ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
それではどうぞ!
テキサス州ダラス、スピードワゴン財団本部───
承太郎「どうだ、結果は」
研究員「今検査中ですが…信じられません。こんな神を恐れぬ冒涜を、平然と行うなんて…!」
ジョセフ「ワシだってそうじゃよ。彼は人間じゃ、ここにいる誰もが知っている」
ウィーン!
承一郎「ですが、それが『愛国者達』なんです。目的のために手段を選ばない」
少年──一条承一郎は検査を終え扉の向こうから入ってきた。
徐倫「承一郎…」
承一郎「お久しぶりです、ジョセフさん、徐倫さん。それで、どうなんですか?」
研究員「はい、今結果が出ました。……承太郎博士が1987年に採取していたDIOの細胞と承一郎さんの細胞のDNA鑑定をかけたところ…確定です、二人はほぼ
承一郎「………」
承太郎「…やれやれ、まさか
徐倫「だけど、DIOって確か父さんが倒して太陽の光を浴びて…」
ジョセフ「ああ、もう消滅しておる。しておった、ハズなのじゃ…」
承太郎「だがありえない話じゃあない。徐倫、お前が見た『緑色の赤ん坊』、確か『骨』が成長したものらしいな」
徐倫「え、ええ。何人もの囚人達を植物に変えて…
承一郎「つまり承太郎さんがDIOを倒すより前に『愛国者達』がDIOに接触していたという可能性も否めないと…?」
承太郎「そういう事だ」
ジョセフ「…終わらせたハズじゃった。25年前のあの時、DIOを倒した時に因縁は終わったハズじゃった。なのに、その因縁はどこまでも…」
承一郎「まるで呪いのように、ですか?」
ジョセフ「承一郎君…」
承一郎「僕は吸血鬼DIOじゃあない、一条承一郎という人間です。誰かに造られたかなんてどうだっていい、それだけ分かれば十分です」
ジョセフ「じゃが…」
承一郎「それと、この事は僕達だけの秘密事項でお願いします。彼女達には…僕から言います。いずれ話さなければならない事ですので…」
ビーッ!ビーッ!
SPW財団職員『た、大変です空条博士!SPW財団メキシコ支部の電力供給がストップしました!』
承太郎「何⁉︎早く予備電力に切り替えろ!」
SPW財団職員『それが、予備の方もダメになっています。恐らく、これはスタンド使いのしゅう…がああああああああッ‼︎!?』
承太郎「おいッ、応答しろ!…ダメだ、通信が途切れた」
ジョセフ「どうしたんじや?」
承太郎「メキシコ支部が襲撃に遭っている。電力を全てシャットダウンされているらしい」
徐倫「なんですって⁉︎」
ジョセフ「マズイのぉ…あそこには、電力を止めてはならないものがあるんじゃが…」
承一郎「止めてはならないもの…?」
ジョセフ「『柱の男』…吸血鬼を創り出す『石仮面』を創造した種族、その最後の生き残りの残骸じゃ…」
徐倫「なんですって⁉︎」
ジョセフ「50年前、ワシがやっとの思いで太陽の光を浴びせたんじゃが…あれはまだ石化してもなお生きておる。今まで紫外線を浴びせて封じこめておいてたのじゃが…」
承一郎「まさか、『愛国者達』はその情報を入手していた…?」
ジョセフ「恐らくその可能性が高いじゃろう」
承太郎「このままだと、吸血鬼より厄介な奴を野放しになるっていう事か…やれやれだぜ」
徐倫「しかも、このテキサスからメキシコまで、かなりの距離!間に合わない!」
ジョニィ「…『ブラッディ・シャドウ』ッ!」ズギュンッ!
承太郎「承一郎…いや、
ジョニィ「ジョセフさん、あなたの『ハーミット・パープル』をオレの頭を乗せてくれ」
ジョセフ「ああ、構わんよ」ズギュンッ!
