そろそろ冬眠の準備を進めてる、なちょすです。
ほんっとに寒い⋯雪国育ちでも都会の風は⋯寒いよ⋯しいたけ⋯。
本編に戻ってきました。なちょすクオリティの田舎話をお待ちの方、お待たせしました。
いつも通り生暖かい目で見ていただけたら有難いです。
それではちょ田舎第10話、どうぞ!!
新学期と新生活
今日から新学期。
暑かった夏は過ぎ去り、比較的涼しい秋の初めと言ったところかな。
昨日は課題が終わってない3人組の勉強を手伝ってから今日の準備をしたから正直寝不足だよ⋯。
さて、朝の7時半。僕が今いるのは新しい就職先。
「でさー、昨日のアレ面白かったよね!」
「本当、ヤバかったねー!!」
浦の星女学院。正門前に立っている。
僕をこの時間に呼び出した理事長の姿はまだ無い。
「⋯ねぇねぇ、あの人何してるのかな?」
「ちょっと怪しいけど⋯カッコよくない?///」
「ん〜⋯まぁ///てか、そう思うなら行ってきなよ!」
「えぇっ!?///無理無理無理!!///」
所々聞こえないけど怪しまれてるみたい。
頼む鞠莉ちゃん!please help me!!
「あ、あの〜っ⋯。///」
「はい!なんでしょう!」
多分⋯なんでしょうは向こうのセリフだと思う。
僕に話しかけてくれた女の子は、恥ずかしさからか別の理由でかは分からないけどちょっぴり顔が赤い。
「何かご用ですか??」
「あぁ、実は小原理事長を探してるんだけど⋯まだ来てないのかな?」
「小原先輩ならあそこですよ。」
彼女が教えてくれた方向には、3人仲良く登校する3年生の姿がある。
「あれ、ナツじゃん!」
「夏喜さん、おはようございます。」
「シャイニー!夏喜!!」
「おはよう皆。時に鞠莉ちゃん。」
「What?」
「呼び出しを食らった身としてはいつ通報されるかドキドキしてたんだけど⋯流石に女子高の前で男1人は厳しいよ。」
「私呼び出ししたかしら?」
「What?」
「何馬鹿な事言ってるんですの?夏喜さんも困ってるじゃないですか。」
「あっはは!ジョークよナツキ!!☆」
「⋯勘弁して下さい。」
さっき教えてくれた子は友達の所に戻りキャーキャー言っている。
よっぽど怪しかったんだろうなぁ僕⋯。
「ナツなら大丈夫じゃない?」
「そうですわね、夏喜さんですものね。」
「あの〜⋯なんか目が据わってるんだけど⋯。」
『別に!!』
「はい⋯。」
「あらあら、果南もダイヤも嫉妬ファイヤ〜〜〜〜〜〜〜なのね♪」
『鞠莉っ!!(さんっ!!)///』
嫉妬⋯?誰が?何に??
「ほら、いいから行きますわよ夏喜さんっ!!///」
「あ!ダイヤばっかり手繋いで狡いよ!私も行く!///」
「え、あ、ちょ⋯!」
「ほらほら、ナツキLet's go!!」
何も状況が飲み込めないまま僕は両手を繋がれて校内へと連行された。
取り敢えず理事長室で今後の説明を受けた僕。
まずは始業式を行うらしく、その中で僕の紹介と挨拶があるらしい。
果南ちゃんも2人から聞いて、僕がこの学校で働くことは聞いていたみたい。
「じゃあそろそろ行きますか。」
「鞠莉さん、挨拶はしっかり頼みますわよ?」
「それナツキに言わないとね?」
「はは⋯頑張るよ⋯。」
正直心配が無いかと言えば嘘になる。
だってさ⋯女子高だよ?生徒どころか教師にも男性陣がいない中、新しく男の用務員が入りましたって言われても⋯。
僕は、生きて用務員生活が出来るのだろうか。
こちらの心配はお構い無しに、始業式は滞りなく進んでいく。
「みなっさーーーん!!シャイニーーーー!!☆」
『シャイニーーーー!!!!』
⋯突っ込まないぞ。絶対突っ込まないぞ。
「新学期に元気な皆さんに会えてとってもHappyデース!!☆さて、今日はもう1つ大事な話があります。実はこの学校で新しく用務員の人が働く事になりマーシタ!な、ん、と!男性の方デース!!♪じゃ、後はよろしくお願いしマース!」
体育館にざわめきが走る。
ありがとう鞠莉ちゃん。プレッシャーとハードルが上がりまくって過去最大量の手汗をかいてる自信があるよ。
ステージの横から出る前に着慣れないスーツを整え深呼吸する。よし、大丈夫。
行こうか、戦場へ⋯。
「お、男の人⋯うぅ⋯。」
「ずらぁ⋯優しい人だったら良いなぁ。」
「ふふ、誰であろうとこのヨハネの美貌に骨抜きにされてしま⋯は?」
「曜ちゃん、梨子ちゃん⋯私夢見てるのかな?」
「いや⋯これが夢だったら多分⋯」
「皆同じ夢を見てるんじゃないかな⋯?」
「皆さん、おはようございます。新学期よりこの浦の星女学院の用務員として働く事になりました、島原 夏喜と言います。いきなり僕みたいな男の用務員が入って戸惑う所はあるかもしれませんが、皆さんが素敵な高校生活を送れるように全力でフォローしていくつもりですので、これからよろしくお願いします。」
