ちょっと田舎で暮らしませんか?   作:なちょす

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皆さん⋯こんチカーーーーーー!!!!
釣具の納得いく配置に2時間かかった、なちょすです。
正月明けてから怒涛のラッシュです。
何故なら3月のファンミの準備がありますから!
お見送りされたいですから!!!!

それではちょ田舎第13話、どうぞ!


2年生とコンクール

親が子供の晴れ舞台を見に行く時ってやっぱり緊張するものだと思うんだ。親になった事無いから正確には分からないけど、今ならちょっとは分かる気がする。

さっきから手汗がヤバイ。

 

「どうしよう千歌ちゃん、曜ちゃん。めっちゃ緊張してきた⋯!」

「あっはは!もぅ、何でナツ君が緊張してるの?」

「一番緊張してる人があそこにいるのにねぇ〜。」

 

そう。今日は地域で行われる小規模なピアノコンクールの日。演奏するのはもちろん彼女。

 

『次は浦の星女学院2年、桜内梨子さんです。』

 

アナウンスの声で会場に拍手が響き渡る。

事の発端は数日前だ。

 

 

 

「コンクール?」

「うん⋯この辺でピアノのコンクールがあるみたいなんだけど、練習も無い日だから出てみようかなって⋯。」

「ほんと!?行きたい行きたい!!」

「梨子ちゃんの生演奏が聴けるなんて貴重だよ!」

 

2年生が遊びに来た時に梨子ちゃんがそう口にした。

こっちに引っ越してくる前には東京でも色んなコンクールに出てたみたい。

 

「いいと思うよ。曲ってオリジナルなの?」

「うん。けどまだ構想段階って感じで⋯。」

「梨子ちゃんなら大丈夫だよ!だってAqoursの曲もいっぱい作ってくれてるし!」

「上手くいくかな⋯。」

「私達もついてるから!」

「ふふっ、それが心配なんだけどな?」

「あー!酷いよ梨子ちゃーん!」

 

見てて微笑ましい光景だね。この和やかなムードが病みつきになりそう。

 

「⋯ナツ君変な顔してどうしたの?」

「え、そんな変な顔してた?」

「うん。鳥肌立つくらいには。」

「そんなに!?」

 

⋯今度から顔に出さないように気を付けよう。

ガラスのハートがブレイクしちゃう。

何にしても梨子ちゃんが演奏するってなったら幼馴染としてしっかりサポートしなくちゃね!

 

「曲作りとか何かあったらどんどん頼ってね。」

「うん、ありがとう夏喜君♪」

 

とまぁ、そんな事を経て梨子ちゃんの家に行き曲を作ったのがこの間。

あの時に聞きそびれたから、僕は彼女が演奏する曲のタイトルすら知らないんだ。

 

「梨子ちゃん緊張してるかな?」

「むむむ⋯私のレーダーがちょっと緊張してると告げてるよ!」

「便利なアホ毛だね⋯。」

「今こそ、私達3人の絆を見せる時!やるよ、2人とも!!」

「ヨーソロー!」

「え⋯本当に⋯?」

 

そう、彼女が緊張していたら予めやろうとしていた事がある。

日本中探したって居ないだろう⋯友達の晴れ舞台にキメ顔で激励なんて⋯。

 

「じゃあ行くよ⋯せーのっ!!」

 

ええいどうにでもなれ!!

千歌ちゃんの小さな掛け声で3人思い思いのキメ顔をする。さぁ梨子ちゃん!これで緊張をほぐしてくれ!!

 

「⋯⋯⋯。」

 

彼女がじっとこちらを見つめる。

他のお客さんから見えるか見えないかぐらいには眉間にシワが寄っているね。

そんな事は知らずにキメ顔を続ける2人。

何で2人揃ってキメ顔がペ〇ちゃんテイストなのさ⋯。

 

「2人とも⋯もう大丈夫だよ⋯。」

「え?でも私のレーダーはまだ⋯。」

「大丈夫!きっと大丈夫だから!梨子ちゃんを信じてあげて!!」

 

じゃなきゃ3人まとめて正座お説教コースだから!

