暑い日が続いてますがいかがお過ごしでしょうか。
第2話、キャラも増えたため長くなりました。(分割投稿を知らない)
また、今回からは後書きがキャラの次回予告になります。P.S.は今まで通り呟きます。
「お前の声が聴きたい!」っていう作者LOVEな方は教えてください。
結婚しましょう。
それではちょ田舎第2話、どうぞ!
『やだやだ、お別れしたくないー!』
『ごめんね千歌ちゃん、でも行かないと…』
『だって、もう毎日遊べなくなるんだよ?もう会えないかもしれないんだよ…?』
『また会えるよ!絶対千歌ちゃんにも皆にも会いに来るから!だからそれまで、これを持ってて?』
『これなーに?』
『三つ葉のヘアピンだよ。それが僕の代わり!そしたら寂しくないでしょ?』
『うん…うん!』
『とっても似合ってる。また絶対会おうね!』
『うん!約束だよ!』
◇
とても懐かしい夢を見た。
あれは僕が引っ越す時に千歌ちゃんが見送ってくれた時の記憶。
ずっと泣いていたけど、最後は飛びっきりの笑顔を見せてくれたっけ。
…あれ?なんで僕は寝てるんだろうか?確か内浦に帰ってきて千歌ちゃんに再会して…。
後頭部からちょっとした痛みと柔らかい感触がする。うっすらと目を開けると千歌ちゃんの顔があった。
「あ、起きた?」
「…なんで僕は膝枕されてるのかな?」
「え?ナツ君気を失ってたんだよ?」
あぁそうだ、この子のミカン砲を食らって頭をぶつけたんだった…。
説明しよう!
ミカン砲とは、彼女が喜びを抑えきれなくなった時に相手に向かってジャンピングハグをする技である!
ちなみにこれを食らって気を失わなかったことは未だに無いよ。
「そっか、また食らったんだね僕は。」
「もう、ナツ君大きくなったんだからちゃんと止めてくれないとー!」
僕が悪いのか。理不尽だ!
反省の色が見えないミカン娘にはほっぺたつまみの刑を与えよう。
「まずはゴメンなさいでしょ??」
「いひゃいいひゃい(痛い痛い)、にゃふくんひょへん~(ナツ君ゴメン~)!!」
うむ、満足である。
しかし今日泊まらせてもらえることになったのは有難いけどまだ昼過ぎだし、他の皆の所に挨拶にでも行こうかな。
「今日はこれからどーするの?」
「とりあえず爺ちゃんの家の様子を見ながら他の幼馴染に会いに行こうかな。」
「…他の幼馴染って女の子?」
「皆千歌ちゃんくらいの女の子かな。」
「ふーん…。」
あからさまに不機嫌になってしまった。
なにか不味い事言っちゃったかな?
でもほっぺたを膨らまして拗ねてるのがなんだか可愛らしくて可笑しくなってくる。
さしずめミカンフグだ。
「じゃあ私も行く!」
「僕は構わないけど予定とか無いの?」
「私が一緒に居たいからいーのっ!///ほら、レッツゴー!!♪」
そう言って僕の手を取って走り出した彼女の耳が赤く見えるのは、多分気のせいだろう。
◇
こうして僕達は、彼女の通っているという浦の星女学院の近くにある爺ちゃん家のミカン畑にやって来た。
「なんだか懐かしいね~、昔はよくここで遊んだよね!」
「千歌ちゃんが来るたびに爺ちゃんが餌付けしてたもんね。」
「だってミカンが美味しかったんだもん!また食べたいなぁ…。」
たわいもない会話が弾む。あの頃に戻ったみたいだ。
後ろから迫ってる悪寒を除けば。
「千歌さん?」
「あ"っ…ダイヤさん、皆……。」
「酷いよ千歌ちゃん、呼んでおいて家に居ないんだもん!」
「これはどういうことか説明してもらえますか?」
「いやぁはは…その…忘れてた、みたいな?…」
「…ふふふ……忘れてた…ですって?」
「いや、でもこれには理由が……。」
「お黙らっしゃああああああああああい!!!!!!」
その日、修羅の如き少女の叫びがこだました。
◇
千歌ちゃん曰く、彼女らは自分が所属してる9人のアイドルグループ、『Aqours』のメンバーだという。彼女がスクールアイドルをやってたことにも驚いたがもう一つ…。
幼馴染がこの場に全員揃ってしまった。奇跡だよ。
当の本人達はそのことに気づいてないご様子で、被告人『高海千歌』を囲んでお説教中。
「あの~…。」
「はい!あ、すみませんお待たせしてしまって。」
「いや、気にしないでもいいですよ。もしよかったら、暑い中立ち話もなんですし家に寄っていきませんか?まぁ、爺ちゃんの家なんですけど。」
「はぁ、ですがご迷惑ではありませんか?」
「ふふ、そんなこと無いよ、『ダイヤちゃん』。」
「えっ?」
他の皆もキョトンとしている。そうかい、あと8人もいて誰も覚えてないのかい…。
