魔法科高校の劣等生<The Legend of Amazons> 作:kakki-az
今年に入って最初の投稿です。
それではどうぞ!
生徒会室
「会長。この時間が空くなら他の予定も入れられたのですが」
2年の生徒会副会長《
「しょうがないでしょ?ノーアポなんだから」
「でも会長がお呼びになってるいるのなら遠慮するべきでしょう。ニ科の生徒を優先するなど」
服部は先ほどのことを納得していなかった。
「"はんぞーくん"それ生徒会としては問題発言なんだけど...」
ちなみに、真由美が"はんぞーくん"と呼んでいるのは服部副会長のフルネームが《服部刑部
本人はフルネームで呼ばれるのは恥ずかしいため服部 刑部となっているが、真由美からはそう呼ばれても服部副会長は何も言わない。
(う~ん、染みついた意識の改革はまだまだかぁ。私の在学中になんとかしたいんだけど...)
と、真由美はそう思っていた。
-司波家
達也がリビングでくつろいでいると、そこへ深雪がやってくる。
「お兄様、何かお飲みになりますか?」
「...そうだな、コーヒーを頼む」
「かしこまりました」
深雪は一礼してキッチンに向かう。
(妹は何故か家の中だと露出が増えるな...)
いつもの事なので達也はこれ以上気にしないことにした。少しすると深雪がコーヒーを淹れて戻ってきた。
「お兄様どうぞ」
「ありがとう」
達也はカップを受け取り口につける。
「...うん、美味い」
達也が答えると深雪は微笑みながら隣に座り、一緒にコーヒーを味わうのだった。
「...そうだ、深雪」
「はい?なんでしょう」
「実は入学式の少し前、お前と分かれた後一科生の新入生と知り合ったんだ」
「一科の、ですか...」
「あぁ、鷹山 千翼という不思議な雰囲気を纏った奴だ。
「お兄様、その方は確かわたしと同じクラスのはずです」
「そうか、なら会ってみるといい」
「わかりました」
達也がそこまで気に掛ける人物に会ってみたくなった深雪は、今日の出来事を語り合うのだった。
-千翼の部屋
「いらっしゃい、ほのか」
『ほのか、大丈夫?』
「大丈夫だよ、雫。...千翼くんもあの時はありがとう」
「気にするな。でもあそこまで取り乱すなんてよっぽど会いたかったんだな」
『うん、ほのかすごく楽しみにしていたもんね』
「雫!?それは千翼くんに言わないでって言ったのにー!///」
「へぇ~、達也の魔法はそんなに綺麗なのか」
「うん。司波さんは圧倒的な魔法力って感じだけど、お兄さんのはあえて必要最低限の魔法力しか使わないっていうか...魔法式の無駄で出る光波のノイズが全く感じられなかったの」
『ほのかが言うなら相当だね』
「光井の家だからね、光振動については人より敏感だよ」
ほのかの家は《エレメンツ》と呼ばれる日本で最初に計画されたプロトタイプの魔法師の家系で《光:光井》の他に火・水・風・地・雷の計六つの家計が存在する。
『"生まれ"は最初だけ、力を磨いてるのはほのか自身だよ』
「俺もそう思うぞ」
「...そうだね、ありがとう。地元じゃ雫しかライバルがいなかったのに、司波さんには打ちのめされちゃったな。お兄さんは...よく分からない、それに...」
「?」
そう言いながらほのかは千翼を見て、微笑んだ。千翼は不思議そうにほのかを見る。
「千翼くんも私のライバルなんだよ」
「...あぁ、そうだったな」
千翼もほのかを見ながら、笑顔で答えた。だが二人はある事に気付く。
「...あれ?雫は?」
「そう言えば、さっきから何も言わないな」
千翼は電話を取り、雫に呼びかける。しかし返事は帰ってこない、千津がもう一度呼びかけようとした時だった。
『...スピー...スピー...』
「...ま、まさか...!雫の奴寝てるのか!?」
「えー!!雫、寝るの早いよー!」
翌日
「雫...いくら何でも寝るの早すぎだろ」
千翼はふたりと一緒に登校していた。昨日は結局雫が起きなかったためにお開きとなったが、千翼がほのかの深雪にどう接すればいいかの相談や自己紹介の練習に付き合い、ほのかに泊まっていく様に告げ付きっきりでほのかの練習に付き合った。
「ごめん、いつの間にか寝てた」
「話し始めてまだ十分しかたってないのに...いきなりでびっくりしたよ~」
「まあ、これからは一声かけろよ。おっとそろそろ一高前だな」
話を切り上げ、三人は教室に向かった。
教室についた三人はそれぞれの席に着く。
ほのかが少し離れてしまったため、千翼の隣に立って三人で談笑していると、
「おはようございます」
透き通る様な声が聞こえた方に振り向くと深雪がお辞儀をして教室に入って来ていた。そして段々とこちらに近づいて来ている。
