魔法科高校の劣等生<The Legend of Amazons>   作:kakki-az

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お待たせしました!第十話です。
今回はある一点に注目して執筆しました。
それではどうぞ‼( ゚∀゚)つ



第十話《入学》

講堂についた三人は並んで座れる席を探していた。

 

「なかなか見つからないね」

「そうだな。それにしても...」

 

千翼はそう言って周りを見渡すと、前半分がエンブレムがついている一科生、後ろ半分がエンブレムのついていないニ科生にきっちり分かれていた。

 

「...ここまで分かれていると逆に関心するよ」

「...そうだね」

 

そう思っている内に三つ並んで空いている席を見つけ、三人は席に着いたタイミングでアナウンスが入る。

 

『静粛に』

 

それを合図に講堂内が静まり返る。

 

『只今より 国立魔法大学付属第一高校 入学式を始めます』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会長の祝辞が終わり、いよいよ新入生代表の答辞が始まる。

 

 

『続きまして 新入生 答辞―』

『新入生代表、司波深雪』

 

 

アナウンスの直後、壇上に可憐な少女が現れる。

 

「ほのか、あの子...」

「うん。間違いないよ」

 

ほのかはキラキラした目で深雪を見つめていた。

 

「そう言えばほのかは試験の時一緒だったんだっけ」

「一緒ってわけじゃなかったけど、試験の時からすっごく目立ってて、まるでそこだけ空気が違うみたいで...カッコよかったんだよ!」

「そ、そうか...ほのか、とりあえずこの話は置いておいて答辞を聞こう」

「あ、そうだね」

 

千翼はヒートアップしそうなほのかの話を切り上げると、深雪の方に意識を向ける。

深雪は軽く一礼し、答辞を述べ始めていた。

 

「『この晴れの日に歓迎のお言葉を頂きまして感謝致します。私は―』」

 

深雪は透き通るような丁寧な言葉づかいで

 

「『新入生を代表し、第一高校の一員としての誇りを持ち、()()()()()()()()()()、勉学に励み、()()()()()()共に学び、この学び舎で成長することを誓います』」

 

とてつもなく際どい言葉を混ぜている事に気づき、千翼はギョッとした。

 

 

(おいおい!大丈夫なのか!?そんなことを言ったら差別意識の強い連中がどう思うか...)

 

 

そう思った千翼は周りを見渡すが、皆深雪に見とれている為、言葉が耳に届いて無い様だった。

 

 

「.....大丈夫そうだな」

「? 何が大丈夫なの?」

「いや、何でもない...」

「?」

 

ほのかが不思議そうに首をかしげていたが、千翼は気にせず前を見直すと新入生代表の答辞が終わっていた。

 

 

 

 

 

 

深雪は答辞を述べ終え、袖に下がっていた。

 

(お兄様、見てくださっているかしら。......あ、あそこにいらっしゃ...る...?)

 

深雪は達也を見つけたが、達也は隣の女子二人と親しく話しているようだった。

 

(お隣の女子と随分打ち解けていらっしゃるような...?気のせいかしら)

「深雪さん、お疲れ様」

 

達也が気になり横目で達也の方を見ていた深雪だったが、声をかけられ振り向く。

そこには生徒会長の七草真由美が立っていた。

 

「七草会長!」

「素敵な答辞だったわ。『皆等しく一丸となって』『魔法以外でも』」「!」

「なかなか際どい言葉をうまく混ぜていたわね」

 

まさか会長に気が付かれているとは思わず深雪は驚いていた。

 

「それは...」

「違うの。責めているわけじゃないのよ、むしろ逆。そういう人材を探しているの我が生徒会ではね」

 

そうして深雪はしばらくの間真由美と会話を弾ませるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

入学式が終わった千翼達は三人でクラス確認をしていた。

 

「二人は何処?私はA組だよ」

「私もA組」

「俺もだ」

「やった!みんな同じクラスだね!」

 

三人同じクラスになれて、ほのかはすごく喜んでいた。

 

「...よし、クラスの確認もしたし、今から司波さんの所に行くか?」

「!そ、そうだね。う~緊張してきたよ~」

「ほのか、ファイト」

「...なあ雫、もしかしてほのかって本番に弱いのか?」

「うん」

 

色々と話している内に深雪を見つけたが、周りにすごい人垣ができていた。

 

「うわぁ、すごい人垣」

「ほのか、ここはガッツだよ」

「雫の言う通りだ」

「そうだけどぉ...」

 

目の前の人垣は深雪に押し寄せていた。

 

