IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE イチカ
「――――以上の者たちの入学を歓迎する。
その力、是非プラントのために役立ててくれたまえ」
ディセンベル市に無事についた俺たちは士官学校へ入学するための試験の手続きをして後日、試験を受け無事に入学することができた。
そして今は校内の講堂で教官やらお偉いさん方の長い説明を受けているところだ。
パトリック・ザラ議長やシーゲル・クライン前議長なども毎回出席なされていたそうだが、シーゲル氏は暗殺、パトリック氏は現在ヤキン・ドゥーエにて戦争の指揮を執っておられる。
現在戦況は地球軍とザフト、それとラクス・クライン率いるオーブ軍の三勢力のぶつかり合いになっているそうだ。
そして、地球軍はプラントを破壊するために核ミサイルを再び用いてきたそうだ。
ユニウスセブンの悲劇【血のバレンタイン】の再来と思われたが、そこにオーブ軍が乱入し、ミサイルを阻止した。
オーブ軍には青い翼のモビルスーツがいたそうだ。義父さんと義母さんが死ぬ原因となった機体とシンはそう言っていた。
その戦況の報道が流れたことでプラントでも揺らいでいる人が少なからず存在していた。
プラントの歌姫【ラクス・クライン】。彼女が戦場に敵として現れたことがザフト、プラントにも影響を与えているようだった。
と、俺がこの前見た報道の内容を頭で整理している間に、入学の式典が終っていた。
式典が終わったのち、各科の教官たちが教練の内容が記録された端末を俺たちに渡し終えたことで今日は解散となった。
ひとまず、シンやマユに合流してそこから後の内容を決めようと思う。
「あ、すみません」
講堂を出ていく人が溢れている中で俺は不注意で人とぶつかってしまった。
「あ、いえ、こちらこそ」
相手は女性で長い灰色っぽい髪、顔のそばかすが特徴だった。
その人は俺とぶつかったときに尻もちをついたみたいだったので、俺は手を差し出した。
「立てますか?」
「ありがとう!」
・・・どこかで聞いたことあるような声だな。
「私は【ミーア・キャンベル】っていうの。ミーアでいいわ。あなたは?」
「ああ。俺はイチカ・オリムラ。
さっきはごめんな、俺の不注意で」
「いいのよ。それよりオペレーター科の人がどこにいるかとか知らないかしら?
私もそうなんだけど、誰がどことか分からなくて」
「そうなのか、ちょうど妹もオペレーター志望なんだよ。
よかったら一緒に来るか?」
「いいの!?ありがとう!」
ミーアと共に俺はシンやマユを探しにいった。
少し開けた広場に行くとそこに、シン、マユと他数人がいて話をしていた。
「おーい、シン、マユ!」
「あ、イチカ!
って、その人は?」
と、俺に反応したマユが聞いてきた。
「こっちはミーア・キャンベルさん。
オペレーター科の人探してるって言ってたから連れてきたんだよ」
「そうなんだ。
初めまして、ミーアさん!私、マユ・アスカっていいます!」
「こちらこそ、ミーア・キャンベルよ」
「それで、シン、こっちの人たちは?」
俺はシンの隣にいた人たちの事を聞いた。
「ああ、こいつらは「良いって、自分で話すよ」そうか?」
シンの言葉を遮り、赤いメッシュの男が話し出した。
「ヴィーノ・デュプレ。
メカニック志望だ、よろしくな」
そして、もう一人黒っぽい肌の男も自己紹介してくれた。
「俺はヨウラン。
ヨウラン・ケントだ。よろしくな、色男」
「なんだよ、その色男って!」
「ん?だって、いきなり可愛い子連れて来るなんて相当な奴だと思ってな!」
「そんなんじゃねぇぞ。
向こうもオペレーター志望を探してるって言ってたから案内してただけだし」
「ほらほら、ヨウランやめろって!
悪いな、お前の自己紹介も聞かせてくれよ」
と、ヴィーノがヨウランを止めて俺にそう促した。
「イチカ・オリムラ、志望はパイロットだ。
間違っても色男なんて呼ぶんじゃねぇぞ!」
と釘を刺しておいた。
「ん?シンの家族って言ってたから、てっきりアスカなのだと思ってたけど、違うのか?」
「あ、ああ、俺、ちょっと色々あってな。
シンの家で養子として生活してたんだよ。
家名は違うけど、家族みたいなもんさ」
「そっか。そんじゃあこれから飯でも食べないか?
