「よし、ここまで来れば問題ない、か」
ノイズ共を殲滅…まあ社長風に言うと絶版にしたあと、ポーズを使い逃げた訳だが、ここで一つの問題を発見、というか改めて認識した。
「戸籍も身分証明するものも何もないから働けない…どうするかなぁ」
そう、金が尽きた時に働き口がまるで見当たらないのである。住所も電話番号も何もないからほぼ働けるような場所がないという圧倒的絶望…最悪、本当に最悪の場合だが、クロノスの力を悪用するはめになる。そんなことはしたくないが、生きるためにするかもしれない、ってだけだが
「当分は大丈夫だが、その当分の間に働ける場所、見つけなきゃだな」
…とりあえず腹ごしらえでもするか。できれば美味そうな店で、多く食える場所がいいな。
「さて、探しますかね、今日の晩御飯!」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
と、いうことで見つけた店、お好み焼き屋の<ふらわー>についた。
なんか頭にひっかかるものがあるけど、まあ気にしなくていいか。
「さーて、食いますかね! おばちゃん! オススメの一つ頂戴!」
「はいよ! まあオススメって言っても普通のだけどね!」
「ははっ! それでもいいよ! この店はそれが一番美味そうだ!」
「わかったよ! ちょっと待ちなね!」
「はい、お待たせ! オススメの一品だよ!」
「うっし、ありがとおばちゃん! あ、焼くのは自分でできるから気にしなくていいよ!」
「はいはい、気をつけてやりなよ! 失敗したらもったいないからね!」
「わかってるって!」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「さて、焼きますかね…」
お好み焼きの素に、具材をいれ、鉄板の上に綺麗な円形の形になるよう広げていく。
香ばしい匂いで、腹の虫がなる。早く食いたい…っ!
ある程度の時間が経ったら、ヘラをお好み焼きの下に差し込み、鉄板に張り付いている部分を少しずつ剥がし、丁寧にひっくり返す。この一瞬が大事…!
「よっしゃ成功! これは美味そうだな!」
うまくひっくり返す事に成功。そのまま焼けるまで少々の時間がある。
そのうちにソースや皿、青海苔とマヨネーズを準備。焼き終えたらすぐさま食うためだ。
「…そろそろ焼けたかな? よし、火止めるか!」
火を止め、ヘラを使いお好み焼きを六分割する。そして一切れを皿に乗せ、ソースをかけ、マヨネーズ、青海苔をトッピングして食べる。
「あっち! 水水!」
いきなり食うのは迂闊だった。美味そうな匂いに惑わされ危うくやけどするところだった。
おのれお好み焼きィ…(見当違いな怒り)
「ふー、ふー ある程度冷ましてからじゃなきゃ猫舌の俺には無理だったのを忘れてたぜ…」
息を吹きかけ、冷ます。そして口に運ぶ。
「はふっあむ、ぅん、美味い!」
美味い。口に掻き込む。あっという間に完食。腹も満たされた。
「くうー、美味いな! 今度もここ来るか! おばちゃん、会計お願い!」
「はいよ、合計782円だよ。」
「782円ちょうどで払うよ!」
「はい、レシートはいるかい?」
「いや、大丈夫!ありがとおばちゃん!」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
と、昔の俺は転移した直後にこうしたことをしていた訳だ。
え?二年たってどこで働いてるかって?そりゃもちろん…
「時雨君! 会計お願い!」
「はい! わかりましたおばちゃん!」
ご覧の通りふらわーである。
あるとき残金がなくなり、ずぶ濡れで歩いていた時におばちゃんに声をかけられ、働くこととなったのだ。
もうその時はみっともなく泣いたものだ。その時に事情…まあ少ししか話していないが、見知らぬ土地に訳もわからず来てしまった、という感じで話し、働かせてもらっている訳だ。
そして…
「はい、合計1750円となります!」
「はい! 2000円からお願いします! 時雨さん!」
「はいよ、お釣りの250円! レシートはいるかい?」
この店で働くことになったがためにすこしの関わりを持った子が二人いる。
「大丈夫ですっ! いこ、未来!」
「もう! 響は落ち着きがないよ! 時雨さん、ありがとうございました!」
そう、立花響と小日向未来である。二人ともいい子で、見ていてとても和む二人だ。
「じゃあまた来ますっ! ありがとおばちゃん、時雨さん!」
「はいよー、気をつけて帰りなよ!」
「時雨君、もう店閉めるから上がっていいよ!」
「ありがとうございます、お疲れ様でした!」
住居はおばちゃんの知り合いに頼んで一部屋貸してもらっている。戸籍の関係上、俺が借りることは難しいからな…ほんとおばちゃんには感謝してもしきれないぜ…
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「さて、明日はツヴァイウィングの新曲発売だな」
これは原作と違い、あの時のライブで天羽奏が生存したことによる原作ブレイクである。
それでも半年前までは天羽奏は休止、風鳴翼はソロで歌手活動を続けていたわけだが、それを
天羽奏は唐突にツヴァイウィング復帰宣言を発表、世の中は一時期ツヴァイウィング復活の一報で賑わった。
ちなみにだが、俺はツヴァイウィングのファンだ。といっても響ちゃんほど熱狂的的、というわけではない。グッズは買わないがCDは買う、ぐらいだからな。
それと一つ、悩みがある。この二年で俺は、原作の記憶がますます薄れてきた、ってことだ。
現状はっきり覚えているのは、フィーネの正体、響ちゃんのガングニール起動、そして雪音クリスに対して、風鳴翼が絶唱顔を披露する、ということだけだ。
それ以外はうっすらとしか覚えていない。一期を見たのは何年も前だったからな。
現在の俺の年齢は19歳である。これは天羽奏と同年齢ということである。(どうでもいい)
今現在悩みがあるといえば、明日が響ちゃんのガングニール起動の日、かもしれないということだ。風鳴翼がソロでCD発売をしていないため、確証を持てない、というところだ。
「まあ、明日だろうが何だろうが何とかして見せるさ…」
そしてこの二年でも勿論クロノスに変身する機会はあった。その度ツヴァイウィングの二人に遭遇するわけだが、もちろん接触される前にポーズで逃げている。まあ、どこでボロが出るかわからないし仕方ないよネ!
