ちょっと田舎で暮らしませんか?   作:なちょす

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ルビィ's Side story
夏喜さんは、ルビィの事をいつも子供扱いっていうか⋯まるで妹のように見てきます。嬉しいけれど、ちょっぴり寂しいかも⋯。
あ、でもこの間キャンディ貰いました!えへへ⋯///
じ、じゃなくって!!///
今日こそちゃんと女の子って見てもらうために、頑張ります!!


Act.6 子供だなんて言わせません!

「ル〜ビィちゃん♪」

「ぴぎっ!?あ、夏喜さん!」

「あっはは、驚かしてごめんよ。」

 

この人は夏喜さん。

初めて見た時から、男性恐怖症のルビィがどうしてか怖くない男の人で⋯。

ルビィの初恋⋯です///

 

「どうかしたんですか??」

「ううん、特には!見覚えのある後ろ姿だったから声をかけようかなってね。」

 

優しくて一緒にいるとドキドキするんだけど、そんな夏喜さんにもちょっぴり不満があります⋯。

それは⋯。

 

「ん、飴食べる?」

 

たまに⋯と言うより、結構な頻度でルビィを子供のように扱います。

 

「良いんですか!?」

「モチのロン!」

 

やっぱりここは、夏喜さんと言えどもビシッと言うべきかなぁ⋯うん、ガンバルビィ!!

 

「甘くて美味しい⋯♡」

「和むなぁ⋯よしよーしこ。」

「えへへ///」

 

って!言ってるそばから流されちゃったぁ!!///

うぅ、ルビィは意志の弱い子です⋯。

いつもこんな感じで夏喜さんの⋯何ていうか、ポカポカオーラみたいなのに流されちゃうよ⋯。でも夏喜さんがお兄ちゃんだったら⋯。

 

 

 

『ルビィ、何してるの?』

『あ、お兄ちゃん!えへへ、μ'sのライブ見てたの!』

『ふふ、好きだねぇルビィも。でもあんまりμ'sばっかり見てて放置されると、流石に僕も寂しいかな?』

『うゅ⋯///』

 

 

 

「⋯⋯///」

「あれ、ルビィちゃん?顔赤いけどどうかしたの?」

「い、いえ!なんでもない⋯です⋯///」

 

悪くないかも、だなんて口が裂けても言えません///

 

「夏喜さん?」

 

毎日聞いている声が後ろからする。

多分だけど、これは怒ってる声だよぉ⋯。

 

「お姉さん⋯!」

「貴方にお姉さんと呼ばれる謂れはありませんわ!!」

「ま、まぁまぁダイヤちゃん!別にルビィちゃんを妹にしようだとかそういうのじゃないから⋯。」

「ふ〜ん⋯本当ですの?」

「和んでただけです、はい!試しに⋯コショコショ⋯。」

「⋯ほう?もし違ったら説教部屋行きですわよ?」

「合点承知之助!」

 

な、なんだろう⋯この2人が組み合わさると、あまり考えたくないけど、ルビィには悪い事しか浮かびません⋯。

 

「ルビィ、ちょっとこちらへ。」

「う、うん。」

 

お姉ちゃんは、まるで猫を手懐けるかのようにルビィの喉元をゴロゴロしてきた。あれ、これ前夏喜さんにもやられたような⋯。

ルビィ、猫じゃないんだけど夏喜さんの手にこうされると顔が緩んじゃうの。けどお姉ちゃんも夏喜さんと違う感じで⋯どうしよ、顔が緩んじゃいそう⋯///

 

「んっ⋯えへへぇ⋯///」

「⋯⋯っ!っ!!」

「ね?凄いでしょ、この子の破壊力⋯僕も気絶したもん。」

「シャ⋯シャッターを⋯!」

「はい。」

 

パシャリっていう音で現実に戻された。

ハッとして前を見ると、微笑みながら携帯カメラのシャッターを切る夏喜さんと、口元に手を当てながら必死に笑いをこらえてるお姉ちゃんがいた。

うぅ⋯恥ずかしい⋯///

 

「ま、まぁ?今回は?不問と致しますが??次はありませんわよ!!」

「は〜い。」

 