『えぇえええええええっ!?!?!?』
スクールアイドル部から驚愕の叫び声と、3人分の笑い声が聞こえたのは言うまでもないよね⋯。
「で!どーいう事なのナツ君!!」
「いきなり過ぎてびっくりしたずら!」
「ははは⋯まぁ色々と事情があるんだけど⋯一番詳しいのは理事長かな?」
「イエース!まぁ文字通りよ?ナツキには浦の星女学院の用務員として在籍してもらうことになったから♪」
「なんでまた急に⋯。」
「あら、嫌だった??」
「そんな⋯ことは⋯///」
梨子ちゃん、そこははっきり言ってくれないと僕の心が砕け散るよ⋯。
この学校⋯と言うよりもこの町の子達は基本的に暖かい。
始業式が終わってから、皆フレンドリーに話しかけてくれたしね。ただ質問の内容が彼女はいるのか、とかタイプはどんなのか、とかばっかりだったのはそういうお年頃なのかな。
今はダイヤちゃんに助けられて用務員室に来たところだけど、今度はAqoursの皆に質問攻めにされる。
「まぁ別にいても困ること無いし。」
「おぉ⋯善子ちゃん大人だね⋯。」
「ヨハネよ。それにそろそろ授業始まるから放課後にして戻った方が良いんじゃない?」
「うぇっ!?ホントだー!!ナツ君放課後にね!」
「あ、待ってよ千歌ちゃーん!!」
「まる達も行こっか!」
「うん!」
「じゃあナツキ、お仕事ヨロシクね?☆」
「あぁ、分かったよマリー。」
「⋯不意打ち⋯///」
さてさて、皆が教室に戻ったところで⋯。
初仕事だ。あまり変なことは出来ないし、頼まれたからにはやらなくちゃね。
机の上にある手順書に目を通す。
1、備品を注文・管理すること。必要であれば生徒の要望も取り入れる事。
2、生徒とコミュニケーションを取ること。でもあまりハードなものは駄目デスよ?
3、トイレ掃除。時間には気をつけてね?♪
うん⋯待って⋯トイレ掃除ってなにさ!?
ハードな接触駄目なのは分かるしする予定も無いけどトイレ掃除は絶対不味いって!
「鞠莉ちゃん、絶対面白がってるよね。」
この件は後でじっくり考え直してもらおう⋯。
取り敢えず今ある備品の整理とか把握もしておきたいから学校の中を散策しておこうかな。
まずは1年生の教室がある1階からだね。この学校は学年によって階層が分かれてるから、覚えるのも早めに済みそうだ。
すると目の前から、結構な量の冊子を持った1人の女の子が歩いてきた。
「ふぅ⋯疲れたなぁ⋯。」
「手伝おうか?」
「へ?あ、島原先生。」
「はは、先生って呼ばれるとちょっと変な感じかな。もっと好きに呼んでもらってもいいよ?」
「え、その⋯な、夏喜⋯さん///」
「うん、よろしく!課題集め大変だよねぇ⋯よっこらせ。」
そう言いながら彼女が持っている3分の2ぐらいを受け取る。
「あ、あの!そんなには流石に申し訳ないですよ!!」
「気にしなくても大丈夫だよ。あっちから見てても大分フラついてたし、もしもの事があるかもしれないからね。それにこういう時の為に僕がいるような物だから、頼ってくれないかな?」
「は、はい⋯///」
僕が笑いながらそう言うと、彼女は照れ臭そうに了承してくれた。よし、生徒とのコミュニケーションは大丈夫そうだ。
2人で職員室に向かい、課題を提出する。最後に女の子に挨拶したら、彼女は少しだけ顔を赤らめて教室へと戻って行った。
「あれ?ナツキじゃない。」
「ん?あぁ善子ちゃん。こんにちは。」
「なんか、アンタが学校にいるって変な感じね。」
「僕もそう思ってたとこだよ。さっきの子にもお節介って思われなかったかな⋯。」
「⋯それなら心配無いわよ。あの子喜んでたから。」
そう言ってくれたのなら嬉しいな。
でも善子ちゃんは口を尖らせて何やら不機嫌な様子で⋯。
「どうしたの?何やらご機嫌があまりよろしくないようで⋯。」
「別に〜⋯ま、頑張りなさいよ。私はそろそろ戻るから。」
「あ、善子ちゃん。」
呼び止めた彼女の頭を優しく撫でる。
機嫌が悪い時に効くかは分からないけどね。
「また、放課後にね。」
「⋯っ!///」
『え、もしかして津島さんと夏喜さんってもうそういう!?///』
『キャー!///』
いつの間にかそばにいた1年生が何やら勘違いをしてしまっている。
だけど⋯既に遅かった。僕の手の下で小さな堕天使がぷるぷるしている。
あぁ⋯果南ちゃん辺りに骨を拾ってくれと頼んでおくんだったなぁ⋯。
「場所と言葉をぉ⋯考えろっ!!///」
「ぐっはぁっ!!!!」
ボディブローが突き刺さる。どうやら彼女の堕天使的パワーは間違いでは無い。この細い腕のどこにこんな力があるのか未だに謎だから。
「もう!///このクレイジーサマーーーーー!!///」
「はじ⋯めて⋯言われた⋯がくっ。」
残念、僕の新生活はここで終わってしまった!
