愉快人は何処へゆく   作:黒アオ

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2話 この世界ってほんとに騒がしい

、、、翌日。

 

 

「んハー!いい天気デスなー!さて、何をしようか」

 

 

今日は依頼が何も来てないので暇である。そろそろ原作がどこまで進んでるのか確認しようかなー。暇だし(2回目)

 

 

朝飯をちゃちゃっと作り、とっとと食べる。うん、美味しい。そうやって自分の料理に自画自賛しながら、飯を食べ終え、歯をしっかり磨く。

そしてシャツとジーパンに着替えパーカーを羽織る。キャップをかぶってハイおしまい。

女子として終わっているが、どうせ中性的な顔だからな。男だと勘違いされるだろう。しかもこんな貧乳じゃ。ハハハ。言ってて悲しくなってきた。

 

お面とコートは鍵付きタンスにしまっている。お仕事の時だけしか使わないからね。見られたら困るし。

 

 

「よし!あとは“ワタシ”にやらしておくか」

 

 

私は《分身》を使い、命令した。

 

 

「自分が帰ってくるまで家事をやってといてー。電話がきたら、思考だけは繋いでおくから、受け答えだけはしっかりね。よろしく“ワタシ”」

 

『ハイハイ。分かってるよー“私”。たっく人使いが荒いんだからー』

 

 

ほんっとに能力って便利だなー。

 

 

「じゃあ、いってきまーす!」

 

 

『いってらっしゃーい。気をつけてねー』

 

 

こうして私は“ワタシ”に任せて家を出た。これ、ややこしいな。

 

 

私は今歌舞伎町ぶらぶらしてるよー

片手には団子が1つ。さっき団子屋で買ったものだ。やっぱり歩き食い良いよね。気ままに食えるし。

人にぶつからないように避けながら綺麗に食べている。これ、自分の特技のひとつっていえるかもしれない!!と新たな自分を発見しつつも周りに視線を巡らせる。

うーん。やはり洋服は珍しいみたいだ。さっき程からジロジロと視線を感じる。気にはならないけど。

 

それよりも、この辺りは万事屋に近い。私は何か事件でも起きないかと、とても期待している訳だよ。ワトソン君。

・・・やめよう。ひとり芝居はなんとも虚しい。

 

頭の中でバカやってる時、視界の端で“ソレ”を見た。

 

 

考えるよりも先に行動にうつした。

 

 

狙うはあの走るスクーターの後ろ。よし、ロックオン。《瞬跳》で名のとおり“跳んだ”。

 

 

ドサッ

 

 

「!?!?」

 

「やっほろー」

 

 

うん。当然乗ってた人はビックリするよね。いきなり、後ろに人が乗ってるんだもん。それより・・・やっぱり!!手紙をいっぱい持ってるということは、こいつは飛脚だ。ということは原作はまだ“あの回”だ。

 

 

「あんた誰だよ!?なんで、乗ってんだよ!つか、どうやって乗ったの!?」

 

「まあまあ、細かいことは気になさんな。それよりも前見た方がいいよー」

 

 

「へっ?前って・・・ぎゃあああああああ」

 

 

ふー。飛脚がちゃんとしないから、人にぶつかりそうだったよ。危ない危ない。

 

「気をつけてね。ベイビー」

 

「何なんだあんたは!疫病神か!もういいから、さっさと降りてくれよ!お願いします!!」

 

 

あらま、涙目だ。大の大人が情けない。

 

けどさ

 

「ねえねえ、もう1度言うけど前見ないでいいの?」

 

「えっ」

 

 

ドカン

 

 

ほら、言わんこっちゃない。

 

 

学習能力の無い飛脚なんて知らん。怪我をしているが無視しよう。ちなみに私は事故が起きる前に、しれっと避難しましたが何か?降りろってうるさかったのそっちだしね。

 

 

それよりも私はとても緊張してる。もう飛脚の事なんて頭に入ってない。

 

 

ドクン ドクン ドクン ドクン

 

 

飛脚が突っ込んだのは“スナックお登勢”。そして、その上には“万事屋銀ちゃん”。

 

