ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
僕と八幡少年といろはの三人は危機的状況に陥っていた。
水上を走るトラックに猛スピードで迫られているからである。
ズィー・ズィー「死ねぇぇ!ジョースター!」
ただ水上を走るトラックが来るだけだったらそれほど恐く無いのだが、なんかバンパーがクワガタみたいなハサミ型の刃が付いてるし、ラジエーターとかエンジン部分とかから銃口みたいなのが飛び出ていて何か射ってきてるし。
僕のプロテクターのお陰で痛くないけど。
承一郎「あまり多用したくは無いんだけどね」
僕は八幡達を掴んで空間をつなげ、反対側の河原へと跳んだ。
承一郎「行くぞ、八幡」
八幡「了解だ。援護を頼んだよ?いろは」
いろは「了解です。ハチ君」
僕と八幡少年は波紋の呼吸をして水上を走った。
八幡「そういえば、何気にタッグを組むのは初めてだな。俺達」
承一郎「そうだね。頼りにさせてもらうよ。八幡」
二人で運命の車輪を殴るが効果はない。
波紋の戦士二人分の攻撃力をモノともしないなんて、かなりの装甲だ。
八幡・承一郎「「
八幡少年も考えていることは一緒だったらしい。
金属に波紋を通すこの攻撃ならば通用するはずだと思ったのだが、
ズィー「バカめ!そんな攻撃が通用するか!対落雷用処置の為に絶縁体が仕込んであるんだよ!」
運命の車輪は銀色の波紋疾走をモノともせずに僕達二人をはね飛ばした。
いろは「エメラルドストライク!」
カンカンカンカン!
いろはがエメラルドストライクで援護をしてくれるがザ・ジェムストーンやブラッディ・シャドウでのパワーでもどうにも出来なかった運命の車輪では、エメラルドストライクでは威力不足でどうにもならない。
それでも構わずいろははエメラルドストライクで援護をし続けてくれた。
ズィー「ちっ!威力はなくても雨粒のように断続的にやられると鬱陶しいぜ!」
なるほど、これがいろはの狙いか。
それに、ストライクで援護しつつ、時折ヒーリングで治療してくれる。
遠距離回復ってマジでチートだな。
ズィー「カンカンカンカン鬱陶しい攻撃だな!あの女のガキから始末するか」
運命の車輪はいろはに狙いを定めて車を走らせた。
僕「させるか!八幡、いろはを守れ!」
僕は空間を繋いで八幡少年をいろはの側に飛ばした。
僕は女性陣には甘いところがあるが、とりわけいろはには激甘だ。
エリナに対しては尊敬に近い感情を持っているし、しかも小野寺君の妹の春ちゃんといろはの声がそっくりなんだよな。
その為か、こうしていろはがピンチになると、こうして過剰に反応してしまう。
八幡「ナイスだ承一郎!お前にも千葉の兄の素質があるぞ!シスコンは千葉の兄の鑑だ!だがいろははやらん!」
別にそんな事は考えてはないけどねと苦笑した。
八幡少年はいろはを抱き寄せながら、「パウッ!」っと鉄橋の鉄骨に飛び移る。
八幡「この高さなら追ってはこれな…うそん」
ガリガリ!
奴の車は橋げたを垂直に登って八幡達を追ってくる。
承一郎「どういう物理法則だ!」
僕は奴に食らいついて攻撃をしかける。
しかし、奴はびくともせずに僕を無視して追ってくる。
八幡「くそっ!もう一回川に降りれば!」
承一郎「ダメだ八幡!」
僕の警告も少し遅く、飛び降りた八幡達を狙って奴の銃口から射たれる何かが八幡達を穿つ。
八幡・いろは「「がはっ…!」」
骨のプロテクターを破れるのはルビーレーザーくらいしかないのに、なんて攻撃力だ…!
ドボン!
