ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
二日後のある日。
承一郎「三ヶ所同時攻撃?それも全て陽動?」
今回の任務はデスペラード社の研究所制圧だ。なんでもその研究所、廃棄物の不法投棄に人身売買、挙句の果てに人体実験を行っているらしく、依頼を受けたのだが…
ジョルノ「そうだよ。施設に近い駐屯地を同時に攻撃する」
そう、今日はジョルノ兄さんが指揮を執る事になったのだ。
承一郎「何でまた…それに兵力は…」
ジョルノ「それなら初日に進軍させてある。十分な仮眠を取らせていつでも動かせる準備は出来ている」
ジョルノ兄さんは司令所の地図に歩兵部隊の配置、砲撃部隊の配置、対メタルギア部隊の駒を置く。
ジョルノ「ついでにいうなら目的の施設も含めて工作部隊が通信機能から地雷撤去、逆に地雷の設置も終え、潜伏の伏兵も配備済みだよ」
承一郎「地雷って……」
ジョルノ「対戦車地雷だよ」
僕はほっと胸を撫で下ろすが…
ミスタ「人の重さで反応するけどな」
承一郎「なっ!」
ジョルノ「何を驚いているんだい?人の重さで反応する
そういえばウチに戦車よりも重心が低い大男、アルマジロがいたな…じゃあなくて!
八幡『後でドーザーでも走らせて戦車が通過したような偽装を施せば問題ない。そんな戦場なんてどこにでもある。安心しろ、殺さない威力で仕掛けてあるから』
それを聞いて安心した。
陽乃「殺せば敵兵を減らす数は1人。だけど、負傷させればその人を下がらせる為に人員を割かなければならないの。1人を殺すよりも1人を負傷させて二人から三人を下がらせた方が効率が良いからだよ?承一郎君?」
承一郎「な、な、な……」
オセロット「基本戦術ですね。むしろ当たり前の戦術です」
シブいね、オセロット!僕ももっと年をとったらオセロットみたいなハードボイルドがいいな…じゃあなくて!
ジョルノ「救護所や非戦闘要員も始末してかまいません。僕らにとっては等しくどうでも良いので」
承一郎「でもジュネーブ条約では…」
ジョルノ「ジュネーブ条約からは反していますよ。最初からね。これは最初から戦争ではない。戦争が始まっていない。ただの非合法武装集団同士の小競り合い。まぁ、他の国際法には引っ掛かるかも知れませんが知ったことではありませんよ。全ての罪は全部あちらに被って貰えばいいんですから。砲兵部隊の準備状況は?」
オセロット「気象、測量、試射、弾道計算。準備よし」
ジョルノ「同時攻撃開始。着色煙幕弾、化学兵器弾、生物兵器弾、ナノマシンウィルス弾を使用して攻撃支援射撃開始。その間、各部隊は偽装を維持しつつ、迂回をして攻撃準備線戦まで前進開始」
確かに
カズ『砲兵部隊、攻撃開始』
観測部隊から送られてくる敵の被害状況。かなりの敵の戦力を削ることに成功している。
敵は相当パニックに陥っているが、砲兵部隊は敢えて暴露されているので迎撃部隊を出してくる。
本命の目標からも三ヶ所同時に横腹を突くように迎撃部隊を出してきた。
ジョルノ「砲兵部隊、撃ち方やめ。本陣地に陣地変換。遊撃部隊は砲兵部隊の陣地変換の支援のため、敵増援部隊の足止めを実施。各部隊は敵の駐屯地の制圧部隊と迎撃部隊殲滅に別れて攻撃開始。本陣地に展開している砲撃部隊は歩兵部隊の突撃準備線に入りし次第突撃支援射撃を開始」
