少年成長記   作:あずき屋

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後は貴女次第です。
時間にそう余裕はない。
大切な時間を、どうか無下にしないように。




第37話 少年、修羅の道へ

───聞こえる、怨嗟に満ち足りた嘆きが。

何故死なねばならないのかと。

何故我々がこのような理不尽な目に遭うのかと。

 

───聞こえる、全てを賭して総てを呪う慟哭が。

怨み、呪い、憎み、怒り、殺してやる。

この命助かる見込み無しとなれば、何もかもを道連れに冥府の狭間へと落ちよう。

望んだ覚えのない死を与えようというのなら、貴様らへにも等しくそれを与えよう。

 

────聞こえる、焼かれていく罪なき者の声が。

報復だ、必ず貴様らを同じ目に遭わせてやる。

奪われたのなら奪い返す。

殺されたのなら殺し返す。

この憤怒と深い憎悪を薪とし、復讐の業火を舞い上がらせる。

 

────聞こえる、一人の少年の叫びが。

 

 

 

 

お前たちの代弁者は自分であるのだと。

 

 

 

 

──────────────────

 

 

「アイズ、そっちはまかせるよ」

 

「うん、任せて」

 

短いやり取りで互いのやるべき範囲を正しく認識する。

先程のミノタウルスの戦闘で周囲に位置するモンスターたちに勘づかれたようだ。

それもそのはず、先程の戦闘もとい今のラジエルの戦い方は少々派手すぎる。

爆炎を轟かせ、悪戯に熱を放射するため嫌でも周囲の注目を集めやすい。

だが、少年にとっては好都合。

大義名分で殺し尽くせる相手が無尽蔵に湧いて出てくるのだ。

 

【迅速かつ派手に殺し尽くせ】

 

「うん、いこう」

 

左右上下に飛び跳ね、荒れ狂うモンスターたちを置き去りにする。

枷が外れ、定期的にオッタルと修行を行っているラジエルは、その強さを更に一段階引き上げた。

目に見える体力や敏捷さだけではない。

持ち前の技量を以前より磨き上げることに成功したのだ。

やり方は至って単純。

修行で、文字通りオッタルの動きから見て盗んだ。

力や体格を真似ることは出来ないが、その偉丈夫を影から支える技能は例外だった。

 

より早く打ち込むために必要な動作とは。

より効率よく壊すためにすべき事とは。

より行動を最適化するために捨てるべきものとは。

 

昨日の自分より強くなるためには、やはり鍛錬を積み重ねる他ない。

冒険者として強くなるには戦い続ければそれで事足りる。

だが、少年の目指す境地はそこではない。

人であるが故に、人として本来歩むべき道を極める。

いつか近いうちに自分の主神にそれを話さなければならないのだが、今は置いておこう。

今はこの滾る炎の赴くがまま力を振るう。

この身がたかが数時間の闘争で満足する筈などないのだから。

 

【クハハッ、やはりか!

俺が戦いを積めば積むほど、その在り方はより近づく!】

 

上層の敵など狂化していようと相手にならない。

現に奴らは少年を全く捉えられていない。

攻撃を下す反応を取る前に背後から首を落とされる。

距離の目測を誤り棒立ちとなった個体が軒並み沈められる。

視認する以前にその命を刈り取られる。

その有り様正しく死神の所業。

いくら時間をかけて懸命にその姿を追おうとも、モンスターたちが視認出来るのは赤い閃光の名残だけだ。

絶え間なく湧き、無尽蔵に襲いかかってくると予想されたモンスターは最早数えられるほどにまで減った。

 

 

「これでおわり。

弔獣戯我─飛燕音叉(ひえんおんさ)

 

「全く......見えなかった」

 

【久方ぶりだ、はしゃくのも無理はないか。

......ほぉ、これは悪くない」

 

【「あ──あ、アレ。

なん──────れ」

 

 

目にも止まらない直進移動のすれ違いざまに敵を八つ裂きにする。

決して捉えることの出来ない小さく素早い燕の前では、あらゆるものは棒立ちし、その最後を知覚できないまま命を絶たれる。

そして、それは少年にとって僥倖か、はたまた思わぬ不運。

彼にとって魅惑的とも言える道が拓ける。

黒い人格がその様を見て狂喜するが、何とかその場をやり過ごすため堪える。

これよりお楽しみの時間が待っているのだ。

それこそ悪戯に燃え盛るものでは無い。

堪えに堪え、時が来れば爆発すればいい。

だから、今だけは鎮めよう。

 

 