それだけ言うとお姉ちゃんはまたお仕事の為に生徒会室へ戻っていった。

何だったんだろう⋯。

 

「ん、もうちょっとで練習始まるかな?」

「あ、今日は練習お休みですよ?」

「そうなの?」

「はい、3年生はお仕事だし、他の皆も予定が入ったって言ってて⋯。」

「ん〜そっかぁ。じゃあ僕も自分の仕事して帰ろうかな?またね、ルビィちゃん!」

 

そう言って、夏喜さんも仕事に戻っていった。

ルビィはというと⋯特に予定も無くて今日はフリーになっちゃった。こういう時は花丸ちゃんと一緒に図書委員の仕事のお手伝いをしてるけど、今日はその仕事も無いみたい。

なのでルビィは、1人体育館へ向かいます。

職員室で部室の鍵を借りて、練習着に着替える。

これがフリーになった時の習慣。ルビィ、鈍臭いからどうしても部活だけじゃダンスが覚えられなくて⋯。

 

「よっ⋯ここをこうして⋯ターン!あぁっ間違えちゃった⋯。」

 

今度の新曲は果南さんがセンター。新しい振り付けに歌の練習でやる事がいっぱい。

だからせめてダンスだけは上手くやりたいのに⋯。

 

「⋯どうして上手くいかないんだろう⋯⋯。」

 

気づいたら18時。2時間近く1人で練習してたけど、なかなか思うようにいかなくて⋯間違う所を意識しすぎるとほかの所を間違えちゃう。

どうしたらいいんだろ⋯。

体育座りで考え込むルビィの後ろから、スポーツドリンクがにゅっと出てきた。

 

「お疲れ様。どうだい、調子は?」

「⋯夏喜、さん。」

 

仕事を終えたのか、それとも施錠に来たのか分からないけど、夏喜さんがそこに立っていた。

 

「隣、いいかい?」

「はい⋯。」

「よっこらせっと⋯。何やら悩んでるね?」

「どうしてもダンスが上手くいかないんです⋯。上手くやろうって思えば思うほどミスが増えていっちゃって⋯やっぱりルビィは鈍臭いのかな⋯。」

 

自分で言ってて、ちょっぴり悲しくなってきちゃった⋯。皆の足を引っ張らないように練習してるけど、このままじゃダメだよね⋯。

すると夏喜さんは、静かに話しだした。

 

「ねぇ、ルビィちゃん。ルビィちゃんは花陽ちゃんが好きなんだよね?」

「?はい。」

「じゃあ夏喜先生のちょっとした昔話、聞いてくれるかい?μ'sが出来るまで⋯いや、『小泉 花陽』っていう女の子が、自分の意思でμ'sに入るまでの。」

「花陽ちゃんの⋯?」

 

色んなスクールアイドルの雑誌を見てきたけど、メンバーそれぞれが入った経緯とかは書いてなかった。だからこれは、初めて聞く話。アシスタントだったっていう夏喜さんだけが知っている、ルビィの憧れの人の過去。

 

「花陽ちゃんはね⋯スクールアイドルが大好きだった。ルビィちゃんやダイヤちゃんに匹敵するぐらい⋯いや、ひょっとしたらそれ以上かな?でもね、彼女は怖がりだった。自分の意思で、前に進む事がなかなか出来なかったんだ。」

「花陽ちゃんが?」

 

何度もライブで見てきた憧れの人は、キラキラしていた。きっとルビィとは違う性格の人なんだって⋯そこに憧れた。

 

「その時、凛ちゃんと真姫ちゃんが彼女の背中を押したんだよ。『好きなら絶対にやるべきだ』ってね。そして彼女は言ったよ。自分の気持ちを⋯アイドルにかける想いを。」

 

 

『私、小泉 花陽と言います!1年生で、背も小さくて⋯声も小さくて、得意なものも何もありません⋯でも!アイドルにかける想いは、誰にも負けないつもりです!だから⋯だから私を、μ'sのメンバーにしてください!!』

 

 

 

「多分、怖かったろうね。それでも彼女は僕達に教えてくれたんだ。自分が本当にアイドルをやりたい⋯輝きたいって。」

「輝きたい⋯。」

「今の僕には、ルビィちゃんがそんな花陽ちゃんに見えるよ。」

 

