「コンさーん、またよろしくね!」
「あー、ハイハイ。またのご依頼お待ちしておりますよっと。次はインコ逃がさないようにして下さいねー」
あれから1ヶ月。最初の頃はからかい目的で偽の依頼とかされたが、すぐ《真偽》で見破ってパンチをお見舞いした。それ以来、偽の依頼が来なくなりました。わーパチパチ。
ぼちぼち依頼がきて落ち着いてきたのがつい最近のこと。
私の普段の格好は狐のお面にマント、そして銀魂の世界ではなかなか見られない洋服。身長は170cm位に、声はテノール。
お面して顔を隠しているが、決して不細工だからという理由ではない。むしろ美人・・・いや、中性的な顔だから美形って言う方が近いかな。
声は女とも男とも捉えられるから、性別不詳の不気味な人と認識され、すれ違った人にじろじろ見られる。
けれど、無償で困っている人を助けたりしたら、いつの間にか不気味な人から優しい人に変換された。
あははー、これ親切心とかじゃなくて、下心があるから助けてるんだよねー。
最後に「気まぐれ屋」の名刺を渡して宣伝してもらったり、人脈を作ったり、広い繋がりを持っていると、後々いいことが起きるんだよね。
例えば
「あーいたいた!コンさん。」
「おーどーしたの?花さん。そんなに急いで」
「これ、うちで採れた野菜ね!この前のお礼。荷物一緒に運んでくれてありがとう」
「イエイエーどうも。大事に食べますねー、ありがとうございまっす」
とか
「おー、コンさんコンさん。この魚新鮮で美味しいよ。この前、壊れた舟の修理手伝ってくれたから半額にしてやんよ。買うかい?」
「まじかー、じゃあ一匹買おうかな。ありがとう親っさん」
とか、このようにいい事が起きます。
特にここ江戸の町は、人情味あふれてるからね。親切あげたら返してくれる。いえい。
んで、このように過ごしてたら、いつの間にか歩いただけで声かけられる有名人になりましたとさ。
性格悪い?知ってます。私に深く関わった人は皆そう言う。
とにかく、こんな感じに銀魂の世界をエンジョイしてる。ちなみに、まだ主要キャラと接触してない。
「よーし。今日の依頼はしゅーりょー。早く帰ってだらだらしよー」
手はお菓子でいっぱいだからねー。さっき、この前ナンパから助けたお姉さんにお菓子たくさん貰っちゃった。保存しないといけない物もあるから、急いで帰らないと。
私の家はかぶき町にあるボロアパートだ。家賃が安かったんだよな。大家さんとは仲良くしてもらっている。よくお土産貰うしね。
よし、あそこの角曲がればもう家だ
帰ればお菓子パラダイスが待っているーグフフ
そう、油断しているのが間違いだった。
「ちょっそこの人どいてー!!」
「はっ?」
キキードカッグシャズサードサッ
説明しよう
キキーはブレーキ、ドカッは衝突、グシャは何かが潰れた音。ズサーはスクーターが倒れて擦れた音。ドサッはスクーターに乗ってた人が宙に放り出され、地面とお友達になった音。
要するに、スクーターに衝突してしまったのだ。
自分は咄嗟に《硬化》を使ったから怪我はないが、貰ったお菓子は潰れてしまった。
「おーい、お兄さん。大丈夫ですかー」
私は一応スクーターの人が死んでないか安否を確認するため、近くに行き声をかけてみる。決して心配だからではない。死んでいたら、警察が来て、事情聴取が面倒なことになりそうだからだ。
それにしても、この白い天然パーマどっかで見たことあるんだよな。どこだっけ?
「いててて、もう何なんだよ。今日はついてねーなァ」
「!?!?」
おっどろいたー。アレだ。主人公だ。白夜叉だ。万事屋の銀ちゃんの坂田銀時だ。マダオだ。ダメ人間No.1だ。
私は有名人にでも会ったような感覚に陥った。
銀時は頭を掻きながら目の前にいる私に疑問符を頭に浮かべる。
「???お前・・・どちら様で?」
ハテナじゃねーだろうがーーー!!!
こいつ、さっきの事故忘れたのか?それとも、頭が残念だから理解が追いついてないのかなー
私は呆れながらも壊れて煙をモクモクとたてているスクーターに指さした。
銀時の視線はスクーターに移り、やっと状況を理解したのか、顔を青くさせながら素早く土下座した。
「すっいませーん!!!慰謝料は勘弁してください!うちはどっかの大食らいがいるんで、もう家計がキツキツなんです!!」
私はニッコリ笑いながら(お面で見えないけど)、銀時の肩を軽く叩いた。許されたのかと思ったのか銀さんは安堵した様子で顔を上げる。
許すわけねーだろこの野郎
銀時の青い目には殴ろうとしている私が写る。
あーあ、また顔が青くなっちゃった。けど、仕方ないよねー
「歯くいしばれーい!クソがー!!」
甘党の大事なお菓子を駄目にしちゃったんだから。
甘党をなめたらあかん
「グハッ」
ドサッ
また気絶しちゃった。
主人公だし、放っておいても大丈夫だよね。腫れた頬を冷やすための湿布位は傍に置いといてやろう。《巻き戻し》で無事な状態に戻したお菓子を早く冷やさなきゃ。
こうして、私はこの場を去った。
やれやれ、お菓子の恨みってつい我を忘れるよね
次こそはっ次こそはもうちょっと文章長くするから!見捨てないで下さいorz