今回は初コラボ短編ですよ!
どなたとコラボしたのかは後書きでお知らせしたいと思いますが1つだけお願いがあります。
これはちょ田舎のifストーリー⋯3話に渡ってお送りする『もしも』の世界。
今までのちょ田舎が好きだと言う方は、閲覧注意です。
何たって⋯『ヤンデレ』、ですからね♪
幼馴染みと変わった夏 : 始
自分がしてきたことの責任は、どうあっても自分に返ってきてそれを負わなければならない。
僕がそのことに気づくには、全てが遅すぎたんだ。
「ふ〜着いたぁ⋯。」
僕は島原夏喜。東京からこの町に越してきた社会人見習い。爺ちゃんの家が取り壊されることが決まったから、そうならないように帰ってきたんだけど⋯。
「迷子⋯この年で⋯迷子⋯。」
爺ちゃんの家がある内浦までの道のりが分からずじまい。こんな事なら携帯使いすぎるんじゃなかったなぁ⋯。
しょうがない、誰かに聞こう!ちょうど目の前に女子高生2人が居るし⋯ってあれ?あの後ろ姿は⋯。
「千歌ちゃん?曜ちゃん?」
「え?」
「嘘⋯ナツ君!?」
「うん、そうだよ。久しぶりだね2人とも。」
「ナツ君ーー!!」
千歌ちゃんが僕のところへ飛び込んでくる。
「わっとと⋯いやーすっかり大きくなったね。」
「そりゃそうだよ!でも何で───」
「ナツ君っ!!」
結構食い気味で曜ちゃんが話しかけてくる。
飛び込んできた千歌ちゃんと僕の間に入って。
「ナツ君いきなりどうしたの?」
「あぁ、爺ちゃんの家が無くなりそうだから帰ってきたんだよ。今日からこの町の人間だからよろしくね?」
「やったー!毎日遊びに行くからね!♪」
「はは、嬉しいよ。千歌ちゃんもよろしくね?」
「う、うん。」
さっきより若干彼女の表情が暗くなってる気がする⋯気のせいかな?
「ナツ君。」
「何?曜ちゃん。」
「毎日行くって言った私の方だけ向いてよ。千歌ちゃんより嬉しく思ってるんだよ?」
「え?」
「返事は?」
昔とは違う、静かな中にも強い怒りがある口調に、ほんの少し恐怖を覚える。
「えと⋯はい。」
「うん、それでいいんだよ。じゃあ一緒に帰ろっか!千歌ちゃんまたねー!♪」
「あ⋯。」
「え?ちょ、曜ちゃうおぁ!?」
何か話そうとしていた千歌ちゃんも僕も知らぬ顔で、曜ちゃんは僕の腕を引っ張る。
どういう事?喧嘩でもしたのかな??
内浦までの道のりを2人で歩いていく。
「でさ〜、その時千歌ちゃんがね!」
「ははは、あの子らしいね。」
こうして話してると普通だ。喧嘩したなら相手の話題なんて出さない筈だし⋯。
すると僕達の前から2人組の女の子が歩いてくる。
「あれ?梨子ちゃんに善子ちゃん。どうしたの?」
「何もないわよ。ただリリーとぶらついてただけ。」
「そちらの方は⋯もしかして夏喜君?」
「梨子ちゃんに善子ちゃん。久しぶり。」
「ふーん、2人とも知り合いなんだ⋯。」
隣から聞こえる声が怖い。
「10年ぶりじゃない?随分変わったわねぇ⋯あとヨハネって呼びなさい。」
「よ、ヨハネ⋯ちゃん。」
「それでよろしい!おかえり、夏喜///」
「どこに行くの?」
「爺ちゃんの家に行こうと思ってね。あれ?てか2人と曜ちゃんも知り合いなの?」
「うん。私高校でスクールアイドル初めてさ。これがそのメンバーだよ。」
曜ちゃんから見せてもらったスマホの画面には、スクールアイドルAqoursの文字が。
「はは⋯凄いな。幼馴染み9人が皆スクールアイドルだなんて。」
「へぇ⋯夏喜君Aqoursの皆と知り合いなんだ⋯。」
さっきまでの穏やかな表情から、梨子ちゃんの顔が一変する。あまり目に光が見えないのは気のせいだろうか。
「そっかそっか!じゃあ私達はこれで失礼するね♪」
「⋯曜、夏喜と近すぎるんじゃない?」
「え〜そうかな?だってナツ君は良いって言ってくれたよ?」
「⋯!」
善子ちゃんが曜ちゃんに睨みをきかせる。
やっぱり何か変だ。
「ま、まぁそろそろ良い時間だから今日の所はお開きってことで!!ほら、終バスもなくなっちゃうしさ!」
「ナツ君が泊めてくれたら嬉しいけどなぁ♪」
「曜!!」
「あっはは、そんなに怒んないでよヨーシコー。私も帰るからさ。ばいばい、『私の』ナツ君♡」
そう言って曜ちゃんは帰っていった。
だけどその置き土産は大き過ぎるもので⋯善子ちゃんはずっとその背中を睨み続けていた。
「善子ちゃん、私達も帰ろっか。」
「⋯そうね。ごめんナツキ、取り乱して。」
「いや、大丈夫だよよし⋯ヨハネちゃん。」
「⋯あんがと///」
それだけ言葉を交わして、僕は1人で家路につく。
分からない事だらけだ。曜ちゃんと千歌ちゃんの関係。同じグループ内のあのやり取り。そして一瞬だけ見せた梨子ちゃんの表情。
「⋯何だか嫌な予感がする。」
