fate×メガテンもの(旧名・間桐慎二のデビルサマナー(短編))   作:メガテニスト(偽)

14 / 31
タイトル変更のお知らせ。


凛ちゃんの大冒険! わんにゃんフェアリー大戦争! Part2!

お供にフェアリーを連れてずんずん進む。

歩いている途中、フェアリーから悪魔のこと、マグネタイトのこと、魔界魔法のこと、

異界のこと、いろんなことを聞いた。

聞けば聞くほど今までの魔術世界の常識が崩れていく。

ただし、変にこちらの常識とも合致する場面があって理解できちゃうから余計に

頭が痛い。

 

悪魔。マグネタイトを魔力、名前や形をがわとして考えると、

やってることは魔力で肉体を構成するようなものなのだ。

これは自然の精霊だってやってることだ。そんなにおかしいことじゃない。

それがはっきりとした自我をもち、

形をもって出られるようになったことがおかしいだけで。

聞くと、一般的な概念に命が吹き込まれて出てくる、現象のような悪魔もいるという。

ただし、エネルギーにしているもののおかげですべからく感情があるのだとか。

これが魔力で現れているものとの違いでもある。

 

次にマグネタイト。生命力そのものであり、魂を構成するもの。また、感情の奔流。

要は情報に魂と精神を与え、物質化するだけである。

…かなり大層なものだった!?第3魔法に近いじゃない!?

とんでもないことだ。これが一番頭が痛い情報だった。

ちなみに魔力にも生成できるらしい。

 

魔界魔法。これはすんなり理解できた。魂、概念に刻み込まれた魔術基盤を通して

発現する魔術なだけだからだ。それに精霊が起こす現象だってそんなものだし。

昔お父様に聞いたことがある。もともと魔術回路は魂にあるものだったと。

それを考えたら納得できた。

魂に使い方さえ刻めば人間にも使えるらしい。

 

異界。固有結界のことを踏まえたうえで話を聞くとわかりやすかった。

要は世界の裏側と表側の間に作られた固有結界なのだ。

人間が使う固有結界は表側の現実を塗りつぶす。

ふつうはそんなものが表に出れば世界に修正されるため、

維持に莫大な魔力を要求される。

しかし、このはざまに作られた異界であれば、世界そのものを塗りつぶしているわけ

ではないので負担は少ない。

かといって表にも影響を及ぼすので、修正されないわけじゃない。

それゆえ異界の主がいなくなれば維持できなくなって消滅する。

どれだけ裏側に近いか。その深度と、異界を開いたものによって、その形を決定する。また、深度によって、消滅した際に表に自動的に戻れるかが変わる、と。

 

「つまり異界の主を倒しちゃったら私帰れる保証がないってこと?」

 

「そうなるねー。」

 

その場合どこに行くのだろう。

綺礼が言っていた命を捨てなければ解決できないというのはこのコトだったのね。

道理で近づくなといっていたはずだわ。

近づくなといったほかの理由も知ることができたけど知れば知るほど恐ろしく感じる。

なによ実在を知られれば知られるほど増えるって。

こんなのが大量発生するなんて悪夢よ。

 

しばらく歩いていると、草むらのほうから悲鳴が聞こえてきた。

 

「助けてー!誰かー!助けてほしいニャンー!」

 

にゃん?とりあえず人語をしゃべって助けを求めているなら確かめに行こう。

後味悪いことになるかもしれないし。

そう思って声のする方向へ行くと、複数の動く影を見つけた。

 

「助けてー!助けてー!誰かー!」

 

そこには黒い犬と緑の犬に追いかけられている尻尾のない猫がいた。

二足歩行しているその猫は必死に逃げている。4足歩行でいけばいいのに…。

 

「にゃふん。」

 

あ、転んだ。しかも後ろを振り返ってしりもち付きながら後退している。

 

「あああ…おしまいだニャン。ここでこいつらに食われちゃうんだニャン。

 ああ、どうか神様、僕らの王様マニャニャンマクリル様、お助けください…。」

 

しかも両手を合わせて神に祈ってる。どうも人間臭いなあの猫。なんかかわいいぞ。

そんな他人…他猫?の不幸をほっこり見ていたが、なんだかかわいそうになってきた。

どうせ他に誰もいないし、助けてやりますか。話も聞けそうだし。

 

そう思うと、立ち上がって草むらから飛び出た。

まずは開幕一発!ガンドを緑の犬のほうに放つ。でかい図体しているそいつに

ガンドが命中。緑犬は傷つき、ひるんだ。そこにピクシーがすかさず追撃の、

 

「ジオ!」

 

電撃を放った。電撃は緑犬を焼き焦がして、消滅させた。

こちらに気が付いた黒犬が今度はこちらに向かってくる。

早い―!