「あれ?ナツ君どうしたの?」
「よ、曜ちゃん⋯ちょっと選択肢を間違えてね⋯。」
「?よく分かんないけど善子ちゃん見なかった?」
「あぁ、さっき堕天奥義使って走っていったよ。」
「そっか!ありがとね!あ、鞠莉さんが放課後屋上に集合だって!」
「うん、分かったよ。」
それだけ言うと曜ちゃんは、「ヨーシコー!」と叫びながら行ってしまった。屋上集合と言われたけど、鞠莉ちゃんの事だから何かまだあるんだろうな。
お腹を擦りながら取り敢えず今日の仕事をこなしていく僕だった。
「で、話ってなんですの?」
「ふふふ、焦らなーいの♪じ・つ・は!ナツキがこの部の顧問になりました〜!!」
「え!?本当に!?」
「用務員で顧問とはまた新しいね⋯。」
実際の所そうだよね。普通は学校の教師がやったりするものだけれど、僕には一つだけ心当たりがある。
そして多分鞠莉ちゃんはそれを知っているんだ。
「けど、どうして夏喜さんずら?」
「あら、ナツキ以外にこれ程の適任者は居ないと思うわよ。そうでしょ?
「へ?」
「⋯鞠莉ちゃんには隠し事は出来ない気がしてきたよ。」
『えぇえええええええっ!?』
「どどどど、どういう事なのナツ君!?」
「夏喜さんが⋯μ'sのアシスタント?ああああの正体不明で女神の道標と言われていた!?⋯ぐふっ⋯。」
「お、おねいちゃああああ!!!!」
「まぁ、非公式だけどね。たまにギター弾いてライブの手伝いしたりとかスケジュール管理したりとか⋯。」
「随分アクティブな非公式ね⋯。」
「じゃ、じゃああのミナリンスキーさんのサインって!?」
「はは⋯色々あってね⋯直筆だよ。」
「しゅごい⋯。」
「奇跡だよっ!!ナツ君!いや、夏喜先生!何卒、何卒千歌達に助力を〜!!」
「あっはは⋯まぁ顧問として出来ることはしていくつもりだから。皆宜しくね?」
『はい!!』
この事実がどうなっていくか未来の事は分からない。
それでも⋯見た事の無い夢の軌道を駆け抜ける為に。
女神達から受け継いだ意思を彼女達に繋げていく。
そんな僕の新しい田舎暮らしが、ここから始まろうとしていた。
花「皆さんこんにちは!」
鞠「は〜い♪元気にしてたかしら?」
花「夏喜さんがμ'sのアシスタントさんだったなんてびっくりしたずらぁ⋯。」
鞠「んふふ、ちなみにアシスタントってまだ居るのよ?ただ私も分からなかったんだけどね⋯。」
花「ずらぁ⋯オラ達、これからどうなっていくんでしょうか。」
鞠「どうなるか、じゃなくてどうしていくか!皆で考えていきましょ?♪」
花「はい!次回は夏喜さんがお世話になったおばあちゃんに会いに行くずら!」
鞠「もちろん、私達も出るから安心してね?☆」
花「それじゃあ次回のちょ田舎!」
鞠「実りの秋と!」
花「タエ婆ちゃん!」
花鞠『あなたも、ちょっと田舎で暮らしませんか?♪』
P.S.これで年内の投稿が最後になります。初めて4ヶ月でしたが、お世話になりました。来年度もよろしくお願い致します。
良いお年を!!