Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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第13話 遥かなる再会

 俺は今、暴れ柳の中の部屋にいる。そこで、無実の罪でアズカバンに収監されていた脱獄囚、シリウス・ブラックと出会った。

 

「俺がここに来たのは、あなたを保護する為に来たんです。」

 

 取り敢えず、真実を知っている者とロイヤル・レインボー財団が無実の証拠を集めている事、そしてレギュラスの真実を話した。

 

「というわけです。これからイドゥンとエックス、つまりあなたの姪と甥を連れて来ますよ。」

 

 口寄せでナイロックを召喚。イドゥンとエックスを連れてくるように言った。シリウスは俺の話が終わってすぐに、土下座しながら謝罪している。

 

「ハリー。本当に、申し訳に済まなかった!」

 

「ま、過ぎた事だから何も言うつもりはもう無いですけどね。後日エリナとも対面させますんで、そのつもりで。」

 

 その30分後、イドゥンとエックスが来た。

 

「先輩。来ましたよ。」

 

「この方が私達の伯父上ですか。」

 

「そうだよ。つーか、暴れ柳にあるこの部屋までよく辿り着けたね。」

 

「私の力量を以ってすれば、大した事ではありませんわ。」

 

「アリエスに、トーマス!?」シリウスが驚く様に言った。

 

「姉ちゃん。この人何か言ってるよ。」

 

「恐らくですけど、私達の両親と見間違えたのでしょうね。」

 

「3人共。話進めようぜ。」一旦区切りを入れた。

 

 4人で会話した結果について。ここは、ホグズミードの叫びの屋敷だという事が分かった。シリウスは、グリモールド・プレイス12番地で匿う事になった。これに関して、彼は猛反発した。

 

「趣味の悪いものは、全部姉ちゃんが取り除いたよ。だから、イメージしている程悪くない筈だよ。シリウス伯父さん。」

 

「あなたの部屋にありました、如何わしい水着のポスターも含めてですがね。あんなものは、お屋敷の品位を下げるますから。」

 

「そ、そうなのか。永久粘着呪文を掛けておいたんだが。」

 

「簡単に解除出来ましたよ。」サラッと言ったイドゥン。

 

「あと伯父さん。クリーチャーへの態度を改めて欲しいんだ。」エックスが言った。

 

「それが出来なければ、本当に吸魂鬼に引き渡しますよ。」

 

 イドゥンが続け様に脅した。

 

「わ、分かった。誓おう。」

 

イドゥンがクリーチャーを呼んだ。すると、パチンという音がした。それと同時に『姿現し』してきた。

 

「お呼びでしょうか?お嬢様。」

 

「伯父上を見つけましたよ。尤も、見つけたのはそこにいるハリーですけど。」

 

 俺は、クリーチャーに軽く会釈する。クリーチャーは、俺にお辞儀をしてきた。そして、シリウスの方に向き直った。

 

「旦那様。17年ぶりになりますか。こうして対面するのは。」

 

 シリウスが苦い顔をする。が、エックスは言うべき事を言ってくださいよ、とシリウスに告げた。

 

「クリーチャー。俺は、あの家の家風が正直嫌いだった。だから、それを思い起こさせるお前を無視したんだ。レギュラスの事も、勝手に死喰い人に入った愚か者だと認識していた。だが、俺を含めて家族を守ろうとヴォルデモートに反逆したあいつの生き様を聞いた。そして、そこにいるイドゥンやエックスがブラック家を変えようと奮闘している事を聞いた。もっとお前と向き合って話し合っていれば、レギュラスやアリエスも悲惨な末路を歩まなくて済んだんじゃないかと思っている。今更、お前に許して貰おうとは思っていない。これからは、弟と妹が出来なかった事を引き継いでいきたいんだ。だから頼む。この俺に、もう1度チャンスをくれ。」

 

 クリーチャーに頭を下げたシリウス。当のクリーチャーはというと、シリウスの謝罪の言葉を聞いて驚愕した表情になっていた。だが、すぐに気を取り直して答えたのだ。

 

「旦那様。頭をお上げください。クリーチャーには、勿体無い言葉でございます。クリーチャーはどんな形であれ、旦那様に……」

 

「謝罪は素直に受け取った方が良いよ。」エックスがクリーチャーを優しく諭した。

 

