ちょっと田舎で暮らしませんか?   作:なちょす

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梨子's Side story
きっかけは1つの曲。
コンクールで出す為に練習してたんだけどどうしても最後が決まらなくて⋯そんな時、夏喜君が手伝ってくれるってことで家に来たの。
なのに⋯秘密はバレるし空回りはするし⋯///
うぅ、曲作り大丈夫かなぁ⋯?///


Act.3 桜内さんは眠れない

今日は練習がお休みの日。

私はよく部屋でピアノを弾いている。ピアノが弾けなくてこの町に来て、スクールアイドルを初めて⋯。

Aqoursの皆のお陰で、私はもう一度ピアノと向き合うことが出来た。

 

「ふぅ⋯こんな感じかな⋯。」

 

次のコンクールは、大会が被ってたりしてないから、1度出てみようと思ったの。

もちろん皆に話したし、応援しに来てくれるって言ってはくれたんだけど⋯。

 

「肝心の曲が出来てないんじゃ、どうしようもないよね⋯。」

 

新しい曲を作ってコンクールに臨もうとしてた矢先、スランプに激突。

どうしても最後が決まらない!

 

「あぁ〜、どうしよう〜!!⋯あれ?LINEが来てる。」

 

相手は夏喜君からだった。

 

『梨子ちゃん、曲作りは順調かい?』

「ん〜⋯ちょっと詰まってるかな⋯と。」

『もし良ければ手伝おうか?と言ってもギターだけだったからピアノの感覚とは違うけど⋯。』

「夏喜君ギターやってたんだ!⋯ちょっとカッコいいかも///」

 

確かに違いはあるかもしれないけど、詰まった時は初心に帰って色んな方向から見た方が良いよね。

 

『お願いしてもいいかな??』

『了解です!じゃあこれから向かうね。』

『待ってます♪』

 

こんな感じでいい⋯かな?変な感じじゃなかったよね?///

でもこれで大丈夫なは⋯ず⋯。

 

「⋯待って。今から?来る?」

 

部屋をぐるりと見渡す。辺りには楽譜と同人誌が置かれている。

 

「片付けなきゃ⋯!!」

 

特に同人誌!!///

夏喜君に初めて壁ドンされたのが忘れられなくてハマり出したなんて本人に知られたらもう生きていけない⋯///

ここから夏喜君が来るまでの間、ただ無心に部屋を掃除するのだった。

 

 

 

「こんにちは梨子ちゃん。」

「よ、ようこそ夏喜君⋯!」

「どうしたの?なんか疲労感があるけど⋯。」

「え!?な、何でもないよ!?さ、どうぞ!」

 

間に合った⋯何とか片付けが終わったわ。

 

「いやー、なんか女の子の部屋って感じだね。」

「そ、そうかな⋯?」

「はは、逆に緊張してきちゃったもん。」

 

そういえば今まで男の子を部屋にあげたことって無かったな⋯。

やだ、なんか私まで変に緊張してきちゃった!///

 

「あ、あの!私お茶持ってくるね!!」

「ゴメンね、ありがとう。」

 

はぁ⋯いつもならよっちゃんとか千歌ちゃんがいるから普通に出来るけど⋯。

ふ、2人きり⋯なんだよね///

 

「梨子??」

「ひゃっ!?///お、お母さん??」

「お母さんちょっと出掛けてくるから、後のこと宜しくね?」

「うん分かった。」

「それから〜⋯」

 

お母さんがこっそり耳打ちしてくる。

 

「『何かある時』は、帰ってくる前に済ませてね?」

「んなぁっ!?///」

「あら、お顔が真っ赤ね♪」

「もぅ!!///無いから大丈夫!///」

「あらあら☆じゃあ行ってきまーす!」

 

こんな時にからかわなくってもいいのに!!///

 

「た、ただいまぁ⋯///」

「おかえり梨子ちゃん。顔赤いけど大丈夫?」

「へ?///」

 

