IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
なんか、書いてると筆が乗るって感じがしてスッとかけました
アーモリーワンにて強奪された三機の部隊が黒海先のダーダネルス海峡付近にて確認された。
それにより、俺たちミネルバの部隊は本来の任務であるボギーワンの部隊つまりカオス、ガイア、アビスの追撃に出ることになった。
今回の作戦ではミネルバ隊であるシン、レイ、ルナに加えて、アスラン率いる俺たちザラ隊と今回から補充要員でミネルバに加わる【ハイネ・ヴェステンフルス】の総勢7名のMSパイロットが参加することになった。
些か、赤服のパイロットが偏り過ぎては無いかと思うが、それ以前に一つの部隊にFAITHの称号を持つ士官が三人も集まっていることの方が問題では無いかと思った。
まぁ、それほどまでに敵勢力の規模が大きいということでもあるが…。
「ハイネ・ヴェステンフルスだ。
プラント防衛戦なんかで見かけたと思うがオレンジの機体が俺のだ、よろしく頼むぜ?」
「はい、よろしくお願いします、ハイネ」
俺はハイネに対してそう返す。
今は作戦前に息を合わせるための顔合わせも兼ねての会議を行っていた。
「お~!お前は分かってるじゃないの!イチカ~!
俺はさ?名前で良いって言ってるのにアスランてばずっとヴェステンフルス隊長なんて呼んできてたんだぜ?
少しは俺の気持ちも察してほしいもんだな?」
そう言いながら俺に肩を組んできて、一緒にいたアスランをジト目で見た。
「も、もうそのことはいいだろう!
そ、それよりも、今は解決することがあるって言ってたんじゃないか?ハイネは」
アスランは強引に話を切り上げた。
するとハイネも俺から離れ、シンを見た。
「俺もあの時、あのテラスにいたからお前の話は聞いてたぜ?シン。
確かに、家族を失ったっていうのは辛いわな。
この世の中、相手への憎しみを捨て去れとはさすがに俺は言えんわ。
けど、これだけは言っておくぜ?
忘れろ、捨てろとは言わねぇよ。
でも、割り切れよ、でないとお前、いつか大切なものをまた失うことになるかもしんねぇぞ?」
「ッッ…」
「復讐の気持ちに負けたりすんなよ?
辛いときは吐きだしゃいいんだ。気持ちを吐き出せる仲間が近くにこんだけいるんだ。頼れ頼れ」
そういうとハイネは部屋を出ていった。
「俺からも一つ言わせてくれ、シン。
確かに過去を忘れないのは良いことだ。
けれど、過去ばかりに振り返っていたら今ある大切なものもその手から零れ落ちてしまうかもしれない――ということを覚えておいてくれ」
アスランもハイネを追いかけるように部屋を出た。
「わたしたちも出ていくわね?」
「出撃まであと少しだ、シン。
出れるようにはしておけよ?」
とルナとレイも出ていった。
「お兄ちゃん…」
「シン、ずっと一人で抱え込ませてて悪かったな。
お前がずっとそんなに思ってたのを俺たち知らなくて――家族失格だな、これじゃ」
「俺だって、話そうと思えば話せたんだッ!でも、あの時その光景を見てない二人にそんなことを伝えるのが――思い出させるのが怖かったんだッ!」
シンは涙を流して、俺とマユにそう話した。
「――それは違うよ、お兄ちゃん。
私達、家族じゃん!悩んでたり苦しんでたら助けたいに決まってるじゃん!
気づいてあげられなかったけど、悩んでるって知ってたら私達だって無理にでも話させて気持ちを知ろうとしたもん!」
「そうだぜ、シン。
俺は血のつながってない家族だけど、それでも、悩んでるなら一緒に悩んだり力になってやりたいって思う!