「縦穴、一階層で見るのは珍しい。

どこまで続いてるか分からないけど、少なくともここよりは深く潜れるよ。

でも基本は使わないかな、油断して全滅なんてよくあることだし......ラジエル?」

 

「『反逆せよ』】

 

「っ!!?」

 

 

だから故に、起爆剤を起動させた。

激しく揺れ動く炎は、その種火を強く揺さぶり、その在り方を変える。

少年の呟いた一言で、乾ききった空間が更にその水分を減らす。

岩の一部や瓦礫が砂と化し、熱気が齎す上昇気流により砂が舞い上がる。

視界の悪い砂嵐の中心より炎を渦巻かせて妖しく輝く二つの紅い光を見て、アイズは戦慄する。

景色が一変すると同時に、その姿もまた先程とは別人のそれとなった。

徐々に全貌が明らかになっていったその先には、先程と変わって豹変した表情に赤黒く染まる瞳、常時焼き焦がすような熱気を吹き出す悍ましい魔力()

悪戯を思いついた悪餓鬼は、隠すことなく人に向けるものではない恐ろしい笑みを浮かべる。

縦穴に視線を注力しながら、アイズを見もせずにあっけらかんと言い放つ。

 

「娘、ここまでの同行ご苦労だった。

だが、これより先我らは別れる。

オレたちはその穴の先に用ができたのでな、貴様がこれ以上オレたちに付き合う必要はなくなった。

踵を返し、このまま街へ戻るがいい」

 

「待って、貴方は......一体誰?

それに目的は一階層で肩慣らしだけのはず」

 

「クフフッ、そう堅いことを抜かすな。

娘よ、いつぞや誰かが口にしたな。

ダンジョンでは何が起こるか分からんと。

予定通りに事が進むことなど珍しいと。

ましてやここ最近のダンジョンは酷く不安定。

何が起こるかなど最早誰にも予想出来ん。

ならば、運悪く縦穴に落ちた(・・・・・・・・・)としても何らおかしくはあるまい?」

 

「そ、それは......!」

 

「オレたちは意図せず不運にも崩落に巻き込まれ深部へと落ち、その結果中層に運悪く放り込まれることとなろう。

そして、救助を待つために現状維持として周囲の危険分子を排除するのもまた当然の帰結。

なればこそ、あの女との契約は違えていないことになる」

 

 

それは詭弁だとアイズは言葉を発することは出来なかった。

この世のものとは思えない姿を前に畏怖したからだ。

荒野にて佇む、炎を司る恐ろしき鬼の姿が、この身体を縛り付けている。

身体はおろか、言葉すら上手く発せられない。

 

 

「そんな顔をするな、貴様に何ら落ち度はない。

納得がいかなければ......そうだな、救援でも募るがいい。

数刻の後に報告し、何処へやも繋がっているかも知れん縦穴に対し、自分だけで探すことは出来ないと。

時間をかけて人員でも揃えるがいい。

生憎と時間が惜しい、少しでも横槍が入るのを遅らせればそれで構わん。

オレたちが戻らぬと知ればあの女も業を煮やすのでな。

なるべく精鋭を、大勢の冒険者を集めて欲しいと公言すればいいだろう。

何なら素知らぬ顔で何も知らないと口にしろ」

 

「で........出来ないよ、そんなことっ」

 

「言ったはずだ、気に病むことはないとな。

案ずることはない。

オレたちは何も死ぬためにかの深部へと赴く訳では無い。

この矮小な焚火を天にまで轟かす業火へと昇華させるには、夥しい数の()を焚べねばならん。

雑兵では物足りん。

燃やし甲斐があり、尚且つ質の良い()こそオレたちの求めるもの。

我らの悲願を成就させるためには避けて通れん話だ」

 

 

死ぬために落ちる為ではない。

更なる力を求めるが故に仕方のない話なのだと、目の前の彼はそう言った。

力を求める姿勢としては間違っていない。

自分もそうだからこそ、数多の強敵相手に剣を振るい続け、更なる舞台へ上がることを急かしていた。

だが、目の前の黒い影にはそんな眩しい向上心のようなものは欠片も見受けられない。

もっとタチの悪い怨念に酷似した妄執のようなものだ。

好敵手や眷属たちと切磋琢磨するような輝かしいものではない。

それこそ、自分に関わる全てを根こそぎ焼き付くさんと猛る焔の如し。

迂闊に近寄れば、その飛火はたちまち自分をも焼き尽くすだろう。

だからこそ、アイズはそれ以上前へ進むことが出来なかった。

 

