ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
第83話 千棘の母は超コワイ⁉︎
二学期も終わりを迎え、外は本格的に寒くなっていた。
集「あーー、もうクリスマスか〜。皆もう予定あんの?」
小咲「私は特に…」
万里花「ねぇねぇ承一郎様!実はイブの夜、父が家に居ないのですが…!」
承一郎「僕は実家で…いや無論ハニーと過ごすけど…」
万里花「つれないですわ〜」
集「せっかくだしクリスマスパーティーでもやんない?こう皆でワイワイ楽しく〜」
るり「そうね、企画者不在なら」
集「オレ言い出しっぺなのに⁉︎」
承一郎「……で?実際どうするんだい。僕らの場合マジで二人で…」ヒソヒソ
承一郎は千棘にこっそり聞いてみるが…
千棘「クリ…クリス…クリスマ…」ガタガタガタ
その千棘はなぜかガタガタ震えていた。
承一郎「千棘さん‼︎?」
キング・クリムゾン‼︎
承一郎「……え?ママが帰ってくる?」
千棘「そーなの。毎年クリスマスはママが帰って来て家族水入らずで過ごすから、パーティーには参加出来そうにないわね」
ところ変わって下校途中、承一郎と千棘はクリスマスの予定を話していた。
承一郎「………それがどうしてクリスマス嫌いになるんだ。…そういえば君の母さんって普段どこにいるんだい?一緒には住んでいないみたいだけど」
千棘「……世界中飛び回ってる」
承一郎「………は?」
千棘「現役バリバリの女社長なの、ウチのママ。…凄い人よ、世界中に会社を持ってて。向かいの年収が数百億ドルを越えたって聞いたわ。スケジュールは十年先までビッシリだし、ある人は『日経平均株価はその日の彼女の機嫌で決まる』とまで言ったらしいわ」
承一郎「………マジでとんでもない人だねそれ…」
千棘「…でも…何より凄いのは怒ると怖い。もんの凄く怖い…」プルプル
承一郎「そんなにか…でもいい母さんじゃあないか。そんな忙しいのに毎年クリスマスには一緒にいてくれるって」
千棘「……そう…なのかな…。私…ちょっと苦手なのよ…」
承一郎「え…?」
千棘「ママは若い時私を産んだんだけどそれ以降もバリバリ仕事を続けて、物心ついた時から年に数回しか会えなかったから。正直…ママっていう感覚がよく分からなくて…」
千棘「なんで私があんたにこんな事話さなきゃなんないわけ⁉︎」
承一郎「はぁ⁉︎自分で言い出したんじゃあ…‼︎」
ピロリロリン!
千棘「あれ?パパからだ、なんだろう『ピッ』…え⁉︎」
承一郎「…どうしたんだい?」
千棘「…明日、ママが帰ってくるって」
承一郎「え?でもまだクリスマスじゃあ…」
千棘「それと…あんたをママに紹介したいからお誘いしなさいって…」
承一郎「‼︎」
翌日、桐崎邸───
ザザン‼︎
承一郎がスーツを着て桐崎邸に入ると、ビーハイブのギャング達が忙しなく動いていた。
ギャング達「おい‼︎注文したワインはまだ届かねぇのか⁉︎」「内装準備は⁉︎料理は出来てんのか⁉︎」「今やってらぁ‼︎」バタバタドタドタ
承一郎「…お〜〜……いつになくキビキビ動いてるな。厳戒体制って感じ…」
というかギャング達がこれだけ恐れるとは、どれだけ千棘の母は怖いのだろうか。
ギャング「早くしろ‼︎もうすぐ『マダムフラワー』が着く頃だぞ‼︎」
承一郎「…『マダムフラワー』?」
千棘「…ママの事よ。ママの下の名前が桐崎『華』って言うから。言われた通りちゃんとスーツで来たようね」
承一郎「…ここまでやる必要があるのかい?母さんが帰ってくるってだけなんだろう?」
千棘「バカ言わないで‼︎あんたもしママの前でおかしな言動してみなさい⁉︎タダじゃあ済まないわよ⁉︎」
承一郎(どんだけ怖いんだ?)