いい大人が女子高生に泣かされそうだよ。(泣)
「僕は夏喜です。島原 夏喜。10年ぶりだね皆。梨子ちゃんは中3ぶりかな?」
『えーーーーーーーーーーーーっ!?』
◇
「いやー、まさかナツが帰ってきてたなんて…。///」
「ビックリしちゃいました。///」
とりあえず皆を家に上げてくつろいでもらってる。あの後誤解は解けて(思い出してもらって)、なんとか顔合わせという事になった。
「流石に家の中もあっついな…。扇風機かなんか探してくるから待っててね。」
「ありがとー、ナツ君!」
「でも皆子供の頃から違う場所でナツ君に関わってて…」
「それがこうしてスクールアイドルとして集まってるなんて奇跡みたいだね!」
「うーん…。」
「果南ちゃんどうしたの?」
「あのさ、今ナツが居ないから聞きたいんだけど…皆ナツにそういう感情抱いたりしてるのかな~ん…って///」
『………///』
「えっ、全員なの!?///」
「そういう果南だって顔真っ赤じゃない!!///」
「扇風機あったよー、って何の話??」
「鈍感には関係ありませんわ!///」
鈍感…夏喜ショック…。
「ところで、ナツ君はどうして内浦に?」
「そういえば!なんでなんで??」
「実はわけありでこの家に住むことになってね。あ…まだ爺ちゃんに挨拶してないや。」
「お爺ちゃんが居るの??私も挨拶したいわ!」
「え…でも夏喜さん、お爺様は…。」
ダイヤちゃんは知ってたか。
他の皆は、多分知らないんだよね
「善子ちゃん、挨拶するとき緊張するからって堕天しちゃダメずらよ?」
「なによ!普通にしてればいいんでしょ!///」
皆面識があるからこそ、ここで会ってもらうのが良いのかどうか分からない。
僕自身も会うのはあの日以来でまだ不安が残ってる。
でも…彼女達にはこの町に住む理由をちゃんと話すって決めてたから。
「ここだよ。」
襖を開けた部屋の中。
そこにあったのは綺麗な仏壇と爺ちゃんの写真。
あの日、葬式を終えてから初めて見た爺ちゃんの仏壇。
ずっと縁側が良いって言ってたから、一番広いこの部屋の縁側の近くに静かに佇んでいる。
「嘘……。」
「ナツ君…これって…。」
「…3年前に病気で亡くなってね。もう誰も住んでないからってこの家の取り壊しが決まったんだ。でも、大好きだった爺ちゃんとの思い出や皆と過ごした日々を壊したくなくてさ。」
初めて誰かに話す本心。
皆に今の爺ちゃんを見せてしまった罪悪感を感じながら言葉を続ける。
「ずっと、あの人の背中を追いかけてきた。誇れるようになろうって、涙の出し方も忘れて歯を食いしばって生きてきた。結局まだ何も出来てない。やりたい事も見つかってない。」
後ろを見ると、千歌ちゃんやルビィちゃんは泣いてしまっている。他の皆も涙を堪えながら俯いてしまっている。
こうなることは知っていた。
だって、皆あの人の事が大好きだったから。
「まだ夢や目標なんて無いし、何をしたらいいかも分からない。でももう一度ここに帰ってきたら、何か分かるんじゃないかって思ったんだ。
それが…僕が帰ってきた理由だよ。」
「夏喜…。」
「湿っぽくしちゃってゴメンね。さ、お腹空いたし何か食べに…」
「ナツくーーーーーーん!!!!!」
千歌ちゃんを先頭に皆が飛び込んでくる。
「私、知らなかったぁ…知らなかったよぉ…!」
「いや、不安で言ってなかった僕が悪いんだよ。」
「もう明日から皆で交代して面倒見てあげるから!」
「夏休みだし毎日会いに来るよぉナツ君~…!!」
「な、なんかあったらすぐ頼りなさいよね!!」
「ありがとう、善子ちゃん。」
「ヨハネよっ!」
泣き方を忘れた僕の代わりに皆が泣いてくれている。
あの頃と変わらない、優しい子達で良かった。
こんなに賑やかに過ごしたのは一体いつぶりだろう。
皆と過ごしていくこの内浦でなら、探してるものも見つかるかな?
「…ただいま、爺ちゃん。」
写真の向こうで、爺ちゃんが笑った気がした。
曜「ヨーソロー!渡辺 曜です!」
果「ご機嫌いかがかなん?松浦果南だよ!」
曜「いや~、まさか皆ナツ君と知り合いだったとはね~…。」
果「そうだね。一人暮らしらしいから私達も手伝ってあげないとね?」
曜「うん!次は私達の話だから3人でどっかお出かけしようよ!」
果「お、いいねいいね!じゃあ予定立てとこっか!」
曜「それじゃあ次回のちょ田舎!」
果「船乗り少女と潜水少女!」
曜果「「あなたもちょっと田舎で暮らしませんか?♪」」
P.S.名古屋2ndライブ楽しみで8時間しか寝れない