「我らには時間が余りにも足りない。

なればこそ、この千載一遇の機会をみすみす逃す訳にはいかぬ。

脳裏にチラつくゴミ共を始め、あの猪武者を......ひいてはこの下らん現状を生み出し傍観を決め込んでいた世界そのものを焼き尽くすため、ここで足踏みする訳にはいかんのだ」

 

「ぁ............っ」

 

「それがお前の前に立つモノの正体だ」

 

 

小者のような妄言であると、愚か者が抱く虚言であると、馬鹿者が嘯く大法螺であるのなら嘲笑に値しただろう。

しかし、目の前の少年の眼にはそれらが欠片も存在しない。

渦巻き揺らめく炎がそれを証明する。

自分はおろか、このダンジョンすら直に飲み込んでやるという亡者の嘆きのようなドロドロとした黒い感情。

対象にへばりつき、跡形もなく焼き殺してやるという執念が確かに感じ取れたのだ。

だからこそ、この足は彼から一歩引いてしまった。

恐れを抱いたのだ。

敵意を剥き出しにして襲いかかって来るモンスターすら平然と受け止めていた剣姫(けんき)アイズ・ヴァレンシュタインの足が、これより先に進むことを本能的に拒絶している。

 

 

「お前が抱くもの、それは人間として至極当たり前の感情だ。

恥じるな娘。

恐怖を知ったのなら、その足は大きな前進を望めるだろう。

ヒトが抱ける闇の実態を垣間見、それを知った上でお前がどのような道を進むのか興味が出たが、生憎それを見届ける時間すら惜しい。

この邂逅が、お前にとって得るものであれば良いのだがな」

 

「ま、待って!」

 

「ではな、剣を握るか弱き姫よ。

焼き切れぬ縁であれば、また合間見えよう。

それまでその命、精々取り零すなよ。

フハハハハハッ!!!」

 

 

止める言葉を探している合間に、彼は意気揚々と縦穴へ飛び込む。

耳に残る不気味な笑い声を置き去りに、何処へ続いているかも分からない死地へ嬉嬉として飛んでいってしまった。

アイズは迷う。

彼に関係する者にこの事を伝えるか、自身も飛び込み後を追うか。

力を求め戦いに赴くか迷っている自分がいるのだ。

 

 

「私は、どうすれば......」

 

 

 

──────────────────

 

 

 

少年を見送った後、リューは一人買い物袋と悩みを抱えながら街を歩いていた。

用があると言ったのは本当だ。

つい先程まで、武器の整備をするためヘファイストスの眷属の元を訪れていたのだ。

ただ、急を要する程のことではなかった。

彼の師との会話のすぐ後に、ラジエルとどう接していけばいいのか再び迷いを覚えてしまったからだ。

あの時誓ったことに嘘偽りはない。

だが改めて彼の凄惨な過去を知った今では、自身の身の振り方が今まで通りではいけないと考えたのだ。

 

甘やかすのもいい、今まで以上に愛すのもいい。

持てる力全てを使って彼のために尽くす道もまたあるだろう。

目を背けたくなる過去を塗り潰すような温もりで包み込んで、年相応の生活に差し込んであげたい。

きっと危険は付きまとうことになるが、自分がついていればそれも不可能ではない。

 

そう、以前まではそう考えていた。

たがリューは知ってしまった。

この世の悪の側面、悪い夢のような出来事の中心にいた彼の話を。

いつの世も、世界は無情に残酷さを突きつける。

その責め苦を受けるのは、いつだって力の弱い弱者たちだ。

英雄譚のような存在が近くを通りかかれば、ラジエルの運命は大きく変わっていただろう。

でも現実はそんなに甘くない。

現に少年は世界に対して絶望し、失望と憎しみを抱いてしまった。

本人に自覚はないだろうが、心の奥底では理解している。

変異種のゴライアスとの戦闘で、リューは理解している。

行き場のない怒りと憎しみ、世界に対する憤怒と慟哭。

日常でその激情が表れないのは、別人格がその負の感情を肩代わりしているから。

故に所構わず暴走することはない。

 

それも長くは続かないだろう。

何となく、感覚的にそう思った。

変わらないものは存在しない。

生きている限り、存在している限りその有り様は自他知らぬ所で変化させている。

だから、このままではいけない。

いつまた暴走するかどうかなんて誰にも分からないのだ。

ずっとこのままでいる保証なんて何処にもない。

 

 

「どうすれば」

 

 

