fate×メガテンもの(旧名・間桐慎二のデビルサマナー(短編))   作:メガテニスト(偽)

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士郎とのではひへん。

その日、自分の運命が変わった。

なお、この後も運命に出会う模様。Fate/staynightとかで


怪奇!住宅地に表れた鬼!衛宮士郎との出会い編

少年が走っている。わき目も降らずに。追跡者から逃れるため。

 

「はあっはあっはあっ。・・・っ。」

 

息が切れ、フラフラになりながらも、足を止めることはしない。

本能で理解しているからだ。

 

――追いつかれたら殺される。

 

後ろを振り向かず、一心不乱に走る。とうとう足をもつれさせ、転んでしまった。

立ち上がろうとして、影が覆いかぶさったのに気が付いた。

 

追いつかれた――!。

 

後ろを振り向くとそこにそれはいた。人に似た形でありながら、人間以上の巨体、

赤みがかったはだ。そして、頭に生えた角――。

 

これを形容する言葉があるとしたら、()

その言葉以外ありえないであろう容姿をした化け物がいた。

 

鬼はその手に金棒を持っている。それがふるわれれば人などなすすべもなくはじけとぶだろう。

あの金棒が振り下ろされれば俺はさっき殺された人と同じようにぺしゃんこになって

あちこちに体をぶちまけて殺される。

 

だというのに動けない。手足が震え、少しづつ後ろに後ずさることくらいしかできない。

今すぐ立ち上がってわき目も降らずに逃げるべきなのに、その鬼から目を離せなかった。

 

心臓が爆発するように鼓動する。ここまで走ってきたこととその鬼に対する恐怖によって。

鬼が金棒を振り上げた。思わず息をのんだ。ますます鼓動は早くなる。

だというのに手足は冷えたように感じられる。

 

そして金棒が振り下ろされ、俺はそれを見続けていた。世界がとてもゆっくりに見える。

金棒もゆっくりと俺に近づいてくるように見える。そして俺を押しつぶす――

 

ことはなかった。

 

金属音とともに金棒は突如現れた誰かに受け止められ、その歩みを止めている。

鬼はすぐさま金棒を戻すと今度は軌跡が見えないほどのスピードで横にふるう。

びょう、とこちらに届くほどの颶風(ぐふう)を伴ったそれはしかし、またも受け止められる。

それを繰り返すこと10回、時間にして1秒もかからなかったと思う。

そのいずれもがその人を傷つけることはなく、

しびれを切らしたのか鬼は両手持ちに切り替えて振り上げた。

 

「まずっ――。」

 

そんな言葉とともに俺の目の前にいた人が俺をいきなり蹴り上げた。

吹っ飛ばされ、ごろごろと転がっていく俺。

そして、轟音が響き、衝撃とともに破片が体にぶつかる。後に静寂が訪れた。

 

すぐに顔を上げ、鬼がいた方向を見ると、鬼は上半身と下半身に分かれ、

ずずぅんという重い音とともに地面に崩れ落ちた。そして消滅していく。

 

そんな光景を呑み込めないでいる俺に鬼を倒した誰かが近づいてきて

手を差し出しながらこういった。

 

 

 

「おまえ、大丈夫か?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

目が覚める。時計を見ると時刻は朝5時半。起き上がって布団をかたずけると、

日課である鍛錬をする。

 

「九十八っ、九十九っ、百、と…」

 

柔軟をしっかりした後、腕立て伏せと腹筋、スクワットを百回。

鍛練が終わった後は朝食の支度をする。時刻は6時。

 

今日は大根と油揚げの味噌汁とほうれん草のおひたしとたくあん、主菜に鮭の塩焼き。

準備を終えて皿に盛りつけていくと、

 

「おはよう、士郎。」

「おはよう、じいさん。」

 

養父である衛宮切嗣が入ってきた。そして、

 

「おはようございます!切嗣さん。士郎もおはよう!」

「おはよう、藤ねぇ。」

「ああ、おはよう、大河ちゃん。」

 

隣に住むその筋の人の孫娘である藤ねぇこと藤村大河が入ってきて食卓を囲む。

 

「「「いただきます。」」」

 

そろって礼をして朝食を食べ始める。

 

カチャカチャと箸を動かす音と食器を動かす音だけが聞こえる。時折聞こえる声も、

 

「士郎-、お醤油とってー。」

「ん。」

 

というくらいのものである。

 

朝食を食べ終えて、

 