 

目の前には、お登勢さん、神楽ちゃん、新八くん、銀時、そして飛脚。

 

 

さあ、これでこの回の最初のキャストは揃った!どんな面白いことになるだろう!私は脇でコソコソしていよう。

お面をつけてる気まぐれ屋バージョンならどんどん巻き込まれておっけーなんだけど、普段の私でだったら巻き込まれたくないし。

 

と、余裕ぶっこいていた頃がありましたよ。ハイ。

 

 

今現在、あのお登勢さんに胸ぐら掴まれています。めちゃくちゃ怖い。

 

 

「くらあああああ!!われえええええ!!責任とれやああああ!!」

 

 

私がぼーっと傍観してる間、何がどうしてこうなった。

 

 

「は?あ、え?なんで自分が?」

 

 

「しらばっくれるつもりかあああ!!」

 

 

「お登勢さん!落ち着いて下さい!」

「そうヨ!血圧上がるネ!」

 

バーサーカー状態のお登勢さんを新八くんと神楽ちゃんが宥める。二人に言われて、ようやく落ち着いたみたいで腕組みしてる。まだ顔は怖い。

 

 

「あのー、さっきの飛脚はどうなったですかね?そして、何で自分こんなに怒られてんすか?怖いんだけど。このオバハン」

 

 

年上には一応敬語使わないとね。慣れてないから変な風になってるけど。

私の質問はさっきから空気な銀時が答えてくれた。

 

 

 

「安心しな。飛脚は救急車に運ばれたよ。そんでな、運ばれる前に飛脚はこう言ったんだ。『俺が事故ったのは全部パーカー野郎のせいです。そして、これ俺の代わりに届けてください・・・さっきのパーカー野郎と一緒に。なんか大事な届け物らしくって。届け損なったら俺・・・クビになっちゃうかも。お願いしまっ・・・ガク』だそうだ。つーわけで行くぞ」

 

 

「えっ?お店はどうすれば!?つーか、あの飛脚め!余計なことを!!」

 

 

確かに私も0.1%は悪いかもしれないけど、無駄にうるさかった飛脚のせいだよね。

 

「あんた、届け終わったらうちに来な。責任もって直してもらうよ。銀時、逃げないように見張ってるんだよ」

 

 

「分かってるって。ほら、パーカー野郎。もたもたすんじゃねぇよ」

「早く行くネ!」「行きましょう!」

 

 

「何この展開。早すぎてついていけないんだけど。つーかそこの天パ!いつまで手を繋いでるの!?逃げないから離せ!天パがうつる!」

 

 

本当離してくれないかな!なんかボロが出そうで怖いんだよ。

 

 

銀ちゃんは私が拒否してると分かると更にギュッと握ってきた。

って、なんでじゃあああああ!!

 

 

「天パはうつんねーよ!それにそう言って離したらすぐ逃げるつもりだろ。銀さん分かってるんだからな」

 

「逃げないからさっさと離せええええ!」

 

 

怒りで爆発しそうだったから無理やりほどいた。

 

 

「何やってんですかあんた達。もう着きましたよ」

 

「えっ?」

 

 

確かに前を見てみると立派な建物が。あれ?いつの間に。

 

 

「ここであってんだよな」

 

「うん」

 

「大使館・・・これ戌威星の大使館ですよ。戌威族っていったら地球に最初に来た天人ですよね」

 

「ああ、江戸城に大砲ブチ込んで無理矢理開国しちまったおっかねー奴らだよ。嫌なトコ来ちゃったなオイ」

 

そう言った銀時の顔はあんまし変わってない。

 

「オイ」

 

 

後方から野太い声が聞こえる。全員振り返ってみるとこちらを警戒している犬の顔したでかい天人。

あれ?犬ってもっと可愛いような。犬なのに厳つい顔してる。犬よりも熊の方が似ているかも。

 

「こんな所で何やってんだてめーら。食われてーのかああ?」

 

 

「いや・・・僕ら届けもの頼まれただけで」

「オラ、神楽早く渡・・・」

 

「チッチッチッおいでワンちゃん酢昆布あげるヨ」

「自分は死体自分は死体。美味しくないよー。とてもまずいヨー」

 

 

スパーンスパーン

 

「いってー!!」

 

 

いてて。銀時に叩かれた。何なんだよ。熊に出会ったらまず死んだフリをするんじゃないの?私の常識間違ってるの?