「と、いうことで寝ますか。することもない訳だし。」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「なんて、思ってた訳ですが!」
「何言ってるんですか時雨さん! 早く逃げなきゃ!」
「わかってるよ! でも、このままだと全員死ぬ、俺が囮になるから、響ちゃんはその子連れて逃げて!」
「何言ってるんですか! そんなことできるわけないじゃないですか!」
「いいからさっさと逃げる! 死にたいのか!?」
「っ…! わかりました! でも絶対に生きて帰ってきてくださいね! もし帰ってこなかったらおばちゃんも未来も私も悲しいんですからっ!!」
「へ、わかってるっての!じゃあ、無事に逃げろよ!」
「はい! 時雨さんも、無事に!」
「りょーかい!」
現在、ノイズから逃げています。やっぱり今日が響ちゃんのガングニール起動の日だったようだ。昨日考えていたことがマジになるとはネ!
とりあえず、響ちゃんから離れて変身するかな、こんなこともあろうかとガシャットとバグヴァイザーツヴァイは常備してるんだからな!
<ガッチャーン…>
ガシャットを起動。
<仮面ライダークロニクル…>
ドライバーのAボタンをタッチ。待機音が鳴りはじめる。
<ガシャット…>
ドライバー左上部のボタンを押す。
<バグルアップ…>
<天を掴めライダー! 刻めクロニクル! 今こそ時は、極まれりぃ!!>
「さて、ちゃっちゃと片付けるか!」
<ガッチャーン…>
ガンモードに移行、振り向きざまに撃ち放つ。着弾。ノイズの三分の一を殲滅。
「数が多いんだよ…くっ、さっさと響ちゃんのとこ行かなきゃならないんだよ! だから、邪魔すんな!」
<ポーズ…>
Bボタンを押す。
<キメ技…>
即座にAボタンを押す。
<クリティカルジャジメント…>
弾はノイズの手前で止まる。ポーズを解けばすぐさまノイズは殲滅できるようにする。
「響ちゃんは向こうに行っていたはず、急がなきゃ!」
響ちゃんの向かった方に走りながらボタンを押し込む。
<リスタート…>
爆発音。今のでさっきのノイズはやれたはず。
「待ってろ響ちゃん! 今行く!」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「こっちだよ!」
女の子の手を引きながら走る。時雨さんが囮になってくれている間にシェルターに行かなくちゃ!
「あうっ!」
手を引いていた女の子が転ぶ。
「大丈夫!? まだ走れる?」
「うぅ、痛いよ、おねぇちゃん…」
「っ、おねぇちゃんに任せて!」
手を引いていた女の子を背負う。これしか逃げる方法はない
「大丈夫、へいきへっちゃっら!」
しばらく走る。すると
「っ、ノイズ!?」
ビルの壁からノイズが出てくる。
「ひぃ! …ひっぐ、ぐす、おねぇちゃん…私たち、ここで死んじゃう、の?」
女の子がそう聞いてくる。声が震え、目には涙が浮かんでいる。
「大丈夫、大丈夫だから! 生きるのを諦めちゃだめ!」
(守りたい、この子を、どうにかして!)
考える。どうにかする方法。そして、その少しの思考のあと、胸に歌が浮かんできた。
(な、なんでこの状況で歌が、浮かぶの? この歌を歌えば、いいの?)
口ずさむ。胸の歌。
<Balwisyall Nescell gungnir tron>
暖かく、力強い、歌。
次の瞬間、体に痛みが走る。
「がっ、ぐうっ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
しばらく痛みが続く。なぜかはわからないけど、近くにいたノイズが消えていく。
そして痛みが引いたときには、変なものを纏っていた。
「な、なにこれぇぇぇ!!?」
思わず叫ぶ。そして女の子が言う。
「おねぇちゃん、かっこいい…!」
「へ? そ、そうかな? って、そんなことよりも!」
近くにいたノイズが消えたと言っても、周りにはまだノイズは残っている。
「君! しっかり掴まってて! 逃げるよ!」
「うん!」
しっかりと掴まってくれたのを確認して、跳ぶ。
ところが
「うっひぁぁぁ!?こんなに跳ぶなんてきいてないよぉぉぉぉ!?」
「きゃぁぁああ!」
着地、しかし痛みはない結構な高さだったのに…なんで?
と、思っていた、その時
[それはシンフォギアという、ノイズを倒すために存在しているものだよ、ひbんっ、少女よ]
「え? ノイズを倒、す?」
その声が聞こえた方に視線を向ける。そこにいたのは
全身が黒く、所々が緑、そしてローブは内側が赤い、頭は王冠のようなものになっている、
仮面の戦士だった。
関係ないですけど4DXのパイレーツオブカリビアン見てきました。やばかったです
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