「ごちそうさま。」

「ごちそうさまでした。」

「ごちそうさまー!あ!もうこんな時間!早く大学行かないと!いってきまーす!」

「いってらっしゃい、大河ちゃん。」

「いってらっしゃい、藤ねぇ。」

 

と慌ただしく藤ねぇが出ていく。

俺も食器を片付けると、切嗣に行ってきますと告げ、学校に向かう。

 

HRの時間、最近事故や殺人事件が多発しているから注意するようにと

担任の先生が言っていた。胸が痛ましく感じた。

 

1日の授業を終えて下校する。帰る途中、商店街へ寄って夕食の材料を買うことにした。

商店街を歩いて八百屋と肉屋に寄る。今日はシチューとハンバーグを作ることにする。

人参と玉ねぎ、じゃがいもと、鶏肉とあいびきミンチ肉を買って、家へと帰ろうとすると、

道で困ってそうな人を見かけた。どうしたのかたずねると、

 

「親戚の住んでいるところに行きたいのだけど道に迷ってしまって…。」

 

そこで俺は案内をかって出た。

 

「ほんとう?ありがたいけど買い物の途中なんじゃないの?」

 

「いいよ。それにもう買い物は済ませたし。急ぎの用事があるわけでもないし。」

 

「そう?なら頼んでもいいかしら?」

 

「ああ、まかせといてくれ。」

 

その人の住所は少し遠いところだったが何とか案内することができた。

お礼の品を渡そうとしてくれたけど、

 

「いいよ、好きでやってることだし。」

 

と断って別れ、家路についた。時刻は夕方。もうすでに日が落ちようとしていた。

 

「やばっ、急いで帰んねえと。」

 

そう思って家路を急ぐ。走っていると、急に違和感を感じた。自分が今立っている場所が

さっきまでいた世界とは違う。そんな感覚だ。

思わず立ち止まると、何かいいようの知れぬ不安に襲われる。

いてもたってもいられず、周りを見渡して、また走り出す。

 

いきなり悲鳴が聞こえた。

 

声のした方向へ走り出すと、曲がり角に差し掛かる。声は左から聞こえた。

そうっとのぞき込むと、そこには化け物がいた。

2m以上はある巨体に赤い肌に角、そして手には金棒。

まるでそれは昔話にでてくる鬼のような姿をしていた。

そして鬼の向かい側には腰が抜けた人がいた。鬼はその人に金棒を振り上げて、振り下ろした。

振り下ろされた人はつぶれていろいろなものを周囲にまき散らした。

 

―鼓動が早くなる。目の前で人が殺され頭が真っ白になった。

逃げるべきなのに体を動かすことを忘れていた。

その鬼は死体に近づくと死体を食べ始めた。血肉をすする光景に思わず後ずさる。

と、その時鬼がこちらを向いた。目が、あった。

 

 

自分が今、逃走していると気が付くと逃走することに全力をかたむける。

一目で人とは違うとわかるアレに、人では対抗できないことは理解できた。

自分になすすべはない。逃走することしかできない。

理解しているからこそ追いつかれないようにできるだけ曲がり路を曲がりながら逃げる。

ふと気が付いた。()()()()()()()()。家にすら人のいる気配が感じられない。

さっきの違和感を思い返す。もしかしてここに結界を張ったのか?ここは結界の中?

だけどこんなに広い結界をどうやって?人がいない理由は?

そんな考えが次々浮かぶがすべて打ち払う。

今は逃走することに専念しないと―。

 

どれくらい走っただろうか。すでに息は切れ、体は限界を訴えている。

だが体を動かすことをやめない。

しかし、限界が来た体は意思とは裏腹に言うことを聞かない。足が絡まり、転んだ。

鬼に追いつかれ、死がせまる。そして・・・

 

 

 

――その日、運命に出会う。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

いつもの朝。鍛練を終え、朝食をとっているとバロウズが異界の発生を告げた。

発生域は住宅街全体。人がかなり多い場所に発生したようだ。

つーかまた全域か…探すの大変そうだ。

それに運の悪いことに今日は学校がある日だ。さぼってしまおうか。

いやでも見つかると通報されて面倒なことになる。

しかし早めに見つけないと被害が増えていく。それはいやだ。

 

「ちょっといいかしら?」

 

新しくダウンロードしたバロウズのアプリで不可視の探査機(ドローン)を飛ばせ、

それでしばらく解析すれば、エリアの絞り込みができるらしい。

かなりありがたいがもうちょっとはやくほしかったなー。新都のときとか。

 

「あら?それを受けてダウンロードしたのよ?」

 