千棘「シャンとしててよね!あんた恋人として紹介するんだから」
承一郎「はいはい。…しかし君って、どんなに着飾ってもそのリボンだけは着けるんだね」
千棘「…え?」
承一郎「こないだみたいに別のリボンとかにしないんだなと思って」
イメチェンした時はリボンを変えていたが、千棘はいつもこの赤いリボンを身につけている。
千棘「……そりゃあ他にも一応持ってるけど…このリボンは特別なの。昔ママにもらった物だから…」
承一郎(………)
アーデルト「やぁ承一郎君、久しぶり!」
承一郎「あ、どうも」
アーデルト「急に呼び出してすまないね、元気にしてたかい?彼女に君を紹介する機会がなかなかなくてね、歓迎するよ」
承一郎「いえ…」
アーデルト「……ところで千棘…パパは突然お腹が痛くなってきたよ。後は君に任せてもいいかい?」
千棘「ダメよパパ‼︎ちゃんと側にいて‼︎」
承一郎(どんだけビビってるんだあなた達)
ギャング達「マダムフラワーが到着しましたーーーー‼︎」「とうとう来たぞー‼︎」「皆配置につけー‼︎」
バンッ‼︎カツッ‼︎
扉が勢いよく開かれ、数人の黒スーツの男達を引き連れたサングラスをかけた女性がその黒髪をたなびかせて靴音を鳴らした。
華「…………ただいま」
ギャング達「「おかえりなさいませ、マダーーーーーム‼︎!!」」
ギャング達は道を開けるように深々とお辞儀をした。
承一郎「……(この人が千棘さんのお母さん?スゴい美人だな、なんていうかオーラが違うっていうか…)」
ジョニィ『…ん⁇でも若くして千棘を産んだって言っても…これは若過ぎるだろう‼︎姉さんだって言われても信じるぞ‼︎』
ジョセフの母親であったリサリサことエリザベス・ジョースターは波紋の呼吸を極めて50代の肉体を20代後半にまで留めていたという。
華も波紋の呼吸の使い手なのかと疑ってしまう承一郎とジョニィなのだった。
アーデルト「…やぁハナ!久しぶりだね、会いたかったよ。おかえり、我が愛する妻よ!」キリッ‼︎
さっきのガチビビリしていた顔とは一変してアーデルトはキリッと引き締まった顔で妻を迎えた。
華「…
アーデルト「お仕事ご苦労様、少し痩せたんじゃあないのかい?日本にはいつまでいられるんだい?」
華「クリスマスの夜まではいられるわ。プライベートに使えるのは2時間と30分しかないけど」
承一郎「…ねぇ、なんだよ結構優しそうじゃあないか。忙しいのは本当らしいけど」ヒソ…
アーデルト「少しは休んでいけるのかい?今日は君の好きな物をたくさん…」
華「残念ながらすぐに仕事よ。ところで…
名前を呼ばれた瞬間、アーデルトの顔がサーッ…と真っ青になった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
華「…覚えてる?私二ヶ月と15日前の午後あなたに頼み事をしたわよね…?ローマの証券会社の取り締まり役と顔馴染みだそうだから取り引きのため手続きをしておいてって。あの件、どうなったかしら?」
華はさっきのような愛称でアーデルトを呼ぶのをやめた。これは多分怒っているサインだろう。
アーデルト「い…いやハナ、あれは実は色々あって…」
華「…私は質問しているのよ、アーデルト。出来ているの?いないの?どっち?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
アーデルト「出来ておりません」キリッ‼︎
パチンッ‼︎ガシッ‼︎
華が指を弾いた瞬間、黒服の男二人がアーデルトの腕を掴んだ。
華「すぐに執務室に閉じ込めて。クリスマスまでに終わらせなかったら目ん玉ほじくり返すわよ」
ズルズル…
そしてそのまま連行された。