ジョニィ「オレのスタンド、『ブラッディ・シャドウ』は自分が一度赴いた場所にしか移動出来ない。だがジョセフさん、あんたは一度
ジョセフ「そうじゃ、ワシは一度石化したサンタナを確認するためにメキシコ支部へ行ったわい」
ジョニィ「なら話は早い。あんたの『ハーミット・パープル』でオレの頭にメキシコ支部を念写しろ!それなら行けるハズだ!」
ジョセフ「なるほど、理解したぞ!」
ジョニィ「皆も掴まれ、全員を飛ばす!今だ、空間を超越しろォッ!」
ズギュゥゥゥゥーーーーーーz______________ンッ‼︎
影が皆を包み、空間を越えていった。
キング・クリムゾン‼︎
SPW財団メキシコ支部───
ジョニィ「どうやら内部に潜入出来たようだな」
ジョセフ「便利な能力じゃのう。どうやらここは入口付近、サンタナはここから最も下の安置室に保管されておる。紫外線を浴びての」
承一郎「ジョセフさん、波紋の呼吸を。職員達の姿が見えない…生存していたら保護しなければ」
承太郎「血痕が辺りに飛び散っている…注意深く観察して行動するんだ」
承一郎「
四人は壁際に沿うように移動する。
徐倫「前方に敵は見えないわ…承一郎、ひいおじいちゃん、周囲の反応はどう?」
ジョセフ「今のところ反応はないのぉ…やはりもう地下へ向かったのかもしれん」
承一郎「こっちは…見つけました」
承一郎が見つけたものは、体中を引き裂かれた職員達の姿だった。
徐倫「うっ…!」
ジョセフ「これはひどいのぉ…惨たらしい」
承一郎「まだ温かい、死亡してから間もない。だがこれは…何だ?スタンドの攻撃にしては何かおかしい……ッ!皆さん前方、
全員「「ッ‼︎」」
向かって来た数は2。しかし、その向かって来る姿はまるで…。
徐倫「きょ、恐竜⁉︎」
承一郎「『クリスタル・ファング』ッ‼︎」ドバドバッ!
承一郎は爪を回転させて一気に撃ち込む。だが2匹の恐竜はなんなくそれを避けた。
承一郎「速いな、骨爪弾を避けるとは」
承太郎「向かって来るぞ!」
恐竜達「「ウシャアアアアーーーーッ」」
恐竜「ギャアッ⁉︎」
承太郎「ん…?」
恐竜「グエッ!」
承一郎「こいつら…スタンドが
徐倫「確かにそうみたいね。だとしたらこいつらはスタンドじゃあなくて本物の恐竜?」
承一郎「生物であるのは確かですが…徐倫さんッ、危ないッ!」
恐竜「ウシャアアアアーーーーッ」
徐倫「えっ?」
ザシュッ!
徐倫「承一郎ッ!」
承一郎「ッ…!
恐竜「ギシャアアアーーーース!」バタッ!
ジョセフ「大丈夫か、承一郎君!」
承一郎「大丈夫です、しかしこの恐竜…殺された研究員か!」
後ろを見ると、研究員達の死体が徐々にピシピシッと皹が入り、姿を恐竜に変え立ち上がる。
承一郎「このスタンド能力…恐竜化して『支配下』におく事が出来るのかッ!」ドバドバッ!
死体から姿を変えた恐竜達は骨爪弾をなんなく避けるが、
ガッ!
恐竜達「ギャア!」「グエッ?」
他の変身しかけの研究員達の死体にぶつかり転んだ。
承一郎(何だ?あの骨爪弾を余裕で避けきるほど圧倒的な『動体視力』を持ちながら、動いていないものは見えないほど視力が低いのか?)
承太郎「…どうやら凄まじい『動体視力』の割には『視力』は低いようだな」
どうやら承太郎も承一郎と同じ事を考えていたらしい。
ジョセフ「しかしこのスタンド能力…厄介じゃのう、また来るぞ!」
今度の恐竜達の数は4匹。しかも一匹を前と左右で護衛するように向かって来る。
恐竜達「「ウシャアアアアーーーーッ」」
承太郎「こいつら…隊列だとッ⁉︎」
そして恐竜達は承一郎を集中して襲いかかるッ!
承一郎「来るかッ、『クリスタル・ボーン』ッ‼︎」
ボゴッ!
ジョセフ「気を付けるんじゃ!何かヤバイッ!」
ボゴボコ…ボゴォォーーーーーz__________ンッ‼︎
なんと恐竜の中から別の恐竜が現れ襲いかかってきた!
