Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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フォルテがパンジーを憎む理由が明かされます。


第14話 フィールド家の謎

 12月の最初の土曜日。早速必要の部屋に向かった。宿題はあらかた終わらせているので、思いっ切り魔法薬の開発に専念出来る。

 

 さて、少し話が脱線する。この間書いた手紙の返事が返ってきた。シリウスは、無事にロイヤル・レインボー財団に保護された。今、本部の空いている居住区域で暮らしている。監視付きでね。

 

 ちょっと前に俺も本部へブローチマントを使って戻って来て、ペティグリュー入りの空き瓶を義祖父ちゃんに引き渡した。真実の暴露をクリスマス期間に実行する事が決まった。

 

 話を戻す。月曜日に混合液、サラマンダーの血液、弟切草、ベラドンナエキスを真脱狼薬αに組み込んだ。強化薬を参考にして服用回数の短縮、もう一つは人狼化に伴う激痛の軽減。強化薬が出来る時間の関係上、1週間程かかる。月曜日に作ったので、土曜日か日曜日に完成している筈だ。

 

鍋を見てみる。おや、どうやら完成しているようだ。早速鑑定するかな。

 

評価・査定せよ(タクショネミート・アステマティオ)。」

 

 鑑定結果が出た。

 

《真脱狼薬β

 真脱狼薬αの進化版。その効果は、人狼の本能を完全無効化するのに加えて、服用回数が1回だけで済む事。満月の日の、どの時間帯でも良いので服用する事。従来の脱狼薬をそれ以前に飲んでいても、問題無く効果が発動する》

 

 第2段階の服用回数の短縮が成功した。次は、変身前の姿を維持する方法に力を入れようじゃないか。な~んだ。とっても簡単じゃないか。これなら、すぐに出来るじゃん。味の改良も含めて。

 

 そう思っていた。だが、この次こそが真脱狼薬シリーズの最大の難関であり、正念場である事は、その時の俺は知る由も無かったのだ。

 

 成果が出たので、今日の所はこの辺で。ニンバス2000を失った今、手元に残っているのはレッドスパークだけ。コイツを完全に手懐けなければ。次のレイブンクローとの試合で勝てなくなる。ハッフルパフに負けて、対抗杯から遠ざかっているとはいえだ。例によって、ハッフルパフのクアッフル戦法に負けている。それだけならば、完全にあの寮が1番だからな。油断は出来ない。来年以降のキーパー候補を見つけないとダメだってのをオリバーに言わないとな。

 

 雨の中での練習を終えた後、エリナと校庭で出会う。もう大丈夫なようだ。良かった良かった。来週から早速、守護霊の呪文の練習を始めるらしい。

 

「どう?動物もどき(アニメーガス)は。」

 

「うん。時々、散歩しに行ってるよ。その状態だと、吸魂鬼の影響は少ないんだ。マクゴナガル先生に感謝しなきゃ。」

 

「そっか。ちゃんと動物もどき(アニメーガス)を習得出来た褒美だ。守護霊の呪文のスペルだけ教えておくよ。『守護霊よ来たれ(エクスペクト・パトローナム)』だ。」

 

守護霊よ来たれ(エクスペクト・パトローナム)、だね。」

 

「おまじないみたいに言えば、少しは習得しやすくなるぜ。後、日本での出来事を思い出しながら唱えればいいと思う。」

 

「オーケー。」

 

「習得、早く出来ると良いな。ルーピン先生の特別授業、幸運を祈るぜ。」

 

 その後、クィディッチの練習に授業、2年生3人との特訓、魔法薬の新作と時間を掛けていく内に、もう学期末となった。その週末には、ホグズミードに行ける許可が出たのだ。全員が喜んだのは言うまでもない。

 

「クリスマス・ショッピングが全部あそこで済ませられるわ!」

 

 ハー子が、歓喜の声を上げている。実は、ゼロやグラントと一緒に行動する事になっている。あいつらと約束したんだよな。エリナは、スーザンとハンナ、シエル、ルインと一緒に服を見に行くそうだ。まったりしている時に、フレッドとジョージ、リー・ジョーダンが何やらコソコソやっている。ゾンコの店にでも行くつもりだろうか?