観測部隊や通信部隊と連携して順調に敵を破壊していく。
承一郎「手際が良い…」
ジョルノ「本来はこれを君がやるべき事なんだ。一兵士の行動で満足している場合じゃあない。そんなのは司令官として下の下だ。戦闘行動だけじゃあない。兵站、通信手段、救護所や野戦病院の確保や維持。作戦が失敗した時の退路の確保や輸送手段。それらを運用する資金運用を考慮した戦術を考えるのが君の役割だ。特に補給線の確保は部隊の生命線とも言える」
前線の維持以上に補給線の維持が重要だ。そこを的確に突いたジョルノ兄さんの采配は素晴らしい。
ジョルノ「敵の戦闘部隊は見事に踊らせました。手薄になった本命に特殊部隊は突入開始!」
承一郎「分かりました。行け、
瞬間、どこからともなく髑髏部隊が現れ、頭を垂れる。それぞれ高周波ブレードと銃が装備されている。
髑髏部隊は僕が創る空間の中に一斉に飛び込む。
承一郎「髑髏部隊はあまり離れると制御が難しいので行ってきます。コブラ部隊!ついて来てくれ!」
次に現れたのは亡き母、理那が率いていたコブラ部隊だ。今はフィアーとソローが加わった事で更に強力な部隊となった。
ちなみにクリスタル・ファングで最年長であるジ・エンド(明らかにDIOより長生き)は今は車椅子に座って
余談だが目がすっごく開く。もう少しで取れるんじゃあないかってくらいに。今回は狙撃の必要がないのでおじいちゃんは留守番だ。
承一郎「それと陽乃さんと留美ちゃんもお願いします」
陽乃「OK!行きましょ、留美ちゃん!」
留美「ええ、分かったわ」
承一郎「オセロット!
オセロット「はい!」
オセロットから渡された母の形見である突撃銃パトリオットを左手に取る。圧倒的火力の弾幕で敵を殲滅するのに特化した銃だ。
空間の中に入り、たどり着いた場所は下水道の中。その正面に扉があった。諜報班が独自に調査によって判明した。
iDROIDの有線を扉の配線に繋いでカズの『TOKYO通信』が侵入し、扉のシステムを掌握する。
承一郎「カウント!3、2、1、GO!」
僕の声と同時に扉が開き、僕達は突入した!サイボーグ達はナノマシンウイルスによって疲弊していて髑髏部隊とコブラ部隊に制圧される。
だが、月光が一機跳躍してきた。
陽乃「大型機械兵……ヘロヘロになってないのがいたんだ。今度はお姉さんが倒すかな?」
承一郎「陽乃。前にも言ったがおまえの能力では」
陽乃さんの『アヌビス神』、転生前なら操る人間の限界を振り切って攻撃しただろうが転生した後は本体はあくまでも陽乃さんだ。
故に陽乃さんの今の『アヌビス神』では大型無人機には太刀打ちは出来ない。
陽乃「承一郎君。君、四年前のままだと思ってるのかな?」
ハズなのだが、
陽乃「うりゃぁ!」
陽乃さんは袈裟斬りに斬り付け、返す刀で逆袈裟に斬る。
承一郎「ふざけてるのか?一切傷が」
ドオオォォォォォォン!
月光は傷すら入っていない状態で倒れた。
承一郎「なん………だと………?」
陽乃「承一郎くん。やり直しをしてみる?あの時のやり直し。はっ!」
僕は『村雨』で私の『アヌビス神』を受け止めようとするが、
スパン!
陽乃さんの『アヌビス神』が村雨を透過し、その首をはね、更に縦一文字に僕を切り裂く!
