Fate/curious tale 緑の勇者と白い魔王   作:天々

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説明回はまだまだ続く……



二話 聖杯戦争

「じゃあそろそろ話し合いを始めようか」

 

 お菓子、結局一人につき二つあった、を食べ終えた後、正裕が話を再開すべく切りだした。

 

「は、はい」

 

 その言葉を受けて美奈はびしっと居住まいを正す。

 

「さて、魔術師については終わったから聖杯戦争についてだな。聖杯戦争っていうのは聖杯という万能の願望機、つまり願いを叶える杯を奪い合う為の魔術師による戦いだ」

 

 つらつらと聖杯戦争について語り始める正裕。

 

「この聖杯戦争は普通の魔術師の戦いとは大きく違うところがある。それがサーヴァント、かつて英雄と呼ばれた者達の写し身を使い魔として使役し戦わせることだ。君の後ろにいるアーチャーやこのキャスター、そしてさっき遭遇した…変態みたいな奴や闇討ちしようとしてた奴もそうだな。このサーヴァントを従えている魔術師をマスターと呼ぶ」

 

「あ、その辺りはアーチャーさんからも聞きました」

 

 話の腰を折る美奈であった。

 

「一応、一通り話したほうが話の抜けが無くなるから被るかもしれないけど話させて」

 

「あ、はい」

 

 諭すような正裕の言葉を受け、美奈はコクリと頷いた。

 

「このサーヴァントにはそれぞれクラス、剣士とか魔術師みたいな役割が振り分けられている。これは英雄をそっくりそのままの形で再現するのは難しいからだ。例えば剣も魔法も使える英雄がいても、剣士のクラスだと剣を中心に能力が再現される事になる。魔術師なら魔術を中心に再現されるな」

 

「なるほど」

 

 説明の合間にコクリと頷きながら相槌を打つ美奈。そんな彼女の頭はもはや聖杯戦争の説明で一杯一杯であった。

 

「このクラスっていうのは7つある。剣士のクラス・セイバー、槍使いのクラス・ランサー、遠距離攻撃が得意なクラス・アーチャー、乗り物や幻獣等に騎乗して戦うライダー、魔術師のクラス・キャスター、暗殺者のクラス・アサシン、理性を無くした狂戦士のクラス・バーサーカーこの7つだな」

 

「えーと、セイバー…ランサー…アーチャー…ライダー…キャスター…アサシン…バーサーカーで…7つですね」

 

「そうだな」

 

 説明を受け、指折り数えながら美奈は復唱する。それを肯定すると、正裕は更に話を続けた。

 

「さっき言ったアサシンが怖いのは気配遮断が出来るからだな。マスターじゃサーヴァントには敵わないから、気配を消して暗殺してくるアサシンはマスターにとっては天敵なんだ。サーヴァントはマスターからの魔力供給が無いと存在できないから、サーヴァントはマスターを護る必要がある訳だな」

 

「そうなんですね」

 

「で、マスターを守りつつ敵のサーヴァントを全滅させれば聖杯戦争は勝利と言う訳だ。勝ったマスター、そしてサーヴァントは聖杯を手に入れて願いを叶える事ができるってわけさ」

 

「サーヴァントも?」

 

 ふと、説明の中の一言が気になった美奈はつい疑問を口にした。

 

「当然サーヴァントも願いを叶える為に戦ってる。マスターとサーヴァントなんて名前だけど実際には協力関係と言う事だな。まあそこを主従関係みたいにしてるのが令呪っていうサーヴァントに言う事を聞かせる命令権だな」

 

 そう言って袖をまくり右腕に刻まれた紋様、令呪を見せた。

 

「これが、令呪。君の体にも似たような紋様があるはずだよ。令呪はサーヴァントに対する絶対的な命令権だ。使えば3回まで相手の望まない命令も承諾させる事ができる。例えば自害であってもね。他にもサーヴァントを自分の側に瞬間移動させたり、強化する事もできるから大事に使うといい。ちなみに令呪自体がマスターとしての権利を表す物だから三回使えば敗北する事になる。使うのは2回までで……、三回目を使うのはは相手を殺さないとこちらが殺される時に特攻させるか、サーヴァントがこちらを殺そうとした時に自害させるくらいだろうね」

 

「自害……させる」

 

 令呪について聞いた美奈はそう呟いて、後ろに控えているアーチャーにちらりと目をやった。

 彼がこちらを殺そうとして、それを止めるべく自害させると言うことが美奈には想像できなかった。

 ましてやアーチャーは美奈の命の恩人なのだ、その彼を殺すと言うのは仮定であっても彼女にとって酷であった。

 

「まあ、アーチャーは君の事を大事に考えてるみたいだから自害させるなんて事はなさそうだけどね。と言うか脅かしちゃったけどそうそうサーヴァントを自害させる事は無いみたいだから」

 

 美奈の心中を見透かしてか、正裕は美奈を安心させるように穏やかな笑みを浮かべながら柔らかく声をかける。

 

「…はい」

 

 その気遣いが嬉しくて涙を流しそうになる自分を抑えながら、美奈は小さく呟いた。

 

「えーと、じゃあ次の話に移るよ」

 

「はい!」

 

 頬を掻いて照れくさそうに少し顔を背けつつも目線をこちらに向けてくる正裕に微笑ましさを感じながら、美奈は笑顔を浮かべて力強く返事をした。

 




おかしい……こんなふいんき(何故かry)になる筈では……
次くらいで説明回は終わりそうです。
まあこれ読んでる様な人は知っていることばかりでしょうけど書かないと気が済まない性分なので。

改行増やしてみました。
こっちのほうが読みやすいですかね。

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