あ、そう。にしてもどんどん便利になってくな。

 

「ほんとチートかってくらいですよね。つーかそれどっから持ってきたのか。」

 

「企業秘密よ。」

 

ま、ともかく僕が直接足で調べなくて済むのはよかった。

また駆けずり回る羽目になるところだったからな。

 

朝食をおえて学校に行く支度を済ませて出発する…前に、

言峰神父に異界の発生を告げておこう。

 

 

HRの時間、最近行方不明者や殺人事件が多発しているので注意するように、と

担任の先生から注意があった。悪魔関連のこともあるのだろう。

言峰神父が働きかけて、事故や事件ということになったようだ。

 

授業が終わって下校する。すぐさま商店街へ寄って買い物をすまし、

家に帰って準備をする。バロウズによると半径5km圏内まで絞り込めたようだ。

そこまで絞り込めたならば現地に行けばそこまで時間もかからず

ゲートを開ける場所を見つけられるだろう。

 

直行してゲートを開こうとすると、バロウズは、

 

「ちょっと待って…ゲート開く必要もないわねこれ。」

 

と言った。

どういうことだとたずねると、

 

「現実との差がかなり少ない異界よ。初めにマスターが経験したみたいな。

 まずいわね。人がかなり巻き込まれるタイプよこれ。

 人が多い分被害もかなりでかくなってるかも。」

 

なんだって!?それを聞いてたら悠長に学校になんて…。

とりあえず早く侵入するぞ!もうすぐ帰宅ラッシュが始まる!

そうなれば被害も増える!これ以上の被害が出る前に!

 

「了解。」

 

スマホを操作すると、一瞬の違和感に襲われる。

どことなく違う空気が漂う。ここはもう異界のようだ。

仲間を召喚して、バロウズに、異界でドローンを飛ばせるか尋ねた。

 

「できるわ。けどマップ作製がせいぜいね。敵を感知する機能はないわ。

 ……まって、生命反応多数。そのうちの一つが消滅。

 近くにあったもう一つが移動してる。

 悪魔の反応もついてきてるわ。追われてるわね。」

 

なんだって!?よし!まずはそこに行くぞ!

現場のほうに急行する。

 

走っていくと遠目に赤い角の生えた鬼のような悪魔が見える。

手に持っている金棒を振り上げた先に赤毛の少年がいる!まずい!

僕は補助魔法をかけさせ、一気に距離を詰め、金棒を剣で受ける。

補助魔法のおかげでもあるのか力負けしていない。が、結構重い。

何回もは受けきれないぞ!

何回か受けていると、しびれを切らしたのか両手に持ち替えようとする。

まずい!両手がしびれてきたところにあれは受けきれない!

かといって避けたら後ろのやつにあたる!

とっさに後ろのやつを文字通り蹴飛ばして金棒を受け流しつつ、

悪魔の懐に飛び込んだ。そして、

 

「絶命剣!」

 

スキルを放って胴を両断。上半身と下半身に分かれた悪魔は消滅した。

 

戦闘が終わって、蹴飛ばした奴の無事を確かめると、手を差し出した。

お前、大丈夫か?

とたずねると、

 

「あ、ああ、だいじょうぶだ。」

 

といった。こいつよく見たらどっかで見たような?

 

「なあ、あんた別のクラスの間桐慎二だろ?」

 

同じ中学の同級生だった。どうりで。

 

「なあ、今のって…「ちょっと待ってくださいよー!」ん?」

 

どうやらおいてきたタマモたちが追いついたようだった。

 

「はあはあ、やっとおいつきましたよ!もう!

 一人で突っ走られると困るんですけどー?」

 

悪い。けど急がないと間に合わなかった。

 

「えっと、その人たちは?人…じゃないよな?

 さっきのやつらと同じような感じがするんだけど。」

 

「ちょっと!あんなのといっしょにしないでもらえますか!」

 

「え?ご、ごめんなさい…。」

 

ちょっと黙っててくれ。話が進まない。

つーかそんなに悠長にしてられない。歩きながら説明するぞ。

そういって悪魔の反応を頼りに移動していく。

今回は悪魔も少ないようだ。

 

 

一番強い悪魔の反応をたどりながら話す。

 

「つまり、この人らは契約した悪魔で、味方ってことだな。

 契約したってことは…もしかして魔術が使えるのか?」

 

なに?お前もしかして魔術師の家系なの?

