今日は天気も良いし絶好のお出かけ日より!
なのにしまねぇとみとねぇってば、こういう時に限って手伝えっていうんだもん⋯。
しまねぇにお使いを頼まれてナツ君の家に向かった私!
だけどそこで待っていたのは、酔いつぶれたヒロ君といつもと違うナツ君の姿だったんだよ⋯。
今日は晴れ!太陽サンサンお出かけ日より!
「千歌ちゃん、これ運んでくれる?」
「はーい⋯。」
「千歌ー、布団敷いといてー!」
「はーーい!」
「千歌ちゃーん、隣の部屋の掃除もよろしくねー。」
「はーーーい!!」
「千歌、アイス買ってきて。」
「自分で行きなよ。」
「ちっ⋯。」
なのに何で!何で私は旅館の手伝いなのーーー!!!
まぁお客さんが多いのはいい事だけど⋯せっかく曜ちゃんと遊びに行こうと思ったのに⋯。
「うぅ⋯練習が休みの日に限って手伝いなんて⋯あだっ!?」
小指をタンスの角にぶつけた⋯本当についてないよぉ。
「そろそろ休憩にしよっか、千歌ちゃん。」
「分かったー。」
そういえばナツ君は何してるんだろう⋯。
『ナツ君今何してるのー??』
最近帰ってきた幼馴染み。久しぶりに会った時は全然わかんなかったけど⋯。
ちょっとカッコよくなっててびっくりしたなぁ⋯///
ピコン
『ヒロと釣りなう。』
「あはは、ナツ君なうって使うんだ。いっぱい釣ってる〜。」
『すごっ!?今夜はご馳走だね!♪』
『これから2人で晩酌だよ。まだ昼だけど。』
良いなぁ。
ヒロ君とナツ君は友達なんだっけ。普段は漫才みたいなやり取りしてるけど、一緒に出かけたり困った時には飛んできてくれたり⋯。
もし⋯もしナツ君が引越しをしないで内浦にいたら、私はどうだったのかな?
ちゃんと友達でいられたのかな。自分の気持ち、言えてたのかな⋯。
「ううん、『もし』なんて考えてたらきりがないよね!私は今を頑張らなきゃ!」
『飲みすぎちゃダメだよ?(笑)』
『かしこマリー☆』
「あはは!何それ!」
「千歌ちゃん、そろそろ仕事に戻ってもらっていい??」
「あ、うん!今行くよー!」
携帯に届いた大好きな人の笑顔につられて少し笑いながら、私は仕事に戻ることにした。
「ふー、大体こんなものかな⋯。」
「ありがとう千歌ちゃん、助かったわ。」
「いつにもまして張り切ってたなぁ⋯さては休憩中になんかあったな?」
「んなっ!?///何にもないよっ!!///」
「あっははは!そんな必死になるなって!しまねぇ、あのお使い、千歌に頼んでみたら?」
「ん〜⋯そうねぇ。」
「ほぇ?何の話??」
「少し夏喜君の所に回覧板とミカンを持っていこうと思っててね。」
「いいじゃん、行ってきなよ。」
でもナツ君今日は晩酌って言ってたし⋯まぁでも行ってすぐ帰ってくるぐらいなら良いかな??
「うん、じゃあ着替えて行ってくる!」
「ちょい待った。まだナツにお前の着物姿見せてないだろ?せっかくだしそのまま行ってきなよ。」
「え?でもこれ大丈夫なの?」
「うふふ、今回は許可するから大丈夫よ。」
みとねぇもしまねぇもなんだかニヤついてる。
「じゃあこのままいってきまーす!」
「あ、千歌ちゃん!着ていくのはいいんだけどあんまりシワにしちゃダメよ?」
「もぅしまねぇってば、普通に着ててシワなんてつかないよ。」
「ちげーよバカチカ。狼と戯れるのも程々にしとけって事。」
「え?」
「帰りが朝になる時は早めに連絡ちょうだいね〜♪」
「狼?朝帰り?なんのこ⋯と⋯あ///」
自分でも顔が熱くなってくるのが分かる。
だって、それってつまり⋯ナツ君と⋯///
「な、ないないない!!///ぜぇえええったい無いっ!!///」
「赤飯炊いとくか?」
「いらない馬鹿みとねぇっ!!///もう行ってきまーーす!!///」
くぅ⋯最後までニヤついていた2人の顔が腹立たしい!///
帰ったら絶対覚えてろよぉ〜!!///
「おーおー、青春だなぁ。」
「若いっていいわねぇ〜♪」
「まだそんな歳じゃないだろ⋯。」
「つ、着いた⋯なんかやたらと疲れた⋯。」
ここ最近まで全く使ってなかった道だけど、ナツ君が帰ってきてから頻繁に通うようになった。
浦の星の近くにあるから坂が長いんだよね⋯。
「よし、サクッと行って帰ろう!サクッと⋯。」
『狼と戯れるのも程々にしとけって事。』
『帰りが朝になる時は早めに連絡ちょうだいね〜♪』
2人の言葉が頭によぎってまた顔が熱くなる。
「無い!絶対無い!ナツ君に限ってそんな事は無い!⋯着物変じゃないかな。///」
もう早く行こう⋯本当に早く行こう⋯このままじゃ自滅しちゃうよ⋯///
「ナツくーん、ヒロくーん!こんチカー!!」
返事が無い⋯晩酌ってもっとこう賑やかなものになるんじゃないの?
