好きな武器は鬼神斬破刀、なちょすです。
PS2イャンクック強ぇ。
ようやくメンバーごとのエピソードが終わり、本編に入り始めました。(´∀`)
ナツ君、段々とハッスルしてきましたね笑
今回はちょっぴりシリアス…かな?シリアス気味って難しい。
再会の夏編、もう少しでクライマックスとなります!
それではちょ田舎第7話、どうぞ!
「…もしもし。」
「あらナツキ、朝からマリーにラブコールかしら?♡」
ん〜、朝からハイテンション。
「いや、ちょっとメールの件で聞きたいんです理事長。」
「あぁ!そう言えば送ったわね。」
「書類審査って、僕出した覚えないんだけど…。」
「そりゃそうよ!私が見つけて採用したんだもの!☆」
理事長…。
「そ、れ、に。昨日ダイヤも言ってたでしょ?『まだ部外者だ』って。」
「あ、あぁ〜…そういう…。」
ようやく分かった。2人してニヤニヤしてた理由が。
理事長と生徒会長は全部知ってたのね…。
「でも女子高だよ?いきなり男の用務員が入りましたって言われても変な目で見られるんじゃない?」
「その当たりは大丈夫!用務員って言っても備品の管理とか生徒の手伝いだから。それとも、なんかやましい事でもしちゃったり?☆」
「流石にしないよそれは。」
僕ってそんなふうに見えてるの?そりゃ皆の成長ぶりにはびっくりしたし思うところはあるけど…もしかして顔に出てるのかな。
「ま、そんなとこだから!新学期によろしくね〜!♪」
ブツッ!!
「…切れた。どうしたもんかなぁ…。」
とはいえ、職が無かった今この話が来たのは正直嬉しい。女子高だけど。
「ナツ君こんにちは〜!!」
「アツがナツいよぉーーー!!」
「千歌…ついにそんなに古典的ボケを。」
「あ、ちなみに今のは『暑い』と『ナツ君』を掛けた…」
「千歌ちゃん、説明しなくていいよ。」
「いらっしゃい3人共。今日はどうしたんだい??」
ここで訪ねてきたのは、ようちかなんの3人。
練習は休みって聞いてたけど皆制服を着てる。
「聞いてよナツ君!夏休みなのに補習だったんだよ!?」
「千歌ちゃん、勉強してなかったんでしょ?」
「2人も同じようなもんだもん!」
「いや〜、私は飛び込みがあったから…。」
「私も休学してた範囲だし…。」
「ウソだね。曜ちゃん千歌と同じとこ間違えてたし、果南ちゃんは復学してからの範囲が酷かったもん!!」
「うぐっ…!?」
「な、なんでその事を…。」
「えっへん!鞠莉ちゃんに聞いた!」
そりゃ同じグループに理事長が居たらそうなるよね。オマケにありがたーいお説教をしてくれる生徒会長も。
「ぐぬぬ…鞠莉めぇ…今度会ったら思いっきりハグしてやるぅ…。」
「果南ちゃん、それご褒美になってるから!『カナァン♡』ってなるやつだから!」
「ふふっ…曜、モノマネ上手いね…。」
「あ、似てた?」
「ハグしよ?」
「『カナァンっ!!♡』」
「あっはははは!!やばいやばい!それ本人の前でやっちゃダメだからね!!」
曜ちゃんの思わぬ特技。
果南ちゃんの思わぬ笑いのツボ。
「もーう、補習は大変だし外は暑いしセミはうるさいし〜!!」