八幡といろはは水中に落下した。
一瞬意識をもっていかれたようだが、回復をして浮上する。
僕は一人で奴のトラックの進行を止めて、八幡達が回復するまで耐えていた。
弾く波紋で何とか押さえているが、トラックの真っ正面に立っていては…
ズィー「バカめ!」
トラックの銃口から次々と弾が発射され、更には例のクワガタみたいな刃が僕に迫る!
八幡「承一郎!」
承一郎「来るな!いろはを守ってろ!」
僕は再び影を覆って逃げようとするが…
ガシッ!ガシッ!
奴の車体から伸びたコードが僕に絡み付いて電流を流し始め、感電した僕の行動が遅れてしまった。
承一郎「ぐあっ!」
スパアァァァァァン!
電流によって弾く波紋を途切れさせてしまった僕は、プロテクターごと刃で……
タルカスにやられたツェペリさんのように腹部から横一閃に切断され…トラックにはね飛ばされた。
八幡「じょ、承一郎ぉぉぉぉぉー!」
承一郎「…………」
ボチャボチャ…
言葉もなく僕は川に落下し、そのまま沈んでゆく。
ズィー「勝った!まずは5人目のDIOの息子!完!」メメタァ!
どこからか蛙が潰れる音が聞こえるのは幻聴か?
八幡「嘘だろ?なんて…呆気ない…」
やれやれ、これで一応
八幡「やろう!ズィー・ズィー!」
ズィー「はっ!DIO様の転生とも聞くが、所詮はガキはガキ!貴様を動けなくして拐うもよし、プッチが言うにはDIO様の骨で最悪DIO様の魂を甦らせる事は可能だから殺しても構わないらしいなぁ!」
そこにとうとう気付いたか。かなり遅いような…。
だが、八幡の命を盾にという作戦ももう使えない。
ズィー「殺しても良いのならば、もう遠慮なんかする必要もないよなぁ!クソガキがぁ!」
運命の車輪は僕にやったように、再び突進してくる!
しかも、僕がやられた以上、援護も期待できない!
八幡「いろは!」
八幡少年はいろはを再び抱き抱えて水中に潜った。
水上は走れても水中は走れないと考えたようだ。
八幡少年は潜水の要領で潜っていく。
途中、いろはに口移しで空気を送り、潜って反対側に逃れようとするが…
ズィー「バカめ!水上を走れるように出来なくすれば良いだけだ!」
八幡「!!!」
八幡少年はいろはを弾く波紋で突き飛ばして八幡少年から遠ざけた。
いろは『ハチ君!』
八幡『ザ・ジェムストーン!』
ジェムストーン『無駄無駄無駄無駄無駄無駄!』
ズィー「もう遅い!脱出不可能よ!」
八幡『くそっ!息が…たった一呼吸で良い!空気を!』
ここでの八幡少年の選択肢
1、ブラフォード戦みたいに川底から石をどかして空気を吸い込む。
2、突然逆転の秘策を思い付くか承一郎が復活して助けに来る!
3、逆転不可能!現実は非情である!
ここで1を選択したようだ。
八幡少年はラッシュでトラックの沈没を遅らせながらも川底にたどり着き、大きめの石を退ける。
…………が、1CCすらも空気は出てこなかった。
八幡『ですよねー』
流れがない湖とかならともかく、流れが激しい川の、しかもほとんど海に近い流域の川底の石の下に空気が残っているわけが無い。ハイこれテストに出ますよ〜(笑)
八幡『チッ…詰んだ…か』
八幡少年はとうとう酸欠になり、スタンドが消えてトラックに押し潰されてしまった。
ズウウゥゥゥゥゥゥン…
いろは『ハチくーん!』
ズィー「また勝った!これで第6部外伝、完!ついでに『やはり俺の奇妙な転生は間違っている。』も完!」
メメタァ!
次回、『W主人公、死す!』
デュエルスタンバイ!
JOJO「オイッ!これは鶫戦でもやったネタだぞッ!」