 

「千歌ちゃんナツ君!梨子ちゃんの演奏始まるよ!」

 

曜ちゃんの声でステージの方を向くと、梨子ちゃんはピアノと向かい合っている。

 

『それでは桜内さんで⋯「再会の夏」。』

 

静かに深呼吸をして、彼女は鍵盤を叩く。

優しい⋯けれどもどこか懐かしいメロディ。決してこの間聞いたからだけじゃない。

 

「「⋯⋯。」」

 

千歌ちゃんと曜ちゃんは目を輝かせながら聞き入っている。

ステージ上の少女はとても輝いていた。スクールアイドルをやっている少女でも無い。いつもの恥ずかしがり屋の少女でも無い。ただ心の底からピアノが大好きな1人の少女がそこには居た。

 

「再会の⋯夏⋯。」

 

時折激しさを増す曲調は、途端に悲しげなメロディに変わる。

梨子ちゃんが何を思ってこの曲を作ったのかまだ分からないけど、不思議と夏の出来事が頭の中でフラッシュバックする。

そのまま曲は最後の部分までスパートをかけて演奏は無事終わった。

 

『桜内梨子さん、ありがとうございました。』

 

アナウンスの声と共に会場内には拍手が響き渡る。

なんというか⋯凄かったよ。

これから結果が出るまで休憩時間になるから僕らは一旦会場から出る事にした。

丁度演奏を終えた梨子ちゃんがこちらへ歩いてくる。

 

「梨子ぢゃ〜ん!わだじ、感動じだよ〜!!」

「そんな事無いよ千歌ちゃ泣きすぎじゃない!?」

「私も⋯感動じだ⋯。」

「曜ちゃんまで〜⋯でもありがとう♪」

「お疲れ様梨子ちゃん。」

「うん。夏喜君、今回は本当にありがとう!」

「いやいや、僕なんて手伝ってたのか分からない感じだったしさ⋯。」

「ううん、私1人じゃ出来なかったから⋯。ところで千歌ちゃん、曜ちゃん。」

「何?」

「どうしたの??」

「取り敢えず⋯。」

 

梨子ちゃんが僕の方を向いてるから彼女達はまだ分からないだろう。この子が今どんな顔をしてるか。

彼女の⋯『笑顔』の意味を⋯。

 

「『せ・い・ざ』。してくれるかな?♪」

「「ひぃいいいいいっ!!!!」」

 

えぇ〜⋯こちら実況席の島原です。

ただ今キメ顔で激励した2人が桜内さんにお説教されていますね。先程とは違うベソをかいております。

 

「もう、本当に笑いそうだったんだからね!!」

「ごべんなざい⋯。」

「今度がら普通にじまず⋯。」

「⋯でも嬉しかったよ♪」

「「梨子ぢゃ〜ん!!」」

 

おぉっと何というアメとムチの使い方!本当に東京から引っ越してきたのか梨子ちゃん!既に高海、渡辺両選手の扱いに長けているぅーーー!!

 

「でも何でナツ君はお説教無しなの?」

「あの人は良いの。キメ顔が凄い鳥肌立っちゃったから⋯。」

「泣くよ?」

 

マジトーンマジ顔で言われちゃったら立つ瀬が無いね!HA☆HA☆HA!!

 

「よし!そろそろ結果発表だから会場に行こうか⋯ぐすっ。」

「そうだね。じゃあ千歌ちゃん曜ちゃん、一緒に⋯。」

 

梨子ちゃんが停止する。振り返るとそこに居たのは、正座している2人のペ〇ちゃん。

 

「⋯ふっ。」

「梨子ちゃん笑った!」

「イェーイ!!」

「もうっ!!///」

「みかん!?」

「よしこ!?」

 

出た!堕天使を封じ込めた脳天チョップ!そんな悲鳴は聞いたことないぞ幼馴染みーズ!!

