IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
といっても、アニメの内容にあったプラント防衛線の話ですが…。
SIDE イチカ
俺とマユは議長の護衛のためジュール隊のボルテールへと移動し、そのままプラント本国へと入国した。
そのまま俺たち二人は何故か議長の執務室で議長と共にお茶を頂いていた。
「ひとつお聞きします、議長。
何故、私達二人に護衛を任せたのでしょうか?」
俺は議長にそう尋ねた。
「『護衛』というのは仮の目的だよ。
本当のところは別にある。
君たちの機体が完成したという知らせをユニウスセブンへ向かう前に受けてね、それを受け取ってもらおうと思うんだよ」
「私たちの?ですが、我々には既に専用のチューンナップを施したザクがありますが」
と議長の言葉にマユが返した。
「確かにそうだが、君たち二人は優秀な人材だ。無論、シンやレイ、ルナマリアも同様だ。
だからね、新型のテストパイロットとしてデータを取って貰いたいんだよ」
「新型ですか?
でも私たちが聞いていたのはカオス、ガイア、アビス、インパルスそれと地上での試験が間もなく終了する予定のセイバーの五機だったはずです」
「では、これを見てもらおうか」
そうして議長は部屋のスクリーンに電源を入れ、あるファイルを開いて見せた。
「こ、これは…?」
「ファーストステージの…?」
俺たち二人が見たのは、【ZGMF-X10A フリーダム】と【ZGMF-X09A ジャスティス】の二機だった。
「ぎ、議長、何故この二機が!?
これらは確か、ヤキン・ドゥーエ戦でもオーブ軍で運用されていてその後の行方が分からなくなっている機体では?」
マユが議長に驚きながら聞いた。
「ああ、確かに原型となったフリーダム、ジャスティス共に行方は分からない。
更に言うと、この二機はデータを元に再構築した復元機の様なものだ。
当然、核エンジンなんてものは積んではいないし、オリジナルには遥かに劣る。
言うなればこの二機は【フェイク・フリーダム】並びに【フェイク・ジャスティス】といったものだ」
フェイク…偽りってことか。
「劣ると言っても、心配することは無い。
セカンドステージに用いているVPS装甲やデュートリオンビーム送電システムを採用している。
後は、各自で確認してくれると助かる」
「…ですが、議長。
何故、この機体を私たちに?」
「守りたいと思っている君たちに新たなる剣を――
と、言えば聞こえは良いのだが、実を言うと今後起こりうる問題への対策といったものだ」
「起こりうる問題?」
「ユニウスセブン落下での【ジン】の件やアーモリーワンでの強奪など、ザフトへの悪影響は多大なものだ。
更に地球ではブルーコスモスが何やらキナ臭い動きを見せているそうだ」
「ブルーコスモスが?」
ブルーコスモスっていうのは、過激派のナチュラルで構成された派閥のようなもので、俺の世界でいう女性権利団体のようなものだ。
コーディネーターを完全なる害悪とみなし、【青き清浄なる世界の為に】を目的としてコーディネーターの虐殺などを行っている。
「それと、ラクス・クライン嬢の行方も掴めていない」
「え?ラクス様って今もプラントで活動されてますよね?
この前も私、ニュースで見ましたけど…?」
と、マユが尋ねた。
そういえば、今度、地球のザフト軍ディオキア基地でライブを行うってニュースでやってたな…
「そうか、ちょうどいい。
彼女の知り合いだったな、君たちは。
…私だ、執務室に来てくれるか?」
議長は一本、内線を入れた。
俺たちの知り合い?ラクス様のことだったら、そりゃあ、メディアで見てるから当然知ってるけど、そんなの一方的に知っているだけだ。
少し待つと、部屋をノックする音が聞こえた。
「入ってくれ」
「失礼します」
入ってきた人を見て、俺とマユは驚いた。
何故ならその人は、先ほど話に出ていたラクス・クライン本人だったのだから。
「ラクス様?」
「嘘っ!?本物だ!?」
マユは驚きのあまりに叫んでしまった。
まぁ、マユもメイリンと同じでラクス様の歌のファンだから、仕方ない…のか?
「紹介しよう、彼女は――」
「いえ、ここは自分で行います」
「――そうか、ならば任せよう」
議長が紹介しようとしたのを止め、ラクス様が話し出す。
「お久しぶりですわ、イチカさん、マユさん」
と言われたが俺たちは本当にテレビとかで見たことはあっても、実際に話したりしたことはなかったはずだ。
「あ、あの、ラクス様?人違いではないでしょうか?
私も、イチカもそのラクス様とお話しする機会なんて無かったですし…」
と、マユがしどろもどろになりながら答える。
大スターを目の前にして話すファンみたいだな。
「あらあら?この話し方では分かり辛かったかしら?