「ラムネ飲む?」
「飲むっ!!」
「そう言えば今年はセミが多い気がするよね。」
「外凄いもんね。耳が痛くて…。」
「うーん、僕は好きだけどなぁ蝉。」
「そりゃまた何で?」
「蝉の寿命って皆知ってるかい?」
「「「知りませーん!」」」
ははは、そんな事だろうと思った。
「元々1週間っていう話だったんだけど、今は3週間~1ヶ月って言われてるんだ。虫としては長いほうなんだけどね。」
「それでも1ヶ月かぁ…なんだか早いね。」
「しかも土の中で幼虫として過ごす期間は長くて5年ぐらいになるのもいるんだよ。」
「うぇっ!?そんなに!?」
「うん。長い間土の中で栄養を蓄えて、地上に出てから恋をして子孫を残して…。」
「へぇ〜…知らなかったよ。忙しい人生だね…。」
「寿命を終えるまでの間に、色んな意味を込めて鳴いてるんだよ。それがなんだか、『自分はここにいるぞっ!』って一生懸命語りかけてるみたいで…だから僕は、蝉の唄って呼んでるんだけど。」
「蝉の唄…。」
自分の存在を誰かに知って欲しい。
そんな意志の歌が重なって大合唱になる。
僕はそんな蝉が好きだ。
「じゃあじゃあ、数が多いのも理由があるの??」
「そうだね…蝉には周期ゼミって呼ばれるものがあってね。13年と17年を区切りに大量に蝉が現れる時期があるんだよ。」
「てことは、今年がもしかして…。」
「そう、17年目だよ。」
「そっかぁ…セミ達も必死なんだなぁ…。」
冷やしたラムネを飲みながら、3人は蝉談義に耳を傾けている。
皆と再会した夏に蝉の17年周期。
今年は特別な夏な気がする。
「セミは可愛く思えてきたけどやっぱり暑さは無理だよぉ〜…。」
「じゃあじゃあ!」
「海行く!?」
「そうだねー2人で行っておいでー。」
高海さん、大分グロッキーだね。でも今日は本当に暑い…。何か…何か冷えるもの…あ。
「「肝試し。」」
千歌ちゃんと目を合わせて思わず笑ってしまう。
「そう言えばまだやってなかったね、肝試し。」
「よし!皆を誘って今日やろう!」
「また唐突だね…。」
「思い立ったがなんとやら!だよ!ねっ、果南ちゃん?」
「…ん?」
おや、果南ちゃんの様子がおかしい。顔が青ざめて汗もかいてる。
「大丈夫?果南ちゃん。」
「な、ななななにがかなん?」
「いや、顔面蒼白だし…。」
「い、いやー?別に何も無いよ?別にお化けが怖いとかじゃないよ??」
出てる出てる。口から思いっきり怖さが滲み出てるよ。
「そうと決まれば、皆に連絡して…と。」
「で、でも皆急だとあれじゃない?日を改めた方が良いんじゃ…。」
「全員きてくれるって!」
「……。」
果南ちゃん、ご愁傷様です。
「てことで!やって来たよ学校の裏山!!」
「全く…いきなりにも程がありますわ!」
「でもお姉ちゃん、その割にソワソワしてたような…。」
「クックックッ…この闇の世界の美しさに、遂にダイヤも堕天の道を!」
「そんなわけないでしょう!?///」
突然の肝試し宣言。
まさかAqoursメンバー全員集合とは…僕が言えたものじゃないけど、皆暇してるのかな?