 

「そんな事やってると置いていくよ!」

「あー、待ってよ梨子ちゃん!!」

「ヨーソロー!!」

「あはは、賑やかだなぁ。」

 

会場に入るとさっきまでのムードとはうってかわり緊迫したムードが満ち溢れている。

小規模なコンクールと言えどもちゃんと賞も出るしそこそこ有名な音楽家達も来ているから当然といえば当然か⋯。

参加人数は8人。2位まで結果発表されたものの、梨子ちゃんの名前はまだ呼ばれていない。

横目で彼女の方を見ると、顔が少し強ばっている。

 

「⋯梨子ちゃん。」

「どうしたの?」

「信じよう。自分自身と、梨子ちゃんが作ってくれた曲を。」

「⋯うん。」

『それでは優勝者の発表に移ります。第9回内浦ピアノコンクール優勝は⋯浦の星女学院2年、桜内梨子さんです。』

「「やったー!!」」

 

優勝⋯?今優勝って言ったよね!?

千歌ちゃんと曜ちゃんは手を繋いで大喜びしてる。

 

「夏喜君⋯私⋯。」

「うん。おめでとう梨子ちゃん!さ、行っておいで!」

『では優勝トロフィーの贈呈です。桜内さんは登壇してください。』

 

ステージの上でトロフィーを持つ梨子ちゃんに、会場から大きな拍手が送られる。

 

『では梨子さん、今のお気持ちをどうぞ。』

「はい。今回このような素晴らしい賞を頂けた事に嬉しさでいっぱいです。私が曲を作るには、多くの人の支えが無ければ叶いませんでした。親に友達、色んな出会いと初めてをくれたこの町の人達。そして⋯久しぶりに再会した幼馴染みの人。」

 

不意に梨子ちゃんと目が合った気がした。

 

「だから私達の思い出が沢山詰まったこの曲で優勝できた事は、何よりの宝物です。本当にありがとうございました!」

 

夏の思い出がフラッシュバックした事にも納得した。

彼女は彼女なりに僕達の夏を表現したんだ⋯何て良い話⋯。

閉会式も滞りなく進み、このピアノコンクールは無事閉会を迎えた。

 

「いや〜信じてたよ梨子ちゃん!」

「帰ったら祝勝会だよ!!」

「そんな悪いよ!」

「良いんじゃないかい?折角優勝したんだから梨子ちゃんは堂々として大丈夫だよ!」

「うぅ〜⋯///」

 

数時間前ピアノを弾いていた少女とは思えないほど恥ずかしがり屋の梨子ちゃんが帰ってきた。

あまりの変わりように少し笑ってしまう。

僕らの歩く道にも葉っぱが色付いてきた。もう秋も後半になってきたなぁ⋯。

 

「ちょっぴり肌寒くなってきたね。」

「うん、そうかも。」

「だったら!」

「ぎゅーーー!!」

 

幼馴染みーズが両サイドから僕と梨子ちゃんに抱き着いてくる。

 

「おっと!」

「わわ、千歌ちゃん!?///」

「こうすれば寒くないのだ!♪」

「う〜ん、お2人共ぬくぬくですなぁ⋯。」

「もう、恥ずかしいって!///」

「ははは、じゃあこのまま帰ろっか。」

「夏喜君!?///」

 

恥ずかしがり屋の少女を1人連れ、秋風吹く帰り道を僕らは笑いながら歩いていった。




果「やっほ、皆ご機嫌いかがかなん?」

鞠「梨子ったら本当にキュートよね〜♪」

ダ「そうですわね⋯。」

果「あれ、どうしたのダイヤ?顔が暗いよ?」

鞠「そんなんじゃHappyが逃げちゃうわよ〜!」

ダ「いえ、この1・2年生の後に私達というのがちょっと⋯。」

果「そう言えば、次は私たちだもんね。」

鞠「何やるのかしら?」

ダ「遊ぶだけですわ。」

果「良いじゃん!私達らしいって!」

鞠「そうよ!何が問題なの??」

ダ「遊ぶのは構いませんが、私達が1番子供みたいに単純に見えますわよ?」

果鞠「「⋯⋯。」」

果「次回のちょ田舎!!」

ダ「逃げましたわね?」

鞠「3年生と!」

果「スポーツ勝負!」

ダ「貴方も⋯。」


果鞠ダ「ちょっと田舎で暮らしませんか?♪」

P.S.表現力が足りない⋯!

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