fate×メガテンもの(旧名・間桐慎二のデビルサマナー(短編))   作:メガテニスト(偽)

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未来のお話後編は少々お待ちください。

ルー戦はこんな結果になりました。


凛ちゃんの大冒険! わんにゃんフェアリー大戦争! Part7

クーフーリン達の元へ急ぎ駆ける。決着が着く前にたどり着いておきたい。あいつの強さを信用していないわけじゃない。だけどやれることはやっておきたい。

 

クーフーリン達の元に辿り着くとまだ決着はついていないようだった。槍を操る手は止めずにクーフーリンは、

 

「もう決着の時か。欲を言えばまだ楽しんでいたかったが。ま、これ以上は贅沢ってやつか。」

 

と呟いた。

どういうことだ?まるで決着を先延ばしにしてたみたいな言い方だ。

 

「まるでじゃなくて実際そういうことだと思うにゃ。 あいつも親ってことかにゃ?」

 

そばに来ていたマナナンがそう呟いた。

と、その時クーフーリンが後ろへ飛ぶと何やら4つの文字を書いて陣のようなものを作った。あれは…。

 

四枝の浅瀬(アトゴウラ)。赤枝の騎士団に伝わる不退転の陣。

アルジズ、ナルシズ、アンサズ、イングワズの4つのルーンからなりその陣を布いた

 戦士に敗走は許されず、その陣を見たものに退却は 許されない。一騎討ちの大禁戒。

あやつの最期の逸話に因むものだ。本当に勝負を決めるつもりらしいな。

やれやれ、儂等はいいように使われたということか。これは高くつくぞ。

もっとも、神であるルーがそれに従うかは別だがな。」

 

「あいつはきっと乗るにゃ。じゃなきゃ今まで槍の技比べなんてやってないにゃ。

 あいつ…。」

 

そう呟くマナナンの顔はどことなく嬉しそうな、慈愛に満ちたものだった。まるで戦場に似つかわしくない見つめる先には二人の戦士(親子)

 

「名残惜しい気もするが、しまいといこうや。言っとくが、様子見なんざ無しだ。

 全力でこい!なんだったらさっきから使ってねえ剣でも構わねえんだぜ?」

 

「ふん。若造がよく吠える。お前にはこの槍だけで十分だ。

 それとも、いざという時に剣のせいにでもするつもりだったか?」

 

「はっ、そっちこそやはり剣を使うべきだったなんて後悔すんじゃねえぞ!

 …さて、こういうときは胸を借りるというんだったか。

 それじゃあ遠慮なくいかせてもらうとしますかね!」

 

「こい!クーフーリン!」

 

突き穿つ(ゲイ)…!」    「轟く(ブリュー)…!」

 

死翔の槍(ボルク)!!」    「五星(ナグ)!!」

 

 

互いに跳躍して槍を投げあう。

クーフーリンが投げたゲイボルクは赤い星となり、

ルーが投げたブリューナグは太陽のごとき白き輝きを湛えた5条の流星となり、

二人の間でぶつかり火花を散らす。

ブリューナグは5つに分かれた後ゲイボルクとぶつかる一点で一つになり、

ゲイボルクとぶつかりあう。

威力は双方とも互角…いや、徐々にゲイボルクが押されているようだ。

投げた後、地面に降り立ったクーフーリンとルーは共に手を己が槍へと向けている。

どうやら槍に魔力を送っているらしいその顔には脂汗が浮かんでおり余裕はないようだ。

何とかしなければあのままではクーフーリンは負けてしまうだろう。だけどあの姿を見ているとルーの邪魔をすることは憚られた。

…ならば、

 

「クーフーリン!」

 

呼びかける。クーフーリンがこちらを向いた。

 

「負けるな!」

 

そして手をかざし力を送る。クーフーリンはにいっと笑うと、

 

「おうっ!」

 

ゲイボルクの勢いが増す。ブリューナグを押し戻し互角にもつれこんでいく。

それどころか今度は徐々に押し込んでいく。

しかしそこで、

 

「ルルゥオオオオオオオオ!!!」

 

ルーの裂ぱくの気合とともにさらに激しくぶつかりあい、次の瞬間双方の槍の魔力が光と爆発とともに派手に散り、槍が手元に戻ってきた。

槍を手にしたクーフーリンは即座にルーのもとに駆け、

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルク)!!」

 

出し惜しみはしない。僕の援護により即座に魔力を回復させ、槍に再び魔力が集中。

ゲイボルクの本来の使い方とは違うもう一つの業を発動させる。

ゲイボルクの持つ因果逆転の呪いによりルーの心臓めがけて槍が迫る。

 