コホン…、久しぶりね、イチカ、マユ、これで判るかしら?」
え…?まさか…。
「ミーア…なのか?」
「え、嘘でしょ?いくらミーアの声がラクス様に似てたとしても流石にそれは無いんじゃない?」
と、マユは否定したが、
「ええ、その通りよ、イチカ」
「ウソォォ!?」
本人が認めたことですぐに驚きに変わった。
「はぁ~い、イチカ、マユ。
改めてお久しぶり、ミーア・キャンベルよ」
と、かつて士官学校で聞いていたような話し方で俺たちにしゃべりだした。
「な、なんで?
っていうか、その衣装も顔も丸っ切りラクス様なんだけど!?」
「ああこれ?実はこれって、ホログラムなの」
と、言ってロングスカートの中から端末を取り、スイッチを押すと、また別の衣装に変わった。
「じゃあ、今までのラクス様って全部ミーアが?」
「ええ、ここ最近出てるのは殆ど私よ」
「えええええ!?」
また、マユは驚き、声を荒げた。
「では、議長、ミーアは影武者だということですか?」
「ああ。無論、彼女も自分の意思でここにいる。
皆を勇気づけられるなら、とね」
「そういったことも含めての対策ということですか?」
「ああ。ラクス・クラインはかつてプラントの敵として現れている。
その後の足取りは掴めていないが、活動休止としていつまでも留めておくのも限界がある。
そこで彼女の出番ということだ」
途端、執務室にサイレンが響く。
「なんだ!?」
「待て、すぐに確認を取る。
――一体、何の騒ぎだ!」
『大変です、議長。
地球軍の月からの大規模な部隊がこちらへ接近中とのことです!』
「何…。
そうか、分かった。迎撃部隊を直ちに出せ」
『それから大西洋連邦の声明もあって、地球諸国が地球軍との同盟を開始したとのことです』
「む…。やはり、最悪の事態が起こったか…。
防衛ラインの構成を急がせろ!」
そう言って、議長は通信を切った。
「議長」
「ああ、いずれはこうなると踏んではいたが、予想よりも早かったようだ。
君たち二人にも迎撃に出てもらう、F・フリーダム、F・ジャスティスを使い、プラントを守ってくれ。
私も迎撃部隊の指揮を執る」
そう、命令され、俺たちは急ぎ、プラントのモビルスーツデッキへ向かった。
「失礼します、デュランダル議長の命により、フェイク・フリーダム及びフェイク・ジャスティスの受領に来ました」
「君たちがか。
話は伺っている。すでに君たちの前の機体からの戦闘データを移している。
調整などは済ませているが、いきなりの実戦となってしまうのでな、くれぐれも扱いには気を付けてくれ」
そういうと、そこの開発主任は急ぎ、出ていった。
俺とマユは急ぎ機体に乗り込んだ。
俺はジャスティスにマユはフリーダムに乗り、システムを起動させた。
「OSはセカンドステージの物と同じか…。
しかし、エネルギー量がザクとは大違いだ…。
…システム起動、各システムオンライン、出力オールグリーン。
マユ、俺は行けるぞ!」
「こっちも!」
「イチカ・オリムラ、フェイク・ジャスティス、発進する!」
「マユ・アスカ、フェイク・フリーダム、発進します!」
俺たちはモビルスーツデッキを飛び出し、戦場へと向かった。
いかがでしたでしょうか。
今回登場させました、イチカとマユの機体は一応、仮の機体です。
アンケートでとった、デスティニーインパルスもきちんと登場させますので。。。
機体の説明としては
F・ジャスティス、Fフリーダム共に、出力は核エンジン搭載機ではなく、インパルスたちと同じ、デュートリオンビーム送電システム。
装甲はVPS装甲。
武装はどちらもセカンドステージの機体と同様の武装
武装 F・ジャスティス
高エネルギービームライフル×1
デファイアントビームジャベリン×2
フラッシュエッジビームブーメラン×2
ファトゥム-00F×1
20mmCIWS×2
対ビームコーティングシールド機動防盾×1
リフター武装
フォルクリス機関砲×4
ケルフス旋回砲塔機関砲×2
バラエーナプラズマ収束ビーム砲×2
備考 アビス、フリーダムに搭載されていたバラエーナプラズマ収束ビーム砲をリフターに装備、火力面を補っている。
武装 F・フリーダム
20mmCIWS×2
高エネルギービームライフル×1
ヴァジュラビームサーベル×2
ヴァジュラビームダガー×2
クスィフィアスレール砲×2
バラエーナプラズマ収束ビーム砲×2
対ビームコーティングシールド機動防盾×1
備考 マユのザクに取り付けられていたビームダガーを後付けで搭載。
と、紹介しましたが、キラやアスランの乗っているフリーダム、ジャスティスとは性能は劣っていると考えてください。
次回は、プラント防衛線の戦闘です。