ここにも、現状に答えを見いだせない者が一人。

繰り返し、戯言のように口から漏れ出す。

最早今日一日の中でどれほど呟いたか分からない。

自身が考えうる中での最善を幾度となく探している。

分かっている。

何しろ彼の過去の触りを知ってから、癖のようにこの自問自答を繰り返しているからだ。

芽生えた憎しみはそう簡単に消えることは無い。

宥めるだけでは逆に激情を煽る。

かといってそれを許容し、破滅の道へ赴く少年を見届けることなんて決してできない。

どのような選択を取るべきか、リューは溜息と共に悪い考えを吐き出す。

 

 

「いつぞやの顔つきに戻っちゃってるよ、リュー」

 

 

聞き慣れた言葉に、反射的に顔を上げる。

俯き項垂れていたリューに声をかけたのは、自分にとってかけがえのない家族のうちの一人。

金色の髪が稲穂のように優しく揺らいでいた。

それだけで誰が目の前にいるのか分かる。

アストレアファミリアの面々を率いる代役を担った、たった一人の親友。

世話焼きのお節介、我らが団長代理だ。

 

 

「もう、リューは本当に生真面目なんだから。

悩むとすぐここに来る癖、まだ直らない?」

 

 

木々に囲まれ、街の喧騒から隔絶された自然の広場。

以前ラジエルに教えた場所がここだ。

戦闘になるなんて思いもよらない事態に発展したが、基本ここは和で血腥い世界とは切り離された空間。

戦いを繰り返し、摩耗した心を休める優しい居場所。

エルフとしての本能か、自身のことで手一杯になるとこういった場所を探してしまう。

ダンジョンにあるセーフティエリアのとある場所もそうだ。

中でもあの場所はアストレアファミリアの面々が気に入り、死する時はここで眠りたいと口にするものが多かった。

そんな憩いの場所を求めるリューの癖を、団長代理のリーヴァはきちんと見抜いていた。

 

「リーヴァ、私はまた分からなくなってしまいました。

つい最近ようやく一区切りつけ、踏ん切りも着いたというのにまたこの体たらくです......」

 

「............」

 

「頭では分かってます。

彼を、ラジエルをこのままにしておくべきではないと。

彼の心は闇に魅入られ......いえ違いますね、人が抱く悪そのものになりかけています。

心は荒みきり、汚れ、疲れきっている。

けれど、それでもその足を止める事が出来ない。

 

 

───私は知りました。

ラジエルの心が砕け、復讐に駆り立てられる原因を作ったその一夜の出来事を」

 

 

罪なき人々が惨たらしく殺され、その痕跡を無情にも炎で焼き尽くされた無惨な村の跡。

死体の一つすら残らず、思い出の一つすら灰となった。

無表情の瞳でそれらを眺める一人の子ども。

胸を締め付けられる凄惨な末路を強要された一つの現実。

思うところがないなどとんでもない。

ただ、彼はそれを形にする術を失っただけだ。

だからこそ、その内に人が抱く憎悪の内の一つを生み出した。

余りにも大きなそれは、いつしか自分の激情を代弁する人格となった。

 

 

「この世のものと思えない、とは言えません。

私たちが知らないだけで、それは日常に行われている事なのですから。

毎日常に行われているかもしれない。

その事実に気づいたからこそ、ラジエルの憎しみは更に膨れ上がった。

でなければ、もう一つの人格を作り出すことなど出来ないでしょう。

 

 

───私は聞きました。

普段からでは想像できないあの子の、耳を塞ぎたくなるほどの激しい怒りを」

 

 

圧倒的力量の差を覆し、敵だったものを踏みにじりながら狂気を振りまく一匹の小鬼の姿が蘇る。

自らを炎として燃え上がり、血の涙を流して不条理な現実を突きつける現実に対して吠えている姿が頭から離れない。

 

何故殺したのか。

何故見過ごしたのか。

何故自分を置き去りにしたのか。

 

聞くに絶えない悲痛な嘆きが、ずっと耳に残ってるのだ。

 

 

「あの子は求め続けている。

何故このような運命を強いられたのか。

自分自身が何を求めているのかを。

復讐なのか、それとも安らぎを求めているのか定かではありません。

どちらでもないのかもしれませんし、どちらをも求めて止まないのかもしれません。

 

 

───そして、私は見ました。

不器用なりに答えを求めて手を伸ばすその小さな背中を」

 

 

