだよ!あそこのたこ焼き屋で!!」
まさかこんな所で会うとは…腐れ縁ってのは本当にあるのかもしれないなぁ。
「Aqoursの皆、ちわっす!俺ちゃんはヒロ。コイツのダチ〜。善子ちゃん梨子ちゃん久しぶり!」
「あれ?梨子ちゃん達知り合いなの?」
「知り合いっていうか…」
「気をつけなさいよ。コイツは…」
「ははぁん、9人ねぇ〜…。いやー、モテる男は辛いねナツ!」
「は?」
「皆アタック頑張りなよ〜!人の恋路を邪魔するやつはなんとやらってことで、俺は退散しまーす♪」
『んなっ!?///』
「ち、ちょっと!なんでバレてんのさ!///」
「善子ちゃん何言ったずらぁ…///」
「何も言ってないわよ!!」
「ヒロくん、何でか知らないけどそういうのに敏感みたいで…///」
「超がつくほどにね…」
恋路?アタック?何の話??
「見てくださいよ渡辺さん、あの顔を。」
「本当ですね高海さん。あれ絶対気づいてないですよ。」
「超がつくほど敏感がいれば…。」
「これでも気づかぬ馬鹿もいると。」
「あ!もしかして恋愛相談?だったら僕でよければ手伝うけど…」
『はぁ〜…。』
「馬鹿は放っておいて行きますわよー。」
『はーい!』
「え、ちょ…え?僕って馬鹿なの…?」
機嫌の悪くなった皆に食べ物を奢るということで何とか収まった。
当の本人達は目一杯祭りを楽しんでいるようです。
「曜さん射的うまいんですね!」
「へっへ〜、昔っからやってるからね!はい、ルビィちゃんにこれあげる!」
「わぁ、ありがとうございます!///」
「いざ引かん…ラグナロクへの道標!!」
「はいよ嬢ちゃん、伸びる紙の棒だ!」
「やったずらね善子ちゃん。頭に刺せば武器になるずら。」
「やらないわよそんなこと!!」
「ふふ、それはそれで見てみたいかも。」
「花丸ちゃん、それ美味しそう〜!」
「千歌さんのも美味しそうずらぁ〜♪」
「…太りますわよ?」
「もう!これすぐ破けちゃうじゃない!」
「はは、鞠莉は力み過ぎなんだよ。これはこうやって…ほい!」
「Wao!Amazing!!」
ひとしきり遊んで、少し開けた場所に出てきた僕達。
流石にはしゃぎ過ぎたかな?
全然変わってない祭りの雰囲気とこの景色…。
あれ?この景色…知ってる。なんでだ?
答えを求めるかのように、手を伸ばして空を掴む。
その手に、1匹の蛍が。
「ほた…る…?」
その言葉を口にした時、今までで1番強い頭痛に襲われた。
「ぐぅ…あっ…!!」
「ナツ君!?」
「ちょっとナツキ!?」
皆が僕を呼ぶ声が遠くに聞こえる…この感覚は…。
『どこー?お母さん、どこー??』
『ねぇねぇ、次何食べよっかー?』
『あ、りんご飴食べたーい!!』
『うぅ…どこー?…あ、ほたる…待って!』
『ナツ君ー!どこに行ったのー!?』
『お?ナツじゃねぇか?どうしたんだこんな所で。』
『わぁ、キレイ…!』
『ここの蛍は音楽が好きなんだよ…さ、帰ってかぁちゃんに謝るんだぞ?』
「…ツキ!おい!夏喜!!」
「…ヒロ?何でここに…。」
「休憩でたまたま歩いてたんだよ。生きてるか?」
「はは…死んでるように見える?」
「死にそうな面はしてるな。」
「夏喜くん、大丈夫?顔も青いし…。」
「今日は戻った方がいいんじゃ…。」
「いや、大丈夫…大丈夫じゃないけど大丈夫…。」
「ハッキリしろよ…。」
「思い出したよ。全部。」
何で忘れてたんだろう。
僕とじいちゃんの想い出を。
あの日の蛍の輝きを…!!