 

「まずっ―!」

 

慌ててガンドを放つけど避けられる。そして黒犬はとんで、噛みついてきた。

咄嗟に腕を強化して顔の前に出す。腕をかまれたまま押し倒された。

 

「―っつう!」

 

痛い。黒犬は容赦なく腕に牙をたてる。牙は私の腕に食い込み、引き裂いていく。

強化してるおかげでそこまで深刻なけがはしてないけど、腕からは血が垂れている。

 

「こんのぉ!」

 

こちらを押し倒している黒犬の腹を思いっきり蹴り上げる。

強化している足での一撃だ。黒犬は吹き飛ばされた。

そこにピクシーが電撃を放ち、とどめを刺す。黒犬は消滅した。

 

戦いには勝ったけど腕にかなりのけがを負った。

蹴り飛ばした際に腕をさらに引き裂かれて血もかなり出ている。

 

「大丈夫ー?ディア!」

 

ピクシーがよってきて何やら魔術を使った。

するとかまれた傷が跡形もなく修復された。

 

「痛くない…!」

 

魔界魔法とやらはとんでもないものらしい。呪文を唱えるだけで集中した様子もなく

怪我を治してしまった。服の破れだけが怪我の跡だ。

 

「あなた…すごいのね…。」

 

素直に感心してしまう。そこに、

 

「にゃー。あのー。」

 

「ひゃっ!だれ!?」

 

「助けていただいてありがとうございますにゃ。

 オイラの名前はケット・シーですにゃ。」

 

ケット・シー。アイルランドの猫の妖精。道理で二足歩行してしゃべると思った。

 

「あなたはおいらの命の恩人ですにゃ。そこでおいらたちの王国へ招待しますにゃ。

 たいしたもてなしもできないかもしれませんがにゃ。」

 

どうやらこの猫は王国へ招待してくれるらしいが、

そんなことより聞きたいことがある。

 

「ねえあなた、さっき僕らの王様マナナン・マクリル様って言ってたでしょ?

 あれどういうこと?」

 

そういうと途端に顔が曇った。かと思うと取り繕って、

 

「そこらへんも含めてご説明しますにゃ。ささっ、どうぞこちらへ…。」

 

怪しい。怪しいことこの上ない。だけどほかに手がかりもないし、

行ってみることにする。

 

 

ケット・シーに連れられて森を抜けると、広い場所に出た。

そこには城や家が立ち並び、ケット・シーが行き交う王国だった。

 

「お城はこちらですにゃ。」

 

そういってお城へと進み、門を潜り抜ける。城に入ったところで、

 

「おーい!みんにゃー!今帰ったにゃー!救いの女神も連れて帰ったにゃー!

 デビルサマナーの人間にゃー!」

 

と大声で叫びながらずんずん進んでいく。

 

「お城の二階の貴賓室でお待ちくださいにゃ。

 紅茶とお茶請けを用意しておきますので。

 そこで事情を説明いたしますにゃ。」

 

といってどこかへ去ってしまった。そこにすかさずほかのケット・シーが現れて、

 

「貴賓室はこちらですにゃ。」

 

といって案内する。ついていくと豪華なつくりの部屋へ案内された。

すべての調度品が見る人が見れば高級なものだとわかるようなものだ。

…猫なのに正直かなり文化的だ。

 

運ばれてきたお茶菓子をつまみながら礼儀正しく待っていると、ドアが開かれ、

何やら大臣のような猫が現れた。

 

「お待たせいたしまして誠に申し訳ございませんにゃ。

 私はここの大臣を任せられておりますケット・シーでございますにゃ。

 この度は我が同朋の命を救っていただき、誠に感謝申し上げますにゃ。」

 