もっと強くなれば見えるはず。

そう信じて我武者羅に力を蓄え、僅かに見えた光こそが自身にとっての救いなのだと信じ込んだ。

身の破滅と、いずれ振り撒かれるであろう狂気を呼び込む厄災に成り下がることを承知で、愚直に力を求めることを望んだ。

それが、リューの見た小さな鬼の姿だった。

 

 

「何が正しい答えか、何が最悪の事象を回避するに最適な解なのかが分かりません。

きっと遅かれ早かれ、今のラジエルは修羅の道を歩むことになるでしょう。

私がどれほど懸命に説得し、この女の身体を行使したとしても彼が足を止めることはないでしょう。

止める手立てが見つかりません。

故に、私はあれから繰り越しているのです」

 

 

弱々しく呟き、焦点の合わなくなった瞳が縋れるものを探して揺れ惑う。

リーヴァが見た彼女は、今まで見た中で最も危うい状態だった。

リューもまた、答えを求めて彷徨っている。

明確な答えを示すことの出来ない世界が、また一人の冒険者を先の見えない暗がりへ落とし込んだのだ。

リーヴァは口を挟まない。

彼女の本心の吐露をただ待っている。

リューが近いうち自分でその答えに行き着くまで、見守るしかない。

誰かの用意した答えに、本当の意味などないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────私は、どうすればいいのですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハッ!!

いい!やはりいい!これ以上ない高揚感だ!

盛りついた獣かオレは!

だが悪くないぞ、寧ろ最高だ!」

 

「───────────ッ!!」

 

「あの肉達磨とは比べ物にならん程の雑魚だな貴様は!!

焚べ甲斐のない木偶の坊風情が!

己の無力さに嘆きながら灰になるがいい!!」

 

「───────────ァァァッ!!」

 

「三本集まればだと!?

烏合の衆にも劣るただの木の葉が幾ら集まろうと、吹かれて散り散りになるのか関の山よ!!

燃えよゴミ共め!!」

 

「「「─────────ガァッッ!!!」」」

 

「ッ!!

クハハッ!いいぞ!殺し合いとはそうでなくてはな!

一方的な蹂躙など趣味ではない!!

貴様に殺せるか!オレたちを!!」

 

「何という歓迎か!

ここまで総出でオレたちを祝うか!

その(もてなし)、狂喜して受け入れよう!!

生半可な量で満足させられると思うなよ!!」

 

「───────────ッッッ!!」

 

「魚風情がっ!!小賢しい!!

余すところなく捌いてくれよう!!

その次は煩わしい声を撒き散らす貴様だ!!

せいぜい余生を満喫しておけ!!」

 

「グゥォォォォ!!

フフっ、悪くない......悪くないぞ蛇め!

その二つ首撥ねて尚オレたちに追いすがれば、褒め言葉のひとつは用意してやろう!!

さぁ、その薪を寄越せ!!」

 

「フフっ、フハハハハッ!!!

あぁ、この痛み!この昂り!!この抑えきれん衝動!!!

久方ぶりの生の実感だ!!

この死に満ちた戦場こそ!オレたちの居場所に他ならぬ!!

生死の境を行き来するこの血塗ろの世界こそ、我らが生きれる唯一の場所に他ならぬのだ!!!

獣共よ!オレたちの血となり肉となれ!!

その生を!その薪を!その憎しみを焚べよ!!

オレたちはその全てを飲み込み、世界を燃やす罪火となろう!!

ハハハハハハハッ!!!」

 

 

──その対価として、この常世全てを焼き尽くしてくれる!!

 

 

 

 

 




毎度どもです。
温かい感想や誤字の報告頂けて少し頬が緩んでる私です。
最近身体の調子がおかしくなってきたんですよ。
胸の神経痛が止まらないんです。
上半身のコリが加速してるんです。
どうでもいい話でしたね。

それはそれとして、続編です。
進展していないように思えますが主人公がついに強硬策に出ました。
不可抗力で落ちたのなら、そこで何が起きてもしょうがないよね。
大義名分ではないけれど、落ちてしまったのなら仕方がない。
自分の身を守るためひたすらに戦いに明け暮れます。
いつかぬっ殺す奴らの為自分を磨くそれだけのお話です。
絶対振り向かせる美人になりますよ彼は。
まぁ頭が動く前に首が飛ぶんで顔を見ることは出来ないんですが。

それもそれとして、他作品も同時並行で進めてます。
見てくれている人はご存知とは思いますが、そちらも見てくれたら幸いです。
ダークな物語から一変して、散々バカをやらかすものなんで、口直しにはいいかもしれません。
更新遅れますが生暖かい目で見守っていて下さい。


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