 

 そして、週末。俺は、ゼロやグラントと合流した。ダービッシュ・アンド・バングズという店に入った。そこは、魔法の機械などを扱っている。

 

「ウィーズリーさんの車を思い出すぜ。」グラントが言った。

 

「特殊過ぎる例を出すな。」ゼロがツッコんだ。

 

「これで、魔法のロボットでも作る夢を持ってみようかね?」俺が呟く。

 

 思い出やロマンを3人で語った後は、「3本の箒」という店に入った。バタービールを頼んで談笑していた。すると、ロンとハー子、別方向からエリナもやってきた。ハニーデュークスで大量の菓子を買い込んだらしい。

 

「じゃ、今学期はお疲れさまって事で……乾杯!」グラントが言う。

 

「「「「「乾杯!」」」」」俺、ロン、ハー子、ゼロ、エリナで一斉に叫んだ。

 

 お互いに乾杯し合って、バタービールをゴクゴクと飲み干す。良い気分になったぜ。20分ほど雑談していると、さらに4人入って来た。マクゴナガル先生にハグリッド、非常に小柄な老人、そして一度ハグリッドの小屋で見た事のある男だった。

 

「誰だっけ?」

 

「山高帽の方は魔法省大臣だ。もう1人は確か、レイブンクローの寮監及び呪文学の前任者、フィリウス・フリットウィック教授じゃなかったか?」

 

 その疑問に答えてくれたのは、ゼロだった。

 

 その4人は、俺達6人のいるテーブルの隣に座った。マダム・ロスメルタも加わった。飲み会みたいな事を始めた。

 

 俺は、フレッドとジョージから仕入れた伸び耳で話を聞く。まず、シリウスの話になった。この近くにいると大臣は言い張っているが、実はもうブライトン、つまりロイヤル・レインボー財団本部にいるわけだ。予めそれを教えていたエリナと密かに顔を合わせて、ニッと笑い合った。

 

 だが、状況はそこから一変する。シリウスの最大の悪行は、12人のマグルと1人の魔法使いを殺した以上の事だ、とファッジが言い始めたのだ。

 

「ブラックの学生時代を覚えていますか?ロスメルタ。」

 

 マクゴナガル先生が呟く様に言った。

 

「ジェームズ・ポッター。いつでも一緒で、まるで影と形、あるいは兄弟のようでしたわ。」

 

 ロン、ハー子、ゼロ、グラントが息を飲み、俺とエリナを見つめる。俺は無表情を貫き、エリナは複雑そうな顔をしていた。

 

 2人はイタズラの首謀者で、時々ルーピン先生やペティグリュー、アルフレッドさんも加わっていたそうだ。フレッドとジョージと良い勝負だとのこと。いや、対決どころか逆に同調しそうな気がする。

 

「ハリー・ポッターの方は、双子と違ってイタズラはしてません。しかし、何かしらの形で双子の協力者になっているようです。証拠は一切掴めておりませんが。」

 

「ポッター君もやはりその血を受け継いでいるという事でしょうな。引退の時期を1年遅くしておくべきだったでしょうか。彼やエリナ・ポッターさん、ゼロ・フィールド君も教えてみたかったですね。」

 

 フリットウィック教授の甲高い声が聞こえる。その後も話は続く。忠誠の術による秘密の守人システム、それをヴォルデモートにバラした後に大量殺人事件までの経緯が。

 

 事実を知る俺からすれば、滑稽以外の何物でもない。それと同時に、碌に捜査もしないで無実の人間を裁いた魔法省には不信感を持った。余談だが、マクゴナガル先生とハグリッドはかなり懐疑的な表情で聞いていた。

 

 エリナが今すぐにでも飛び出そうとする。俺は、袖を引っ張って行かないようにさせた。

 

「間違った事ばっかり言ってるから、本当の事を言おうとしただけなのに!」

 

 エリナは、小声だがハッキリと言った。

 

「バカ。今言ったって、頭がおかしくなったって言われて終わりに決まっているだろうが!クリスマスにシリウスの無実を証明の実行をするから、今は我慢しろ!」

 

 何とか思い留まってくれた。落ち着きを取り戻した後は、無謀な事をしようとした事に対して反省している。

 

「ごめん。ちょっと頭に血が上り過ぎちゃった。」

 

「寧ろあれで感情を抑えろっていう方が難しい。俺もあの胸糞悪い話を聞いて、八つ当たりをしそうな位だったよ。エリナ、俺の怒りを代弁しようとしてくれてありがとうな。」

 

 ギクシャクなりかけたが、すぐに関係を修復出来た。既にシリウスの話は終わったらしく、次の話題に走ろうとした。が、4人の視線が痛い。どういう事だ、説明しろって目で言ってやがる。

 

「城に戻ったらゆっくり話してやる。今はリスクが高い。」

 

「いいぜ。その代わり、ちゃんと話せよな。」グラントが言った。

 