そう言って顔を近づけてくる夏喜君。

 

「熱は⋯無いね。ちょっと熱いけど。」

「あ、あのあのあの⋯!!///」

 

オデコで熱確認なんてこれで無自覚なの!?///

花丸ちゃんがプレイボーイって言ってた意味が分かる気がする。

 

「だ、大丈夫⋯だから!」

「そう?無理だけはしないでね。」

 

そう言ってはにかむ彼の顔が直視出来ない。

本当、調子狂っちゃうなぁ⋯///

 

「ところで、梨子ちゃんってやっぱり壁ドン好きなんだねぇ。」

「へっ!?///ななななななんでっ!?///」

「いやぁ〜⋯そこに本があったからね。」

 

あった。ピアノの下に1冊。

見られた?見られたよね!?///

 

「い、いや!これはその⋯違うの!!///」

「乙女だね、梨子ちゃん!」

「ぐぅ⋯っ!!///」

 

悪意の無い言葉が痛い!///

一番見られたくない人に見られた⋯。

 

「もう生きていけない⋯///」

「え!?そこまでなの!?」

「⋯夏喜君⋯その⋯もし嫌じゃなかったら⋯壁ドンしてもらってもいい??///」

 

あぁ⋯私何言ってるんだろう。

この間のはよっちゃんからの事故みたいなものだったのに⋯。

きっと夏喜君も変な子だと思ったよね⋯。

 

「梨子ちゃん、ちょっとこっち来て。」

「え?」

 

夏喜君に呼ばれて部屋の隅に向かう。

 

「どうしたの?夏喜く⋯」

「梨子ちゃん。」

 

不意に壁ドンをされる。

彼の顔が近い。

 

「僕で良ければいつでもやるよ。だからさ⋯。」

 

夏喜君の指が私の顔を優しく上に向ける。

必然的に彼から目が離せなくなった。

 

「そんな悲しそうな顔、しないで欲しいな?」

「〜〜〜っ!!///」

 

きっと今の私はボンッていう擬音が似合うぐらい真っ赤になってるんだと思う///

初めて会った時とは違う表情に呼吸が止まる。

こういう所、この人は本当に狡いと思います///

 

「はは、こんな感じで良かったかな⋯?」

「⋯⋯///」

「あの〜⋯梨子ちゃん??」

「はっ!///ご、ごめん夏喜君!///その⋯あり、がとう⋯///」

「いえいえ。そういえばコンクールの曲ってどのくらい出来てるの?」

「後は最後だけなんだけど⋯そこが決まらなくて。」

「ん〜⋯ちょっとだけ聞かせてもらってもいい??」

「えっ!?///」

 

コンクールで発表するからどのみち演奏しなくちゃいけないけど、それとこれとじゃ全然違うよ///

 

「あ、いや!無理にって訳じゃないから⋯。」

「ううん、大丈夫!私が作ったやつだから変なところあったらごめんね??」

「梨子ちゃんが作ったやつなら大丈夫!」

「ふふ、上手いこと言っても何も出ないよ?」

「いえいえ、お願いします桜内先生!」

「じゃあ準備するね。」

 

鍵盤の蓋を開けて席に着く。

前はあんなに怖かったのに、今は一番落ち着く場所になっているのが不思議な感じ。

楽譜を用意して演奏しようとした時、違和感に気付く。

 

「夏喜君⋯近くない⋯??///」

「いや〜⋯こっちの方が聴いてすぐに協力できるかなぁって。」

「それはそうだけど⋯隣⋯なの??///」

 

ただ座ってるだけなのにまた緊張してきた。

好きな人が隣にいて、その人の前でピアノを演奏するなんて⋯///

 

「じ、じゃあ弾くね!!///」

 

集中力が切れない内に鍵盤を叩く。

初めの一音がなった途端、それまで緊張してのが嘘みたいに曲に入り込む。

 

『〜♪〜〜♪』

 

ピアノの音と一緒に鼻歌が聴こえてくる。

夏喜君、楽譜を見ながら鼻歌を歌ってるんだ⋯。

音楽をやってただけあって楽譜だけでどんな曲か分かっちゃうんだ。

私のピアノに合わせて曲に命が吹き込まれる。

そんなに長い曲じゃないのに、この時だけはとても長く感じて幸せな気持ち⋯。

ずっと続いてほしい、なんてちょっと我儘かな??