承一郎「なッ、何ィィーーーッ‼︎?」
恐竜?「ギャアアアアアアーーーースッ」
ビシュッ!
他の恐竜とは模様が違う恐竜の爪が承一郎を引き裂く!
承一郎「ぐあっ!」
徐倫「そんな…恐竜の中から恐竜が⁉︎」
SP『オラオラオラオラァッ‼︎』ドババババッ!
シュシュシュシュッ!
承太郎の『スタープラチナ』は承一郎に襲いかかる恐竜に拳の
承太郎「何ッ、こいつ…『スタープラチナ』が
ジョセフ「『ハーミット・パープル』ッ!」ドヒュンッ!
ジョセフの『ハーミット・パープル』が恐竜達を網のようになり捉えるも、承一郎を襲った恐竜だけが見切り避けた。
ジョセフ「どうやらこの恐竜が本体のようじゃな。こいつだけスタンドが見えておる。波紋疾走!」バリバリィッ!
ジョセフが捉えた恐竜達を波紋で倒すも、まだ後ろからも恐竜達がゆっくりと近づいてくる。
恐竜?「ギャウウ…」スタスタ…
承太郎「野郎、このまま奥へ逃げるつもりだ」
徐倫「マズイわね、まだ後ろから研究員達の死体が変身して襲いかかってくるわ!」
承一郎「確かにヤバイ…この恐竜化の能力、あの本体の爪で傷付けられると恐竜化が感染するみたいです…それはどんな生物も例外じゃあない…」ピシッ、ピシッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
承一郎の体からは、先程の研究員達の死体のように皹が入り、頰が裂け始めていた!
徐倫「じょ、承一郎⁉︎」
承一郎「奴が一回こっちにやって来たのはこれが理由だったのか…!僕を恐竜化させて、承太郎さん達と同士討ちさせて時間稼ぎをするために…!」ピシッ、ピシッ!
ジョセフ「これはいかんのぉ…このままじゃと全滅の恐れもある」
承一郎「承太郎さん達は…先に行ってて下さい。ここの恐竜達は僕が相手をします」
徐倫「何行ってんのよ!あんた、恐竜化が進行しているのに恐竜達を食い止めるというの⁉︎無茶よ!」
承一郎「今の最優先事項はこの地下へ眠るサンタナの保護、それは変わりありません。それにあの本体は同じく地下へ向かっていきました。奴を倒せばこの恐竜化の解除されるハズ。なら承太郎さん達は地下へ向かう事に集中するべきです」ギギッ…
承太郎「確かに、奴さえ叩けばこの能力は解除される。なら私達は地下へ急いだ方がいいだろう」
承一郎「それに奴一人だけで襲撃を行ったとは考えにくい、もう一人新手のスタンド使いがいるとでも考えた方がいいでしょう」
ジョセフ「そうじゃな。だが、無茶はしないようにの」
承一郎「分かってますよ、三人は安心して向かって下さい。必ず後から合流します」
恐竜達「「ギャアアアアアアーーーース!」」
承一郎「フッ!」
ガシッ!
承一郎はスタンドで恐竜を掴み、
ガブゥッ!
そのまま捉えた恐竜へ歯を突き立てた。
恐竜「ギャウウッ!」
承一郎「ペッ、恐竜の味には興味があったけど、元に戻ってしまうのか…さて、死にたい奴から前に来な!さっさと終わらせて、承太郎さん達と合流しないといけないんでね」
死体から変身した恐竜達へ承一郎は食らった恐竜の肉片を吐き出しながら言った。
そして一方、地下へと急ぐ承太郎達には、
徐倫「こいつは…ッ⁉︎」
?「ここから先は通行止めだ。この線から奥に行きたいのなら…
──オレを倒すんだな」ボウッ!
男──サムエル・ホドリゲスが愛刀『ムラサマ』を構え、承太郎達の前を立ち塞がった。
承太郎「やれやれ、剣使いにはいい記憶がないんだがな…」
<=to be continued=
次回、『いつも因縁は突然にその②』
再び相見える仇敵に、承一郎は何を思うのか。