 話を盗み聞きする。今度は、フィールド先生の話だ。フリットウィック教授は、彼こそメイナード・ポッター以来、10年に1人の逸材だと誇らしげに語った。

 

「正直、彼には闇払いの仕事を続けて欲しかったのだよ。彼のお陰で、魔法界の治安が良くなったのだからね。」

 

 ファッジすらそんな事を言っていた。

 

「学生時代の彼は、エイダ・ローガーとトップを競っていた間柄でしたな。あの2人は、良きライバル同士でした。エイダの方は、友情以上の感情を秘めているようですがね。」

 

「彼女の実家は、確かハリーを保護しているロイヤル・レインボー財団だった筈です。」

 

 フリットウィック教授が、学生時代の2人の事を思い出しながら言っていると、マクゴナガル先生が少しだけエイダ義姉さんの素性を明かした。

 

「エイダはどこに行っとるんですか?」ハグリッドが聞いた。

 

「マホウトコロです。日本にあります。この国の、ホグワーツに相当する魔法学校です。ハリーも、11歳までの4年間はあの学校に通っていました。」

 

「ハリーは、日本に行ってたのかね?ダンブルドアの目の届かない所で育ったのは、かえって危険ではないのかね?」

 

「コーネリウス。彼の保護者は、ダンブルドアを除いて例のあの人が一切敵う事の無かった数少ない魔法使いの1人、アラン・ローガーなんです。彼に保護されたのは、本当に幸運でした。まあ、ダンブルドアにはあまり良い感情を持っていませんので、ハリーも中立的且つダンブルドアに必ずしも従わない性格となりましたね。」

 

 ご丁寧にマクゴナガル先生が、他の4人にそう解説したのだ。

 

「というよりも、今の3年生は個性的過ぎる生徒が多いですわね。先生方も大変じゃないですか?」

 

 マダム・ロスメルタが囁く様に言う。

 

「ええ。そうですね。生き残った兄妹に、戦闘一族の末裔、元ギャングの見習い、マグル出身の優等生、聖28一族が沢山、その他を上げるとキリがないですね。それでも試験の平均点が、他の学年よりも高いです。それに、どれか1つの分野が上級生どころか並の魔法使いを上回っている生徒が少なからずいるのも事実ではあります。特に、ポッター兄妹とロングボトム、弟のフィールドがですよ。」

 

 マクゴナガル先生は、苦労したような表情になりながらも、どこか嬉しそうにしていた。

 

「話が変わるのですが、ミネルバ。教師としてのフォルテ・フィールド君はどうでしょうか?」

 

 フリットウィックさんが、マクゴナガル先生にそう聞いて来た。

 

「とんでもなく優秀です。3年目ですが、生徒や他の教員からの人望も厚いですよ。フィリウス。ただ、セブルスやミス・パーキンソン、闇の陣営とのかかわりがある家の子には、結構冷たいですけどね。いいえ、アレは冷たいを通り越して完全憎悪の感情で見ています。」

 

 マクゴナガル先生が溜息をつきたそうにしながら言った。そう言った者達への態度さえ改める事が出来たら、もう何も言う事は無いのに、という表情をしている。

 

「彼は学生時代、セブルスに減点された事は一切ありませんが、露骨なスリザリン贔屓をするセブルスは快く思ってないと私にしょっちゅう言ってましたからなあ。そして、フィールド家滅亡の原因にパーキンソン家が直接関わっているのも事実でしょうな。」

 

「フィリウス。何故フィールド家の滅亡の話にパーキンソン家が絡んでくるのかね。」

 

「闇の陣営からの内通者が、フィールド家に嫁ぐという形で紛れ込んでおりましてな。その者の名前は、エリザベート・パーキンソン。アルバート・フィールドの最初の妻で、フォルテ・フィールドの実の母であります。」

 

 ガタッと音がした。ゼロが動揺している。

 

「1970年代。ちょうど例のあの人が活動を始めた時期です。その時は、抵抗勢力全てを合わせた状態での100倍の勢力を誇っていました。」

 

「ちょっと待ってくれないか。20倍なら分かるが、100倍は聞いた事が無いぞ。」

 

 ファッジがフリットウィックさんにそう言う。

 

「これはあまり知られていませんかななぁ。それと前後して、20倍までに減らされたのです。」

 

「ヨーロッパの魔法族の中でも、最強と謳われた戦闘一族、フィールド家。自然物を操り、実力者の中には身体そのものを自然物に変える事が出来ます。無様に死ぬくらいなら、そして死んだ様に生きる位なら、敵を道連れにして自分も笑いながら死ぬ選択を取る事も躊躇いません。かつては、その強さを維持する為にある風習を行っていたと聞いています。」