「あ、司波さん私の後ろの席かもしれない」
「「えっ!?」し、雫!そういうことは早く言ってよ~!」
「ごめん、今気づいた」
そうしている内に近づいてくる深雪にほのかは慌てる。昨日あれだけ相談とか練習したんだから大丈夫と自分に言い聞かせるほのかだったが、すでに深雪は目の前に来ていた。そして深雪はほのかに向かって女神のような笑顔を向けた。
ほのかはその笑顔に完全に心を射抜かれ、後ろに倒れこむ。
「おっと!?」
とっさに千翼は倒れるほのかを支える。
「ほのか自己紹介、今がチャンスだぞ(ボソッ)」
千翼の呼びかけに放心状態だったほのかがハッと我に返る。
「う、うん。あ、あの司波さ...はわっ」
ほのかは自己紹介をしに深雪に寄るが、自分の足が靴を踏んでしまい、
「ぶっ!!」
前のめりに転んでしまい、顔を強打してしまうのであった。
「(アニメや漫画じゃないのによくここまで盛大にこけるなぁ)ほのか立てるか?」
「大丈夫ですか?」
「あ、ありがとう。司波さん、千翼くん」
千翼がほのかを起こすために手を差し出すと同時に深雪も手を差し出しており、ほのかはふたりの手を取り起き上がる。
「どういたしまして。あの...」
「光井です!光井 ほのかです!」
「司波 深雪です。光井さん仲良くして下さいね」
「!こちらこそ!」
何とか結果オーライになって喜ぶほのか。千翼と雫もそれにつられて笑顔になる。
「...あの」
「はい?」
「もしかして、貴方が鷹山 千翼くんですか?」
「ああ、そうだけど?...あぁ、もしかして達也から聞いたのか?」
「はい。お兄様からお話を聞いて是非ご挨拶を、と」
「そうか。じゃあ改めて、鷹山 千翼だ、よろしく」
「司波 深雪です。わたしの事は好きに呼んで下さい、千翼くん」
「分かった深雪、っとそれから...」
千翼は雫を見る。雫はわかってると言いたげな顔で千翼を見た後、深雪の方を見る。
「北山 雫です。お名前はかねがね」
「こちらこそよろしくお願いします、北山さん」
そのまま四人でお互いについて話し合う、その間千翼は視線を感じていたが気にしないことにした。そうしている内にオリエンテーションの開始時間になり、それぞれ自分の席に着くと同時に担当の先生が入ってきてオリエンテーションが始まった。
オリエンテーションが終わり、一科の生徒はニ科の生徒を蔑むように会話をしていた。それを聞いてた千翼は深雪の表情を見て考え事をしていた。
「(やっぱり深雪は一科の奴らの二科に対する態度をよく思ってないみたいだな...)えっと次は確か...」
「千翼くん、一緒に見学に行こうよ」
オリエンテーション後の予定は、午前に基礎魔法学と応用魔法学、午後に魔法実技演習の見学になっている。
「ああ、せっかくだし深雪も誘うか」
ふたりの了承を得て、深雪の席を見ると既に他の人に囲まれていた。
「ちょっといいですか、司波さん!」
「何でしょうか?えーと...」
「僕は《
「わたしは先生について...「奇遇ですね!僕もです!やっぱり一科なら引率してもらう方ですよね!補欠と一緒の工作なんて行ってられませんよね」」
間髪入れない言葉攻めに深雪はだんだん困り顔になっていく。
「いえ、そういうわけでは...「だったら、そろそろ集合場所に行かないとな。よかったら俺たちと行かないか?深雪」
千翼は困っている深雪に助け舟を出した。深雪は千翼の意図を理解し、
「そうですね、一緒に行きましょうか」
深雪はさっと立ち上がり、ほのかと雫と合流し、一緒に教室から出た。急に置いてかれた森崎はポツンと佇んでいたが、すぐに教室から出てきて千翼の背中を睨んでいた。
「ごめん、深雪。急に割り込んだりして」
「ううん、助かっちゃった」
「いいって、それに...ああいう奴は俺はあまり好きじゃないからな」
「千翼くん...」
「ふたりとも、そろそろ始まるから急ごう」
「待ってほのか」
先頭を歩いていたほのかが駆けだそうとしたが、雫が呼び止める。
「どうしたの?」
「ほのか、制服が汚れてる」
「あーさっき転んだ時か...」
「ど、どうしよう...」
「ちょっと待ってね」
深雪が汚れている所に手をかざすと、一瞬で汚れがなくなっていた。
「え、司波さんこれ...」
「ナイショね」
深雪はそう言ってニコッと微笑んだ。三人はCAD無しでここまでの演算ができる深雪に驚きを隠せなかった。
See You The
NEXT TARGET
第十一話いかがだったでしょうか?
これからもマイペースに投稿していきますので、今年もよろしくお願いします!!
補足
〔席は◎から縦に出席番号順〕
・・・・◎
・・・・・
・・千雫・
・ほ・深・
・・・・・