親睦会って意味も兼ねてさ!」
とヴィーノがそう提案してくれた。
「お!いいねぇ!
せっかくかわいい子もいるんだし行こう行こう!!」
とヨウランも乗り気だった。
「ね!それ私達も参加していい?」
「ん?」
声のする方を見ると赤色のショートヘアの女性と同じ色のツインテールの女性がいた。
「わたしは【ルナマリア・ホーク】、こっちは妹のメイリン。
よろしくね!」
「メ、【メイリン・ホーク】です!よろしく!」
すると、ヨウランが
「ん~!男4女4!ちょうどいい数だなぁ!
よし、行こう行こう!!」
と超テンションが上がっていた。
そしてちょっと多くなったが8人で近くにあるオープンカフェに向かった。
俺はこの後トレーニングをしようと思ってたので軽めに済まそうと思い、サンドイッチとコーヒーにしておいた。
「へぇ、シンもイチカもパイロット志望なんだ。
私と同い年なのに凄いね」
と、俺たちの兵科を聞き、メイリンはそういった。
「別にそんなことも無いんじゃないか?」
「人によっては俺たちよりも低い年でパイロットになろうとしてる人もいるかもしれないしな」
「そうそう。
それにルナマリアもパイロット志望じゃん、俺たちと一つしか変わらないのに似たようなもんだろ?」
と俺とシンはそう返した。
「それもそっか。
ヴィーノとヨウランは?なんでメカニック志望なの?」
「俺は単純に機械が好きだからかな。
特にモビルスーツみたいな大きな機械の整備をしてみたいんだよ」
「俺はなんとなく、かな。
パイロットなんて死地に赴くなんてのは俺には無理だし」
ヴィーノとヨウランもメイリンの質問にそう返した。
「マユとミーアは?やっぱり戦場に出るのは怖いってある?」
「そうかも。
私、オーブに住んでたから戦争に巻き込まれちゃってたんだよね。
その時に、街や施設を平気で焼いてるモビルスーツを間近で見たから、怖いって思っちゃった。
でも、お兄ちゃんやイチカが士官学校に入るって決めてたから私もついて行こうって思ったの」
とマユはそう話した。
それで少し雰囲気が暗くなってしまったが、
「お~よしよし!このヨウランさんが慰めてやるぞ~!」
とマユの肩を抱こうと腕を伸ばすと、
パシッ、グイッ
「痛てててて」
シンがヨウランの腕をつかみ、背中の方へ勢いよく回した。
「あんまりマユに変な真似するなよな」
「分かった、分かったから!
お、折れる!!」
ヨウランが降参のポーズをとると、シンは手を放した。
「うわぁ・・・目に見えるほどのシスコンっぷり・・・」
とルナマリアが少し引いていた。
「な!?別にそんなんじゃないって!」
「うっそだぁ!シン、ちょっと目がマジになってたぞ?」
とヴィーノもからかいだす。
「だ~も~!そんなんじゃないから!!」
とシンがそう言うと、皆笑い、さっきの暗い雰囲気が嘘のようになっていた。
「アハハ。
それじゃあ、ミーアは?」
「私?私はそうね・・・。
兵士の皆に元気を与えたいから、かな?」
「兵士に元気?
それなら別に他の仕事でもいいんじゃないの?」
「ううん、なんか、ね。
もっと間近で声を届けて、元気にできたらなって思って、それでかな。
自分で言うのも恥ずかしいんだけど、私の声って意識して話したらラクス様に似てるのよね」
「え!ホント!?聞きたい聞きたい!!」
と、メイリンが急に乗り気になり、ミーアを急かした。
「え、ええ。・・・コホン。
こんにちは、ラクス・クラインですわ、メイリンさんよろしくお願いしますわ」
「す、すごい!!
本物そっくり!!」
とメイリンは興奮していた。
「ほら、ラクス様ってプラントの歌姫として歌手活動もなさってるから、似てる声の私が近くで励ましたりとかしてたら、皆も元気になるかなって思ったの」
「なるなる!絶対なるよ!!」
メイリンがもう、アイドルオタク並みの勢いを見せていた・・・。
その後もしばらく談笑を続けて、俺たちは自分たちが生活する寮へ向けて帰った。
いかがでしたか。
各キャラが原作ではいつ出会うのかが分からなかったので、オリジナルを含めてこんな感じにしました。
それに、今回ミーアも出ましたが、彼女はこれからどんな道へと進むのか・・・!
次は【彼】も出す予定です!
アンケートの途中経過を同活動報告に載せておきます。