丁寧なお礼をされてこちらも丁寧に返し、自己紹介をした。

 

「遠坂凛さまでございますにゃ。今、この国はある危機に見舞われておりますにゃ。

 あなた様も見たでございますにゃ?あの犬の悪魔たちを。

 今この国はあの犬の悪魔たちの国によって滅ぼされようとしておりますにゃ。」

 

ここまで聞いて正直笑いがこみあげてくる。

だって犬と猫の戦争よ!?実際はそんなファンシーなものではないかもしれないけど

とんでもなくファンシーな響きの出来事が起こっている。

私が笑いをこらえていると大臣は続きを話し始める。

 

「もともとこの国はマニャニャン・マクリル様が治めておりましたにゃ。

 だけど犬の国を治めているルーというものがクーデターを起こして

 マニャニャンマクリル様をどこかへ幽閉してしまったのでございますにゃ。

 その際にマクリル様の持っていた宝物もどこかへ隠してしまわれて…

 我らも何とか抵抗したのですが王様がいなくてはいまいち統制が取れず、

 負け続きで数を減らしてしまったのですニャン。」

 

犬にクーデターされる猫って。

い、いや、それよりも聞き逃せない単語があった。ルーですって?

 

「ねえ、そのルーってどんなやつなの?」

 

「ルーはマクリル様の養子でございますにゃ。マクリル様のもとで、

 あの犬たちを統治していたのでございますニャン。

 クーデターの時までは犬も猫も一緒に仲良く暮らしていたのに…。

 どうしてこんなことになってしまったのかにゃん…。」

 

目の前の大臣は落ち込んだ様子だ。

それにマナナン・マクリルの養子のルーってやっぱりケルト神話の長腕のルー?

だとしたらなんでクーデターなんか?

がばっと大臣が顔を上げてこちらを見て、

 

「どうか、どうかお願いしますニャン!我らを、我らをお救いくださいニャン!」

 

そ、そんなこと言われても…第一私はここから出たいだけなのに。

 

「もちろんただとはいいませんにゃ。お救いいただければお礼の品を

 差し上げますにゃ。」

 

お礼の品。こんな豪華なお城をたててこんなに高級な調度品があるくらいだもの、

これってかなり期待できるんじゃない?

そんな打算のもと、

 

「ええいいわ!それでいったい何をすればいいのかしら?」

 

「おお!ありがとうございますにゃ!じつはですにゃ、この国が今まで持ってきた

 理由の一つが我らに協力してくださる方々にあるのですにゃ。

 その方々へ会ってはいただけないでございますかにゃ?」

 

「お安い御用よ。」

 

「ありがとうございますにゃ。ありがとうございますにゃ。

 案内させますにゃ。どうぞこちらに…。」

 

案内された場所には一列に並んで槍をもって修練している猫たちがいた。 

その前に、誰かが立っていた。

 

「もっと腰を落とせ!それでは敵は倒せぬぞ!」

 

「スカサハ殿、デビルサマナーの遠坂凛様をおつれいたしましたにゃ。」

 

「ん?大臣殿か。その娘がデビルサマナーか。

 …ダメだな。その娘では力量が足らぬ。到底われらを養うことはできん。」

 

なんかあっていきなりダメだしされた。

 

「ちょっと!どういうことよ!力量が足りないって!」

 

「そのままの意味だ。おぬしではマグネタイトの生産量も貯蔵量も足らぬ。

 我らが十全に戦うには力不足だ。」

 

「マグネタイトの生産量も貯蔵量も足りない?それとあなたたちが十全に戦うことに

 何の関係があるのよ?」

 

「大臣?説明しておらぬのか?」

 

「申し訳ございません。救いの神が現れたと聞いて舞い上がってしまい…。」

 

スカサハと呼ばれた女ははあっとため息をついて説明し始める。

 