………骨のプロテクターだけを。
陽乃「私の勝ち。私達はスペックだけなら君にかなわない。能力も君のに比べたら大したことは無いかも知れない。だけど、やり方1つでこうなるの」
僕は息を飲む。
陽乃「私が本気なら、骨のプロテクターと君の体が逆になってた。骨のプロテクターの中で君は生首になり、体は開きになってた。アヌビスのもう一つの能力、忘れてない?」
承一郎「透過………能力……」
思い出した。『アヌビス神』の使い手を操り、戦えば戦うほど強くなる学習能力とはもう一つの能力。当時のポルナレフさんを圧倒した能力。
陽乃「部分透過………。斬りたい所を斬り、他は透過させる………私の前には防御力なんて意味をなさない。回避以外の防御に意味はない。これさえ手に入れば、こんなのはただのガラクタなんだよ?」
陽乃さんは僕にあるもの見せる。
承一郎「これは……設計図?」
陽乃「そうだよ?最初にこれらの構造を知れば、大体どこに重要機器やパーツがあるかが解る。車なんかもそうだけど、細かな違いとかあっても構造はメーカーが同じなら似たようなものでしょ?だから最初の透過で大体の位置を把握して、二回目の斬撃で自爆機能の爆弾のダミーの線を全部斬ったのよ。それでボム。簡単簡単♪」
次に再び大型機械兵が出てくるが、陽乃さんは相手の頭の上に乗り…
陽乃「ここに生体ユニットの脳がある」
ストン…………透過させて脳だけを突き刺し、まるでコーヒーのミルクや砂糖を混ぜるようにぐるぐる回す。
陽乃「脳をやられて生きるなんて吸血鬼や究極生命体くらいだもの。簡単簡単♪」
陽乃さんは自爆する敵の大型機械兵からジャンプして着地する。
陽乃「1勝1敗ね。昔の私を倒したからって、今でも弱いだなんて思わないで。別に私は強くなってはいないわよ?せいぜい波紋の練度が君と同じくらいになったくらい。後は工夫だけ」
承一郎「………まさかあっさり負けるなんてな」
陽乃「不意討ちだったからね。対策を練られればなんて事はないわよ?でも、これが本気だったら…たらればはないわ…。今、君は一度死んだの」
陽乃さんは更に先へと進んだ。
留美「陽乃を甘く見ない方がいいわ。私は知らないけど、あなたと別れた四年間の間に彼女達は更に強くなったらしいわ」
承一郎「…やれやれ、一本取られましたね。でも、僕はまだ全力を出していませんでしたよ。そっちの世界での四年前は」
留美「!危ないわ!」
僕の後ろから月光が襲いかかってくるが、
承一郎「凍れ、『村雨』ッ!」
ピィッキィィーーーーーz__________ンッ!
『村雨』で斬った箇所が氷漬けになる。そこをパトリオットを左手に持ち、
承一郎「
ダダダダダッ!とパトリオットの弾丸が吐き出され、月光は粉砕された。
ライフル弾の火力とマシンピストルの取り回しの良さの両立を基本コンセプトにしたこの銃は、バレルを短く、ストックを切り落としハンドガンサイズに縮小されている。
その構造から反動がとんでもないものになり、吸血鬼のパワーでやっと片手で取り扱える物品だ。その代わり百連装サドル型ドラムマガジンが使われていて弾数が多いが、並の人間には到底扱えない。
オセロットでさえ両手で使うこの暴れ馬を片手で取り扱えた母というのは人間を止めていると思う。
留美「…すごい銃ね、反動がとても大きそう」
承一郎「とんでもないじゃじゃ馬ですよ」
気を取り直し、僕達は先へと進む。
ザ・ペイン「行け、蜂達ッ!」
ザ・ペインの蜂の群れが先のルートを索敵を行う。彼は蜂達と視覚なども共有出来るという利点がある。
ザ・ペイン「ボス、この先部屋があります」
承一郎「分かった」
ザ・ペインの言った通り部屋があった。僕達はカバーし合いながら部屋に入る。
承一郎「…ここは?」
クリアリングをして改めて部屋を見ると、たくさんの
一つの
承一郎「これはッ…⁉︎」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ギョロッ!効果音が出そうなほど他の管の中に入っている
陽乃「うっ…⁉︎」
承一郎「これは…サイボーグの脳ユニット…!」
諜報班の調べでは、ここ最近マフィア達によって子供達が拉致されているという情報はあったが、まさか…!
ジョニィ「奴ら、子供達の脳を抜き取っていたのか…!」
頭痛がして頭を抑える。白い角がメリメリと頭から突き出て血が流れる。
陽乃「承一郎君…?」
承一郎「…なんでもありません。それより、これが子供達から抜き取られた物だとしても、まだ抜き取られていない子供達もいるはず。それとデスペラード社の狙いを探らなければ…」
ザ・フィアー「ならばサーバールームを探しましょう。そこから副司令の『TOKYO通信』で…」
承一郎「そうだね、じゃあサーバールームを探そう。ザ・ペイン!」
ザ・ペイン「了解です、ボス!」
僕はザ・ペインが索敵を行う間、葉巻を吸って溢れんばかりの怒りを抑えていた。