 

そして神楽ちゃん痛くなかったの?結構な強さで叩かれたのに全然動じてない。さすが夜兎族ですね。分かります。

 

「届け物がくるなんて話きいてねーな。最近はただてさえ爆弾テロ警戒して厳戒態勢なんだ帰れ」

 

「ドックフードかもしんねーぞ。貰っとけ」

 

「そんなもん食うか」

 

「あ」「あーあ」

 

銀時は届け物を渡そうとするが、天人にはたかれ、届け物は大使館の敷地内に入った瞬間

 

ドカン

 

バラバラ ガラガラ ガシャーン

 

 

爆発。もう全てがボロボロ。

 

自分の顔が引き攣ってるのが分かる。

新八くんは眼鏡ズレてるし、銀時は相変わらず死んだ目してる。

神楽ちゃん、なんでおお!スゲーっていうような顔してるの?

今危機的状況なんだけど。

 

「・・・なんかよくわかんねーけど、するべきことはよくわかるよ。逃げろォォ!!」

 

皆で勢いよく走る。私は一足先に早かったのか神楽ちゃんの前にいる。逃げ足だけは私速いからね。

 

 

「待てェェテロリストォォ!!」

「!!」

 

 

新八くんが手を掴まれた。新八くんは咄嗟に反対の手で銀時の手を掴み、銀時は神楽ちゃんを掴み、神楽ちゃんは私の手を掴んだ・・・ってワタシィィ!

 

 

「新八ィィィ!!てめっどーゆーつもりだ離しやがれっ」

 

「嫌だ!!一人で捕まるのは!!」

 

「俺のことは構わず行け・・・とか言えねーのかお前!」

 

「私に構わず逝って二人とも!」

 

「ふざけんなお前も道連れだ!!」

 

「手を離してぇぇぇ!痛い痛いいたい!」

 

何この子!本当に馬鹿力!ほら私の手、青くなってきてる!ああもう詰んだ。

 

「ぬわあああ!!ワン公が一杯来たアア!!」

 

 

新八くんの焦った声が。振り返るとうげっ本当に来てる。うじゃうじゃ出てきてまるでゴキブリみたい。

ゴキブリって1匹でたら100匹いると思えって言うよね。最悪。

 

そろそろ本格的に逃げる手段を考えてる内に、奥の方から天人の頭を土台に足で蹴りながらこっちに来ている人影が見えた。これはまさか!?

 

 

「逃げるぞ銀時」

 

 

キタァァァァァ!!さらさらの長髪にキリッとした目。間違いなくあの変人の桂小太郎だ!

 

「おまっ・・・ヅラ小太郎か!?」

 

 

「ヅラじゃない桂だアア!!」

「ぶふォ!!」

 

 

「てっ・・・てめっ久しぶりに会ったのにアッパーカットはないんじゃないの!?」

「そのニックネームで呼ぶのは止めろと何度も言ったはずだ!!」

 

はぁ、こんな時に何このくだらない言い合い。新八くんは呆れてるし、神楽ちゃんはこんな大人になりたくないって目が語っている。

 

「つーかお前なんでこんな所に・・・」

 

 

げっ天人が一気に来た。空気読めや天人ども。

 

 

「!!話は後だ銀時、行くぞ!!」

「チッ」

 

 

銀時舌打ちしてるし。ガラ悪いなぁ。

 

 

「何ぼーっとしてんだよ!行くぞ!!」

 

「は?あ、えちょっと!離せ!!」

 

 

ぎゃあああ!また手掴まれてる!もう嫌だあああああ!

 

 

 

 

この世界ってほんとに騒がしい。




よしっ!これで文字数はいいだろう!!と思うけど読者の皆様方はどうですかね?

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