「そもそも我らは高密度の情報にマグネタイトを吹き込んで活動する。

 その概念が強ければ強いほど要求されるマグネタイトも多くなる。

 しかし、我ら自身はマグネタイトを生産することができぬ。

 それゆえどこかから持ってくる必要がある。

 たとえば、他の悪魔を倒してそのマグネタイトを奪う。

 もしくは生産できるもの…生きている人間などと契約するといったふうにな。

 だが他の悪魔を倒すのにもエネルギーを必要とする。

 それゆえマグネタイトをためにくいのだ。

 全力を出せばあっという間に尽きてしまう。そうなれば体を維持できぬ。

 それゆえ、悪魔と契約できる人間を探しておったのだが…。

 そなたではレベルが低くてマグネタイトの生産量も貯蔵量も足りぬ。

 契約して戦おうものならあっという間に吸い尽くされるだろう。」

 

うっ、正直にズバッといわれるとほんとのことだから反論できない。

 

「悪かったわね、期待させて。」

 

「いえいえ、元はといえば我らがふがいないせいですにゃ。

 あなた様が謝る必要はございませんにゃ。」

 

「まあ待て、そう話を急ぐな。要は今はレベルが足りぬゆえこうなっておるのだ。

 つまり、レベルを上げてしまえば済む話だ。」

 

「えっと、それって…。」

 

「特訓だ!」

 

 

 

そこからは地獄だった。スカサハ師匠にいきなり槍持たされたと思ったら、

徹底的なしごきによって基本的な槍の動作を覚えさせられ、

くたくたになったところで早速実践させられる。

敵を引き寄せるルーンで集まった敵をひたすら倒していくという鬼のような内容だ。

一回周りを囲まれたときは死を覚悟した。

ようやく終わったと思ったら座学のルーン講座が始まった。

すべてが終わったころにはもう精魂尽き果ててベッドに直行した。

これが一日目の内容。いきなり逃げ出したくなった。

二日目からはいきなり実戦だった。半日やって昼食とってまた半日。

終わったらまたルーン講座。正直かなり疲れる。

昨日とは違ってベッドに直行しない程度には余裕はあった。

…ショウジキズットマジュツコウザノホウガイイ。

そしてそれが毎日続いた。大体1か月くらい。

修業がつらくてあまり気にする余裕がなかったけど1か月も行方不明ってとんでもない。

学校から捜索願が出されてるころだろうな。綺礼も探してくれてるかな?

いや、あいつに限ってそれはないか。

 

ある日、実戦の途中でスカサハ師匠が、

 

「今日はここまでだ。明日に備えておけ。」

 

といった。どうしてか尋ねると、

 

「マナナン・マクリルの宝物のありかがわかった。それは番人に守られている。

 番人を倒し、それを取ってくるのが明日の修行だ。」

 

あ、あくまでも修行の体裁なのね…。

 

いわれたとおりに休息をとることにする。それにしても急に暇になった。

そういえばまだこの国を見て回ったことないな。今日は見て回ることにしよう。

そう決めてぶらつこうとすると、あるケット・シーが、

 

「ではわたくしがご案内いたしますにゃ。」

 

と案内をかって出てくれた。

街中を歩いていると、いろんなお店や住民がいた。

パン屋に服屋に鍛冶のお店。中世のような街並みだった。

そこに住む猫たちは外見上は見分けつかないやつもいるけど、

個性あふれる面々がそこでしっかりと根付いて生活していた。

こんな世界があるなんて今まで生きてきた常識の中にはなかった。

 

歩いていると、ある場所に案内された。そこには白いローブをかぶった青年がいた。

 

「こちらの方はスカサハ様同様我らに協力していただいている、

 マーリン様でございますにゃ。」

 

「どうも。ご紹介にあずかりましたマーリンだ。よろしくね?」

 

「マーリン!?マーリンってあのアーサー王伝説のマーリン!?」

 

「そのマーリンだ。いやあ、ほんとは出てくる気なかったんだけどねえ、

 ちょっとここに用があったからこいつのついでに召喚されたのさ。」

 

そういうと隣にいる巨大な猫を指さす。途端に猫にパンチされた。

 

「こいつとはなんだこいつとは。」

 

「いたたたた…。キャスパリーグ、図体が大きくなったら

 怒りっぽくなったんじゃないか?あ、ちょっとこらやめなさい。いてててて…!