 

 次に口を開いたのは、マクゴナガル先生だ。

 

「どんな風習ですの?」マダム・ロスメルタが恐る恐る聞く。

 

「4人以上の子供を生み、全員成人したタイミングを見計らって、1人になるまで凄惨な殺し合いをさせていたそうです。最強の遺伝子を残す為に、後継者を選定する事も兼ねて。」

 

 なんだと。フィールド家にそんな恐ろしい風習があったなんて知らないぞ。これを聞いた全員が戦慄している。大人もだ。

 

「尤も、19世紀の終わりには廃止していたそうです。ルーカス・フィールドより少し前の代で。」

 

「ルーカス・フィールド。確か、例のあの人やゲラート・グリンデルバルドよりも前の闇の魔法使い、ヴァイル・ファウストを自らの命と引き換えに倒したと呼ばれる、夢幻島戦役の英雄ですか?」

 

 マダム・ロスメルタが周囲にそう聞いて来た。

 

「はい、そうです。ゼロやフォルテは、彼の直系の子孫ですよ。ちなみにですが、ゼロのミドルネームは彼から取られているのです。話を戻しましょう。そのルーカス・フィールドのお陰もあってか、1960年代には、フィールド家はかなりの人数になったのです。次期当主の座はアルバートに決まり、彼の時はエリザベート・パーキンソンを迎え入れた。ですが、彼女は闇と通じていました。例のあの人の傘下に引き入れる為に、ひたすら情報を流したのです。」

 

 全員がマクゴナガル先生の話をじっくりと聞いている。

 

「やがて、秘密の守人となったパーキンソンはすぐに闇の陣営に伝えました。例のあの人は、フィールド家相手に一筋縄ではいかないと思ったのか、殆どの勢力を総動員して攻撃を仕掛けたのです。もし軍門に下るなら、命だけは保障すると言って。しかし、フィールド家は断固拒否したのです。結果的にフィールド家は、アルバートと1人息子のフォルテを残して滅ぼされました。しかし、その当時の闇の陣営の80%を死滅させたのです。エリザベート・パーキンソンは、行方を眩ませました。」

 

「マクゴナガル先生。それじゃゼロは誰の子ですかい?」

 

 ハグリッドが聞く。その話だと、ゼロはエリザベート・パーキンソンが母親ではないと言っているようなものだからな。

 

「ええ。その事ですが、アルバートの後妻の子です。ギルデロイ・ロックハートの、1番上の姉です。彼女自身はスクイブですが、マグルの世界では大変有名な医者だったそうです。残念ながら、7年前に末期癌で亡くなっています。」

 

 成る程。フィールド兄弟は、異母兄弟だったのか。ゼロを見るが、彼から読み取れる感情は無い。呆然としている。

 

 その後、5人は解散した。ホグズミードから帰った後に、空き教室でシリウスの真実を話した。

 

「そんな奴をベッドに寝かせていたなんて!!」

 

 ロンは、ショックを隠せない様だった。今までペットだったのが人間で、しかも友人である俺達、その両親を、変態ヘビが殺す様に仕向けた極悪人だと知ったから当然だ。

 

「クリスマスに実行する。」

 

 それに、イドゥンとエックスはもう知っていると伝えた。ハー子が何で言わなかったと攻めてきたが、あの2人は親族だから早い段階で知らせる必要があったんだ、と伝えた。それに、下手に言いふらしてペティグリューに聞かれたら、それこそ本末転倒だとも言っておいた。

 

 ゼロは、母親の事はいずれ言うつもりだったが、どのタイミングで言おうか迷った、引き伸ばして済まないと謝ってきた。イヤ、明かしたくないならそれでも良かったんだけどね。死因は乳癌で、闇の陣営の魔の手から逃れて、その後病院に行き、医師から宣告を受けた時にはもう手遅れのレベルだったそうだ。そして、父親はゼロが生まれる1週間前に数十人の死喰い人を道連れにして立ったまま壮絶な最期を遂げたそうだ。

 

 直接的な絡んでいるわけではないが、闇の陣営がしつこくフィールド家を追い詰めなければ、ゼロの母さんは生きていられたかも知れない。そう言った意味では、闇の陣営にも原因はあるってわけだな。

 

 ロンが癌って何って言ってきたので、ハー子が説明してくれた。そこはハー子に感謝だな。グラントは、男泣きをしている。

 

今回も、全員残るそうだ。あ、そう言えばロックマンXの発売日になっているから、ロイヤル・レインボー財団に頼んで買って貰おうかな。

 


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