もう寝ちゃったのかな⋯まだ夕方だけど。
「ナツ君、上がっちゃうよー?」
靴を脱いで奥の座敷に向かう。家の中は薄暗いけど座敷には明かりがついていた。
きっと2人で語っているのかもしれない。
「おじゃましま⋯す⋯。」
そこに広がっていたのは予想していなかった光景だった。床に倒れ伏すヒロくんの姿とこちらに背中を向けて座ってるナツ君。
そして床に転がる20~30本はある日本酒の瓶。
「ち⋯ちか⋯ちゃ⋯来るな⋯がくっ。」
「うぇえっ!?ちょっとヒロくーん!」
お酒くさっ!!酔いつぶれてるみたい⋯あれ?じゃあナツ君は?
「あ、千歌ちゃんだ。何でここに??」
名前を呼ばれて振り返るとナツ君が一升瓶を抱き抱えていた。
「な、ナツ君?大丈夫?」
「ん〜?大丈夫!!あ、千歌ちゃん着物だ〜!」
「ちょっ!?///」
やっぱりお酒くさっ!!飲みすぎてるじゃん!!
てか近いよ!///
言葉使いも、普段より幼い感じがする。
「ねー千歌ちゃん、これ十千万のやつ??」
「えっ!?あ、う、うんそうだよ!!」
「そっかぁ⋯そっかそっかぁ⋯。」
1通りまじまじと見て近寄ってくるナツ君。
「あ、あの⋯ナツ君⋯?///」
「似合ってるね、千歌ちゃん!」
「くはぁっ!///」
なんなの!なんなのその無邪気な笑顔は!///
危なかったよ⋯めっちゃ頭撫でたくなったよ⋯///
「ちーかちゃん!」
「な、なーに?ナツくんにゃあっ!?」
またこのパターンだよ!!///気付いたらハグされてるよ!///
「千歌ちゃんサイズ感が丁度いいね。」
「ちょっ、千歌は抱き枕じゃないよっ!?///」
「ん〜!」
「わわわっ!?」
押し倒される感じでナツ君が上になる。
分かってる⋯分かってるよ。
着物がはだけてることも胸に手があることも分かってるよぉ!!///
はだけた着物の中は下着⋯その上から私の胸に手が置かれている。
体中が強張っているのが分かる。
「ん⋯ナツ、くん⋯!///待って、本当にヤバイ⋯からぁ⋯///」
ナツ君はただ顔を近づけてきて、耳元で囁いた。
「『千歌』。」
「ふぁ…///」
強張っていた体から一気に力が抜ける。
呼び捨てなんて初めて⋯。
さっきまでの幼さの残る様子は、もう感じられなかった。
(呼び捨てだと変な感じがする⋯けど、嫌じゃない⋯かも///)
「千歌。千歌。」
「ナツ君⋯耳は⋯ん、やぁっ⋯///」
何でこんなことに⋯///
さっきから体が変だよぉ///名前を呼ばれてるだけなのに⋯それだけで体が動かない///
顔を上げたナツ君と目が合う。真っ直ぐなその瞳から目をそらせない。
「はぁ⋯はぁ⋯な、ナツ君??///」
「⋯⋯。」
徐々に顔が近づいてくる。
もう上手く頭が回らない⋯。
みとねぇしまねぇ、ごめん。朝帰りになりそうです⋯///
ギュッと目を瞑る。
「千歌⋯僕⋯は⋯。」
「⋯ナツ君?」
「⋯⋯ZZZ。」
「え。」
⋯嘘でしょ⋯?
ここまで来て?覚悟決めたのに??
途端にさっきまでの自分の考えが恥ずかしくなってくる⋯///
「てか、動けない⋯いつまで胸触ってるのナツ君!!///おーきーてーよーーーー!!!」
「⋯ぐぅZZZ」
「ぐぬぬぬぬぬ⋯どっせーーーい!!」
「んがっ!?⋯ZZZ」
何とか脱出してヒロ君がまだ起きてない事にホッとする。
だって絶対勘違いされそうだし///
私に迫ってきた張本人はスヤスヤと眠っている。
「う〜⋯人の気も知らないで⋯///」
着物をちゃんと着直して、ナツ君のそばに寄る。
本当に気持ちよさそうに寝ているなぁ⋯。
私はそんな彼の髪の毛に軽くキスをする。
「⋯今日はこれぐらいにしておきます///回覧板とミカン置いておくからね!///」
恥ずかしさのあまり、寝ているナツ君にそれだけ言って立ち上がる。
もう帰ろう⋯。
『千歌。』
⋯///
「あーもーーー!!!///ナツ君の馬鹿ぁーーーーー!!///」
やっぱり今日はついてない!!///
顔が熱くなるのを感じながら、私は旅館までの道のりを走り出すのだった。
千「皆さんこんチカー!!」
な「はいこんチカー。」
千「遂に後書きにまで出てきたね作者さん。」
な「ゴ〇ブリみたいに言わないで⋯。」
千「てか、タグがR-15なのに今回危なかったよ!?なんか千歌ばっかりその⋯え、えっちな感じ⋯になるのは何で!?///」
な「HAHAHA!何のことか分からないなー。それに大丈夫千歌ちゃん!番外編は皆にイチャイチャしてもらうだけだから!皆こうなるから!!」
千「いや自慢げに言われても⋯///」
な「次回は曜ちゃんだからね。きっとあんなことやこんなことやそんなことを⋯」
千「それはダメーーー!!」
な「妄想して自爆する曜ちゃんが見られるって言おうとしたけど何がダメなの?」
千「んなっ!?///」
な「じゃあ次回もお楽しみに!逃げろっ!!」
千「あっ、ちょ!待てコラーーーー!!!!///」