 

 

 

「夏喜君凄いね!初めて聴く曲なのにメロディーが分かるなんて!」

「いやいや、最後の部分を弾きながら完成させた梨子ちゃんのが凄いよ。」

 

そう、2人で演奏してたら私は曲の最後まで弾けたの。

何でかな⋯頭の中に曲が流れてきて不思議な感じだった。

 

「これで一段落、かな?」

「うん!本当にありがとう夏喜君!♪」

「いえいえ、こちらこそ。ちょっと休憩しようか。」

「そうね。それじゃあ⋯」

 

そこまで言って立ち上がろうとした時に、椅子の脚につまづいて倒れ込む。

 

「痛っ!」

「梨子ちゃん、危なっ!!」

 

ビックリして目を瞑っちゃったけどどうなったのかな。

なんか、抱きしめられてるような⋯。

 

「痛ってて⋯怪我はない?」

「⋯あ、ありがとう///」

 

夏喜君が抱きとめる形で私の下になってくれた。

でもこれ、見方によってはその⋯私が夏喜君を押し倒してるように見えるよね⋯///

 

「⋯夏喜君///」

「ん、どうしたの?」

「その⋯私⋯///」

 

多分、今しか無いんだと思う。

ちゃんと伝えなきゃ。私の気持ち⋯。

 

「私⋯!///夏喜君が⋯!///」

「梨子〜♪ただい⋯ま⋯」

『あ。』

「あぁ〜⋯お母さん、用事思い出しちゃった///ごゆっくり〜⋯。」

 

お母さん⋯タイミングが悪すぎて何も言えないよ⋯。

 

「えーと⋯梨子ちゃんさっきなんか言おうと⋯」

「何でもないっ!!///」

「え、あ、そう⋯なの?」

 

あの流れで言えなかった私にも問題ありだけどあそこまで言って気づかないこの人は⋯。

でも、今はこれでよかったのかも。

密かに胸に留めた恋心は口から出ることは無く、私達は残りの時間を沢山お喋りして過ごした。

 

 

 

「色々ありすぎて疲れた⋯。もう遅いからそろそろ寝ようかな。」

 

曲も完成して今はもう夜。

夏喜君とお別れした後お母さんに弁解するのが大変だった⋯。

徐々に襲ってくる睡魔に抗うことを止めて目を閉じる。

 

『そんな悲しそうな顔、しないで欲しいな?』

 

⋯⋯⋯///

 

「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!///」

 

昼間の事がフラッシュバックして、それから暫く眠りにつく事は出来ませんでした///




な「皆さん、こんにチカ!」

梨「こんにちは!」

な「いやぁ〜梨子ちゃん⋯少女漫画かっ!!」

梨「そんな事言われても⋯書いたの貴方でしょ⋯///」

な「そりゃそっか!で、どうだった?夏喜君の壁ドン!」

梨「⋯性格悪いって言われません?///」

な「はっはっは、なちょすには褒め言葉さ!さて、次はいよいよ本編に戻るよ!協力ありがとね!」

梨「いえいえ。夏喜君が浦の星に来るんですよね?」

な「そう!夏喜君の楽しい学園生活が今始まる!」

梨「そんな話でしたっけ?」

な「まぁまぁ。それじゃ、久しぶりにあれやろっか!」

梨「次回のちょ田舎!」

な「新学期と!」

梨「新生活!」


な梨『あなたも、ちょっと田舎で暮らしませんか?♪』

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