 そうして、シリウスとクリーチャーの和解が成立した。この後、詳しく話を聞く事にした。やはりスキャバーズが裏切り者のペティグリューである事が分かった。ナイロックの言ってた事が当たってたとはな。あいつに謝罪と褒美をやらなくては。それをどう知ったかは、ファッジから貰った新聞からだというのも分かったのだ。

 

「ロンのネズミか。さっさと回収しとかなきゃな。」

 

「ハリー。お願いしますよ。あなたほどの適任者はいませんからね。」

 

「了解。」

 

 今の所、真実を知っているのは俺にエリナ、イドゥン、エックス、ロイヤル・レインボー財団、メリンダ、ルーピン先生だけだ。その事を話す。

 

「リーマスとメリンダもなのか。あいつらには、色々と悪い事をしてしまったな。」

 

「多少怒るかも知れませんけど、それ以上に再会できた嬉しさでいっぱいになるのでは?」

 

「後、ダンブルドア校長も知ってると思いますよ。先輩。」

 

「父様が死ぬ前日に聞いたって言ってたからな。恐らく知ってるだろう。」

 

 今後の方針を決めた。ロンのネズミを捕まえる。それは、ロイヤル・レインボー財団にすぐさま報告する。しばらくグリモールド・プレイス12番地にいさせて、手配した場所に保護するのだ。そして、クリスマスに校長に言おう。

 

「こんな感じでどうかな?」

 

「先輩、そうしましょう。」

 

「決まりですね。クリーチャー。伯父上を屋敷に連れて行きなさい。最初に風呂にぶち込んで、その後に食事をさせるのです。」

 

「了解しました。」

 

 クリーチャーは、イドゥンの命を受けて、お辞儀した。シリウスは、タイミングを見計らった様にこう言い出した。

 

「3人に言っておくよ。俺の事は、シリウスと呼んで良い。敬語じゃなくて、普通のくだけた感じで大丈夫だ。」

 

「了解。」

 

「分かりました。シリウス。」

 

「シリウス伯父さん。もう少しの辛抱なんで、大人しくしてて下さいね。」

 

 俺、イドゥン、エックスの順番で返事をした。シリウスは、クリーチャーに掴まって、姿くらましで消えた。

 

「行きましたわね。」

 

「ああ。それに、門限だから帰ろう。」

 

 俺達3人は、暴れ柳の部屋から脱出した。それぞれの部屋に戻った。俺に部屋に戻った直後、呪文を唱えた。

 

来い(アクシオ)!スキャバーズ!」

 

 年老いたネズミが来た。左手で捕まえた。それを特殊強化ガラスと魔封石で出来た空き瓶に入れた。物質が物質なので、グローブをはめて行った。魔法で割れない様にした。これは保険だ。ネズミを呼吸出来るようにはした。この空き瓶を口寄せ契約した。来たるべき時まで、逃さない様にするんだ。代わりに、そこら辺のドブネズミをスキャバーズに見せかけておいた。

 

 その翌日、俺は授業を終えた後に必要の部屋に向かった。

 

『魔法薬を作れる場所。魔法薬を作れる場所。魔法薬を作れる場所。』

 

 必要の部屋が開いた。魔法薬に関する書物や材料が勢揃いしている部屋となった。さてと、新型の脱狼薬でも作るか。名付けて『真脱狼薬』。脱狼薬は、1週間服用する事が大事なのだ。1回でも飲み損ねると、効果が無い。だから、それを含めた欠点を取り除いた薬を作るんだ。

 

 2つの鍋を用意する。1つは脱狼薬用に。もう1つは、俺が少し前に開発した新薬用だ。

 

 ホットドリンクの材料にも使った苦虫、それにハチミツ、レムの薬草をタイミング良く調合する。必要の部屋にあった『調合の薦め』という本を、全5巻読みながら魔法薬を作ったのだ。

 

 30分後、ようやく完成させた。

 

「試してみるか。評価・査定せよ(タクショネミート・アステマティオ)。」

 

 完成した魔法薬を調べる。

 

《増強薬

 単体での効果は無いが、組み合わせる事で素材及び薬品の持つ力を元の性能以上に発揮させる》

 

