ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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どうも、皆さんお久しぶりです。

緊急事態宣言発出されましたね。しかも志村けんさんが亡くなってしまって…惜しい方が逝ってしまいましたね。大好きだっただけに辛いです。

皆さんもお体に気をつけて過ごして下さい。

ではいよいよバレンタイン回前半です、どうぞ!


第94話 甘すぎるバレンタインその①

バレンタインデー、それは女子達が好きな相手にチョコをプレゼントする特別な日。

 

元々は1269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌスに由来する記念日であり、世界各地でカップルの愛の誓いの日とされている。

 

その中でも日本は贈る物がチョコレートに限定されているなどの特徴がある。

 

イタリアのカビ野郎(チョコラータ)を連想するそこの君、ゴミ収集車に入る事を勧めるぞ(燃えるゴミは月・水・金(ゲスい菌)ッ‼︎)

 

それはさておき、凡矢理のバレンタイン前日の夜、三人の女子達は夢中でチョコ作りをしていた。

 

ある女子はチョコに『第一の爆弾』を仕込ませ、ある女子は『メタリカ』もどきのチョコを作り、ある女子は明らかにチョコ作りに関係ない機材を使っていたりなど、常軌を逸した白熱ぶりだった。

 

そして翌日、バレンタインデー当日に我らが主人公、一条承一郎は…

 

承一郎「ふぁ〜〜あ……」

 

……盛大に欠伸をしていた。メキシコ支部戦でスタンドパワーを使い過ぎたせいで体の疲労がまだ抜け切ってなかったのだ。

 

承一郎(そういえば今日はバレンタインだったっけ…まぁあんまり興味ないけどさ。今日も例年通り竜達にしこたまチョコ貰うんだろうけどね)

 

マザーベースでもバレンタインの習慣は存在するが、基本的に承一郎は自ら任務で戦場にいた事や女性の兵士達の国籍がかなりバラバラである事などもあって、チョコはもらった事はない(チョコ以外はもらってないとは言っていない)。

 

集英組では竜達おっさんが承一郎にチョコを渡すのだ。なんともホモホモしい光景だ。

 

承一郎(……はぁ、誰が悲しくて毎年野郎からチョコを貰わなくちゃあならないんだ。まぁ、別に女子から欲しいわけでもないからな。そんなの別に興味ないし…)

 

そんな理由があり、承一郎は朝からゲンナリしながら校舎の下駄箱の前に着き、

 

ガパッ!

 

開けるも、そこにあるのはいつも履く上履きのみ……

 

集「…期待したな?貴様」ポン

 

承一郎「してない、全然してない」

 

いつの間にか背後に回っていた集が承一郎の肩に手を置いた。お前はどこの影DI○だ。

 

承一郎「なんだい集、別に僕の下駄箱にチョコなんて入ってるわけないだろう?」

 

集「ハハァ、謙虚だねぇ。ま、今日中に誰かから貰える事を祈ろーぜ戦友」

 

実はこの集、意外とモテる。発言と行動が変態なだけで、顔立ちもいいし一応運動神経もある(鶫の銃撃を避けれるレベル)。もはや分かり合えぬ。

 

承一郎「いいって別に」

 

そう言いつつも、承一郎は教室に入るや否や自分の机の中を見るも、そこにはチョコは一つもなかった。

 

承一郎はフッ…と微笑み、

 

承一郎(チョコ欲しいなァーーーーッ‼︎)

 

頭を抱えて切望した。

 

承一郎(いやね、僕だって男だぜ?チョコの一つや二つ欲しいに決まってるじゃあないか!誰か僕にチョコくれないかな〜?)

 

そこで承一郎は考える。

 

承一郎(もしかして千棘さんとかくれるかな…?一応恋人って事になってるし…100%義理なのは分かってるけどやっぱり嬉しいかな…。…あとは、小野寺君とか…いやないな‼︎席が隣になって多少話せるようになったって何期待してるんだ僕は‼︎くれるわけないだろう僕なんかに‼︎でも小野寺君優しいから義理くらい…いやでもやっぱもしかしたら…)

 

※席替え回は『キング・クリムゾン』されたからなしである。

 

そんな事を考えていると、ガラッと教室の扉が開き、千棘がやって来た。

 

千棘「……おはようもやし」

 

承一郎「あ…ああ、おはよう」

 

挨拶はするものの、それから会話が続かない。

 

千棘「…何、なんか用?」

 

承一郎「え?いや…別に何もないけど…」

 

千棘「……そう……そういえば今日って何かあるの?なんだか皆どこかそわそわしてるように見えるんだけど…」

 