――。

 

一瞬の静寂の後、ゲイボルクがルーの胸に突き立っているのが見えた。

 

「…さすがだ。まさかはずされるなんてな。」

 

その槍は身体を刺し貫いていたが心臓をとらえていなかった。

因果逆転の呪いを回避されたのだ。

しかし、ダメージまで無効できるわけではなく、槍を抜くとルーは崩れ落ち…、

いや、ブリューナグを支えにしてぎりぎりのところで立っている。

それと同時にアトゴウラが消える。

 

「…俺も血迷っちまったか。王として負けるわけにゃいかねえってのに、

 いつの間にか戦士として、親として戦っちまってた。

 まるで夢見心地で、情けねえったらありゃしねえ。」

 

独白するルー。どこか満足そうなその声。クーフーリンが言葉を投げかける。

 

「サマナーの援護がなけりゃ負けてたのは俺のほうだ。やっぱあんたつええな。

 情けねえところなんてまるでなかった。」

 

「…ふっ、そうかい。そいつはうれしいな。」

 

そういうと同時にルーは槍を引き抜くと横なぎに振るった。

とても大怪我を追っていると思えないその威力に後退するしかなったクーフーリン。

そしてルーは振りかぶると、

 

「アッサル!!」

 

槍を投擲した。その先にいるのはマナナン。一条しか光はなくともアッサルの一言によりその槍は心臓を貫く必殺の一撃となり海神に迫り、貫いた。

投げると同時にとうとう前のめりに倒れるルー。

 

貫かれたマナナンは胸をおさえる。そして倒れこむ直前、

 

「まだまだ甘いにゃ。」

 

という声が響いたかと思うと、マナナンの身体がまるで木のようになり、

マナナンが分身してその体から出てきた。

 

「ちっ、どじっちまったか。あーあ、最後までしまらねえな。

 せめてあんただけはしとめておかねえとあいつらに顔向けできなかったんだが。

 ここはあんたの領域。その程度の権能くらいはお手の物ってか。」

 

どういうこと?今何したの?

 

「簡単なことだ。確かに心臓は貫いた。だが死を先延ばしにしてその間に時間の因果を

 超えて変わり身を作りだした。貫かれたのは本物であるが人形というわけだ。」

 

スカサハが解説してくれた。

えーっと、つまり、心臓を貫かれた時は本物だけど、死という結末が訪れる前に時間を超えて人形が貫かれたことにして死を逃れたと。

なるほど。心臓を貫かれた時点で因果逆転の効果は終わっている。それ以上の追撃は槍にはできないということか。割と無茶苦茶なことやらかすな!?

 

「にゃはは、これでも魔術神だからね、これくらいはお手の物さ。

 とはいえ、かなり力は削られたけど…!」

 

さっきまでがシリアスな雰囲気だから「服も削られてビキニになってますね。」

などという無粋な突っ込みはしないでおこう。

 

「隙を見てもう一発といきたいところだが…。」

 

「それをさせると思うか?あんたがアスィバルと言って槍を召還しして投げるまでの

 間に何回殺せるだろうな。」

 

槍を構えるクーフーリン。

 

「だろうな。まあそれでもせいぜいあがくとするか!」

 

そういうと今も血を流している胸に手を当てるルー。そして手を前に出した。

思わず身構えるクーフーリン。しかし何も起きない。ただぽたぽたと指の先から血が落ちていくだけだ。

 

「なんだ?ついにあきらめたか?」

 

そう言いながらも警戒しているクーフーリン。

 

「あれは、フラガラックの製造だにゃ!」

 

流れ落ちたちが地面に着くとまたたく間に円の形に薄く広がり、そこから黒い球体が出てきた。球体はそのままルーの周りを漂い始める。

 

このまま2回戦目かと思われたその時、スマホが鳴りだした。衛宮からだ。

警戒をしながらもゆっくりと取り出して通話ボタンを押すと、慌てた様子で話す衛宮。

 

「慎二!大変だ!第3戦力が現れた!相手は妖精の女王メイヴとか名乗ってる!

 猫も犬も関係なく襲ってる!さっきの光はこっちからも見えてる!決着がついたんなら

 すぐにこっちに来てくれ!正直だいぶまずいことになってる!」

 

「なんだって!わかった!すぐ行く!」

 

「つまり領域の支配に割り込んでいたのはルーじゃなくてメイヴだってことだニャ!?」

 

「メイヴだと!?あのアバズレ女もこちらに来ていたか!」

 

そういうと怪我を押して戦場に向かおうとするルー。

 

「待つにゃ!どこに行くつもりにゃ!」

 

「知れたこと。メイヴを殺しに行く。正直あいつに総取りされるなんざ

 目も当てられねえ。」

 

「だったら今この時ばかりは協力したほうがいいんじゃないのか?