 ……ではちょっと用事があるからこれで。」

 

そういって嵐のようにどこかへ去っていった。

 

「忙しい人ですからにゃ。さ、次の方のところへまいりましょう。」

 

いつの間にかあいさつ回りになっている。

次に連れてこられたところには剣を二つ佩いた鎧姿の人がいた。

 

「ん?だれだおめぇ?新入りか?」

 

「こちら遠坂凛様でございますにゃ。凛様。こちらベイリン卿でございますにゃ。」

 

「そういやあのばあさんに特訓させられてるやつがいるって聞いたな。そいつか。

 ……うおっ!?どっから飛んできやがった!?」

 

いきなり飛んできたナイフを避けるベイリン。絶対にスカサハ師匠だ…。

 

「ま、死なねえ程度に頑張んな。あのスパルタンのところじゃ、

 それを望むべくもねえけどよ。…またかよ!?」

 

今度は槍が飛んできた。それを避けて森へと消えていった。

 

「ベイリン卿は犬たちの軍勢を食い止めておられるのですにゃ。

 今のこの平穏はベイリン卿のご活躍あってのものですにゃ。」

 

 

 

最後に城へとたどり着いて、

 

「以上が我が国のすべてですにゃ!ご堪能、いただけましたかにゃ?」

 

「ええ。正直ここまでいい国だとは思わなかったわ。」

 

「それは結構。では、私はこれで失礼しますにゃ。」

 

ケット・シーがどこかにいくと、部屋に戻った。

夕食を食べて、お風呂に入って、ふかふかのベッドで眠る。

誰かが夕食を作ってくれて、お風呂も入れてくれて、ベッドメイキングしてくれる。

毎日がこんな生活だったらいいのにな…。特訓はいらないけど。

 

翌日、いつも通りにケット・シーに起こされて、身支度を整える。

そしてスカサハ師匠に連れられて島のどこかへ移動する。

 

「ついたな。ここだ。…あそこに誰かいるのが見えるだろう?

 あれが番人だ。あやつが守っている宝箱にマクリルのドルイドの杖が入っておる。

 あれを取り戻してくるのだ。儂はここで見ておるからな。」

 

などとのたまって私を送り出した。しぶしぶ歩き出してふと後ろを振り向くと

ジーっと背中を見つめている。ほんとにそこで見てる気かあんた。

ええい!やってやろうじゃないの!とりあえず仲魔を召喚して番人へと近づく。

仲魔はハイピクシーとケット・シーの2体。

番人の目の前まで来ると騎士らしいその悪魔は槍を構えて警告する。

 

「止まりなさい。これ以上進むのであればたとえ女子供であろうとも容赦しません。

 できれば将来美人に育ちそうなあなたを手にかけたくはない。

 早々にたちさりなさい。」

 

開口一番なんかあれな言動を食らった。

 

「その宝箱に用があるのよ。通してもらうわ!」

 

「ならば仕方ない。私の名はタム・リン!ゆくぞ!少女よ!」

 

そういってこちらへ向かってくるタムリン。

突き出された槍を避けて突き返し、払い、切り返す。

付け焼刃だけど教わったことはしっかりと身についている。

そのまま槍で打ち合っていく。あっちのほうが技量は上。何回もケガさせられる。

だけどそのたびにハイピクシーが治してくれる。

致命傷を食らいそうになったときはケット・シーが邪魔をする。

長いこと打ち合っていると、どうにも手加減されているようだ。

容赦はしないといっておきながらどういうことだろうか?

悔しいから目にもの見せてやるつもりで槍でルーンを刻んだ。

刻んだのはアンサズ。炎がタム・リンを襲う。

いきなり炎が出てきて驚いたのか慌てて後退するタム・リン。ざまーみなさい!

 

「くっ。少女とみて侮っていてはいけませんね。」

 

と槍を構えなおした。その時、どこかからものすごい音がして、

ケット・シーが轢かれてやられた。宝石へと戻るケット・シー。

襲撃者の正体は首なしの馬に乗った首なしの騎士だった。

アレってデュラハン?!

