愉快人は何処へゆく   作:黒アオ

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1話 お菓子の恨みってつい我を忘れるよね

 

「コンさーん、またよろしくね!」

 

「あー、ハイハイ。またのご依頼お待ちしておりますよっと。次はインコ逃がさないようにして下さいねー」

 

 

あれから1ヶ月。最初の頃はからかい目的で偽の依頼とかされたが、すぐ《真偽》で見破ってパンチをお見舞いした。それ以来、偽の依頼が来なくなりました。わーパチパチ。

 

 

ぼちぼち依頼がきて落ち着いてきたのがつい最近のこと。

 

 

私の普段の格好は狐のお面にマント、そして銀魂の世界ではなかなか見られない洋服。身長は170cm位に、声はテノール。

 

お面して顔を隠しているが、決して不細工だからという理由ではない。むしろ美人・・・いや、中性的な顔だから美形って言う方が近いかな。

声は女とも男とも捉えられるから、性別不詳の不気味な人と認識され、すれ違った人にじろじろ見られる。

 

けれど、無償で困っている人を助けたりしたら、いつの間にか不気味な人から優しい人に変換された。

 

 

あははー、これ親切心とかじゃなくて、下心があるから助けてるんだよねー。

 

 

最後に「気まぐれ屋」の名刺を渡して宣伝してもらったり、人脈を作ったり、広い繋がりを持っていると、後々いいことが起きるんだよね。

 

例えば

 

「あーいたいた!コンさん。」

 

「おーどーしたの?花さん。そんなに急いで」

 

「これ、うちで採れた野菜ね!この前のお礼。荷物一緒に運んでくれてありがとう」

 

「イエイエーどうも。大事に食べますねー、ありがとうございまっす」

 

とか

 

「おー、コンさんコンさん。この魚新鮮で美味しいよ。この前、壊れた舟の修理手伝ってくれたから半額にしてやんよ。買うかい?」

 

「まじかー、じゃあ一匹買おうかな。ありがとう親っさん」

 

とか、このようにいい事が起きます。

 

 

特にここ江戸の町は、人情味あふれてるからね。親切あげたら返してくれる。いえい。

 

んで、このように過ごしてたら、いつの間にか歩いただけで声かけられる有名人になりましたとさ。

 

性格悪い?知ってます。私に深く関わった人は皆そう言う。

 

 

とにかく、こんな感じに銀魂の世界をエンジョイしてる。ちなみに、まだ主要キャラと接触してない。

 

 

「よーし。今日の依頼はしゅーりょー。早く帰ってだらだらしよー」

 

 

手はお菓子でいっぱいだからねー。さっき、この前ナンパから助けたお姉さんにお菓子たくさん貰っちゃった。保存しないといけない物もあるから、急いで帰らないと。

 

私の家はかぶき町にあるボロアパートだ。家賃が安かったんだよな。大家さんとは仲良くしてもらっている。よくお土産貰うしね。

 

 

よし、あそこの角曲がればもう家だ

帰ればお菓子パラダイスが待っているーグフフ

 

そう、油断しているのが間違いだった。

 

 

「ちょっそこの人どいてー!!」

 

「はっ?」

 

 

キキードカッグシャズサードサッ

 

 

説明しよう

キキーはブレーキ、ドカッは衝突、グシャは何かが潰れた音。ズサーはスクーターが倒れて擦れた音。ドサッはスクーターに乗ってた人が宙に放り出され、地面とお友達になった音。

 

 

要するに、スクーターに衝突してしまったのだ。

 

 

自分は咄嗟に《硬化》を使ったから怪我はないが、貰ったお菓子は潰れてしまった。

 

 

「おーい、お兄さん。大丈夫ですかー」

 

 

私は一応スクーターの人が死んでないか安否を確認するため、近くに行き声をかけてみる。決して心配だからではない。死んでいたら、警察が来て、事情聴取が面倒なことになりそうだからだ。

 

 

それにしても、この白い天然パーマどっかで見たことあるんだよな。どこだっけ?

 

 

「いててて、もう何なんだよ。今日はついてねーなァ」

 

「!?!?」

 

 

おっどろいたー。アレだ。主人公だ。白夜叉だ。万事屋の銀ちゃんの坂田銀時だ。マダオだ。ダメ人間No.1だ。

 

私は有名人にでも会ったような感覚に陥った。

 

銀時は頭を掻きながら目の前にいる私に疑問符を頭に浮かべる。

 

 

「???お前・・・どちら様で?」

 

 

ハテナじゃねーだろうがーーー!!!

こいつ、さっきの事故忘れたのか?それとも、頭が残念だから理解が追いついてないのかなー

 

 

私は呆れながらも壊れて煙をモクモクとたてているスクーターに指さした。

 

銀時の視線はスクーターに移り、やっと状況を理解したのか、顔を青くさせながら素早く土下座した。

 

 

「すっいませーん!!!慰謝料は勘弁してください!うちはどっかの大食らいがいるんで、もう家計がキツキツなんです!!」

 

 

私はニッコリ笑いながら(お面で見えないけど)、銀時の肩を軽く叩いた。許されたのかと思ったのか銀さんは安堵した様子で顔を上げる。

 

 

許すわけねーだろこの野郎

 

 

銀時の青い目には殴ろうとしている私が写る。

 

あーあ、また顔が青くなっちゃった。けど、仕方ないよねー

 

 

「歯くいしばれーい!クソがー!!」

 

 

甘党の大事なお菓子を駄目にしちゃったんだから。

 

 

甘党をなめたらあかん

 

 

「グハッ」

 

 

ドサッ

 

 

また気絶しちゃった。

主人公だし、放っておいても大丈夫だよね。腫れた頬を冷やすための湿布位は傍に置いといてやろう。《巻き戻し》で無事な状態に戻したお菓子を早く冷やさなきゃ。

 

 

こうして、私はこの場を去った。

 

 

 

やれやれ、お菓子の恨みってつい我を忘れるよね

 




次こそはっ次こそはもうちょっと文章長くするから!見捨てないで下さいorz

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