承一郎(わ…わーーー〜‼︎!怖過ぎるだろッ‼︎仮にもギャングのボスを相手に…アーデルトさん完全に尻に引かれてるじゃあないかッ‼︎)
ジョニィ『…確か、ジョルノ兄さんはイタリア全土を手中に収めていたよな…?』
承一郎(…後で兄さんに頼んでおこうか)
華「……さてと、千棘はいる?」
千棘「はひゃい‼︎?」ドキィ‼︎
華「…久しぶりね、元気にしてた?えーと…あなた今いくつになったんだっけ?」
千棘「は…はい‼︎16歳でありますお母様‼︎」
承一郎(お母様…⁉︎)
華「……そう、大きくなったわね。学校の方はどう?」
千棘「は…はい…こないだテストで学年5位を…取りました…」
華「………そう…5位…。…千棘、理屈に合わないわね。あなたが卒業した中学はアメリカでも屈指の名門。あなたはそこを首席で卒業したわ。今あなた通う高校は日本でも平均的な学力だと聞いているけど…どういう事かしら」
千棘「もっと頑張りますぅう〜‼︎ぶわっ‼︎
承一郎(なん…だと…⁉︎千棘さんがビビり過ぎてスマホのバイブの振動みたいになってるじゃあないかッ‼︎!しかしこのお母さん怖いな‼︎威圧感がハンパないんだけど‼︎)
華「あら?この子は一体何?」
千棘「え…え〜あー、お…お母様紹介しますわ。この人私のボーイフレンドの…」
承一郎「ひっ…
華「…ボーイフレンド、『一条』…?一条って…まさか…」
承一郎「はい…おそらくそのまさか集英組の一条です…。あ…!ですがその…!娘さんとは清廉潔白な由緒正しいお付き合いをさせて頂いて…」
華「……へーー…そうなの……娘をよろしくね、坊や。でももしこの子を傷つけるような事があればどうなるか…想像出来る…?」
承一郎「え…はい、多分(怖っ…‼︎)」
華「フフ…!安心なさい、必ず想像以上の事をしてあげるから」
承一郎(いちいち怖いよこの人‼︎!)
華「それにしても…あなたにボーイフレンドか…早いものね、あなたもそんな年頃なのね」
千棘「ハ…ハハ…」
華「…ん?あなた…そのリボン…」
千棘は華がリボンの事を触れると嬉しそうな顔をするが、
華「…まだそんなものを着けてるの?すっかりくたびれて、そんなリボンくらいいくらでも買ってあげるのに」
華の言葉で千棘の目のハイライトが消え失せた。
華「…女の子なんだからもっとオシャレしないとボーイフレンドに逃げられるわよ?もっと可愛いのを着けなさいな」
千棘「……はい…」
華「…それじゃあ、今日はこの辺で引き上げるわ。千棘、イブの夜にまたゆっくり話しましょう」
承一郎(……確かに恐ろしい人だったな。まるで嵐だ)
黒服「…社長!大変です、また秘書が倒れました‼︎」
華「…また?今月で何人目よ。全く70時間勤務程度で情けない…予備人員は?」
黒服「それが…他の者も皆入院中で…」
華「そう…困ったわね…。……そうだ、……ちょっと坊や」
承一郎「はい?」
華「あなた、今からクリスマスまで私の秘書になりなさい」
承一郎・千棘「「え…えええええ〜〜〜‼︎?」」
千棘「ちょっ…‼︎ちょっとぉ‼︎?お母様本気なの⁉︎」
華「あら、もちろん本気よ。私は娘をボンクラと交際させる気はないわ。ちょうどいい機会だしこの子があなたと交際するにふさわしいかこの目で見極めるのもいいかと思って」
千棘「いやだからって…‼︎」
華「出来ないというのならそれもいいわ。あなたには明日、東京湾に沈んでもらう」
承一郎「……」
華「ただし、もし私に認めさせる事が出来たなら、イブの夜に高級ホテルのウルトラスイートに二人で一泊をプレゼントするわ♡」
承一郎「なっ…」
千棘「はあぁああぁあ‼︎?」
華「それじゃあ行くわよ、車へ運んで」
ガシッ‼︎
承一郎「えっ…マジか‼︎マジでやるのかぁ〜‼︎?」
華(……一条…ねぇ…。…10年前の
<=to be continued=