 少なくとも僕たちにとってもメイヴは敵だし。」

 

という提案をするが、

 

「おっと、勘違いするなよ?メイヴの次はあんたらだ。

 それによ、一度殺すと決めて槍をむけたんだ。今更助力なんぞ請えるか。

 一人であいつを仕留める。邪魔だけはするな。」

 

「その怪我でかにゃ?」

 

「だからどうした?なめるな、この程度の傷…!」

 

苦しそうに傷を抑えて顔をゆがませるルー。

それを見ると溜息をこぼしてマナナンがルーに近寄る。そして手をかざし、

 

「ディアラマ!」

 

ルーの傷を癒した。

 

「どういうつもりだ?メイヴを俺に打ち取らせる心算か?だったら期待には答えてやる

 が回復したことを後悔する…」

「ええーい!どうしてこう人の好意を素直に受け取れないものかな!?

 まったく、これじゃクーフーリンが来るのを見越して異界を作ったかいがない!」

 

…ん?今なんと?

 

「…前に理由を聞いたときはパラダイムシフトを利用して信仰を集め、

 力を取り戻すためだと言っていた気がするが?」

 

「それもある!けど!もう死んで世界の裏側に行ったんだから、君がもう少し昔みたく

 縛られずに生きてみたらどうかと連れ出すためなのも理由の一つさ!

 それを自ら王として縛られに行くんだもん、

 もうちょっと気楽に生きる事が出来ないのかいきみは?」

 

その言葉を聞いたルーはポカーンと口を開いている。ようやく言葉を紡いだかと思うと

 

「…驚いた。あんた割と考えてくれてたんだな。考えなしにやらかしたと思ってた。」

 

「ひどっ!?」

 

「このような異界を作れば世界に異変が起こることなど明白だろうに、

 勝手に作った挙句、勝手に人を呼び出しておいて何を言うか。」

 

「だ、だから知らされて責任を感じて今ここにいるんじゃないか!」

 

妥当な評価だと思う。しかも結局どちらにしても人の世の迷惑だし。

だけどまあ、親としての情はあるってのは分かった。

しかし、あきれたもんだ。そっちを言えば誤解されなかったんじゃないのか?

 

「そういうのを素直に言うってなんか恥ずかしいじゃないか。」

 

「結局あんたも素直じゃないってことじゃん。似たもの親子だな。

 こっちはいい迷惑だけど。」

 

僕はそう言った。

 

「辛辣だなあ。」

 

「いつまでしゃべっている?和やかに談笑している暇はないぞ。」

 

スカサハによってストップがかけられた。そうだな。衛宮からの声にもそんなに余裕は感じられなかった。急いで向かわなければ。

 

「じゃあとりあえずメイヴを倒すまでは休戦でいいんだな?」

 

「ああ。…こうして肩を並べて戦えるなんてことがあると思わなかったよ。」

 

クーフーリンと、ついでにバロールを見てどこか感慨深そうにふっと笑うルー。

 

「それじゃ、戦場に急ぐぞ!」

 

返事が聞こえるやいなや走り出す。持ちこたえててくれよ!

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ベイリン!」「ベイリン卿!」

 

ベイリンの元へ急いで走る。ものすごい勢いで跳ね飛ばされていた。

無事かどうか確かめないと!

 

「っ痛…!」

 

「ベイリン!無事か!?」

 

「なんとかな。アコロン卿の言葉を聞いて咄嗟に後ろに飛んでなかったら危なかった。

 礼を言うぜ。」

 

「礼はいりません。仲間を守るのは騎士として当然ですからね。それよりあの軍勢…、

 女王はメイヴと名乗っていましたが、もしやあれは伝説に聞いた…。」

 

「コノートの女王。クーリーの牛争いでクーフーリンとやりあったってやつか。

 つくづくケルト神話に縁のあるところだな。」

 

そんなことを言ってる間にも戦車は突撃してルーとマナナンの軍勢を蹴散らしていく。

そしてメイヴが出てきた森から沢山の妖精の悪魔達が出てきて攻撃し始める。

突如として側面から襲われた両軍は混乱に陥っている。

それでもどこからか混乱を収めようとルーの軍の指揮官が遠吠えが上げる。

そこに、

 

「まずはあいつから潰しちゃいましょうか!突撃ー!」

 