確かに今日は男子達がそわそわしている。バレンタインは女子だけでなく男子の戦場でもある。チョコを貰った勝ち組となるか貰えずに終わる負け犬になるか、自分へのチョコはまだかと待ちわびているのだ。

 

承一郎「え?君バレンタイン知らないのかい?」

 

千棘「バレンタイン?」

 

承一郎「あー、そういえばアメリカにはチョコ渡す習慣とか無いんだっけ」

 

冒頭でもあったように、海外では贈るものをチョコレートだけ(・・)に限定する習慣はない。この習慣が流行したのは1985年、そして定着したのは70年代後半らしい。ちなみに神戸が日本のバレンタインデー発祥の地と言われている。

 

千棘「あ、あーーーー。バレンタイン、そっかそっか今日だったんだ。なるほど、それでか〜」

 

承一郎「…⁇」

 

千棘「…何よ、まさかあんた私に貰えるとでも思ってるんじゃあないでしょーね?いくらニセの恋人だからってそこまでしてあげる義理はないハズたけど?」

 

承一郎「……うるさいな、分かってるよ(…やっぱりダメか。ま、彼女にこんな乙女な事を期待する方が間違いだよね)」

 

美しい花には棘があるというが、千棘の場合は名前通りその美しい顔立ちやスタイルに対して性格がちょっとアレかなと承一郎は独り合点した。

 

しかしその千の棘は千棘自身にも向かうらしく…

 

千棘(どうして素直じゃあない‼︎バカバカ、私のバカ…!何よ今の態度は、余計渡し辛くなったじゃあない!今朝あれだけ自然に渡すシミュレーションして来たのに全部パァよ‼︎どうして私ってこうなの…⁉︎)

 

千棘は自分の不器用さに心底呆れた。今までツンとした態度をしてたものの、好きになってしまったらどういう態度を取ればいいのか分からずにいるのだ。

 

小咲「おはよー」ガラッ!

 

そうこうしている間に小咲が教室に入って来た。

 

小咲「…おはよう千棘ちゃん!一条君!」

 

承一郎「ああ、おはよう」

 

千棘「おはよー小咲ちゃん」

 

小咲「今日は良い天気だね一条君」

 

承一郎「ああ…そうだね…」

 

そのまま小咲が席に座り、会話終了!

 

小咲(うう…どうしよ…もう話すきっかけがない。ようやく最近この席にも慣れてきたのにこんな調子でホントに渡せるのかな…)

 

承一郎(う〜ん、小野寺君は完全にいつもと同じ様子だな。やっぱり…チョコを渡すつもりなんてサラサラないって事なんだろうか…)

 

キング・クリムゾン‼︎

 

放課後、教室───

 

女子「あの!良かったら!コレを受け取って下さい…‼︎」

 

女子生徒の一人が鶫に包装されたチョコレートを渡して去って行く。それを鶫はポカンとした顔で見ていた。

 

鶫「…なんだ?今のは…」

 

集ヒューヒュー、さすが誠士郎ちゃんモッテモテ〜」

 

るり「何ってバレンタインチョコに決まってるじゃあない」

 

鶫「?バレンタインとは…?」

 

るり「え、知らないのあなた。まぁラブレターも知らなかったものね」

 

※鶫のラブレター回もキンクリ済みである。

 

集「バレンタインっていうのはね〜、嫌いな奴にチョコを渡す日なんだよ〜」

 

バレンタインを知らない鶫にサラッと嘘をつく集。そしてそれを簡単に信じる鶫。チョロすぎる。それでいいのか黒虎(ブラックタイガー)、ヒットマンの名が泣くぞ。

 

鶫「…はぁ?…嫌われるような事をした覚えはないぞ…」

 

集「だからさ誠士郎ちゃんも承一郎とかにチョコを買って渡すと何かいい事あるかもしれないよ?」

 

鶫「…そういう事ならばまず貴様にこのチョコをくれてやる、受け取れ」

 

集「え〜…光栄だけど」

 

承一郎「お〜い集〜〜ちょっといい…えっ⁉︎」

 

鶫が集に女子にもらったチョコを渡す直前に承一郎が教室のドアを開けてその光景を目撃した。

 

鶫「…?なんだ…?」

 

承一郎「し…失礼しました…」パタン…

 

そしてそのままドアを閉めた。集はなぜか口から血を流していた。

 

鶫「…⁇なんだったんだ今のは…」

 

集「…ゴメン誠士郎ちゃん、今から本当の事を話そう…」

 

鶫「は?」

 

集、鬼の形相で襲いかかる鶫から逃走する5秒前、突入ッ‼︎

 

 

承一郎(…ビックリした〜、まさかあんな事になってるとは…。まさか鶫さんが集の事をねぇ…全然気づかなかった)

 

ドアを閉めた後、承一郎は廊下を歩きながらさっき見た光景を思い出していた。

 

承一郎(…()がいたら、どう思ったんだろうな……って、何考えてるんだ僕は…!)