 

「え?うん。まだ修行中の強化すら使えない半人前だけど。」

 

あ、そう。……魔術師の家系だけど魔術回路閉じきってて魔術は使えない。

 

「え?じゃあどうやって…?その手に持ってる機械か?」

 

そうだよ。もっともこれは僕専用だけど。

 

(地味ーに魔術が使えると聞いて嫉妬してますね。)

(それがコンプレックスみたいだしね。)

 

なんか後ろでひそひそ話してやがるが話を続ける。

なんか隣でこいつ…衛宮士郎という名前の少年が考え込んでいる。

そして、

 

「なあ!俺も仲間に入れてくれないか!」

 

とかいいだした。

はあ?お前なに言ってんの?さっき死にかけてたのに?

 

「俺、さっきのあんたみたいに理不尽に殺される人を救いたいんだ!」

 

…そんなこといっても鍛えるとかできないぞ?

僕基本的に異界もぐって悪魔倒してレベルアップして強くなったし。

 

「じゃあ、俺も異界にもぐって悪魔を倒す!

 悪魔が出てくると人が死ぬんだろ?一石二鳥だ!」

 

そんなこと言ってもこのスマホのおかげで契約も侵入もできるように

なったんだぞ?これは譲れないし…。

 

「そっか…。」

 

と、その時、胸元で何かが反応していることに気づく。

取り出してみると、もう一つのスマホだった。もしかして…。

 

「この子に反応してるんじゃない?」

 

とバロウズ。

嘘だろ?そうだとしても渡さなくても…

 

「そのスマホが反応したということはどのみちこの子は悪魔にかかわりつづけるわ。

 そのときに有効な対抗手段があったほうがいいんじゃない?

 それに、戦力は多いほうがいいんでしょ?」

 

ぐ……。わかったよ。ほらよ。

スマホを渡すと何やら認証するという言葉が表示されている。

 

「あー、えーっと?」

 

指で触れればいい。とつたえると、わかったといいタッチする。

 

しばらくすると、認証が終わったようだ。

 

「えーっと、で、これはどうすれば?悪魔召喚プログラムとかあるけど。」

 

…?そのスマホ、バロウズ入ってないのか?

…帰ったら教えてやる。いまはここを出ることを優先するぞ。

それと、これも持っとけ。

そういってアギストーンなどの魔法石を渡し、

異界を進みながら悪魔を倒していく。

 

 

海岸近くに行くと、一番強い反応の悪魔が近づいてきた。

悪魔を見つけると、クモのような見た目をしている。

だけどそいつの頭は牛のようだった。

 

「あれは牛鬼ね。非常に残忍・獰猛な性格で、毒を吐き、人を食い殺すこと

 を好み、主に海岸に現れ、浜辺を歩く人間を襲うとされているわ。」

 

なるほどな。よし、気づかれないうちに奇襲をかけるぞ。

 

そろりそろりと近づいていく。衛宮は離れたところでニスロクに

護衛させている。十分な距離に近づくと、一斉に炎魔法を放たせる。

主に水辺にいるのであれば、弱点は炎か電撃なはず。

魔法が放たれると同時に前衛がかけだして牛鬼に近づく。

かく乱して後衛を攻撃させないためだ。

近づいて攻撃しながら、後衛に魔法を撃たせる。

予想に反して炎も電撃もそこまで効果はないように見られた。

しかし、地力で優っているため、そこまで苦戦はしていない。

自重に任せた体当たりは厄介だが躱せないほどではない。

このままいけば順当に倒せる。

 

「ぐあっ!?」

 

そう思っていた矢先、衛宮の悲鳴が上がる。

見ると2体のオニが衛宮達に襲い掛かっている。

1体はニスロクが受け持っているがもう1体は衛宮のほうに向かっていた。

衛宮は持たせていた石を投げつけているがオニはじりじりと迫ってくる。

くそっ!ここからじゃ守りに行けない!

後衛も離れていて今からでは魔法を撃っても間に合わない。

鬼が獲物を振り上げ、まずいっと思った瞬間、

衛宮の持っていたスマホが光を放ち、召喚された騎士のような悪魔が

現れたかと思うとオニを剣で両断した。

ニスロクも相手していたオニを焼き払ったのを確認して、

弱りつつあった牛鬼の隙をついてスキルを発動。

 

「怪力乱神!」

 

牛鬼を吹っ飛ばす。牛鬼は家に突っ込んで動かなくなり消滅。

それを確認すると急いで衛宮のほうに向かう。

 

おい!だいじょうぶか!?

 

「ああ。この人が守ってくれたから。えーっと、」

 

「私の名前はアコロンです。以後、お見知りおきを。」

 

「ああ。俺の名前は衛宮士郎だ。よろしく!アコロン!」

 

勝手に出てきたように見えたけどそいつ、ちゃんと契約してるのか?