「ヒロ、悪いけど肩貸してくれないか?」
「はぁ…全部終わったら、店手伝って貰うかんな?」
「あぁ、約束する。皆にも来て欲しいんだけど、良いかな?」
「行く行く!ナツ君がそんな状態で帰れないよ!」
「ヒロさんだけじゃ頼りないずら!」
「え、そんなに信用ない?」
『うん。』
「はは、それじゃあお願いするよ。」
僕らが向かったのは祭り会場から少し歩いた狩野川の河川敷。
夜ということもあって僕達の他に人の姿は無い。川の流れる音と、遠くから聞こえる祭りの喧騒だけだ。
「ここでいいのか?」
「あぁ、サンキュー。」
「ここって狩野川…だよね?」
「…祭りで迷子になった僕は、蛍を追いかけてここに来たんだ。そしてじいちゃんのハーモニカを聞いてここからの景色を見た…。」
「ナツ君…。」
「Aqoursの皆に、お願いがあります。歌を…歌ってくれないかな?」
「歌…ですか?」
「うん。僕の我が儘で振り回して本当にごめん…。けど、どうしても皆に見せたいものがあるんだ。忘れてしまってた輝きを。」
「はぁ…ナツキさん、あなたやっぱり馬鹿ですわよ?」
「そうそう!今更そんな畏まることないって♪」
「むしろもっと我が儘言って言っていいくらいだよ?」
「ルビィ達は、ずっとお願い叶えてもらってばっかりだったから…。」
「今度は私達の番!ってね?☆」
「折角だし、あれやっちゃう??」
「 例の9人Ver.ってやつ?」
「最近野外ライブばっかりずらね〜。」
「漆黒の闇の中で地獄の饗宴が開かれるのね…!」
「皆…本当にありがとう。」
「えへへ…じゃあナツ君、ヒロ君、聞いてください。私達の歌を⋯私達の思いを!」
皆が息を吸い、草木も揺れる。
彼女達の歌に合わせて近くの草むらや水辺から淡い光が浮かんでくる。
強い光に弱い光…大きさだってバラバラだ。
それでも命が織り成す灯火は、1つ、また1つと数を増やしていく。
あの日、爺ちゃんのハーモニカと共に見た景色が今繰り返されているんだ⋯。
皆が最後の歌詞を歌いきると同時に、今まで光っていた蛍達はその役目を終えるかのように一斉に飛び立った。
『わぁ〜〜〜〜〜!!』
「綺麗…。」
「これってあの時のスカイランタンみたいだね!!」
「…すっげぇな。」
「はは…そりゃそうさ。Aqoursだからね。」
僕が歌ったわけじゃないけど、ちょっと自慢したくなった。
「ナツ、いい顔するようになったじゃん。」
「そうかい?」
「あーよ。前なんか焼き魚みてぇな目してたんだぞ?今はあれだな…高校の時みたいだ。」
そっか…ヒロが言うのなら多分間違いないのかも。
僕はAqoursが好きだ。初めて歌を聴いた時に感じたものをちゃんと言葉にして伝えたい。
皆と一緒に、見たことの無い夢の軌道を追いかけていきたい。
だから…彼女達が輝きと憧れに向けて走り出すのなら、出来る事をしよう。
一緒に笑って、一緒に泣いて、最後まで駆け抜けよう。
『ナツ。』
懐かしい声に名前を呼ばれた。
もう2度と聞けないと思ってた大好きだった声。
「じい…ちゃん?」
『見つかったか?ナツ。』
「…あぁ、見つかったよ。僕のやりたい事。」
最後の光が消えていくまで、僕達は空を見つめ続けていた。
「すみませーん、たこ焼き2つ下さーい!」
「2つね。ヒロー、2つ追加で!」
「あいよー!」
「お、お兄さんカッコイイですね!///付き合ってる人とかいるんですか??」
「え?いや、いないけど…。」
「うっそー!だったら私がアタックしちゃおっかなー!!///」
「きゃー!だいたーん!!///」
「へいお待ち!!悪いねお姉ちゃんたち、コイツは早上がりで人を待たせてんだよ。俺だばどーよ?」
「ん〜、訛ってるお兄さんはパスで笑」
「ドイヒー…。」
「僕そんなに手伝ってないんじゃ…。」
「いーからいーから!皆待っててくれてんだろ?早く行って、あの目が座ったアイドル達どうにかしてくれ…。」
「えっ、どんな顔…うわ、めっちゃ睨んでる。何してんだよヒロ。」
「んがだじゃ(お前だよ)この馬鹿!!奢ってやっから、これ持ってちゃっちゃと行ってこい!!」
「おっと。…サンキュー、ヒロ。」
タッタッタ…
「頑張れよ、夏喜。」
ミンナオマタセー
フンッ!!
ウボァッ!!
「…本当…色々と。」
おまけ 〜千歌's Side〜
「ナツ君おっはよー!!って、あれ?」
まだ寝てるのか…そりゃそうだよねぇ、昨日みとねぇ達とあんなに飲んでたから…。
「ナツ君ー、おーきーてー!!」
「ZZZ...」
全く起きる気配がないよ…。
揺らした拍子に顔がこちらを向く。それがいつもと違う表情でちょっとドキッとしちゃったり。
でも…
「泣い…てる?」
最近ボーッとしてる事が多いみたいだし、お爺さんのことかな…。
「私、ナツ君の事なんにも知らないなぁ…。」
離れてた10年間が寂しくないっていえば嘘になる。
どんな時間を過ごしてきたか私は何にも知らない。聞ければ1番いいんだろうけど…。
「それで聞けたら苦労しないか。…はぁ。」
指で涙を払って頭をそっと撫でる。
「ねぇナツ君。私、ナツ君に言いたい事がぁっ!?」
いきなり引っ張られたと思ったら抱き着かれていた。
私が。ナツ君に。
「ほぇ…?///」
「…じいちゃん…。」
「千歌だよ!!///てか、どこ触って…///」
どうやったらこんな姿勢で抱きつけるのさ!
こんな…む、胸、に…手が///
むにゅっ
「んやぁっ…!!///ナツ君起きてよ〜…!!///」
さっきよりも強く抱きしめられた…起きてるでしょ!?///
これで寝てるって何なの!?///
おでこが…当たってる…。
「これ不味いよね…き、キス…しちゃったり?///無理無理無理!!///でも…」
「ZZZ...」
目の前にある大好きな人の顔。
大人っぽいのに、寝顔は昔のまま…。
「…ナツ君が…悪いんだよ?///」
私の方からゆっくり顔を近づけていく。あとちょっと…あと…ちょっと…
「あ…。」
「……///」
目が合った。
「あ、あはは…いやぁ随分近いね〜…千歌ちゃんだけに…?」
「……!///」
なんでこーなるのっ!?
今すぐに!///叩いてやりたい!///
でも動いたら口が…もぅ!もぅ!!///
「…なんで、こんな事になってるんでしょうか。」
「…わ…私が知りたいよぉおおおおおおっ!!!!!///」
寝てるナツ君にはうっかり近づかないようにしよう。
まぁでも…たまになら良いかな?///
季節は移り変わる
涼しくなった夕暮れの中
ヒグラシの声が響き渡って
秋へと歩みを進める町並みに
夜空に咲かすは人の華
沢山の出逢いと大切な事を思い出させてくれた
この日々を忘れないように…
次回「夏の終わりと線香花火」
あなたも、ちょっと田舎で暮らしませんか?