「でも学校の裏にこんな山があったなんて知らなかったずら。」
「ここは生徒も普段は立ち入らないからねぇ。どんなsurpriseが待ってるのかしら!♪」
「うぅ…東京でやるのとこっちでやるのじゃ雰囲気が全然違うよぉ…。」
「怖くない怖くない怖くない怖くない…。」
「はは…果南ちゃん、大丈夫??」
思い思いの中、改めて舞台となる裏山を見る。
暗くてよく見えないが、ここは確かじいちゃんのみかん畑の隣にあった山だよな…。
ここって、なんかあった気がするけど何だっけ…。
「とりあえず、今回は下見もしてないから皆で回ろう!そしたら怖くないし。行ける所まで行って帰ってくる!」
「それって肝試し…かい?」
「細かい事はいーの!じゃあ皆でレッツゴー!!」
「あっ、待ってよちかちゃーん!!」
走り出す千歌ちゃんに続いて曜ちゃんと他のメンバーも続く。
はてさてどうなることやら…。
山に入り始めて20分ぐらい立った頃。
「うぅ…やっぱり怖いよ善子ちゃん〜…!」
「ふふ、リトルデーモンには刺激が強すぎたのねって、なんで押してるのよずら丸!?」
「いや〜、オラたちは怖いけど善子ちゃんこういうの強そうだし…。」
「そ、そりゃあ?ヨハネは堕天使だから?別に怖くないけどぉ??」
「足、震えてるずら。」
「うるっさい!///」
30分頃。
「うぅ…なんか今音しなかった?」
「気のせいですわ。」
「ひっ!?今なんかあそこ動いたよ!?」
「木の精よ果南♪」
「なんだ、木の精かぁ♪ってなるかぁ!!」
1時間頃。
「ち、千歌ちゃん…もう結構来たよ…?もう帰ろう?」
「うーん、確かに奥まで来たしこれ以上は危ないかもね。どうする?千歌ちゃん。」
「そうだね。そろそろ戻ろ…あれ?」
茂みの中を見つめて、千歌ちゃんは言葉を止める。
「どうかしたかい?」
「歌…女の子の声が…。」
「ちょっ、ちょっと止めてよ千歌!こんな時に!!」
「皆は聞こえない?あっちから、聞こえるの…。」
「な、何も聞こえないわよ。」
するとどこからともなく1匹の蝉が飛んできた。
蝉は、千歌ちゃんの前で飛び続けた後、茂みの中へ入って行った。
「セミ…?」
「私、ちょっと行ってくる!!」
「ちょ、千歌さん!?」
「夏喜君、行こう!」
「あぁ!」
千歌ちゃん、いきなりどうしたんだ…。
皆で走って彼女を追いかける。暗い茂みの中、開けた場所に出ると、『2人の』女の子が居た。
1人は千歌ちゃん。もう1人は…小学生くらいの泣いてる女の子。何でこんな所に…。
「千歌ちゃん、その子…。」
「ねぇ君、こんな所でどうしたの?」
千歌ちゃんが小学生くらいの女の子に語りかける。
「ぐすっ…私、お歌を歌ってたの…。」
「歌を…?」
「お歌が大好きで…セミさんを追いかけてたら迷子になって…怖くなってお歌を歌ってたの…。でも…でも…うぅ…。」
「とりあえず、その子を連れて山を降りた方が良さそうですわね。」
「そうだね。きっとこの子の両親も心配してるだろうし…。」
「そうだ!元気が出るように、お姉さん達が一緒にお歌を歌ってあげよっか!」
「ほんと!?」
「うん!だってお姉さん達、これでもアイドルなんだから!」
「わぁ〜!私、お歌を歌ってアイドルになるのが夢だったの!」
千歌ちゃんの言葉に女の子はたちまち元気になる。
とっさにこういうことが出来るのは、彼女がそれだけ思いやりのある子だからだろう。
「ね!皆も歌おうよ!」
「そうだね、最近ライブも無かったし!」
「ウズウズしてたもんねぇ〜。ね、ダイヤ?☆」
「ま、まぁそうですわね。山の中というのは初めてですが。」
「でも夜に皆で歌を歌うって気持ち良さそうずら!」
「あのねあのね、私この歌が好きなの!!」
それから女の子が好きだという童謡やアイドルの歌を皆で歌っていた。
どれくらい時間が経ったのだろう…。
女の子がふと口にする。
「ねぇ、お姉さん達アイドルって言ってたよね?」
「うん、そうだよ!学校のアイドル!スクールアイドル!」
「私、お姉さん達のお歌が聞きたい!!」
「私達の歌を??」
「うん!それで私、ちゃんとお家に帰るの!」
「ふふ、私達の堕天ソングを聞きたいだなんて、中々素質があるわね。」
「もう、よっちゃんたら。千歌ちゃん、歌おう?私達の歌を!」
「うん!じゃあ…聞いてください!私達の歌を!!」
夏の夜に、Aqoursの歌が響き渡る。
あぁ、この感じだ。
初めて彼女達の歌を聞いた時のような…Aqoursらしさって言うのかな?