「司波さんさっきのは凄かったですよ~」

「綺麗で頭もいいなんて」

「貴方のような素晴らしい方と同学科に入れる栄誉を」

「《花冠(ブルーム)》の名の通りわが一高に咲き誇る花」

 

 

 

「...ガッツはあるけど、ああなりたくないよ...」

「うん私も」

「そうだな...あれじゃあかえって迷惑だ。でもどうやって助けるか...」

 

知り合いの妹が困っているため、助け舟を出そうとした時、

 

「そうだわ深雪さん。お兄さんと打ち合わせしているのではなくて?」

 

真由美が見かねて助け船を出してくれた。深雪もそれに気づき安心する。

 

「はい、そうです」

「ではそちらに向かいながらお話ししましょうか」

「はい、お気遣いいただきありがとうございます」

 

深雪と真由美は達也がいるであろう方に歩き始めた。他の一科生も深雪の兄がどんな人か見るために一緒についていく。

 

「...お兄さんに会いに行くみたいだけど...」

「もちろん行くよ!司波さんのお兄さん気になるもの!一科には他に司波はいなかったし上級生かなー、多分すっごくカッコいいんだよ!」

「「...」」

 

千翼と雫はほのかのテンションに若干ついていけず、暖かい眼差しを向けながらほのかの後についていった。

 

「あ、言い忘れていたけど、俺司波さんの兄なら会ってるけど?」

「えっ!?それ本当なの!」

「ああ、ふたりと会う前に知り合ったんだ」

「そうなんだ。それでその人は上級生なの?」

 

 

「いや、俺たちと同い年でニ科生だったよ。でも達也は凄い奴だと思うよ?勘だけど」

 

 

「.....え?」

 

ほのかは千翼の言葉が信じられないようで千翼の顔を見て歩みを止めた。

 

「どうしたほのか?早く行こう」

「う、うん...」

 

そんなやり取りをしている内に、深雪は達也を見つけ駆け寄る。

千翼達は遠くから様子を見ることにした時、急に寒気を感じた。

よく見ると深雪がとてつもない負のオーラを出しているように見えた。

 

(やっぱり、いろんな人に囲まれてたから相当ストレスが溜まっているな...)

 

他の一科生も深雪のオーラを感じたのか誰一人近づこうとしなかった。さらに注意して見てみると、達也の傍らにふたりの女子がいたのだ。

 

(...もしかして達也が女の子が一緒にいたから嫉妬しているのか?)

 

これが所謂「ブラコン」というやつかと千翼が考えていると、周りの一科生が達也に注目する。ほのかと雫も同じように達也を見る。

 

「.....あ」

 

千翼の言う通り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それは彼がニ科生であることの証明だった。

 

 

「《雑草(ウィード)》だよ」

「えっマジで?」

「主席の妹に劣等生の兄か」

「同じ高校に入学してよく恥ずかしくないな」

 

 

真由美はこのままじゃまずいと思ったのか、深雪に後日話をすることにしてこの場を去っていった。

それに伴って着いてきていた人たちも解散していく。

 

「ほのか、俺たちも行こう...ほのか?」

「......」

「...ほのか?」

「あの人だ...」

「え?」

「入試の時すごく無駄のない綺麗な魔法を使う人がいて...さすが魔法科高校だって思ったの...それが...」

 

そう言いながらほのかは手を強く握りしめる。

 

「それがなんであの人が「ほのか!」...ッ!」

 

千翼はほのかの肩を掴み、ほのかの顔を見つめる。

 

「それ以上は言っちゃだめだほのか。それにほのかは達也がすごいと思ったんだろ?」

「...うん」

「それなら()()()()()()()()()()()()()()、だろ?」

「!うん...うん!そうだね!」

「...やっぱりほのかはそうやって笑っている方がいい(ボソッ)」

「千翼くん?何か言った?」

「何でもないよ!ほら、二人共早く行くよ」

 

千翼は二人の手を掴んで教室へ駆けだした。千翼は走りながら先ほどの一科生の言葉を思い出していた。

 

(何でこの高校(ここ)の一科生の奴らはニ科生というだけで人を蔑むんだ。司波さんの気持ちを考えないのかあいつらは!...あんな奴らに司波さんと仲良くさせたくない...よし、そうと決まれば...!)

 

千翼は走りながらほのか達と深雪を仲良くさせるために色々考えるのだった。

 

 

 

See You The

NEXT TARGET




第十話いかがだったでしょうか?
最後の辺りは優等生を読んで思ったことがあったので思いきって変えてみました。

次回は彼らがようやく登場します!
お楽しみに!

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