メイヴによる突進を受け無惨にも轢き潰される。

 

「指揮官を狙う心算か。」

 

そう漏らすとマーリンが否定する。

 

「いや、たぶん目立つところから潰していくスタイルだと思うよ。現に、ほら。」

 

見ると激しい争いを続けている二頭と一人。キャスパリーグとカヴァス。

それにべディヴィエール。そこに突っ込んでいくメイヴ。

どう見てもメイヴの馬車のような戦車のほうが小さく、無謀に見える。

しかし、それを引く二頭の牛は荒れ狂い敵を蹂躙する嵐。

二頭は迫りくるそれに気がつくと後ろへと下がりそれを避けた。

そしてその場に一人残されたべディヴィエール。彼は迫りくる暴威に気がつくと、

慌てて転がり避ける。

しかし、まるでドリフトするが如く急転した戦車が再び迫りくる。

どうやら今度は彼に狙いを定めたようだった。あの速度で迫られれば逃れることはできないだろう。

 

「危ない!」

 

咄嗟に飛び出したアコロン。風をもってして急進していく。

 

「ばっ!」

 

ベイリンが止める間もなく飛び出したアコロン。間に合わずとも連れ戻すべくベイリンが動こうとするが、突如横から雷撃が放たれる。それをかわす隙に、アコロンはさらに進んでいく。

雷撃の下手人はメイヴに率いられた妖精たちだった。

 

「邪魔すんじゃねえ!」

 

ベイリンは近づき、剣をふるい、ひと思いに蹴散らしていく。

俺も狙われている。とてもではないがアコロンを止めに行くことはできない。

無事でいてくれと願うほかなかった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

身体が引っ張られる感覚。どうやら私は何者かに召喚されたらしい。

次第に増えていく感覚。身体が熱を帯びていき、完全に形となり、ここに召喚はなされた。目を開くとそこには一人の人間と、生前見たものより多少図体は大きくなっているがある時の一番のお気に入りの猟犬、カヴァスがそこにいた。

 

「ベディヴィエール、ここに参上しました。あなたは一体…?」

 

「わが名はルー。光明神ルーだ。貴公にやってもらいたいことがあって召喚した。」

 

ルー!?ケルト神話における万能の神であり、太陽神でもある神の名ではないか!?

なるほど。万能の神であるルーであるならば英霊を召喚できてもおかしくはないが、

しかし、神という存在はとうに世界の裏側に行き、人の世に姿を現すことはないはず。

神代であるならばできようが今は西暦2001年だという情報が召喚されたときにある。

ならば目の前の存在は一体?それに、分霊?英霊の一部を取り出してここに呼び寄せたということだろうか?わからないことが多すぎる。

とりあえず、今、一番知らねばならないことは、

 

「やってもらいたいこと、ですか?」

 

「ああ。近々世界の命運をかけた大きな戦がある。貴方にはその戦の際にこのカヴァス

 の手綱を取り、戦場へ連れてくる役目とやり働きをしてもらいたい。

 今までこの犬は暴れて誰にも手綱を取らせなかった。そこでこいつの手綱を引いた事

 のあるベディヴィエール、貴方の出番というわけだ。」

 

ひとつ気になる単語があった。

 

「世界の命運をかけた戦い、ですか。」

 

「左様。それに勝たねばこの世界に重大な危機があるだろう。

 貴公には申し訳ないが、ぜひ協力してもらいたい。」

 

世界の危機とは。目の前の存在がどれだけ信用できるかはわからないが、

そう言われて黙ってみているわけにはいかない。選択の余地はない。

 

「…いいでしょう。協力しましょう。」

 

「ありがたい。普段の世話は他のものにやらせている。戦いのときまでゆっくりと

 していてくれ。」

 

そういうとルーは部屋を出ていった。後からきたしゃべる犬の従者に驚かされたが、

案内されて自分の部屋へと案内される。

来る時までここやルーに関しての情報を集めながら鍛練をしていく。

ある時、ルー殿には戦働きするときに不便であろう。と義手をいただいた。

それはある程度自分の腕のように動かせるものでとても高度な代物だった。

集めた情報や普段の姿を見ていると悪い人物ではないのだろう。

慕われているのがよくわかる。自然と警戒は解けていった。

 

しばらくの時がたち、その時がやってきた。この戦いで終わらせるつもりらしい。

私にも出陣するように沙汰が下った。急ぎ準備を整えて馬に乗り、カヴァスの手綱を引いて出陣する。

 

 

 

戦場には大量の犬と猫。正直あっけにとられたがここは戦場。気を引き締める。

しかし、カヴァスが興奮して落ち着かない様子だ。

今はまだ誰も動かない様子なのでそれに合わせて動いていないが、

一度戦いの火ぶたが切られたら一目散に駆けだすだろう。

 

「何かこの戦場にあるのだろうか…!?」

 

カヴァスが向いている方向をみると、そこには忘れる事の出来ないものを携えた騎士がいた。聖剣エクスカリバー。まぎれもなく我が王の剣であり、私が3度目に湖の乙女に返した王剣だ。なぜあのものが携えているのか?