それが家族ってもんじゃないのか?」
俺やマユも自分の気持ち、シンが悩んでいるなら一緒に背負いたいって気持ちを真摯に伝えた。
正直、もっと話してお互いの気持ちをぶちまけるようにしていたかった。
けど、現実は非情でそんなことは許してくれるわけも無かった。
『コンディションレッド発令!パイロットは搭乗機にて待機をお願いします!』
と、メイリンによるアナウンスが艦内に響き渡った。
そろそろ作戦海域に入る頃だとは思っていたけど、早すぎないか?
「シン、マユ、今は戦うことに集中しよう。
時間はたっぷりあるんだ。終わった後にいっぱい話をしよう」
「……ああ!」
「うんッ!」
俺たちはすぐMSデッキへ向かい、自分の機体に乗り込んだ。
俺はメイリンへ状況を確認するために尋ねた。
「メイリン、敵の規模は?」
『それが、さっきまでは地球軍の空母軍だけだったのが、増援でオーブのイージス艦艦隊と空母タケミカズチが合流してます!』
オーブ…!?
――オノゴロでの戦争の時は徹底的に平等を決め込んでいたのに、今は地球軍や大西洋連邦に成り下がったってことなのかよ…!
『オーブ軍のMS多数出撃を確認、並びに地球軍もMSを出してきました!』
『対空迎撃用意!敵を近づけないで!
ルナマリアとレイは甲板で艦の護衛を!
グフは敵の出方によって出撃して。
他のパイロットたちは各自の判断で遊撃及び敵母艦への攻撃を行って!』
と、グラディス艦長の指示を受け、俺たちMS部隊は出撃を開始した。
『シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!』
『アスラン・ザラ、セイバー、発進する!』
『マユ・アスカ、フェイク・フリーダム、発進します!』
「イチカ・オリムラ、フェイク・ジャスティス、発進する!」
俺たちは順次出撃し、ミネルバに敵を近づけさせないように攻撃を開始した。
俺はビームライフルでこちらへ向かってくるオーブ軍のMS【M1アストレイ】並びに【ムラサメ】のコクピット部分を正確に撃ち抜き破壊した。
また、編隊を組んでくる相手には背部のスラスターを破壊することで海面へ落としたり、ビームブーメランで敵の武装を切り落としたりなど、なるべくエネルギーの消費を抑えながら的確に落としていった。
アスランやシンも機体の持ち味である機動力を生かし、敵を翻弄し、背後を突いたりなどをし、次々にオーブ軍、地球軍のMSを落としていった。
SIDE マユ
私は今、かつて自分が育った故郷であるオーブのMS部隊と戦闘を行っています。
頭ではわかっていても、いざオーブの機体を前にすると撃つことを躊躇し、武装やスラスターを破壊し、極力の殺しを避けていた。
フリーダムの機体性能なら火力で力押しで行けば圧倒することはできるけれど、私はフリーダム持ち前の機動力を生かし、武装やメインカメラを的確に破壊していった。
メイリンから通信が来て、タンホイザーを用いて軸線上の敵を一掃するとのことで、私は射程範囲から逃れ、そこからミネルバへ攻撃が行かない様にMSを攻撃していった。
ミネルバのタンホイザーのチャージが完了し、いざ発射しようとしたその時、
どこからともなくビームライフルが撃たれ、ミネルバのタンホイザーが破壊されてしまいました。
「何っ!?」
私は撃ってきた方角を割り出し、そちらへ機体を向けるとそこには、
私の機体と同じ出で立ちをした青い翼の機体がいました。
アレには見覚えがあった。
当然、私の機体の元となったオリジナルのデータなどを議長から見せていただき、知ったのもあったが、何よりつい最近、お兄ちゃんから直接話を聞いたのだから勿論鮮明に覚えている。
「フリーダム?
オ父サン、オ母サンヲ撃ッタ機体――――?」
私の視界、思考が一気に何か赤いもので塗りつぶされたような感じがした。
ここからは色々展開が巻き起こる戦闘回になります