知らなかった。彼女の想いを。

知らなかった。彼女の怖さを。

でも何でだろう⋯ほんのちょっぴり、分かる気がする⋯。

 

「これ、あげるよ。」

「これは⋯リストバンドですか?」

「花陽ちゃんから貰ったんだ。もし何かに向かって頑張ってる子がいたら、これを渡して励ましてほしいって。彼女が使っていたリストバンドだよ。」

 

花陽ちゃんが使っていたリストバンド⋯。私が貰ってもいいのかな。

 

「ルビィちゃん、難しく考えすぎないで。スクールアイドルは好きかい?」

「⋯はい、大好きです。」

「Aqoursに入って毎日が楽しくて⋯何か変われた気がするかい?」

「します!」

「それで良いんだよ。その気持ちを忘れなければ、誰だって輝くことが出来る。もう1度、ダンスを見せてくれないかな??」

「はい!」

 

深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

上手くやろうとするんじゃない。ただ、自分が好きな事をやるんだって⋯輝きを見せたいって思う。

今はこの人に⋯花陽ちゃんの想いと一緒に!

 

「いきます!」

 

もう何度繰り返したか分からない振り付け。さっきまでの焦りとは違う⋯なんだか、とっても楽しい!

クルクル回ったり、大きく手を伸ばしたり⋯自分の思うままに精一杯!

アイドルが好き。

それは誰にも負けたくない。Aqoursの皆にも、お姉ちゃんにも⋯花陽ちゃんにも!

全部が終わった頃には、体力は底をついて床に座り込んでしまっていた。

 

「はぁ⋯はぁ⋯や、やった!ミスしないで出来た!」

 

『ルビィちゃん。』

 

名前を呼ぶその声が、いつもと違って。

思わずルビィは顔を上にあげた。

 

『とっても、輝いてたよ!!』

 

「え⋯あ⋯。」

 

涙が出てくる。

だって、一瞬⋯ほんの一瞬だったけど、そこに居たのはルビィが大好きな人。

ルビィの憧れの人。

 

「うん⋯うん!ありがとう、『花陽ちゃん』!!」

 

もう涙を拭くことも忘れて、夢中で夏喜さんに抱きついた。

 

「素敵なステージありがとね、ルビィちゃん。」

「ルビィも⋯元気をもらったから⋯ありがとう!お兄ちゃん!!」

「うっ⋯!」

「あ、いや、今のは違うくて!///」

「⋯。」

「ぴぎぃっ!?」

 

鼻血を出して倒れた夏喜さん。

子供扱いされたくないって思ってたけど、結局ルビィも満更じゃなかったのかな⋯。

今はまだ貴方の妹のような存在でいるかもだけど、いつかちゃんと想いを届けます!

だからそれまで見守って欲しいな⋯///

 

「ってぇ!そんなこと考えてる場合じゃなかった!!うぅ⋯だ、ダレカタスケテェ〜〜〜!!」




な「はいこんチカー!!」

ル「こ、こんにちは!!」

な「いや〜、なんかガンバルビィの仕方間違えた構成にしちゃったかな?反省反省!」

ル「で、でもこれで1年生分は終わったんですよね?」

な「そうだね。皆に感謝だよ!ところで、これが次回からの話なんだけど⋯。」

ル「どんな感じで⋯ぴぎぃっ!?ほ、ほほほ本当にこれですか!?/// 」

な「yes!そろそろ頃合かと思ってね。」

ル「だ、大丈夫かなぁ⋯ちゃんとお話出来るかなあ⋯///」

な「なちょす次第☆さぁ!いよいよ本編は実質的な最終章、『煌めきの冬』へと向かいます!!」

ル「ルビィ達Aqoursと夏喜さんが駆け抜けてきた1年が、どういう形になるのか⋯是非、見届けてほしいと思います!」

ル「それじゃあ次回のちょ田舎!」

な「スクールアイドルと!」

ル「アシスタント!」


なる『あなたも、ちょっと田舎で暮らしませんか?♪』

P.S.ハピトレPVの頑張り屋ルビィちゃん見たらこうなる事必然でした。

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