 

ふと思ってしまう考えを振り払う。彼が、信乃がもしこの場にいたのなら……しかし、彼はもういないのだ。

 

ズキンッ!

 

承一郎「ッ……」

 

そう考えていると、左腕から猛烈な幻肢痛(ファントム・ペイン)が発生する。

 

承一郎(原因はサム・ホドリゲス…彼と久しく刀を交えたからか……幻肢痛がまたぶり返してきたか…。もうやめよう、これ以上考えるのはよそう)

 

あのメキシコ支部での戦闘後、承一郎の左腕から再び激痛が走っていた。まるで魂に直接刻み付けるかのように。

 

承一郎(…そういえば今日橘さんの事見てないな。来てないって事は休みなのかな)

 

万里花「承一郎様ー!いずこですか〜〜?」

 

承一郎(お、噂をすれば)

 

考えていた時に声の聞こえた方を向くと…

 

万里花「あ、承一郎様♡」

 

ゴロゴロゴロ…

 

万里花と、彼女が台車で運んでいる()が目に飛び込んできた。

 

万里花「申し訳ありません承一郎様、完成が少しばかり遅れてしまって…」

 

パリィンパリィン!

 

そのチョコの像はおよそ4mを超える大きさで廊下の天井をその頭壊していく。だが問題はその像が腰に布を巻いただけでほぼ全裸の承一郎の像だという事だった(なお、ポージングはダビデ像)。

 

承一郎「………」

 

その時!承一郎の脳裏に落雷!そのあまりの衝撃に…

 

クルッ!ダッ!

 

承一郎は逃げる!愛がとにかく重い(物理)!

 

万里花「あっ、逃がしませんわよ承一郎様…!お覚悟…‼︎」ギュルン!

 

ブロロロン‼︎ギャギャギャギャ!

 

その逃げる承一郎に対し、万里花は何故か台車にチョコレートの像と一緒に取り付けられたブースターのエンジンを稼働させて承一郎を追うッ!

 

万里花「承一郎様ーーーーーー‼︎!」ギュン!

 

承一郎「今更だが君病弱じゃあなかったのかァーーーッ⁉︎」

 

バビュンッ‼︎バビュンッ‼︎

 

小咲「……⁉︎」

 

二人は廊下を歩いていた小咲とすれ違うように駆け抜けていった。

 

小咲「……今の、一条君と万里花ちゃん…?」

 

小咲は猛ダッシュで駆け抜ける二人を見て呆然となる。

 

小咲(…本当にすごいなぁ万里花ちゃんは。あんな積極的に気持ちをアピール出来るなんて。私には到底…違うよ私、何弱気になってるの。私だってせっかくおいしいチョコ作れたんじゃあない。頑張るんだ…!)

 

小咲「…止まって一条君‼︎」

 

小咲は承一郎が逃げた道の先に先回り、承一郎にチョコを渡そうとする。

 

承一郎「え⁉︎小野寺君…⁉︎」

 

小咲「あの…私…渡したい物が…『ガッ』あっ⁉︎」

 

グシャッ‼︎

 

しかし小咲は足がもつれて持っていたチョコを下敷きにするように倒れてしまった!

 

小咲「……‼︎」

 

承一郎「小野寺君、大丈夫かい…⁉︎」

 

承一郎は目の前で倒れた小咲に声をかけるが、

 

小咲「…大丈夫…大丈夫だから…大丈夫だから〜〜‼︎!」ピュー!

 

承一郎「えーーーー‼︎?」

 

小咲は物凄いスピードで去ってしまった。

 

承一郎(小野寺君…今一瞬凄い顔していたような…)

 

 

小咲「…………はぁ〜、これじゃあもう渡せないなぁ…」

 

小咲は一人ポツンと形の崩れてしまったチョコを見つめていた。

 

小咲「あ、やっぱりおいし…。せっかくおいしく作れたのになぁ、もったいないなぁ…」

 

崩れてしまったチョコを一欠片口にして味を確かめる。

 

小咲「…凄く、おいしいなぁ…」

 

その瞳は、泣きそうに潤んでいた。


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