 

「え?えーっと、契約…してないな。」

 

じゃあどうやって召喚されたんだ?マグネタイトは?

 

「たぶん、マスターのを少しづつ集めてたんじゃないかしら?

 普段生活している中でスマホにマグネタイトを集める機能を使って。」

 

え?そんなことしてたの?悪魔倒す以外にもそんな集め方あったんだ。

 

「あら?いってなかった?普段の生活で出てくるマグネタイト集めてること。

 ちなみにレベルが上がると生産するマグネタイトも増えるわよ。」

 

まあいいや、それで、どうするんだ?

 

「どう…って?」

 

そいつと契約するかだよ。しないのか?

しない場合もうすぐ異界の消滅にともなってどこかに消えることになるぞ。

 

「えっと?俺と契約してくれないか?アコロン。」

 

「む?それはまずい。…いいでしょう。この身はあなたを守る剣となりましょう。」

 

契約が完了したようだ。それと同時に異界が解かれ、現実に戻る。

 

言峰に連絡を取り、ひそかにドローンでマーカーを

つけておいた人たちの記憶処理と事後処理を頼んだ。

 

そして衛宮に話しかける。

 

「今日はもう遅いから帰るぞ。明日から詳しいことを教えてやる。」

 

「ああ。…やべっ、もうこんな時間かよ!急いで帰らねえと!

 じゃあな!」

 

あ!それと今日のことと悪魔のことは誰にも言うなよ!

そう叫ぶと、わかったと返事が来た。

衛宮を見送ると、言峰のところに行く。案内をするために。

やれやれ今日は遅くなりそうだ。

少しため息をついた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

オニがせまってくる。ニスロクさんはほかのオニと戦っている。

こっちを助ける余裕はない。

渡された魔法石をぶつけていくが足を止めてもこちらに少しづつ近づいてくる。

魔法石を投げようとしてすべて使い切ったことに気づいた。

少しは効いているのか動きは鈍っているが、

あんなもの振り下ろされた時点で死ぬのは避けられない。

振り下ろされた金棒を避ける。その余波だけで吹き飛ばされ、

壁にたたきつけられ、息ができなくなり、動けなくなる。

 

「ぐあっ!?」

 

思わず悲鳴を上げた。

オニは動けない俺に迫ってくる。俺の前まで来ると、手に持った金棒を振り上げた。

俺はオニを、その凶器を見つめていた。当然だ。

だってあれが振り下ろされれば自分は死ぬ。目の前で殺された人と同じように、

ぺしゃんこになって、いろいろなものをぶちまけながら。

そのあと血肉をすすられるかもしれない。

 

…ふざけてる。

そんなのは認められない。こんなところで意味もなく死ぬわけにはいかない。

助けてもらったのだ。なら、助けてもらったからには簡単には死ねない。

俺は生きて義務を果たさなければならないのに、死んでは義務が果たせない。

そんな簡単に人を殺すなんて、そんな簡単に俺が死ぬなんてふざけてる。

悪魔に二度も同じようなカタチで殺されかけるなんて、そんなバカな話もふざけてる。

ああもう、本当に何もかもふざけていて、おとなしく怯えてさえいられず、

「ふざけるな、俺は――」

 

こんなところで意味もなく、お前みたいなやつに、殺されてやるものか――!!!!!!

 

それは、本当に。魔法のように、現れた。

スマホが光を放つ中、それは現れた。思考が停止している。

現れたそれが騎士のような恰好をしていることしかわからない。

ぎいいいん、という音。

それは現れるなり、俺を叩き潰そうとした金棒を打ちはじき、

戸惑うことなくオニの懐に飛び込み、両断した。

鬼を倒したそれは静かにこちらへ振り返り、

 

「けがはありませんか?」

 

と手を差し伸べて優しく尋ねた。

 

 




二度も同じ形で救われる士郎くんぇ…

筆者の構成力の犠牲となったのだ。

この時は一人づつ助けるよりもこれ以上の犠牲を出さないためにボスを倒して
異界化を解除することを優先しました。

ちなみにアコロン君Lv10。だけど、好きに持って行ったマグネタイトと技量で
オニを楽々と倒した模様。

士郎?LV3だよ?契約に応じてくれたからできたよ?
先輩に導かれてこれから強くなっていくよ?

一人に焦点を当てると他が目立たなくなる…
やっぱりキャラ動かすの難しい。

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