カヴァスが興奮している理由はそれにあるのか?

それに、そばにはマーリンがいた。これはどういうことだ。

今すぐにでもあそこへ行って問いただしたい気持ちに駆られるが我慢する。

 

不意に、引っ張られる感覚があった。見るとカヴァスが一目散に駆けだしている。

走る先にはエクスカリバーを携えた騎士。やはり、といったところだが、

カヴァスは暴走して敵陣に突出して突っ込んでいる。このままではまずいだろう。

何とか抑えようとするが言うことを聞かない。

そこに、またもや見たことのあるような怪物がカヴァスに飛びかかった。

飛びかかった衝撃で跳ね飛ばされる。

 

「うわっ!?」

 

空に投げ出され、地に落ちる。急ぎ身を起こし、視線を上げるとそこにいたのは、

 

「キャスパリーグ!?」

 

キャスパリーグはカヴァスに飛びかかり、負けじとカヴァスも食らいつく。

激しい争いを始めた。あの騎士のことも気になるが、この状況をどうにかせねば!

身体を起こし槍を拾うとキャスパリーグとカヴァスの戦いに割って入ろうとする猫たちを妨害、槍で貫いてく。

 

 

どのくらい経っただろうか。まだキャスパリーグとカヴァスの戦いは続いている。

すでに100はくだらないほど敵を穿った。

今また敵を屠ったその時、轟音とともに森のほうから戦車が飛び出した。

 

「あれは…。」

 

2頭の牛にひかれた戦車はまたたく間に戦場を蹂躙していく。

その後に続くようにして紛れ込んできた妖精が犬、猫ともに攻撃していく。

この者たちは一体?!

妖精たちは電撃を放ってきた。それを避けると近づいて槍で払う。

横なぎに振るわれた槍を受けた妖精たちはまとめて吹き飛ばされ動かなくなる。

 

「いったい何が起こっているというのですか…!?」

 

その時、いきなりカヴァスとキャスパリーグがその場を離れる。

先ほどまで争っていた場所の向こうに見えるのは戦場を蹂躙する戦車。

こちらに向かっているのを見て慌てて横へ飛び込むように避ける。

何とか紙一重で避けることはできた。

しかし戦車は180度回転して再びこちらに向かってくる!

先ほど避けたばかりで体勢を崩している。それに戦車はものすごい速さでこちらに向かってきている。どうやら私が標的のようだ。

これはもはや避けられない。ならば!

右手に槍を持ち、右半身を引いて槍を構える。

せめて一矢報いる。この身がうち滅ぼされようとあのものを倒す。

戦車が目の前に迫る。圧倒的な暴威をまとって。恐怖を押し殺し敵を見据える。

 

もはやこれまで。ああ、あの騎士が何者か、なぜこの場にマーリンがいたのか、

知りたいことは山ほどあったが――。

敵に向かい槍を突き出す。それが敵を貫くことはなく、

しかし、この身が引き潰されることもなかった。

 

 

 

――暴風が吹いた。とても懐かしいような、荒々しいものだ。

それはこの身を蹂躙せんと迫る戦車に横から吹き付け、その軌道を強引に横に逸らした。その余波をくらいたっていられず座り込む。

 

「うっ!?」

「きゃーーーー!?」

 

戦車のある時が悲鳴を上げながら必死に戦車のバランスを取る。

目的を果たすことなく戦車は私の横を通り過ぎていった。

風がやんだ後、顔を上げたそこにいた者にしばし目を奪われた。

一目見れば我が王ではないと分かるのに、

 

 

 

「ご無事ですか、ベディヴィエール卿。」

「無事か、ベディヴィエール卿。」

 

 

 

なぜだかその姿は、我が王と重なって見えた。




え?何?フラガラッハ使ってないですね(笑)?
申し訳ありません。い、いつか使う機会あるから(震え声)


ただのはた迷惑な神様じゃないんですマナナン神。
ただ行動した結果迷惑なことになるだけで。やっぱり迷惑ですね!

え?投げた後に魔力を送るとかできたっけだって?こまけえこたぁいいんだよ!

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