 

気を抜いていられない。その間にもタムリンはこちらを攻め立ててくる。

デュラハンがこっちに向かってくる!それを避けようとしてタムリンに体勢を崩され、

 

「――あ。」

 

ダメだ。これ死んだな。お父様、お母様、こんなところで死んでしまう不出来な娘

をお許しください。

心の中で謝りながら来る衝撃に備えて目をつぶる。

瞬間、ひと際高い金属音が鳴った。衝撃はこない。

………?スカサハ師匠が助けてくれたのだろうか。

ああ、いつも心の中でいつか復讐してやるとか言ってごめんなさい。

今回ばかりは本当に見てるだけなんてことはしないんですね、ありがとう。

目を開けてみるとそこにいたのはスカサハ師匠ではなく、

とても立派な剣を持った騎士だった。

タムリンの槍をはじく騎士。その姿に見とれていたが、はっとした。

デュラハンはどこに?

周りを見渡すと、飛んでくる矢に対応して身動きが取れないでいるデュラハンがいた。

体勢を立て直してない今ならこっちのもんよ!

容赦なくガンドとルーンによってデュラハンをやっつけた。

そしてタムリンと騎士のほうを向くとタムリンが押されている。

騎士の怒涛の攻めにタムリンは後退しながら受けることしかできない。

一瞬体勢を崩したすきに一気に胴を切られ、

 

「ふっ、私の負けですか…。できれば…マブ…い…。」

 

といって消滅した。最後までそればっかか。

剣をおろした騎士がこっちに来て、

 

「ご無事ですか?お嬢さん?」

 

と手を差し出した。

 

「ありがとう。」

 

手を取って立ち上がると、改めてお礼を言った。

 

「助けてくれてありがとう。私の名前は遠坂凛。あなたは?」

 

「私の名はアコロン。よろしく。ミス遠坂。」

 

ミ、ミス遠坂だなんて。

と、向こうから誰かがやってくる。矢が飛んできたほうだ。

 

「無事だったか?ええと、きみ?」

 

そういって出てきたのは赤い髪の私と同じ年くらいの少年だった。

 

「ええ、助けてくれてありがとう。私は遠坂凛よ。よろしくね。」

 

「そうか、よろしく、遠坂さん。俺は衛宮士郎。

 それで、何で槍持って戦ってたんだ?」

 

「それについては後で説明しよう。」

 

あ、スパルタンランサー。本当に見てるだけでしたね貴女。

そう思っていると頭を小突かれた。星が!星が見えるスター!

 

「邪念が漏れているぞ。もう少し隠す努力をしろ。

 それよりも、番人は倒した。マクリルの杖を取って来い。

 …帰ったら今日の特訓は倍だな。」

 

そ、そんな。これ以上の地獄だなんて。

足取り重く宝箱に近づいてそっと開けるとそこには典型的なドルイドの杖があった。

手に取って確かめてみるととんでもないほどの神秘が込められている。

これ、宝具級の代物じゃない!?

もしかして本物のマクリルの杖?じゃあ、あのスカサハもマクリルも本物?!

てっきりいままで概念をかぶっただけの偽物かと思ってた。

 

「どうした?手に入れたのならすぐに戻って来い。」

 

急かすスカサハ師匠の声で我に返り、慌てて戻る。

 

「あの程度のやつにやられるとは情けない。とはいえよくやった。

 これで反撃の一歩はふめたな。」

 

「そうですね、ししょー!」

 

「あの…。」

 

声をかけられる。ずっと待っていたようだ。

 

「おお。そうであった。私の名はスカサハ。影の国の女王だ。

 いまはわけあってケット・シーの国の用心棒のようなことをしておる。

 それで、おぬしたちは?」

 

嘘だ!用心棒ってよりオニ教官じゃない!

 

「俺たちは、この異界を消滅させにきたデビルサマナーです。

 あっちに他の仲間がいます。まずは合流しましょう。」

 

そういうと移動する。ついていくとそこにはワカメみたいな

髪のやはり同い年くらいの少年と、8体の悪魔がいた。

 

「ん?終わったのか?」

 

「ああ。何とか助けれた。」

 

「あなたは?」

 

少年はこちらを向くと、

 

「僕は間桐慎二。こいつと同じデビルサマナーだ。」

 

 

 

 




え?なに?FGOの水着イベと5章でみたことがある?


おかしい。いつの間にスカサハ師匠が出てきて凜ちゃんに槍を教えて
スパルタ実戦修業を課す話になっていたんだ?

凜ちゃんがなんかスカサハ師匠に頭が上がらないみたいになってる…。
キャラが崩壊しとりますね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。