そんな胸騒ぎを感じながらも今は保留にしておいた。
◇
「『夏喜君が帰ってきたよ。』と⋯。ふふ、いつ帰って来るか『事前に』調べておいて良かった♪」
「ふふ、ナツ君の隣を最初に歩いちゃった♪これからは私がずーっと一緒だからね、ナツ君♡」
「あら、ナツキが帰ってきたのね?♪うふふ、ナツキはマリーだけのもの⋯誰にも渡さないわ。」
「あは♡ナツカッコよくなってるじゃん///梨子ちゃんに盗撮されたのは癪だけど明日から楽しみだな♪」
「あぁ夏喜さん⋯///ずっと待っていましたわ♡貴方は私が居なくてはダメなんですから⋯。」
「えへへ、夏喜さんカッコイイなぁ⋯♡ルビィドキドキしてきちゃった♡」
「夏喜さん夏喜さん夏喜さん♡会いたいなぁ声が聞きたいなぁ///」
「ふふ、すぐに私の虜にしてあげるわナツキ⋯貴方は私だけのリトルデーモン。他の誰にも渡さない。」
「ナツ君⋯///えへへ、やっぱりカッコイイなぁ⋯///でも私なんか見てくれないかな⋯明日はきっと⋯。」
それから異変はすぐ起きた。
帰ってきてからすぐ寝てしまった僕の携帯には、ゾッとするほどのメールや着信履歴。それも登録してない番号からだから返すことは止めた。
それから朝はダイヤちゃんが来てルビィちゃんが来て⋯3人で一緒に過ごしてたら何故か一触即発の姉妹喧嘩になりそうな空気を迎える。ダイヤちゃんはずっとニコニコしてたしルビィちゃんは時折ダイヤちゃんに鋭い眼差しを向けていた。
なんとか友達が来るからと家に返したものの⋯。
「これからどうしようかな⋯。」
ここまで来て違和感を感じないほど鈍くは無いつもりだ。けどこれに関しては他のメンバーに尋ねることが出来ない⋯疑いたくは無い。けど、半分以上が変わってしまっている今、他のメンバーが大丈夫という確証もない。
「いやいや、島原氏は俺にどうして欲しいんだ?」
「助け舟を要求するよ、章⋯。」
彼は僕の友人の章。軍事関係に詳しく、アニメとゲームを愛する典型的なオタク。いやいや、褒め言葉だよ?
東京のスクールアイドル『μ's』のライブで知り合って彼自身μ'sと縁があり、色々苦労してるそうで⋯。
今日は僕の引越しの荷物の整理を手伝ってくれるということで呼んだんだ。
「助け舟って言ってもさ⋯んー⋯いや、一個だけ思いつくな⋯。」
「本当に?」
「あぁ。てか俺も経験してる。」
「そ、それで章⋯それは一体⋯?」
「⋯『ヤンデレ』だ。」
ヤンデレ?
「そんな分かりやすく疑問顔になる中尉殿に教えよう。分かりやすくいえば好意だよ。」
「好意⋯?」
「島原氏が幼い頃に引っ越したって現実は、その9人の幼馴染みのお前が好きだっていう気持ちを歪めちまったんだよ。ここまではおk?」
「待って待って待って!全然ついてけない!!好意!?僕に??」
途端に携帯にメッセージが届く。
『ナツ君、今何してるの?』
『どうして電話に出てくれないんですか??』
『会いたいよナツキ⋯。』
「⋯⋯。」
「⋯ま、そういう事。それの送り主はそのAqoursって子達で間違いないね。どうやって連絡先を知ったかは謎だけど。」
「僕が⋯彼女達を変えたのか?」
「どうしようもない現実ってものもある。実際引っ越すのだって、子供の頃の中尉が言って変わるものだったか?」
「⋯いや。」
「じゃあそんな暗い顔しなさんな。どうやって向き合っていくかは島原氏次第だよ。あとこれは俺の友達に言われたことなんだけどな⋯。」
そう言って章はこちらを見てくる。
「『女に理屈は通じない。』だそうだ。原因が仕方無かったにしても、それは彼女達には関係無い。どんな事にしろ結果で動いてるあの子達には、理屈や理由なんて只の言い訳ってことだよ。」
「言い訳⋯。」
「まぁ⋯俺氏もしっかり分かるわけじゃないし、3次元より2次元派だからな!俺とは違うんだから、しっかり向き合えばいいんじゃないか?」
「そう、だね⋯やるだけやってみる⋯。」
ある程度片付けを手伝って貰って、章は一旦知り合いの家に帰っていった。
章に言われた言葉が頭の中で繰り返し駆け巡る。
「言い訳⋯か。向き合えるのかな、僕に。」
いや、僕が変えてしまったんなら向き合わなくちゃダメだ。きっと上手くやればみんなが元通りになるはずだよね!
ピンポーン。
「あれ?誰だろう⋯。」
そして僕は知ることになる。それがどれだけ甘い考えだったのか。
はい、なちょすです。
章君が出てきたという事でお分かりの方もいるかもしれませんね。
今回のコラボもといヤンデレ設定協力は『ヤンデレに愛されちゃったオタクくん。』でおなじみの『マリオタ』さまです。
ヤンデレのヤの字も知らなかったなちょすがお送りする病ん病んストーリー、残り2話でどんな展開になるんでしょうね⋯私にも分かりません笑