今はまだ、上手く言葉に出来ないけど…全身に暖かいものを感じる。
楽しそうに僕の隣でリズムに乗ってる女の子。
本当に歌が好きなんだな。こんな風に、何かに夢中になれること…僕にも見つかるだろうか。
「わ〜…!すごいすごい!お姉さん達キラキラしてた!!」
「えっへへへ…聞いてくれてありがとう!」
「お姉さん達、本当にありがとう!!私、途中から楽しくってね!ずっとルンルンってしてたの!」
「そう言われると照れちゃうなぁ…///また私達のライブに来てね!」
「うん!絶対行く!それに、私もうさみしくないよ!!」
「元気になって良かったずら!」
「小さな観客さんに、感謝だね♪」
「わーーーーー!!!」
曜ちゃんの声に全員が振り向く。
「ど、どうしたの、曜!?」
「もうこんな時間だよ!」
「本当ですわね…ではそろそろ戻りましょうか。」
「はい!ね、あなたも一緒…に…。」
僕達が振り返った時、女の子の姿はどこにもなかった。
その子が立っていた場所、この開けた場所の中央にあったのは…。
古びたお墓だった。
「え?」
「嘘…これって…。」
「お墓…だよね??」
「……。」
「こんなことって…。」
「千歌っち…。」
「…もぅ!皆何悲しい顔してるの!私達のライブを見て感動してくれて、絶対ライブに来てくれるって言ってくれたんだもん!また会えるよ!」
「千歌…。」
「…そうですわね。私達は、前を向いて出来ることを、ですわ。」
「うぅ…お姉ちゃん…。」
「さ!もう遅くなっちゃったから急いで帰ろう!麓まで競走だぁ!!」
「あぁ!待ってよ千歌ちゃん!」
「もう、ずるっこはナシよ千歌っち〜!」
「また走るずらぁ〜!?」
誰にも涙を見せないように。
必死に堪えて明るく振舞って走り出した少女の目から零れた涙が、目に焼き付いた。
きっと、1番辛かったのは…。
「また、皆と歌いに来るね。」
それだけ呟いて、僕は彼女達の後に続いて走り出した。
それから後に分かった事だが、昔この街で1人の女の子が迷子になった。迷子になってから4日後にその子はあの裏山で見つかったらしい。
衰弱死だった。
あそこにお墓があった理由は分からない。
ただそれがあったのはちょうど17年前、周期ゼミが現れた年だった。
蝉の唄…。
女の子が追いかけたのも、千歌ちゃんの前に現れたのも、歌が好きな子に何かを伝えたかったのだろうか。
「…今日も暑いなぁ。」
蝉の声に耳を傾けながら、僕は9人分のラムネを準備することにした。
花「こんにちは、国木田花丸です!」
善「クックックッ…また会ったわね、リトルデーモン達?」
花「善子ちゃん、皆さんをリトルデーモン扱いしちゃダメずらよ?」
善「ヨハネ!ふっ、安心なさいずら丸。あなたも私のリトルデーモンの1人なのだから!」
花「いや〜、今回は予想外の方向だったね善子ちゃん。」
善「無視するなぁ!!まぁ、貴重な経験だったし良いんじゃない?」
花「でも善子ちゃんちょっと泣いてたずら。」
善「んなっ!///アンタだって泣いてたじゃない!」
花「えへへ…それほどでも///」
善「褒めてないわよ…で、次回はどんな話なのよ?」
花「夏祭りの話だって!美味しいもの食べ放題ずらぁ♪」
善「太るわよ?」
花「ずらぁ〜!?」
善「それじゃあ、次回のちょ田舎!」
花「想い出話と!」
善「灯火のメロディー!」
善花「「あなたも、ちょっと田舎で暮らしませんか?♪」」
P.S.前半セミの話だなぁ