 出来た。まずは第1段階クリアだ。これと脱狼薬を組み合わせてみるか。更に1時間程で、脱狼薬が出来た。増強薬と混ぜ合わせる。

 

 試行錯誤した結果、脱狼薬80%、増強薬20%の比率で調合すると、脱狼薬の効果が増幅する事が判明した。『真脱狼薬』シリーズの記念すべき1作目だ。これを俺は、真脱狼薬αと名付けた。

 

評価・査定せよ(タクショネミート・アステマティオ)。」

 

《真脱狼薬α

 従来の脱狼薬の効果を増幅した薬。具体的には、人狼の本能を抑制するのでは無く、完全無効化する》

 

 抑制から無効化に昇華は出来た。次は、服用回数の大幅短縮だ。これに関しては、また後日やろう。もう夕食の時間になったからだ。

 

 数日後。この日は金曜日。授業終了後に校庭にいた。エックスも一緒だ。しばらくして、呪文学から帰って来たエリナとイドゥン。エリナは全快になっていた。ルーピン先生に推薦状を渡したら、12月から始めようって事になった。

 

 クリーチャーを呼び、俺達4人は付き添い姿くらましでグリモールド・プレイス12番地へ向かった。ここで、エリナと顔合わせさせた。エリナとシリウスは、すぐに仲良くなった。

 

「リーマスに、メリンダもいるのか。あの2人にも迷惑を掛けたな。」

 

「メリンダさんって、どんな人だった?」

 

「アルフレッドの同期だよ。視力は良い方なのに、度の入っていないメガネを着用していたんだ。鷹の動物もどき(アニメーガス)で、守護霊もそうだった。鳥の目って意味で、『アンク』って二つ名を付けたんだ。俺が7年生の時からアズカバンに捕まるまで、彼女と付き合っていた事があるんだよ。」

 

「へえ。」

 

 今後の方針についての話題に変わった。そして、父方の伯父、メイナード・ポッターについても聞いた。

 

「え?パパにお兄さんがいたの!?」エリナは、大変驚いてた。

 

「そして、私のゴッド・ファーザーでもあります。」イドゥンが続けた。

 

「そう言えば話してなかったな。メイナードはレイブンクロー所属でね。俺よりも5学年上だった。秩序を正すのが、彼の仕事みたいなものだったよ。俺とジェームズが主だったけど、悪戯がバレる度にオシオキされてたんだ。それに、マグル生まれ狩りをしていた同期のルシウスをいつも屈服させていたよ。こう言っていたんだ。『ルシウス。お前のいかなる魔法も、俺のこの眼の前では意味を為さない』ってね。でも、仲間意識は高かった。最期は、俺達4人を庇ってくれた。」

 

「成る程ね~」少しだけ、そのメイナードって人の人となりが分かったな。

 

 その後も、何の変哲も無い話をした。しかしそこで、とんでもない事実が発覚した。

 

「え?俺の後見人を担当してるのって、ルーピン先生だったの?」

 

「何だ、リーマスの奴。まだ君に言って無かったのか。ハリーとエリナが生まれて1週間後に、リーマスと俺が呼ばれてね。ジェームズとリリーに、それぞれの後見人をやって欲しいって頼まれたんだよ。」

 

「ふ~ん。だったら、秘密の守人もルーピン先生に交代すれば良かったんじゃないの?」

 

「誰もピーターが守人を務めていようとは思ってないから、上手くいくと思ったんだ。言い訳はしない。もっとリーマス以外の周りの仲間にも、話し合いさえしていれば……」

 

「シリウス。そこに関しては、ハリーとエリナはもう何も言いませんよ。ですが、何が何でも守り抜いてください。それ以上に、2人を悲しませない様に生きてください。それがあなたに出来る最大の償いですよ。」

 

 落ち込むシリウス。それを、イドゥンが俺達の心情を代弁してくれた。そしてちゃっかりと、自分の意見もちゃんと言ったのだ。

 

 城の入り口までクリーチャーに送って貰い、大広間に向かった。それぞれの席に向かい、夕食を食べた。そして、談話室に戻る。

 

 疲れた。明日は、真脱狼薬を作るか。あれはまだ、人狼の本能の無力化だけしか出来ていないし。あれじゃ、従来の脱狼薬と変わらん。何か、アッと言わせなければ意味が無いのだから。

 


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